2021/09/28 - 2021/09/28
37位(同エリア529件中)
かっちんさん
標高1,900m~2,000mに広がる「栂池自然園(つがいけしぜんえん)」は日本有数の高層湿原です。
園内は一周約5.5kmの遊歩道と木道が整備され、4つの湿原があります。
最も奥に位置する展望湿原からは日本三大雪渓の「白馬大雪渓」が間近で望めます。
訪れた9月下旬は、周囲の木々や湿原が赤・黄に染まり、秋の植物を楽しむことができます。
出会った植物は、ゴマナ、ノコンギク、ミヤマトリカブト、ノダケ、栂、ヤマハハコ、サルオガセ、タテヤマアザミ、クロマメノキ、チングルマ。
秋の実は、コバイケイソウ、イワショウブ、クロツリバナ、ハリブキ、マイヅルソウ、チングルマ、ゴゼンタチバナ、ユキザサ、タケシマラン。
紅葉は、オオカメノキ、ダケカンバ、、ミネカエデ、ナナカマド。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・つがいけロープウェイのHP
・栂池ヒュッテのHPとパンフレット
・白馬観光開発「栂池自然園ルートガイド」
・sanyasou.com 四季の山野草「ミヤマトリカブト 栂池自然園」
・庭木図鑑植木ペディア「ノダケ」
・散歩道「シロバナノダケ」
・花図鑑「胡麻菜(ゴマナ)」
・ootk.net 四季の山野草「ヤマハハコ」「タケシマラン」
・三河の植物観察「ヤマハハコ」
・TEPCO「尾瀬の動植物 湿原」:イワショウブ
・Tam's素人植物図鑑「クロツリバナ」「ゴゼンタチバナ」
・かぎけんWEB、花図鑑「タテヤマアザミ」「チングルマ」
・暮らしの植物図鑑「マイヅルソウの実と花」
・YAMAKEI、高橋修著「チングルマは実は木だった! 最もポピュラーな高山植物のチングルマの意外と知られていない生態」
・さあこの山歩「ツアー栂池自然園」:赤い実
・私の山と花日記「夏と秋の花を求めて 栂池自然園・八方尾根など」、2013年9月
・安曇野北安曇野からの花とペンションのお便り(トミさん)「自然園の花 ユキザサの実」、2011年9月
・自然観察日記、植物花など「栂池自然園にて:オオバタケシマラン、ヤマトユキザサ、ヒロハユキザサ、キヌガサソウ等」、2020年8月10日
・高山植物図鑑、登山道の花「ミドリユキザサ」
・越中富山いろいろ紹介「初秋の栂池自然園(5)」:赤い実、ハリブキ
・アンテナ白馬「【2021年 栂池自然園】今年は紅葉の当たり年?10月3日のトレッキングレポート」:草紅葉クロマメノキ
・栂池高原スタッフブログ「秋色になってきました、2017-9-22」「栂の森に咲く花、2016-6-21」
・ウィキペディア「ハリブキ」「クロマメノキ」「楠川」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「栂池自然園」の位置
JR大糸線西側の北アルプスに「栂池自然園」があります。
アクセスは南小谷駅から小谷村営バス、栂池高原(栂の湯)からゴンドラとロープウェイで上がります。 -
小谷村「稲わら干し」(千国付近)
今日は雨飾高原から南小谷経由の村営バスで栂池高原へ向かっています。 -
小谷村の「里山風景」(千国付近)
栂池高原のスキー場とゴンドラが見えます。
スキー場の隣は今も残る里山です。 -
「栂池高原」の案内図
栂池高原駅から栂の森駅まではゴンドラリフト。
栂大門駅から栂池自然駅まではロープウェイ。
標高831mの栂池高原駅から、標高1900mの「栂池自然園」まで、標高差1,069mを一気に上がることができます。
今晩の宿は「栂池ヒュッテ」です。 -
栂池高原の「ゴンドラ」
はるか遠くに見えるゴンドラ終点「栂の森」まで4.12km(高低差625m)を20分で上がります。
料金は、ゴンドラ+ロープウェイの往復と栂池自然園入園料込みで、3,700円。
3日間有効なので宿泊しても利用できます。 -
アップダウンする「ゴンドラ」
-
白い樹形が美しい「ダケカンバ」(ゴンドラからの眺望)
落葉した「ダケカンバ」から美しい白い樹形が現れます。 -
「栂の森駅」に到着
ここから「ロープウェイのりば」まで遊歩道を250m歩きます。 -
「ゴマナ」(栂の森)
遊歩道では秋の山野草が見られます。 -
シックな紫色の花「ノコンギク」(栂の森)
-
紅葉した葉「オオカメノキ」(栂の森)
-
おっと・・・「熊出没注意」(栂の森)
不良っぽいサングラスと鋭い爪は、ちょっと怖いですね。 -
口を大きく開けた「ミヤマトリカブト」(栂の森)
花柄に屈毛(くつもう、先が曲がった毛)があるので「ミヤマトリカブト」です。 -
青色の「ミヤマトリカブト」(栂の森)
-
紫色の花「ノダケ」(栂の森)
セリ科の花は一般的に白色ですが、この紫色の花を図鑑で調べてみると、「ノダケ」があてはまりました。
開花は秋で、暗い紫色をした小花が多数集まって、傘状の花序を作ります。
茎は丸くて節があり、真っすぐに伸びます。その様子が竹に似るとして「野竹」と名付けられたという説もあります。
遠目からは紫色を帯びたように見えます。 -
栂の木に囲まれたロープウェイのりば「栂大門駅」(栂の森)
「栂の森」は栂の木(白馬地方ではオオシラビソを栂と呼んでいます)に囲まれています。
ここから自然園駅まで1.2km(高低差284m)をロープウェイに乗り5分で上がります。
紅葉の季節なので、臨時便がフル回転。 -
秋色に染まる栂池高原(ロープウェイからの眺望)
緑の針葉樹の中に広葉樹が色鮮やかとなり、赤い屋根のヒュッテがアクセントになっています。 -
「ゴマナ」(自然園駅~入口)
ロープウェイの終点「自然園駅」から自然園入口まで400mほど歩きます。
ここでも山野草が見られます。
「ゴマナ」の花は、真ん中が黄色い筒状花で周りが白い舌状花です。 -
あれっ、茶色の「ゴマナ」?(自然園駅~入口)
花の時期が終わると、真ん中の筒状花が茶色(実)に変わります。 -
「ノダケ」(自然園駅~入口)
さっきと形が違いますが、紫色の花なので「ノダケ」。
白い花は「シロバナノダケ」だと思います。 -
「ヤマハハコ」(自然園駅~入口)
中央の花の部分が黄色。
周りの白い花弁に見えるのは総苞片と呼ばれ、葉が変化したもの。
秋になると、自然のドライフラワーになります。 -
今晩泊まる「栂池ヒュッテ」(自然園入口)
山小屋風の建物です。 -
木の枝から垂れ下がる「サルオガセ」(自然園駅~入口)
霧などの空気中の水分と光合成だけで成長します。 -
美しい彩りの紅葉(自然園駅~入口)
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イチオシ
黄色に色づく「ダケカンバ」(自然園駅~入口)
真っ白な幹と曲がりくねった枝と共に素晴らしい黄葉です。 -
今晩の宿「栂池ヒュッテ」
昼の時間帯は、おやきやソフトクリーム、軽食等が食べられます。
宿泊は山小屋風のアルペンベッドもありますが、2人和室を予約しています。
時刻は11:30。これから栂池自然園の散策に出かけます。
散策は、ヒュッテ~ミズバショウ湿原~ワタスゲ湿原~浮島湿原~展望湿原をぐるり一周する約5.5km、3時間30分のコース。 -
栂池の歴史を語る「栂池ヒュッテ記念館」
ビジターセンターで入園券を見せ、隣に佇む建物が「栂池ヒュッテ記念館」。
昭和8年(1933)より登山者に愛されてきた趣きのある「旧栂池ヒュッテ」の建物が当時のまま保存されています。 -
湿原周りの紅葉(ミズバショウ湿原)
最初に草紅葉になった「ミズバショウ湿原」を歩きます。
ここは標高1,860m。 -
イチオシ
秋色の植物に囲まれる「栂池ヒュッテ記念館」(ミズバショウ湿原)
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花が終わった「コバイケイソウ」(ミズバショウ湿原)
花から実になっています。 -
秋空に映える紅葉(ミズバショウ湿原)
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紅葉の「ミズバショウ湿原」
-
イチオシ
草紅葉に囲まれる「池塘」(栂池ミズバショウ湿原)
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濃いチェリー色の実(ミズバショウ湿原)
夏に咲く「イワショウブ」の白い花からピンクの実が育ち始め、今ではふっくらと大きな濃いチェリー色の実になっています。 -
案内板(ミズバショウ湿原)
「ミズバショウ湿原」の端まで来ています。
この先は「風穴」と「ワタスゲ湿原」があります。 -
「ミズバショウ湿原」を周遊する木道(案内板)
案内板のところで振り返った景色。
「ミズバショウ湿原」の周遊もできますが、先にある「風穴」へ進みます。 -
涼しい風を感じる「風穴(ふうけつ)」
太古の火山活動の名残りと言われています。
夏でも岩の間に残雪がみられ冷たい空気が吹き出しています。 -
枝からぶら下がる赤い翼「クロツリバナ」(風穴付近)
果実は直径1-1.2cmのほぼ球形のさく果で、3個の鎌状の翼があり、3角形状になります。
飛騨高山のお守り「さるぼぼ」がぶら下がってるみたい・・・ -
赤い翼が見事に満開!「クロツリバナ」(風穴付近)
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紅紫色の「タテヤマアザミ」(風穴付近)
新潟、富山周辺の(亜)高山の草地に生息する日本固有種。
頭花は紅紫色で横向きに咲かせます。
葉形は楕円形で、葉幅は広く浅い鋸歯があります。 -
赤く熟した実「ハリブキ」(風穴付近)
茎に針状のトゲがあります。 -
天狗の団扇のような葉(ハリブキ)
葉はフキに似て直径30-40cmの掌状。 -
ルビーのような赤色の実「マイヅルソウ」(風穴付近)
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「ワタスゲ湿原」に到着
栂池自然園 2つ目の湿原です。 -
草紅葉の「ワタスゲ湿原」
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歩きたくなる木道(ワタスゲ湿原)
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湿原と周囲の紅葉(ワタスゲ湿原)
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神秘的な色の「池塘」(ワタスゲ湿原)
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「ダケカンバ」の黄葉(ワタスゲ湿原)
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複雑な色合いの草紅葉(ワタスゲ湿原)
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イチオシ
秋の「ワタスゲ湿原」
湿原が草紅葉となり、ダケカンバの白い幹が印象的。 -
イチオシ
山あいに佇む「ワタスゲ湿原の紅葉」
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美しい彩りの紅葉(ワタスゲ湿原)
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草紅葉の中で赤く見えるのは「クロマメノキ」(ワタスゲ湿原)
ツツジ科の落葉低木で、樹高がわずか数十センチ。
葉の陰に青紫色の実が見え、ブルーベリーにそっくりです。 -
草紅葉の二段紅葉(ワタスゲ湿原)
赤と黄の彩り。 -
草紅葉と綿毛の「チングルマ」(ワタスゲ湿原)
葉は赤くなり「草紅葉」になります。
「綿毛」は花が終わるとチングルマの雌しべの付け根にあった子房部分が大きくなってまず「種」になります。
次に「種」の上からもともと雌しべだったものが長い毛のように伸ばし、チングルマの「綿毛」となるのです。 -
真っ白で平らな「綿毛」(チングルマ)
この「綿毛」が風に吹き飛ばされてチングルマの種子が遠くへ運ばれるのです。
花の終わった直後の綿毛は、赤みがあり逆立ってるのですが、秋になると真っ白になるのですね。 -
赤みのあるチングルマの綿毛(2021年7月30日、大雪旭岳にて)
花の終わった直後は「元気のある綿毛」ですね。 -
木道を歩くハイカー(ワタスゲ湿原)
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イチオシ
色鮮やかな「草紅葉」(ワタスゲ湿原)
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紅葉を巡る木道(ワタスゲ湿原)
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ダケカンバと草紅葉(ワタスゲ湿原)
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栂池自然園を横切る「楠川」
「ワタスゲ湿原」を抜けると「楠川(くすかわ)」の木橋を渡ります。
白馬乗鞍岳に源を発する「楠川」は栂池自然園を横切り、白馬村で姫川に注ぎます。 -
美しい彩りの紅葉(楠川付近)
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登山道分岐(楠川付近)
ここから先の浮島湿原、展望湿原は登山道になります。
でも、登山靴で来ているので大丈夫。 -
黄色に色づく「ミネカエデ」(楠川~浮島湿原)
湿原から山の景色に変わって来ています。 -
素晴らしい彩りの紅葉(楠川~浮島湿原)
青空の下で、黄色の「ミネカエデ」に、赤い「ナナカマド」、緑の「笹」、白い幹の「ダケカンバ」等、素晴らしい彩りが眺められます。 -
白馬乗鞍岳中腹を流れ落ちる滝(楠川~浮島湿原)
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真っ赤に燃えるような「ナナカマド」(楠川~浮島湿原)
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少しずつ赤くなる「オオカメノキ」(楠川~浮島湿原)
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赤い果実の「ゴゼンタチバナ」(楠川~浮島湿原)
花の咲く株は葉が6枚で、2枚だけが他の4枚より大きい。
果実は直径5-8mmの球形の核果で、数個が集まって赤く熟します。 -
少しずつ赤くなる葉(ゴゼンタチバナ)
-
おもしろい形の実「ミドリユキザサ」(楠川~浮島湿原)
実の中に2個、3個の種が入っています。
ユキザサにはいくつか種類があるので調べてみました。
自然観察日記によれば
・「オオバユキザサ(ヤマトユキザサ)」は、花序の軸が紫がかって毛が多い
・「ヒロハユキザサ」は、花序の軸は緑色で花も緑色 葉の縁が少し波打つ 葉の幅が広い
高山植物図鑑によれば、ヒロハユキザサとミドリユキザサを同じとする説がありますが、専門家の世界では別種としている。
・「ヒロハユキザサ」は、茎に陵がある
・「ミドリユキザサ」は、茎に陵がない
なので、緑色の軸で茎に陵がないことから「ミドリユキザサ」と判断しました。 -
イチオシ
宝石のような輝き「マイヅルソウの実」(楠川~浮島湿原)
実が熟すとルビーのような赤色になり、まるで宝石みたいです。 -
最初は「まだら模様の実」(マイヅルソウ)
成熟して輝くのは人間と似ていますね。 -
ナメコのようなキノコ(楠川~浮島湿原)
-
「ヤマハハコ」(楠川~浮島湿原)
花は終わっているのですが、葉の表面に光沢があり生き生きしています。 -
ひとりぼっちの「タケシマラン」(楠川~浮島湿原)
「タケシマラン」の実はまん丸で、花柄はまっすぐ。
それに対し、仲間のオオバタケシマランの実は楕円形で、実をぶら下げている花柄が途中でカクカクと曲がっています。 -
イチオシ
秋の「栂池自然園」(楠川~浮島湿原の高台)
草紅葉になった「ワタスゲ湿原」がダケカンバに囲まれ、自然園入口付近に赤屋根の栂池ヒュッテ記念館があります。
この後、浮島湿原、展望湿原まで行き、ぐるり一周する旅行記を次号で紹介します。
栂池自然園の紅葉はまさに「錦秋の世界」でした。
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