2022年5月春の週末一泊一人旅～福島県二本松・福島①：霞ヶ城公園・二本松神社～

2022/05/28 - 2022/05/28

2022年5月最後の週末に、福島県二本松市・福島市へ一泊二日の一人旅に行ってきました。

3月後半から5月前半にかけて、仕事の都合で旅行に出かけられない状態でしたが、ようやく一区切りつきましたので、大好きな温泉旅を再開しました。

旅の1日目は二本松市の霞ヶ城公園を訪問し、その日は福島市近郊の土湯温泉の旅館に宿泊しました。

2日目は同じ福島市内にある『奥州三名湯』の一つ、飯坂温泉で歴史のある温泉街の風情を楽しみ立ち寄り湯をしました。

本編は前編の二本松市の旅行記です。

エリア 二本松(福島)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• グルメ: 3.5
• 交通: 3.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: タクシー 新幹線 JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

旅の1日目の5月28日（土）は、東京駅8時28分発の郡山行き東北新幹線『なすの253号』に乗車しました。

全国でまん延防止措置も解除され、新幹線車内の乗客の数も以前よりかなり増えていました。

9時59分に郡山駅に到着し、在来線に乗り換えて10時41分発の福島行き普通電車に乗りました。

東北地方の交流電化線ではお馴染みのロングシートの701系電車で、外観や車内のチープな様子から鉄ヲタや青春18キッパーの間では『走るプレハブ』や『走ルンです電車』等と揶揄されています。

郡山駅 駅

約22分程乗車して、今回の旅の最初の目的地の玄関駅、二本松駅に到着しました。

二本松駅は郡山駅と福島駅の間のほぼ中間の距離に位置しています。

二本松駅 駅

駅舎を出ると、駅前に『二本松少年隊士』の銅像があります。

二本松駅 駅

二本松駅前からタクシーに乗車して、霞ヶ城公園の入口の『箕輪門』の前に到着しました。

タクシー運賃は片道760円でした。

『霞ヶ城』とは二本松城の別名ですが、江戸時代は丹羽氏10万石の居城でした。

現在は国の史跡に指定され、日本100名城の1つに数えられています。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

箕輪門の前に設置されている『少年隊群像』です。

彫刻家の橋本堅太郎氏の作品ですが、銅像としては大作といえるものです。

徳川慶喜の大政奉還後に勃発した鳥羽伏見の戦いから始まる明治維新期の戊辰戦争では、いくつかの激戦がありました。

ここ二本松でも激戦が行われ、旧幕府側の奥羽越列藩同盟に加わる二本松藩の主力軍が他藩の援軍でいない隙を狙って、1868（慶応4）9月15日に薩長・土佐率いる新政府軍が二本松城を攻撃しました。

老人や女性・子供しかいない二本松藩は、急遽12歳以上17歳までの武士の少年を召集して前線に送りました。

結果は半日で落城しましたが、二本松藩や援軍の会津藩などの旧幕府側は前哨戦を含めて約420名の死者を出しました。

この中には少年隊士14名も含まれています。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

旅の1日目の前半は、箕輪門から二本松城の本丸跡を目指しました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

戊辰戦争後の1872（明治5）年に発令された廃城令で、二本松城の建物は全て取り壊されました。

その後110年の刻を経て、1982年に城の正門にあたる箕輪門と付櫓を復元されました。

箕輪門前の石段を上ると、付櫓の威容に圧倒されます。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

箕輪門の名前は、築城時に門の部材の樫の樹を領内の箕輪村から切り出したことが由来だそうです。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

門をくぐって、城内側から撮影しました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

さらに石垣の間を通り抜けると…

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

三の丸跡の広場に出ます。

二本松は毎年秋10月頃に開催される菊人形展が有名ですが、ここ三の丸跡が会場です。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

三の丸跡を横断して、畔に藤棚のある『霞が池』にやって来ました。

この辺りは『本町谷（ほんちょうだに）御庭』と呼ばれ、初代藩主で織田信長の重臣の丹羽長秀の孫にあたる丹羽光重をはじめ、歴代の二本松藩主が整備した回遊式の日本庭園です。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

霞が池に流れ込む『七つ滝』です。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

藤棚から見て霞が池の対岸の高台に建つ『洗心亭』に行ってみることにしました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

洗心亭は江戸前期の17世紀中頃に建てられたと推定される茶室で、福島県の重要文化財に指定されています。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

洗心亭の庇から見た風景です。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

七つ滝の上流にある『るり池』です。

見頃を少し過ぎたあやめが咲いていました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

るり池の奥には『傘松』があります。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

本町谷御庭の最奥にある『洗心滝』です。

造園で造られた人工の滝ですが、自然の滝と遜色ありません。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

箕輪門から本丸跡に行くルートはいくつかありますが、行きは見晴台から搦手門跡を経由することにしました。

見晴台には休憩所のあずまやがあります。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

見晴台付近から見た安達太良山です。

旅の1日目は晴れていて、福島県の名峰の一つ安達太良山を眺めることが出来てよかったです。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

見晴台から搦手門跡に向かう途中に『二合田（にごうた）用水』の城内への取水口があります。

二合田用水は初代藩主丹羽光重が城内と城下の生活用水確保のため造らせた、安達太良山を水源にした水路です。

先程見た本町谷御庭は、この用水がなければ造ることが出来ませんでした。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

二本松城の裏門にあたる搦手門跡から本丸跡に向かいました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

本丸跡の石垣が見えました。

この石垣は1993年から1995年にかけて、補修・整備されたものです。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

『枡形虎口』前の石段を上ります。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

枡形虎口は舗装されていて歩きやすいです。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

枡形虎口付近から二本松の市街地を撮影しました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

西櫓台付近から改めて、安達太良山方面を撮影しました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

本丸跡は石垣こそ整備されていますが、廃城当時のままの空き地です。

かつてここに天守閣と御殿、東西2棟の櫓がありました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

本丸跡の天守台の側に戊辰戦争の二本松落城の際、責任を取ってここで切腹した城代と勘定奉行二人の石碑があります。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

本丸跡から下りていく時は、搦手門跡とは反対の一般的なルートを通りました。

坂の途中から振り返って見た、本丸跡の石垣が絵になります。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

本丸跡のすぐ下に江戸時代以前、安土桃山期の二本松城主だった蒲生氏郷によって造られた石垣があります。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

散策路の途中にあった『日影の井戸』です。

千葉県の『月影の井戸』、神奈川県の『星影の井戸』と共に、『日本の三井』と呼ばれているそうです（はじめて聞きました）

地表から底まで16mありますが、二合田用水が出来る前は城の生命線といえる大事な水源でした。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

日影の井戸から少し坂を下ったところにある『二本松藩士自刃の碑』

この場所でも3名が切腹したらしく、落城時の悲惨さを今に伝えています。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

『新城館』跡付近にある『二本松少年隊顕彰碑』です。

会津藩の白虎隊と違い戦いの当日緊急で編成された部隊のため、当時正式な名前が付いていなかったそうです。

まだ大人になりきっていない年齢で戦場に出なければならない、当時の少年隊士達の悲壮な想いを思い遣りました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

石碑に向かって左側にあるレリーフです。

箕輪門の前に立つ銅像は、このレリーフがモチーフの様です。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

二本松少年隊顕彰碑から少し離れたところにある『智恵子抄の詩碑』です。

詩人で彫刻家の高村光太郎の妻、智恵子はここ二本松出身で、市内に彼女の生家の造り酒屋が現在も残っています。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

碑面には『あれが阿多多羅山、あのひかるのが阿武隈川』と刻まれています。

光太郎が結核で智恵子を亡くした後に詠んだ『樹下の二人』の冒頭部分だそうです。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

最後に歴代の二本松藩主を祀る『丹羽霊祠殿（通称：丹羽神社）』を訪れました。

社殿の幕に染め抜かれた至ってシンプルな図柄は、藩主丹羽氏の家紋『丹羽筋交（すじかい）』ですが、ここで丹羽長秀の家紋を初めて知りました。

福島県立霞ヶ城公園(国指定史跡二本松城跡) 公園・植物園

霞ヶ城公園を一通り散策してから、霞ヶ城公園近くにある『戒石茶屋』さんで昼食を頂くことにしました。

戒石茶屋 グルメ・レストラン

板そばと福島名物ソースカツ丼セット税込1,100円を注文しました。

最初にソースカツ丼ハーフサイズと漬物・冷奴・そばつゆ・薬味が載ったお膳が出てきました。

なお、ソースカツ丼のカツはメンチカツです。

戒石茶屋 グルメ・レストラン

後から出された板そばです。

ソースカツ丼と出汁味のそばの組み合わせって、合うのかなと思っていましたが、意外といけます。

戒石茶屋 グルメ・レストラン

戒石茶屋さんで昼食を頂いてから外に出ようとすると、出入口で猫ちゃんがお見送り。

この界隈で飼われていると思われる猫ちゃん2匹、店先で仲良く日向ぼっこしていました。

霞ヶ城公園に行く時はタクシーを使いましたが、駅には歩いて戻りました。

戒石茶屋さんを出てすぐ、道路を挟んで二本松北小学校の向かいに『にほんまつ城報館』があります。

最近建てられたらしく新しい建物で、二本松市の歴史や観光スポットを知ることが出来るそうです。

にほんまつ城報館 美術館・博物館

城の大手道にあたる『久保丁坂』を下っていくと、左手に特徴的な形が印象的な屋根の洋館があります。

以前は旧二本松町長をつとめたこともある地元の名士の邸宅で、現在は『Cafe8月』さんとして営業されています。

食後のコーヒーを頂きに、来店することにしました。

8月カフェ グルメ・レストラン

お店はレトロな洋式建築と伝統的な和式建築で構成されています。

お店の入口は和式建築の建屋の玄関で、入ると受付があります。

Cafe8月さんは入店時に入口の受付でオーダーを取って、そこでお支払いをする方式を採られています。

8月カフェ グルメ・レストラン

案内されたのは洋館の1階です。

部屋の隅の席に座りました。

8月カフェ グルメ・レストラン

洋館の室内はかつての邸宅として使われていた頃のままです。

8月カフェ グルメ・レストラン

天井と壁の間のデザインもクラシックな洋館の趣きがあります。

古さが醸し出す落ち着いた佇まいのカフェであることからNHKの取材・ロケが行われ、NHK Eテレの番組『ふるカフェ系 ハルさんの休日』で紹介されました。

8月カフェ グルメ・レストラン

ブレンドコーヒー税込528円を頂きました。

入口で美味しそうなスコーンが売られていましたが、昼食後すぐでしたので今回は遠慮しました。

8月カフェ グルメ・レストラン

コーヒーを頂いた後で、和式建築の建屋の中の座敷も見学させていただきました。

こちらの部屋も喫茶室として利用することが可能です。

8月カフェ グルメ・レストラン

久保丁坂を下って県道129号線に出てきました。

この通りは二本松市の古くからの目抜き通りです。

通りに面して老舗の和菓子店『玉嶋屋』さんがあります。

玉嶋屋 グルメ・レストラン

二本松の観光の最後に、駅に程近い場所にある二本松神社を訪れました。

二本松の総鎮守にあたる神社です。

境内まで石段が続きます。

境内に到着しました。

社殿に向かって右手に手水舎があります。

手水鉢の底には青いガラス玉が敷き詰められて、涼しさを演出していました。

参道を通り拝殿前の門を潜ります。

境内の奥に拝殿があります。

二本松神社の本殿は拝殿の奥に左右2棟あり、右手にイザナミノミコトとハヤタマオノミコトとコトサカオノミコトを祀る熊野宮、左手にホムダワケノミコトとオキナガタラシヒメノミコトを祀る八幡宮があります。

二本松神社を後にして駅に戻り、15時3分発の福島行き普通電車に乗車して、今回の旅の宿泊先に向かいました。

今度の電車はE721系、ボックス型クロスシートの鈍行鉄道旅が似合う車両ですね。

JR東日本はロングシートの普通電車が好きらしく、この手の車両が首都圏以外でも減ってきているように思います。

この続きは『2022年5月春の週末一泊一人旅～福島県二本松・福島②：土湯温泉～』となります。
https://4travel.jp/travelogue/11759899

二本松駅 駅