2023/02/11 - 2023/02/11
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mistralさん
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そもそも京都に急遽来ることになったのは
龍谷大学の大宮学舎を借りて開催される、とある講座へ出席する
ことになったためでした。
その為だけの京都ではもったいないからと、つごう3泊の滞在を
することにしました。
調べていくうちに龍谷大学は1639年、西本願寺学林として創設され、
明治の学制改革によって「大教校」と改められるに伴って本館などが
擬洋風のスタイルで建設されたこと(詳細は次の旅行記で)
「本願寺伝道院」という明治45年に本願寺系列の生命保険会社の社屋
として建設された煉瓦造の、周囲から異彩をはなつような建物も
あることを知り、今回の旅(本来の目的がいつの間にか変わって
しまって)の目的が一層わくわくするものになっていったのです。
(表紙写真はひと際周囲の景観から異彩を放っている伝道院)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
ホテルのある国道1号線を北上していくと
間もなく右手に見えてくるドーム。 -
総門をくぐって
-
西本願寺の門前町エリアに入っていくと
仏具店が多く建ち並んでいるようだが、
ちょっと目にもひと際目立っている建物が
本願寺伝道院。 -
明治45年(1912年)に伊東忠太の設計で
「真宗信徒生命保険株式会社」の社屋として建築。
施工は竹中工務店だったそう。
その後、銀行や診療所などを経て、現在は僧侶の
教育施設の場となっているそう。 -
後に西本願寺の門主となった「大谷光瑞」さんが
ロンドン留学時に、
仏教伝来の跡を調査するために「大谷探検隊」というチームを作り
シルクロードを通りガンダーラを目指したそう。(明治35年)
その時に中国で伊東忠太と出会い、この建物の設計を依頼することに
なったそうだ。 -
そんなきっかけからこの建築物が出来上がっていったが
たまたま伊東忠太さんが中国にいて、2人が出会ったわけで、
以下、伊東忠太さんの不思議な経歴を書きます。
1867年 米沢に生まれる
1878年 父が下総佐倉の連隊付きの軍医になり佐倉へ転居
1879年 旧制鹿山中学校(現在の千葉県立佐倉高等学校)入学
1881年 東京外国語学校独逸語科入学
1885年 同校廃止により,第一高等中学校編入
1892年 帝国大学工科大学(現在の東京大学工学部)卒業
同級生に山下啓次郎(山下洋輔氏のお祖父様、建築家)らがいた。
1902年 建築学研究の為3年間留学(中国,インド、トルコ)
1905年 欧米経由で帰国,東京帝国大学教授 -
留学先が欧米でなかったことに驚いた。
どうりで煉瓦による壁面はイギリス風だが
ドームはインドのイスラム様式を思わせられる。
左側に見えている六角形の塔の窓のデザインもイスラム風。 -
周囲には建物を守るかのように
霊獣?たちがずらりと座している。
伊藤忠太は無類の妖怪好きだったそうだ。
設計した兼松講堂(一橋大学)や震災祈念堂(東京都
慰霊堂)などにも様々な怪獣がいるようだ。 -
頭のつぶれたお獅子みたいなの
-
炎でも吐きそうなドラゴンっぽいの
-
反対側から
-
ペリカンってこんなだった?
ちょっと違うみたいだけど
そういえばノートルダム・ド・パリの塔にも
こんなキマイラがいたっけ。 -
マントをつけた象さん?
-
一体一体が
不思議で可愛らしい -
忠太さんの夢の中に現れたかのような珍獣たちに取り囲まれて
ここは世界から隔絶されたかのような
ワンダーランド。 -
怪しいやつのように
-
何度も周りをウロウロして
内部が見えるかと覗き込んでみるけれど。 -
上を見上げると
ドームはインド・サラセン風だそうだ。 -
-
共同通信社の2022年11月24日付けの記事を見つけました。
「京都の寺院といわれれば、木造建築や土壁、瓦屋根を想像するが、ここは特別だ。本願寺伝道院(京都市)は、明治後期に伊東忠太が設計したイスラム・イギリス・日本などの建築様式を取り入れた建造物で、国の重要文化財に指定されている。12月3日(2022年)に、ここで講演会と特別公開が実施される。
明治から大正にかけ、ルネッサンスやゴシック様式といった欧米の技術の模倣が主流だった時代に、東洋を感じさせる先駆的ともいえる建造物で、日本の近代建築を知るうえでも貴重な建物。イギリスの建物をイメージした総レンガ造り風のタイル張りの外観、インド・サラセン風のドームなど、さまざまな建築様式を取り入れている。
屋根は銅板ぶき、屋根骨組みは木造、屋根の装飾には一見石に見えるテラコッタを用いている。羽をもった象などユーモラスな架空の珍獣がまわりの石柵に配されているのも特徴的。内部は、和風意匠の天井にアール・ヌーボーを意識した照明器具が取り付けられている。」
講演は、建築家・藤森 照信氏による「伊東忠太の思想と建築」。この日は、通常は非公開の内部を特別に見ることができる。参加費は1,000円以上(文化財保護の寄付として)。 -
最後に伊東忠太氏のご紹介を書評より。
「築地本願寺、靖国神社神門・石鳥居、湯島聖堂、平安神宮、震災祈念堂、一橋大学兼松講堂、大倉集古館、祇園閣……これらを設計し、「建築」という言葉を提案した伊東忠太(1867-1954)。1902年3月から1905年6月まで、国費で世界旅行を単身敢行。日露戦争が勃発するも、敵国・ロシア船で地中海を渡り、時にスパイと疑われつつ、オスマン帝国スルタンから勲章を拝領する。
忠太と同じように世界を股にかけて旺盛な研究活動を展開する気鋭の美術史家が、初公開・新発見資料とともに、日本の近代化の一翼を担った建築家の知られざる旅の見聞録を繙く」
著者:ジラルデッリ青木美由紀
この「オスマン帝国をゆく」
読んでみたいなぁ、と思った。 -
当日の晩ご飯は夫にお任せしていたら
素敵なところを予約してくれていた。
お店の名前は
綾小路 「唐津」
http://www.karatu.jp/ -
入ってすぐのところに飾られていた
壁には桃の花、実は花瓶は大将の作
香炉の作者はおかみさん。
入った時にはそうとは知らずに通り過ぎて
後でそのことを伺って、撮影して来ました。 -
食べログからの店内の様子の写真です。
カウンター席の他には個室があるようです。
視線が自然に、奥に見える坪庭にいきます。 -
カウンター席の前に飾られているお雛様は
娘さんたちのものだそう。 -
わきには可愛らしい三人官女
-
包丁類もこうして飾られると
何やら気を放っているみたい。 -
最初に登場した
蛤のトロトロ汁 -
中には大粒の蛤の身が
-
甘鯛
棒状のものは皮を炙ったもので、パリパリと香ばしい食感 -
氷見 メジマグロ
(3歳以下の本マグロをそう呼ぶそう)
お醤油には京都深山産のねずみ大根と
香り高い新潟産ふきのとう入り -
お酒もいただきます。
-
お椀
松葉蟹のしんじょう
クワイもち -
おかみさんがテーブルの上を整えておられたと思ったら
こんな盛り合わせが登場。 -
一品一品が凝った作りで、それらがまとまって一皿に。
あん肝
淡路島の鯖
蓋ものの中の 松前漬け
車海老の湯引きとイカの塩辛
自家製カラスミ
ホタテの竜田揚げ -
うるいってどんな野菜でしたっけ?と夫が聞いたら
わざわざ出して下さった。 -
富山産そば粉で作ったお蕎麦
大将の手打ち蕎麦。
コロナ禍の折、時間に余裕ができたので蕎麦打ちを習い
陶芸をご夫婦でなさり
お蕎麦をもったお皿にその作品が使われていた。 -
今やその成果で、食器屋さん泣かせの腕前になられたようだ。
箸置きは大将のお師匠さんの作品だそう。
唯一、最初から最後までお膳に置かれている。 -
マナガツオの炒りごま焼き
-
酒かす仕立ての季節野菜
-
じっくりと炙られていた鰻と一緒にご飯が登場
-
煮えばなのご飯
(煮えばな、という表現を
海外からのお客さんに説明する際苦労されたそう。
日本人でさえ難しい言葉。)
お米からご飯に変わるその一瞬の間のご飯のことを言うそうです。
柔らかいけれど、お粥ほどではないくらい。
しばらく蒸らしたのち、柔らかくなったご飯もひとくち。 -
日本ミツバチの蜂蜜とレモンのアイスクリーム
-
大将の点てられたお抹茶とともに
おいしくいただきました。
当日はキャンセルもあったとかで
隣席には大津近辺からお見えのカップルがおられました。
私たち、大津が大好きなんですよとお話を始めたら
そんな風に言ってくださる方は滅多におられません、
と話しがはずみ
四人でおおいに盛り上がり、一層美味しい食事会
となりました。 -
カウンター前の大将。
炊き上がったご飯のお釜を前にされて。
奥には茶釜も見えている。
笑顔が素敵な爽やかなご様子の大将です。
奥にも調理場があるようで、料理の種類によって
行き来されています。 -
あの~ブログにお二人の写真をお載せしたいんですけれど、
と伺ったら
では、お雛様の前で,マスクも取ったほうが良いですね、と
笑顔で写真におさまって下さいました。
(掲載の許可をいただいています。)
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この旅行記へのコメント (5)
-
- 唐辛子婆さん 2023/03/19 00:02:55
- 講演は?
- mistralさん
藤森輝信氏による伊東忠太!
毛色がかなり違うやうに感じますがどんなお話でしたか?
伊東忠太の作品が東京駅にしろ一橋大学にしろ本願寺にしろ
不思議な面白い感覚を覚えますが
それは中国・インド・トルコの影響だったと聞いて納得したかも。
そして池澤夏樹!この人大好きです。
といっても作品で知ってるのはジェラルド・ダレルの虫とけものと家族たちシリーズの翻訳と、それのご縁でコルフ島に住んでいたこと。
私も唐辛子爺がリタイヤしたら真っ先にコルフ島にとんでいきたいと思っていたのに
世の中はどんどん変わっていって・・・。
池澤夏樹の「伊藤忠太オスマン帝国をゆく」読んでみたいです。
綾小路「唐津」のカップルのなんて素敵な時間の過ごし方!
コロナの時間がそば打ちの修練と陶芸の時間
鴛鴦も奥様のお手製かしら?
- mistralさん からの返信 2023/03/19 09:12:19
- RE: 講演は?
- 唐辛子さん
おはようございます。
コメント、ありがとうございます。
> 藤森輝信氏による伊東忠太!
> 毛色がかなり違うやうに感じますがどんなお話でしたか?
藤森さん、神出鬼没ですね。
彼の本業は建築史のようですから、この手の解説などには登場するようです。
だんだん、自邸などの設計に始まり、設計分野にも出没されるようになったみたいです(こちらだって専門家と言われそうです。)
藤森さんの講演会には、なかなか遭遇できずにいます。
あとで講演会の様子などを読むにつれ、ぜひ一度はと思えど、なかなか難しですね。
> 伊東忠太の作品が東京駅にしろ一橋大学にしろ本願寺にしろ
> 不思議な面白い感覚を覚えますが
> それは中国・インド・トルコの影響だったと聞いて納得したかも。
私も、何故の不思議建築!!とずっと思っていました。
そして登場する怪獣たち。
小さい頃から妖怪好きだったということも知り、いろいろなことに納得でした。
改めて、築地本願寺なども行ってみたいと思いました。
>
> そして池澤夏樹!この人大好きです。
> といっても作品で知ってるのはジェラルド・ダレルの虫とけものと家族たちシリーズの翻訳と、それのご縁でコルフ島に住んでいたこと。
> 私も唐辛子爺がリタイヤしたら真っ先にコルフ島にとんでいきたいと思っていたのに
> 世の中はどんどん変わっていって・・・。
実は私も池澤さんワールドが大好きです。
何の本でそう思ったかは???ですけれど。(パレオマニアでした!)
一冊読んだだけで、作者のワールドにはまることがありますね。
コルフ島?あれ?いつか行ったことがあるような気が。
ギリシャへツアーで行ったことがありましたが、エーゲ海クルーズまでは出来ず、
そのツアーもそんなツアーではなかったのですが、せめてコルフ島までは
行ってくれたようでした。
>
> 池澤夏樹の「伊藤忠太オスマン帝国をゆく」読んでみたいです。
ご紹介しました本、実は私も最初は池澤さんが作者と思っていて
中古本を探して読み始めました。
そのうちに気づいたのですが、作者は別の方ということがわかりました。
池澤さんも冒険好きなようですから、忠太さんの大冒険の旅に同行されたかった、
というお気持ちはわかるような気がしました。
明治の時代に生きた人々、現代人とは気概が違っていて、別の人種か?と
思えます。
>
> 綾小路「唐津」のカップルのなんて素敵な時間の過ごし方!
> コロナの時間がそば打ちの修練と陶芸の時間
> 鴛鴦も奥様のお手製かしら?
>
最近、訪れてよかったと思えるお料理やさん、
見た目、味だけではなく、それをつくっておられる料理人の方がたにも
目が行くようになってきています。
というよりそういう方々との出会いが多くなったのかもしれません。
料理人の方の生き方が、お料理にも、お店の佇まいにも表れてくるような気が。
そんな触れ合いを味わえるのは、やはりカウンター席のみのお店ですので
お店を選ぶ際にはそんなお店を探すことが多くなりました。
鴛鴦、おしどりと読みますか?
いろいろのお料理が盛り付けられたお皿にいたおしどりでしょうか?
あの器は購入されたもののようでした。
器が可愛らしいので、蓋も取らずに撮影しましたが、
これでは中身がわからないわ、と考え直して、蓋を外したものも撮影。
それでも旅行記に載せたものは蓋をしたものとなりました。
mistral
- 唐辛子婆さん からの返信 2023/03/19 20:58:05
- RE: RE: 講演は?
- mistralさん
こんばんは。
> 藤森さんの講演会には、なかなか遭遇できずにいます。
> あとで講演会の様子などを読むにつれ、ぜひ一度はと思えど、なかなか難しですね。
あ、では今回の講演は藤森さんではなかったんですね?
> 実は私も池澤さんワールドが大好きです。
> 何の本でそう思ったかは???ですけれど。(パレオマニアでした!)
面白そうですね!
> コルフ島?あれ?いつか行ったことがあるような気が。
> ギリシャへツアーで行ったことがありましたが、エーゲ海クルーズまでは出来ず、
> そのツアーもそんなツアーではなかったのですが、せめてコルフ島までは
> 行ってくれたようでした。
探してみましたが、それらしいのはマルタ島シリーズかしら?
もしそうじゃなかったとしてもmistralさんの旅行記はどれも興味深くて
つかまってしまいます^^。
> 明治の時代に生きた人々、現代人とは気概が違っていて、別の人種か?と
> 思えます。
そうですね。
> 料理人の方の生き方が、お料理にも、お店の佇まいにも表れてくるような気が。
> そんな触れ合いを味わえるのは、やはりカウンター席のみのお店
それはいいアドバイスですね!
> 鴛鴦、おしどりと読みますか?
はい、そうです。
といってもこの難しい漢字をあらかじめ知ってたわけではなく
おしどりと入力したら勝手に変換してくれました。
4月に入るとまたボランティアが忙しくなるのでなかなか旅に出られないかもと思います。
mistralさんの旅行記を楽しませていただきます。
唐辛子婆
-
- willyさん 2023/03/10 12:28:41
- 唐津に反応
- mistralさん
こんにちは。一瞬「唐津」に反応しました。さては器が?と思いきやそうでなかったんですね。
素敵なお店を予約してくださるご主人さまのセンスとご配慮、お二人のほのぼの感じる絆などをうらやましく思いました(我が家にないものでございます^^;)
そして、建築は素人ですが、イスラム建築は以前より心惹かれるものがあって中東にも見にいきました。伊藤忠太さんも本願寺伝道院も、知らない世界をご紹介いただいてありがとうございます。本はわたしも読みたい!と思い、さっそく探しました。
ウズベキスタンで知り合った学生が、ドームはイスラムの発明で、イスラムは建築も医学も天文も世界の先駆けであると胸を張っていたのを懐かしく思い出しました。
willy
- mistralさん からの返信 2023/03/11 07:36:42
- RE: 唐津に反応
- willyさん
おはようございます。
> こんにちは。一瞬「唐津」に反応しました。さては器が?と思いきやそうでなかったんですね。
唐津というネーミングには、私も最初?でした。
後で伺ったら苗字だそうです。
> 素敵なお店を予約してくださるご主人さまのセンスとご配慮、お二人のほのぼの感じる絆などをうらやましく思いました(我が家にないものでございます^^;)
裏事情を書きますと、いつも私が色々な情報を探すばかりだから、たまには担当してね、
と押し付けたんです。
他のお店に比べると(目の飛び出るほどのお店がおおいなか) リーズナブルに思いました。
大将、おかみさんのお人柄も、とっても好感が持てました。
> そして、建築は素人ですが、イスラム建築は以前より心惹かれるものがあって中東にも見にいきました。伊藤忠太さんも本願寺伝道院も、知らない世界をご紹介いただいてありがとうございます。本はわたしも読みたい!と思い、さっそく探しました。
明治期に活躍した人達、それぞれのストーリーを辿ってみると驚くばかりです。
池澤さんが一緒に旅をしたかった、と書かれていたので、興味をひかれ購入しました。
> ウズベキスタンで知り合った学生が、ドームはイスラムの発明で、イスラムは建築も医学も天文も世界の先駆けであると胸を張っていたのを懐かしく思い出しました。
ウズベキスタンにいらっしゃったんですよね。
青のドームなど、惹かれていますがまだ未訪問です。
確かに世界で先駆けであるという自負、がありそうですね。
いろんなことが片付いたら、そろそろ海外にもいきたいなぁ。
mistral
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