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久高島は沖縄本島南部知念岬から沖合三カイリの小島(幅500m、長さ四キロほど)で、琉球神話の祖神「あまみきよ しねりきよ(アマミキユ シネリキユ)」が降り立ったとされる、神の島だ。<br />島に行く切っ掛けとなったのは、芸術家、故岡本太郎が書いた「沖縄文化論 忘れられた日本」(中公叢書)の中の「神と木と石」で拝所において『何もない清らかさ、めまい』を知ってみたくなったのである。<br />久高島を世に知らしめたのは12年に一度、午年の旧暦11月15日から5日間にわたって行われる「イザイホー」と言う祀りだが、この祀りが行われた1966年に岡本太郎は立った。しかしこの大祭も後継者の問題で、1978年をもって行われていない。だが久高島ではイザイホー以外の神事が、今だに30近くも行われている。(2000年時)その中心となるのが、女性神職者が担う質素な古来から続く祭祀。それは自然崇拝、祖霊礼拝と日本の古神道の形が脈々と受け継がれている。<br />卑弥呼の時代の様に、なぜ沖縄では女性を中心とした神職者による祭祀が今に続いているのか。それは沖縄では古代から神の聖域(久高島では先住者の休み場であったとある)である御嶽(うたき)があって、ここで始祖神と交信していたのが女性であった。それをさらに確立したのが琉球王朝時代のノロ制度。それは琉球王の妹にあたる「聞得大君」を頂点とした女性神職者による祭祀制度。<br />そして久高島は琉球開闢の地であるがゆえに、そこに暮らす住民は誇りをもって今でもこの伝統を続けている。久高島は特別な神の島なのである。<br />そんな古神道に通じる思いを抱き、沖縄本島の安座真港から船に乗った。冬場の時期はその一帯は海が荒れるらしく、この時も例外ではなかった。だが上陸した徳仁港では物静かな、風が清々しく感じられる島だった。<br /><br />参考資料 「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」 比嘉康雄著 集英社新書<br />     「沖縄の歴史と文化」 外間守善著 中公新書<br />

琉球開闢の祖伸が降り立った神の島・久高島

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2008/12/23 - 2008/12/23

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旅行記グループ 沖縄

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ishigantou

ishigantouさん

久高島は沖縄本島南部知念岬から沖合三カイリの小島(幅500m、長さ四キロほど)で、琉球神話の祖神「あまみきよ しねりきよ(アマミキユ シネリキユ)」が降り立ったとされる、神の島だ。
島に行く切っ掛けとなったのは、芸術家、故岡本太郎が書いた「沖縄文化論 忘れられた日本」(中公叢書)の中の「神と木と石」で拝所において『何もない清らかさ、めまい』を知ってみたくなったのである。
久高島を世に知らしめたのは12年に一度、午年の旧暦11月15日から5日間にわたって行われる「イザイホー」と言う祀りだが、この祀りが行われた1966年に岡本太郎は立った。しかしこの大祭も後継者の問題で、1978年をもって行われていない。だが久高島ではイザイホー以外の神事が、今だに30近くも行われている。(2000年時)その中心となるのが、女性神職者が担う質素な古来から続く祭祀。それは自然崇拝、祖霊礼拝と日本の古神道の形が脈々と受け継がれている。
卑弥呼の時代の様に、なぜ沖縄では女性を中心とした神職者による祭祀が今に続いているのか。それは沖縄では古代から神の聖域(久高島では先住者の休み場であったとある)である御嶽(うたき)があって、ここで始祖神と交信していたのが女性であった。それをさらに確立したのが琉球王朝時代のノロ制度。それは琉球王の妹にあたる「聞得大君」を頂点とした女性神職者による祭祀制度。
そして久高島は琉球開闢の地であるがゆえに、そこに暮らす住民は誇りをもって今でもこの伝統を続けている。久高島は特別な神の島なのである。
そんな古神道に通じる思いを抱き、沖縄本島の安座真港から船に乗った。冬場の時期はその一帯は海が荒れるらしく、この時も例外ではなかった。だが上陸した徳仁港では物静かな、風が清々しく感じられる島だった。

参考資料 「日本人の魂の原郷 沖縄久高島」 比嘉康雄著 集英社新書
     「沖縄の歴史と文化」 外間守善著 中公新書

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
4.0
グルメ
4.0
同行者
一人旅
交通手段
JALグループ
旅行の手配内容
個別手配
  • 沖縄本島で前泊。那覇市内のホテル。<br />12年も前なので、どこのホテルかは覚えていない。

    沖縄本島で前泊。那覇市内のホテル。
    12年も前なので、どこのホテルかは覚えていない。

  • 激しい波に揉まれ久高島に上陸。<br />この神の島では石ころ一つでも持って帰ってはいけない。

    イチオシ

    激しい波に揉まれ久高島に上陸。
    この神の島では石ころ一つでも持って帰ってはいけない。

  • 島には食事処が少ないので港にある食堂で昼食をとり、レンタサイクルを借りる。<br />地元の人に声を掛けられる。「お兄さん、この間もこの島に来たね?」<br />もちろん初めて、よくある顔だったかな?

    島には食事処が少ないので港にある食堂で昼食をとり、レンタサイクルを借りる。
    地元の人に声を掛けられる。「お兄さん、この間もこの島に来たね?」
    もちろん初めて、よくある顔だったかな?

  • 港近くの海岸<br /><br />島創りの神話は、アマミキユとシネリキユがニラーハラー(ニライカナイ)と呼ばれる、海の彼方東方にあると言われるあの世とも根所(記紀に記される根の国)とも楽土とも理想郷ともされる地からやってきて、アマミキユが持参の棒を立て久高島が出来たとされる。<br /><br />この神話は高天原由来ののイザナギ、イザナミに通じる。<br />

    港近くの海岸

    島創りの神話は、アマミキユとシネリキユがニラーハラー(ニライカナイ)と呼ばれる、海の彼方東方にあると言われるあの世とも根所(記紀に記される根の国)とも楽土とも理想郷ともされる地からやってきて、アマミキユが持参の棒を立て久高島が出来たとされる。

    この神話は高天原由来ののイザナギ、イザナミに通じる。

  • 久高島の人造り神話<br /><br />シラタル(兄)とファガナシー(妹)の兄妹が島に渡ってきて夫婦になり、今の久高島の始祖神となった。ニ柱の暮らしていたとされる場所も御嶽の一つだ。<br />

    久高島の人造り神話

    シラタル(兄)とファガナシー(妹)の兄妹が島に渡ってきて夫婦になり、今の久高島の始祖神となった。ニ柱の暮らしていたとされる場所も御嶽の一つだ。

  • イシキ浜<br /><br />穀物伝来神話がある浜。<br />昔この近くにシマリバー(女)とアカツミー(男)が住んでいて、アカツミーが白い壺を見つけた。その中に穀物の種が入っていて、ここからクニ中に広められたとある。<br />

    イシキ浜

    穀物伝来神話がある浜。
    昔この近くにシマリバー(女)とアカツミー(男)が住んでいて、アカツミーが白い壺を見つけた。その中に穀物の種が入っていて、ここからクニ中に広められたとある。

  • 私のハンドルネームになっている石敢當(イシガントウ)。<br /><br />こちらは割と新しいものだが、沖縄のあちらこちらで見られる石碑「石敢當」。魔物は道を直進するため、道の突き当りに設け、魔物が中に入らないようにする石碑。昔中国福建省から入ってきた。今や数は少ないが台湾などにもある。

    私のハンドルネームになっている石敢當(イシガントウ)。

    こちらは割と新しいものだが、沖縄のあちらこちらで見られる石碑「石敢當」。魔物は道を直進するため、道の突き当りに設け、魔物が中に入らないようにする石碑。昔中国福建省から入ってきた。今や数は少ないが台湾などにもある。

  • 渡嘉敷島の石敢當

    渡嘉敷島の石敢當

  • 竹富島の石敢當

    竹富島の石敢當

  • 波照間島の石敢當

    波照間島の石敢當

  • 我が家の石敢當<br /><br />沖縄でお土産用に売っていたものを塀に埋め込んだ。<br /><br />今はもっと大学の研究所として増えているかも知れないが、当時早大と法政大で沖縄文化の研究所があって、法政大に「石敢當」の公開講演会を聴きに行ったりもした。

    我が家の石敢當

    沖縄でお土産用に売っていたものを塀に埋め込んだ。

    今はもっと大学の研究所として増えているかも知れないが、当時早大と法政大で沖縄文化の研究所があって、法政大に「石敢當」の公開講演会を聴きに行ったりもした。

  • 粟国島では、魔除けとしてシーサー、石敢當以外にも「スイジ貝」が飾られていた。<br />

    粟国島では、魔除けとしてシーサー、石敢當以外にも「スイジ貝」が飾られていた。

  • 島の北端、カベール岬へ続く道<br /><br />カベールは『神の原』の意。ヒータチ(豊漁の祈願)の祭祀の最終目的地で、以前は神女の行列が総勢50名にも及んだという。

    イチオシ

    島の北端、カベール岬へ続く道

    カベールは『神の原』の意。ヒータチ(豊漁の祈願)の祭祀の最終目的地で、以前は神女の行列が総勢50名にも及んだという。

  • 浜辺に咲く「グンバイヒルガオ」

    浜辺に咲く「グンバイヒルガオ」

  • グンバイヒルガオの蔓

    グンバイヒルガオの蔓

  • 沖縄で始祖家をムトゥ(草分けの意)と言っているが、久高島にはさらに古ムトゥ、中ムトゥと別れている。古ムトゥが本来のムトゥで、久高島の島人は皆、中ムトゥに属している。<br />そのため島人は、ニラーハラー(ニライカナイ)に鎮まっているムトゥの守護神、ムトゥ神を事あるごとに礼拝する。<br />

    沖縄で始祖家をムトゥ(草分けの意)と言っているが、久高島にはさらに古ムトゥ、中ムトゥと別れている。古ムトゥが本来のムトゥで、久高島の島人は皆、中ムトゥに属している。
    そのため島人は、ニラーハラー(ニライカナイ)に鎮まっているムトゥの守護神、ムトゥ神を事あるごとに礼拝する。

  • 島の祭祀所「殿(トウン)」<br /><br />琉球王国時代のノロ制度が出来た時に、中ムトゥの中から公式指名を受けた外間ノロ、準司祭者となった久高ノロが祭祀を司る事となり、それぞれの祭祀所、「外間殿」「久高殿」が設置され今もここで祭祀が行われている。

    イチオシ

    島の祭祀所「殿(トウン)」

    琉球王国時代のノロ制度が出来た時に、中ムトゥの中から公式指名を受けた外間ノロ、準司祭者となった久高ノロが祭祀を司る事となり、それぞれの祭祀所、「外間殿」「久高殿」が設置され今もここで祭祀が行われている。

  • こちらは、竹富島の殿。

    こちらは、竹富島の殿。

  • 沖縄を代表する花、アカバナー(ハイビスカス)

    沖縄を代表する花、アカバナー(ハイビスカス)

  • 久高島から本島の聖域「斎場御嶽」方向を拝む場所

    久高島から本島の聖域「斎場御嶽」方向を拝む場所

  • こちらは本島「斎場御嶽」より久高島を望む

    こちらは本島「斎場御嶽」より久高島を望む

  • 沖縄を代表する聖地「斎場御嶽」

    沖縄を代表する聖地「斎場御嶽」

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