2022/11/07 - 2022/11/09
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ソウルの旅人さん
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旧暦十月は神無月。出雲だけは神在月。全国の神様が出雲に集結するので、私も同行して新暦十一月の七・八・九日に車にて二泊三日の出雲旅行に出かけた。神の国島根は何処へ行っても神社ばかりだった。そしてその神社が何れも一様ではなく各々が特徴ある多様な神社であり、大変面白かった。弥生時代に遡る神社まで見てきたので少し珍しい場面が登場するかも・・・。
タイトル写真は立石神社
旅行概容:
1.総走行距離 908.7㎞
2.平均速度 45.0㎞
3.燃費 24.7㎞
第2日の行程
松江市ー宍道湖ー立石神社ー鰐淵寺ー韓竈神社ー日御碕神社ー日御碕(灯台)ー出雲大社ー平田(メイプルホテル)
その3は松江市から韓竈神社まで
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
11月8日(火曜日)午前7時30分
JR松江駅前
今日は松江市中心街から宍道湖北岸の国道431号線を走って西方向に向かう。 -
国道431号線はほぼ宍道湖の湖岸を走る。
本日も晴天なり。絶好の日和。 -
現在の島根半島は2000年前は島だった。宍道湖はその島と本土とを別つ東西に長い海峡(水道)だった。東西の左右が砂州で埋め尽くされて、海と隔てられ湖になった。
-
対岸は明日行く予定の本土側。
多くの渡り鳥が湖面に安らいでいる。長閑な日和だった。 -
道路に沿って地方鉄道の一畑電車がはしっている。
地方に残る私鉄電車は希少価値があるか。 -
一畑薬師の看板・表示板が多く現れる。
全国に名が知られた眼病の薬師様。 -
一畑薬師がある方向に右折する。
今回は時間がないのでお詣りはパス。 -
右折した道路は島根県道23号線。
今回旅行のメイン道路である。ここから北岸の日本海に抜け、その後はだいたい日本海の海岸線を通って出雲大社まで通じている。その景観は雄大である。ユーチューブにて車載カメラ映像を何度も視聴し、この日本海ルートを楽しみにしていた。だが、そう期待どうりに事は運ばない。アクシデントが発生し、残念な結果に終わった。 -
宍道湖畔から日本海まで20分程度で達した。
片道一車線の田舎道だが、殆ど車が走っておらず、信号もない。
快走。 -
穏やかな日本海。
冬の日本海は怒濤の海だが、それ以外の季節は静かな海である。 -
最初の目的地である立石神社(「たていし」ではなく「たていわ」と読む)
は少し山側にあるので、島根半島の山間部にはいる。 -
『鹿飛び出し注意』のノボリが道路脇に立っている。
立派な道路に似つかわしくない皮肉な地方道路の風景。 -
この神社は地道の奥にある。道路は入り組んで何本もあるが標識がない。その地道が分からず、この周辺を走り回り、地元の人に道を尋ねてやっと立石神社に着いた。
9時前だった。 -
道路脇の小径を下降する。
神社は高所にあり、上っていくのが通常である。谷間あるいは谷底にある神社は今まで見た記憶がない。下って行くのは不思議な感覚だった。 -
無人。誰一人逢うことは無い。
整備された道であるが、神社参道の様相ではない。 -
竹林。
古木に囲まれた神社が通常である。竹林が神社の杜とは甚だ異相に見える。
竹林の下には川が流れている。 -
徒歩10分。
疎林の向こうに[何か]が見えて来た。 -
立石神社(たていわじんじゃ)
ここが神社正面。
風がない。音がない。無人。完全なる静寂。
時間と空間が凍り付き、二〇〇〇年前の世界が実在していた。 -
竹と荒縄で作られた鳥居らしき造作物を潜って神域に入る。
木々が邪魔をして、まだ対象を正確に捉えられない。 -
直近まで近付く。
巨巌が左右にあり、真中に五本の幣帛が立てられている。それだけである。
これが弥生人が祀った神の世界。
小枝一本動かない総てが止まった静謐の空間だった。 -
立石神社は三つの大岩を御神体にしていると説明されている。巨巌は二つ見えるだけである。左右の巨巌の真ん中に小振りな岩がある。是を含めているのか。
大國主命の孫である多伎都比古命を祀っており、雨乞いの神様になっている。 -
左側面からの立石神社
現在に残る磐座。
日本の神は常在ではない。天空か海原の彼方より寄り来たり、また去って行く神である。その目印となる依代が大岩か大樹であった。大岩だけの立石神社はそれ故、神社そもそもの始原の姿である。
神在月の今日はこの眼前の磐座に来臨しているに違い無い。 -
左側の大岩。おおよそ高さ15メートルか。
最古の神社とされる大神神社は三輪山を御神体にしている。実際に三輪山頂上に登ってみれば、そこには注連縄に囲まれて中小の岩石が散乱している。
石の大きさは異なるが、立石神社と同様の姿である。 -
磐座の地肌接写
苔・蔓系植物などが自由に生育している。出来るだけ人為を加えず、清掃などを控えているのだろう。 -
磐座よりみた鳥居とその正面。
二〇〇〇年前に弥生時代の人々が磐座として祀っていたであろう姿がそのまま今日に残っていた。一切のものが動かない静謐な世界の中、二〇〇〇年前に還って、神と直接対話を交した。 -
立石神社から再度北上して日本海沿岸にでる。
県道23号線を海岸沿いに一六島湾(ウップルイ湾と読む)までのドライブが楽しみだった。 -
唯浦漁港
ここから海岸沿いを進んだ。しかし、暫くすると通行禁止の表示が現れた。地元の人に尋ねると「この先塩津と釜浦の間は土砂崩れで通行出来ない。海岸沿いに一六島湾には行けない。抜け道もない。」と教えられた。
なんと残念。ユーチューブにて県道23号線のドライブカメラ映像を見て、是非釜浦辺りの日本海を見たかった。道が塞がっていてはどうしようもない。残念至極である。内陸部に引き返し、山中を迂回して一六島湾に向かった。 -
内陸部を通って一六島湾(ウップルイ湾)に到着。
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県道23号線はこの電気風車が林立している海岸沿いを走って、写真に写っている中央の道である。岬の先端のある経島も見たかった。返す返すも残念である。
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遠望するだけに終わった。
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気を取り直して次の目標である鰐淵寺に向かう県道250号線に入る。
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鰐淵寺駐車場
弁慶の修業の地の碑あり。
弁慶は出雲の出身だったのだ。知らなかった。 -
駐車場から鰐淵寺まで約800メートルは歩く必要あり。
同行者は膝が悪いのでこの歩行距離は堪えた。 -
渓流が流れる風情のある道。
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紅葉の名所になっている。
最盛期に近いが、紅葉を見る為だけに訪れる程ではないか。 -
鰐淵寺
この旅行で唯一のお寺訪問である。
ここは出雲大社の神護寺だった。平安時代以降の歴史書に度々登場する出雲地方には珍しい有名寺院である。 -
入山料500円。
神社は通常入場料は無料である。
お寺はこんな山奥でも入場料を取る。 -
何処も同じであるが、ここでも長い石段があり苦労する。
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本堂
残念ながら仏像は公開されていなかった。 -
江戸時代の神仏習合時代はここの僧侶が出雲大社を差配していたそうである。
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遠方の山岳宗教の修業場。
こんな遠方の山奥にも文化あり。 -
鰐淵寺の駐車場より山中を通って唐川にやってきた。
朝日グラフに紹介されて一躍有名になった山峡に開けたユートピア。
山奥の狭い盆地に橙色の瓦屋根を連ねた桃源郷と紹介されていたが、眺望は効かず山の上から盆地を見下ろすことはできなかった。
産業はお茶の栽培である。唐川茶は名品。 -
道端に咲いていたお茶の花。
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村全体を見下ろせる場所がない。
この世の楽園的景観を撮りたかったが、平凡な日常風景になっている。
どこにも場所を知らせる標識がない。山間部の観光客がこない場所なので必要ないであろうが、道路標識がないので何処を走っているのか皆目分からない。 -
目的地は韓竈神社だが、どの道を行くべきか分からない。
畑仕事をしていたお婆さんに尋ねた。
「韓竈神社はこの前の道を真っ直ぐ行くと、2軒の家があって、そこに駐車場がある。神戸からきんさったのか?遠いところをようこそ。あそこは険しいから拝むだけならここに遥拝所があるに」と教えてくださった。
韓竈神社本体に行きたいと答えお礼を言った。方言が私の両親の出身地(但馬)に似ており嬉しかった。 -
教えられた通り進むと、2軒の家があり駐車場もあった。
ここから徒歩だと膝の悪い同行者には無理である。事前調査していたので、そのまま細い山道を神社入口まで車にて進入した。
その車が到着した場所。 -
素戔嗚尊(スサノオノミコト)が乗ってきた岩船の説明板。
ここの祭神は素戔嗚尊。 -
韓竈神社鳥居
島根半島の山奥の秘境にある神秘の神社である。
一度は訪問したいと願っていた場所である。ようやく念願が叶った。 -
韓竈神社の扁額
名前から由緒が辿れる。
この辺りは銅を初めとてして鉱物が多い。竈とは溶鉱炉のことだろう。韓半島から渡ってきた採鉱氏族が祀った神社と推定出来る。 -
説明板
素戔嗚尊を祀る神社は関西以西には圧倒的に多い。私の住居は甲子園球場のすぐ横なのだが、球場ライトスタンド側に素戔嗚神社がある。阪神応援のお詣りが絶えない。出雲の山奥の祭神と甲子園球場横の祭神が同じで、唐川の住人と阪神ファンが同じ神様に祈っているとは驚くべき事かも知れない。 -
石段の最初の上り口
多くの資料を事前調査した。すべてがこの石段がいかに厳しい登りであるかを強調していた。 -
きつい登りだった。
那智の大門坂を一番下から登ったし、羽黒山の2400段の石段も上りきった。
それに比べれば少しは楽か!
但し、立石神社のような神秘感はなかった。 -
石段は不揃いの自然石で、凹凸が激しく、隙間が多い。
突然その隙間から現れた蛙。蛙のほうが驚いていた。 -
同行者は膝が悪いので非常に厳しかった。
この石段だけは登り、韓竈神社に詣りたかったので、事前にウォーキングポールを購入し、六甲山にて練習を重ねた。おかげで何とか登りきることが出来た。 -
石段の石が不揃いな自然石なので足元が固定せずぐらつく。
一歩一歩踏み締めて、確実に地歩を固めて登る。 -
最後の登りには金属製のしっかりした手摺りがあった。これは大きな助けになった。
あと少しと息継をしながら頑張る。 -
最後の急坂。
神社が近いことが何となく分かった。 -
登りきったその先にあった大岩。
この岩石の向こうに韓竈神社がある。この隙間を潜ぐっていく。
十分に承知していたことであるが、思ったより狭い。
この岩全貌を写す場所は確保出来なかった。隙間だけの写真になる。 -
まず同行者(身長156㎝・体重49㎏)がその隙間に入っていく。
隙間の寸法が分かってもらえると思う。 -
同行者は特に苦労せずに擦り抜けた。
-
私も窮屈であったが、無難に通り越すことが出来た。
余程の肥満でなければ大丈夫か。
隙間全体像を写す足場がない。この岩の大きさは奥の人物と比べてほしい。 -
通り抜けた後、大岩とその隙間を内側から見る。
入口側よりは広く見える。 -
この隙間が韓竈神社の入口とされている。
神社に入るための最後の障害物とされ、狭き入口の役割を担っているように見えるが、何か違和感があった。 -
岩隙を抜けてそこにあったのは狭い崖にへばり付く小さな祠だった。
この前面は崖となり、深い谷になって落ち込んでいる。 -
祠の中
左手にあるのは来訪者が記念に記入する記帳書。 -
こういう記帳をする趣味はない。
しかし韓竈神社だけは書いてみたくなった。
一番下が私のサイン。 -
祠側から見た入口大岩の大きく口を開けている上部。
この変哲も無い祠が神社だろうか?そうではあるまい。最近作った人的なこしらえ物に過ぎない。内側に入ってわかったのだが、ここは神の場ではない。
そうなのだ。立石神社と同じく、ここも本来は入口とされる大岩が信仰対象だったに違い無い。この大岩を神の依代として祀っていたに違い無い。 -
小祠の屋根と岩石
大岩の隙間が神の国への狭き門として絶妙の形だったのかも知れない。
依代である岩が入口に変身してしまった。 -
大岩上部に開いている大穴。
この岩石が信仰対象だったことはこの穴を見て確信した。
入口とされる大岩が神の依代だった。 -
帰りの石段
下りる時もこの石段には苦労した。
念願が叶って嬉しかったが、それよりも単なる入口とされる大岩が本来の神の依代として信仰対象であったはずと現地にきて判断出来たのが驚きだった。 -
車を駐めた場所まで戻ってきた。
素戔嗚尊が乗ってきた岩船の上に21世紀の岩船である車がのっている。
神話と現実が渾然一体となる出雲の世界である。 -
帰り道
丁度、韓竈神社の鳥居前に若い男女4人がやって来た。これから登っていく様子であるが、何の屈託もないようだ。「パワースッポトらしい感じはするな・・・。」と言って石段を上っていった。 -
韓竈神社から再度県道23号線に戻り、猪目洞窟から鷺浦の日本海沿いを走り日御碕を目指す計画だった。ここもおおいなる期待を持っていた23号線沿いである。
しかし、またしても河下町にて通行禁止の表示があり、車が進入出来なくなっている。近くに問い合わせる人はいない。少し無理して進入するも完全に通行止めだった。
なんという不運。遥かに島根半島最西端を望んで、涙を呑んで引き返した。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- ひらしまさん 2023/06/06 20:50:56
- 鳥居も社もいらないんですね
- すっかりご無沙汰をしてしまいました。去年の旅行記を今頃拝見しています。
神社のことはまったく知らないわたしですが、立石神社の写真には見とれてしまいました。
鳥居も社もいらないんですね。
沖縄のウタキを思い起こしました(見たことはないのですが)。
いつか行ってみたいと思いました。
そして、膝のお悪い奥様が事前トレーニングを重ねて臨まれた韓竈神社の石段は見るからに難度が高そうです。
そこで所期の目的を達成された奥様のお気持ちの強さに感銘を受けました。
いつもソウルの旅人さんの旅に奥様がつきあってらっしゃるのかと想像していましたが、実はお二人共通の興味関心だったのですね。
なによりです。
引き続き楽しませていただきます。 ひらしま
- ソウルの旅人さん からの返信 2023/06/07 19:59:09
- Re: ご無沙汰です
- お久し振りです。
ひらしま様は去年6月はオランダ・ベルギーに、今年3月はマレーシアへと実に活発に海外に行かれており、素晴らしい写真を沢山拝見し、喜んでおります。
オランダは”世界一自由な国”にようですネ。成熟した國の雰囲気があります。クイケンのコンサートで「ブランデンブルグ」「音楽の贈りもの」を聴いておられる場面は羨ましい限りでした。国内ではカラヤン・セルも聴きましたが、ヨーロッパの音楽堂にて実際に聴きたいのです。マレーシアも印象的写真は多いですが、その中でも『インド人の舟乗り』『インド人の女』は絶品です。これほどの作品が屋外に晒されているのは残念です。『インド人の女』は特に凄いですが、オランダにフェルメールを見に行かれたように、これを見る為だけにマレーシアに行きたくなりました。(フェルメールのレベルです。)奥様が親しくなられたネパール人3人姉妹のエピソードも心懸りです。入管法の改悪法案が審議されていますが、実際に世界中を見て廻って現在の日本の実情がどれほどズレているかを知って欲しいです。
家内はこの2月に手術を行ない、幸いにも順調に回復し、元気に歩き回っております。気持ちの強さに感銘の箇所は本人が「ウッソー」といっておりました。
国内旅行は卒業してこの秋は海外ですが、海外とはいっても私の場合は勿論【韓国】です。韓国特化は変更なしです。短期間ではなく、一週間程度の長期を予定し、しっかりと韓国を見て廻りたいと考えています。
今後ともひらしま様の旅行記を楽しみに待っております。
ソウルの旅人
-
- 熟年ドラゴンさん 2022/12/14 06:23:06
- 奥様の句がなく残念!
- 代わりに私が詠んでみました、季語がない!川柳かも?
石段を夫(つま)と登りて唐川茶
石段に姿見ずとも蛙あり
素戔嗚は岩船に乗り韓甕に
虎ファンは出雲へ来ても勝ち祈願
閑かさや前行く夫の息遣い
記帳書の横にちゃっかりお札箱
胎内を潜れどそこも娑婆世界
唐川の我が依代は妻ならむ
- ソウルの旅人さん からの返信 2022/12/15 10:14:08
- Re: 俳句を詠むことが出来ない!!
- お久し振りです。
早速フィリピン旅行に行ってこれましたネ。韓国旅行は来年を予定しています。その代わりに出雲旅行に行って来ました。同行者は吟行としての『旅』ですから句帳片手に張り切っていたのですが、立石神社・韓竈神社とも圧倒されて俳句を詠むことが全く出来ませんでした。俳句入の旅行記にしたかったのですが今回はパスです。
これ程この両神社は強烈な印象を与えて言葉を失います。俳句にて表現することは不可能でしょう。日本国内にもまだまだ新しい発見があると思いました。
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