2019/06/18 - 2019/06/18
1位(同エリア198件中)
bunbunさん
- bunbunさんTOP
- 旅行記173冊
- クチコミ0件
- Q&A回答0件
- 524,988アクセス
- フォロワー866人
アーチーズ国立公園(Arches National Park)のウインドウズ・セクション(The Windows Section)を見学して来ました。本旅行記は「アメリカ グランドサークル キャニオンランズ国立公園」(https://4travel.jp/travelogue/11668657)の続きです。この公園は面積310.31 km^2(31,031 ha、鳥取県の約9割)で、キャニオンランズ国立公園と同様、ユタ州南東部のパラドックス盆地(Paradox Basin)の東部、キャニオンランズ国立公園の北東約20 km(最近接距離)に位置し、地下の岩塩層の動きによって形成された2,000以上の砂岩アーチをはじめ、多くの尖塔(spires)、バランス・ロック(balanced rocks)、フィン(fins)*)、侵食されたモノリス(monolith、一枚岩)等があります。もともと1929年にフーバーダム(Hoover Dam)で有名なフーバー大統領(President Herbert Hoover)によって国定記念物公園(National Monument)**)に指定され、1971年には連邦議会の議決に基づいてニクソン大統領(President Richard Nixon)が署名し、国立公園に登録されました。
今回訪れたウインドウズ・セクションにはアーチが密集しており、公園で最も美しい場所の1つです。 ノース・ウインドウ(North Window)、タレット・アーチ(Turret Arch)、ダブル・アーチ(Double Arch)は、約3 km^2にある畏敬の念を起こさせる広がりのほんの一部です。 この他このエリアの特徴的な岩には、エデンの園(Garden of Eden)、エレファントビュート(Elephant Butte)、エレファントのパレード(Parade of Elephants)優雅な名前が付けられています。
*) 既報「アメリカ グランドサークル ブライス・キャニオン国立公園」(https://4travel.jp/travelogue/11546130)付録3.参照。
**) 「国定公園」と訳される場合もありますが、日本の国定公園とは意味合いが異なりますので、適切とは言えません。日本の「国定公園」の公式英訳は” Quasi-National Park”です。
付録に、アーチーズ国立公園の1.地理と2.地質について記載しましたので、お時間とご興味のある方はご覧ください。
付録も含め、以下の説明では様々な地層が出てきますが、これについてはhttps://4travel.jp/travelogue/11668657の付録に詳述しましたので参照してください。
-
最初にこの地図で今回の行程を説明します。
キャニオンランズ国立公園からユタ州道313号線(SR-313、左中ほどの黒い道路)を北東に戻って、国道191号線(US 191、左上部から中央下に走る赤い道路)に入って南下し、北に左折してアーチーズ国立公園に入って、アーチーズ・エントランス・ロード(Arches Entrance Road、赤く細い道路)を西に戻るように進みます。この道路はビジターセンター(Visitor Center)の先でアーチーズ・シーニック・ドライブ(Arches Scenic Drive)と名前を変えますが、これを北上し、バランス・ロックの先で右折してザ・ウィンドウズ・ロード(The Windows Road)に入り、ウインドウズ・セクションまで行きます。 -
SR-313 からUS 191に入り、1.5 km程南下した西方の風景。
丘の上の飛び出した岩はウィンゲート砂岩(Wingate Sandstone)、その下は上からチンレ層(Chinle Formation)、モエンコピ層(Moenkopi Formation)、カトラー層(Cutler Formation、カトラーグループ(Cutler Group))です。 -
さらにUS 191を1.5 km程南下した前方(南東方向)の風景。
この崖はモアブ断層(Moab Fault)*)で、断層断面が見えています。地層は上から、ウィンゲート砂岩、チンレ層、モエンコピ層、カトラー層です。
地層が傾いているのはモアブ断層ができる過程で生じた岩塩ドームのためです*)。
*) 4つ下の図、付録2.(2)をご参照ください。 -
さらにUS 191を1.5 km程南下した南方の風景。
左上部は上から、チンレ層、モエンコピ層、下部はカトラー層です。 -
US 191を左折してアーチーズ国立公園に入り、公園内のアーチーズ・エントランス・ロードを1 km弱北西に走りました。
北方の風景。
手前の薄茶色はナバホ砂岩(Navajo Sandstone)、その上の茶色はエントラーダ砂岩(Entrada Sandstone)です。
これまで示した写真は、ほぼ同じ標高(約1,400 m)で撮影したものですが、地層の種類はは1~3上の写真と、この写真では全く異なります。この理由は以下で説明します。 -
これは1つ上の写真位置より約2.5 km先(図の右下 ”YOU ARE HERE” と書かれた場所)のモアブ断層の説明板です。
和訳を以下に示します。物理量(長さ、質量等)の単語で書かれた単位は自然科学で使われるアルファベットの単位に変換してあります。大部分の( )内は英語表記もしくは著者の補足です。これ以降に出てくる説明板の和訳も同様です。
イラストの右および中央上部の説明
「約600万年前*)に、地球の表面の劇的な破壊がここで発生しました。 強い圧力の下で、延伸できなかった地殻はひび割れて移動しました。 今日、高速道路(図の下部)はモアブ断層と呼ばれるこの破壊線と平行しています。
岩の層が移動した後、あなたが立っている峡谷の東側は、西側(高速道路の向こう側(左側))より792 m以上低くなりました。」
*) 著者注 これは多分6,000万年前の間違いと思います。詳細は付録2.(2)をご覧ください。
右上の挿入図の説明
「モアブ断層―岩層の移動。
個々の岩層は、断層のためにここで水平に並んでいません。 高速道路の向こう側の崖は、エントラーダ砂岩によく似ていますが、実際には、エントラーダの約4,000万年前に堆積した岩であるウィンゲート砂岩で構成されています。」
中央の谷を走る道路は US 191で奥が北、この右(東)側がアーチーズ国立公園公園です。1つ上の写真はアーチーズ・エントランス・ロード(Arches Entrance Road)に●印をつけた場所から撮影したものです。
US 191の左(西)側の地層は上からウィンゲート砂岩(Wingate Sandstone)、チンレ層(Chinle Formation)、モエンコピ層(Moenkopi Formation)、カトラー層(Cutler Formation)、オネイカー・トレイル層(Honaker Trail Formation)、パラドックス層(Paradox Formatin)です。US 191の右(東)側の地層は上からエントラーダ砂岩(Entrada Sandstone)、ナバホ砂岩(Navajo Sandstone)、カイエンタ層(Kayenta Formation)、ウィンゲート砂岩(Wingate Sandstone)、チンレ層(Chinle Formation)です。 -
2つ上の写真の位置から100 m程走って料金所を通り、さらに300 m程走ってアーチーズ国立公園ビジターセンターに着きました。ここでトイレ休憩です。
ビジターセンターの駐車場から見た北側の岩。
手前の薄茶色はナバホ砂岩、その上の茶色はエントラーダ砂岩です。
ここから道路名はアーチーズ・エントランス・ロードからアーチーズ・シーニック・ドライブに変わります。 -
ビジターセンターから曲がりくねった上りのアーチーズ・シーニック・ドライブを1.5 km程走りました。東方の風景です。
右の谷はモアブ・キャニオン(Moab Canyon)で、その右側(幅の広い方)および左側(幅の狭い方)を走る道路は今まで走って来た、それぞれUS 191、アーチーズ・エントランス・ロードです。
US 191の右側をモアブ断層が走っています。
谷の奥の緑の手前をコロラド川が流れ、緑の奥にモアブの街があります。 -
曲がりくねったアーチーズ・シーニック・ドライブをさらに東へ2 km程走りました。
北側に見えた大きな岩。上はエントラーダ砂岩、下はカーメル層(Carmel Formation)の柔らかいデューイ・ブリッジ メンバー(Dewey Bridge Member)です。(後出) -
さらに大きく北に回って600 m程走りました。
東に見えた岩。
これも上はエントラーダ砂岩、下はカーメル層です。 -
さらに200 m程北上して西側の岩。エントラーダ砂岩です。
-
南に少し振って1つ上の写真の岩の南側。
-
さらに500 m程北上して北西側の岩。
2つ上の写真の岩の北側。上はエントラーダ砂岩、下はカーメル層です。 -
すこし北上した西側。1つ上の写真の岩の南側です。
岩に見える模様と文字は、私がかぶっている帽子が窓ガラスで映ったものです。
右手前の岩はカーメル層、奥はエントラーダ砂岩です。 -
またすこし北上して北西側に見えた2つ上の写真右側の、3ゴシップ(Three Gossips)*)。ブライスキャニオンに3姉妹(Three Sisters Hoodoo)という名前の似たような岩があったな(https://4travel.jp/travelogue/11546130)。
*) この名前は3人が互いに噂話をしているように見えることから付けられています。 -
さらに600 m程北上した西側の岩。
シープ・ロック(Sheep Rock)という名前が付いています。
左が頭か。 -
またすこし北上して西側に見えた岩。
-
またすこし北上して北西に見えた岩。
岩の表面に見える縦縞状の模様は砂漠ワニス(Desert Varnish)によって描かれています。砂漠ワニスは、乾燥地域の露出した岩の表面に見られる薄い赤から黒のコーティングで、岩石表面に生息するバクテリアによって作られ、主としてマンガン(Mn)や鉄(Fe)の酸化物と水酸化物で構成されています。バクテリアはこれらの元素を大気中のほこり等の環境から取り込みますが、縦縞模様は流れ落ちる雨水から取り込んだものです。ワニスの色は、その中のマンガンと鉄の相対量によって異なります。マンガンが豊富なワニスは黒です。 鉄分が豊富なワニスは赤またはオレンジです。 同量のマンガンと鉄を含むワニスは、多少茶色がかっています。砂漠ワニスができるまでには数千年かかるため、侵食されやすい表面ではめったに見つかりません。 -
1つ上の写真の南側の岩。
-
さらに1.5 km程北上した南東側の風景。
手前に広がる平原はナバホ砂岩です。
遠くに見える雪を被った山々は、左からヘイスタック山(Haystack Mountain)、少し離れてメレンティン山(Mt. Mellenthin)、ピール山(Mt. Peale)、少し離れてトゥクイッキベツ山(Mt. Tukuhnikivatz)です。 -
また少し北上して西に見えた岩。
エントラーダ砂岩です。 -
また少し北上して西に見えた岩。
エントラーダ砂岩です。 -
また少し北上して西に見えた岩。
エントラーダ砂岩です。 -
また少し北上して西に見えた岩。
エントラーダ砂岩です。 -
また少し北上して見えた東側の風景。
平原はナバホ砂岩です。 -
また少し北上して見えた北東方向の風景。
見えてきました。茶色の部分が目的地のウインドウズ・セクション(The Windows Section)の岩です。 -
また少し北上してました。道路は徐々に北東方向へ向きを変えていきます。
北側に見えた岩。 -
さらに数百メートル南下して見えた西側の風景。
-
また少し北上して西に見えた岩。
-
また少し北上して西に見えた岩。
真ん中の尖塔はいずれこの後見るようなバランス・ロック(Balanced Rock)になるんでしょうね。
上がエントラーダ砂岩(Entrada Sandstone)の硬いスリック・ロック メンバー(Slick Rock Member)、下は カーメル層(Carmel Formation)のデューイ・ブリッジ メンバー(Dewey Bridge Member)です。 -
また少し北上して西に見えた岩。道路はまた北に向かっています。
尖塔は1つ上の写真と同じものです。 -
また少し北上して北西に見えた岩。
さっきとは別の尖塔です。 -
また少し北上して西に見えた岩。
尖塔は1つ上の写真と同じものです。 -
また少し北上して北西に見えた岩。
-
また少し北上して北西に見えた岩。道路は北東に向かってます。
-
また少し北上して北西に見えた岩。
左手前の尖塔は1つ上の写真と同じものです。 -
1 km程北上した東側。
岩の辺りがウインドウズ・セクションです。 -
少し北上してウインドウズ・セクションの岩をズームイン。
岩の孔が見えるな。駐車場も見えるぞ。 -
1つ上の写真の右(南)側。
尖塔がいくつもある。
尖塔は下からナバホ砂岩、カーメル層のデューイ・ブリッジ メンバー、エントラーダ砂岩のスリック・ロック メンバーです。右手前の岩はカーメル層の侵食でエントラーダ砂岩が落ちちゃってますねえ。 -
東北東に少し進んでアーチーズ・シーニック・ドライブ脇のバランス・ロックの駐車場にやって来ました。
あるある、バランス・ロックだ。 -
バスから降りてバランス・ロック・トレイルを歩きます。
このトレイルはバランス・ロックを一周しています。入口から南西側約半周は平坦で舗装されていますが、北東側は起伏があって石でルートが示されているもの舗装はされていません。
トレイルの入口にあったバランス・ロック(Balanced Rock)の説明板
右上黒地に白字の説明
「バランス・ロックのサイズは方向によって異なって見えます。 短い1/4 -mile(400 m)のループトレイルを歩いて、詳しく見てみましょう。」
写真左上の説明
「侵食の力は、アーチ型以上のものを彫刻しています。 バランス・ロックは、この驚くべき重力の反抗の原因となるさまざまな層を明確に示しています。
エントラーダ砂岩(Entrada Sandstone)の硬いスリック・ロック メンバー(Slick Rock Member)のキャップロックは、泥岩の台座の上にあります。 カーメル層(Carmel Formation)のこの柔らかいデューイ・ブリッジ メンバー(Dewey Bridge Member)*)は、上の抵抗力のある岩よりも早く風化します。 最終的に、侵食の速いデューイ・ブリッジ(Dewey Bridge)はバランス・ロックの崩壊を引き起こします。
バランス・ロックまたはその基部に登ることは禁止されています。」
*) 著者注 英文のウィキペディア: https://en.wikipedia.org/wiki/Entrada Sandstoneではデューイ・ブリッジ メンバーをエントラーダ砂岩のメンバーとしていますが、これは間違いです。一般にエントラーダ砂岩にはたくさんのメンバーが含まれますが、アーチーズ国立公園のエントラーダ砂岩はスリック・ロック メンバー1種類しか含みません。
写真右上の説明
「公園全体で、さまざまな岩の層がさまざまな速度で侵食されるにつれて形成される他のバランスの取れた岩や尖塔を見ることができます。」
写真右下の説明
「チップ・オフ・ジ・オールド(Chip-Off-the-Old)ブロックは、1975-76年の冬に倒れるまで、バランス・ロックの安定した仲間でした。」
中央の挿入図の中の説明
「エントラーダ砂岩(タイトル)
スリック・ロック メンバー(上の岩)
デューイ・ブリッジ メンバー(下の岩)」(上で説明したようにこれはエントラーダ砂岩のメンバーではありません。)
中央の挿入図の下の説明
「全高:128 feet(39 m)
上の岩の高さ:55 feet(17 m)
上の岩の重量:3,500 t(300万kg以上))」 -
トレイルの南東端から見たバランス・ロック。
確かにサイズは大きく見える。 -
トレイルの南東端から東方のウインドウズ・セクションをズームイン。
中央の孔の空いた岩はタレット・アーチ(Turret Arch、この後行きます)です。 -
足元にあった植物。
中米から北米にかけて広く分布しているユッカ(yucca)だそうです。
私も観葉植物として育ててますが、大分違います。沢山種類があるからその違いですかねえ。 -
駐車場に戻ってきました。
脇にあったユタネズ(ユタ・ジュニパー(Utah juniper)、学名Juniperus osteosperma、ヒノキ科、J.オステオスペルマ属、後で説明します)。ライトブルーの実が綺麗だね。 -
ユタネズ、接写。
-
駐車場からちょっと東に移動してアーチーズ・シーニック・ドライブ脇から見たバランス・ロック。
-
バランス・ロック、ズームイン。
-
アーチーズ・シーニック・ドライブからザ・ウィンドウズ・ロード(The Windows Road)に入り、ウインドウズ・セクションの駐車場にやって来ました。
バスから降り、トレイルを歩いて見学です。
左の孔が開いた岩がノース・ウインドウ・アーチ(North Window Arch)、中央やや右の岩がタレット・アーチ(Turret Arch)です。 -
トレイル入口にあったウインドウ(The Windows)の説明板
「砂漠での繁栄
この過酷な環境で生物はどのように生き残るのでしょうか? ここにいくつかの種の秘密があります:
ユタネズ(Utah juniper)のベリーのように見えるものは、実際には、種子が水分を失うのを防ぐ、シミのようなワックス状のコーティングが施された小さな球果です。 ネズは、特定の枝への樹液の供給を遮断する自己剪定によって干ばつに耐えます。 犠牲と適応を通して、ユタのネズは1000年以上生きることができます。
ブラックブラシ(Blackbrushの単純な日本語表記です。正式な日本語名はわかりません。別名Coleogyne ramosissima)は、小さな葉と銀の樹皮があり、濡れると黒くなる一般的な低木です。 夏の暑い時期には、ブラックブラシは水分の損失を減らすために最も外側の葉を落とします。 ほとんどの動物に食べられないブラックブラシは、砂漠のオオツノヒツジ(Bighorn Sheep)の好物です。
オード(Ord)のカンガルーネズミ(kangaroo rat)は水を飲まずに生き残ります。 カンガルーネズミは、水保全の専門家であり、食べた種子から水分を抽出し、高濃度の尿を数滴しか排泄しません。 カンガルーネズミは日中は涼しい巣穴でテストし、夜は食べ物を探すために出てきます。」
「トレイル情報
平らな道は、ノース・ウインドウ(North Window)、サウス・ウインドウ(South Window)、タレット・アーチ(Turret Arch)の3つのアーチまで登る岩の階段につながります。初期からあるトレイルは少し長い帰路で、ケルンでマークされており、岩のスクランブリングが含まれています。 往復の総距離は1マイル(1.6 km)です。」 -
これまたトレイルの入口にあったウインドウ・トレイル(Windows Trails)の説明板
「落石はいつでも発生する可能性があります。 大きなポップ音やクラッキング音が聞こえる場合は、岩から離れてください。
トレイルはノース・ウインドウとサウス・ウインドウに通じており、短いスパー・トレイルは2つの開口部がある独特な地形のタレット・アーチに通じています。 これらのアーチへのハイキングは比較的簡単です。
より長く、より困難な代替コースは、「眼鏡」を見るために、2つのウインドウの後ろを周る初期からのトレイルを経由して戻ることです。トレイルはあまり整備されておらず(ケルンをたどります)、1つの丘を登り、ブラックブラシの平原を横切って戻り、ここから左(北)に少し離れた位置で終了します。」
「トレイルデータ
長さ:合計1.1マイル(1.8 km)
標高の変化:小
開始点と終了点: ウインドウの駐車場」
右の写真の説明
「生きてる!
トレイルに沿って、地面に黒く堅い斑点があることに気付くかもしれません。 「生物学的土壌クラスト」として知られ、シアノバクテリア、コケ、地衣類の真菌、藻類の混合物です。 この注目に値するコミュニティーは、他の植物に苗床を提供し、水分を吸収し、栄養素を生成し、侵食を防ぎます。 その発達段階では、それはほとんど見えません。
この土壌クラストは非常に壊れやすいので、1つの足跡で何年もの成長を消し去ることができます。
生きた土壌を守るため、指定されたトレイルにとどまってください。」
私達はこの後右(南)側のトレイルを通ってノース・ウインドウ(North Window)、サウス・ウインドウ(Sauth Window)、タレット・アーチ(Tarret Arch)と回り、引き返してダブル・アーチ(Double Arch)と行きます。 -
これもトレイルの入口にあったアーチの形成過程(How Arched Are Formed)の説明板
左上
「ウインドウエリアでは、アーチが形成される過程の多くの段階を見ることができます。 よく見てください。 一部のアーチは、背後に岩壁があるため見づらくなっています。
アーチが形成されている岩であるエントラーダ砂岩は、1億5000万年以上前に砂としてここに堆積しました。 時間が経つにつれて、それは新しい層に埋もれ、岩に固まり、強力な侵食力によって形作られました。」
右上のイラストは形成過程を示します。
左端
「①一連の隆起と崩壊により、埋没したエントラーダ砂岩の300 feet(91 m)の層に深い亀裂が生じました。」
左から2番目
「②上にある岩層が侵食されたとき、エントラーダ砂岩は風化にさらされました。 亀裂はゆっくりと広がり、フィンと呼ばれる平行な岩の壁が形成されました。」
左から3番目
「③雨水は砂岩を結合している膠結物(天然のセメント)を継続的に溶解します*)。 このプロセスは、小さな亀裂での水の凍結による圧力と組み合わさって、砂岩が剥がれ落ちます。 最終的に、十分な量の岩がフィンから落ちて、開口部が形成されます。」
右端
「④これらの孔は侵食され続けており、やがてアーチを作ったのと同じ風化の力で破壊されます。」
*) 著者注 膠結物は主に炭酸カルシウム(CaCO3)です。 雨水は大気中の二酸化炭素(CO2)を含み、CaCO3の溶解に非常に効果的な弱い炭酸となります。溶解の過程は基本的に鍾乳洞の生成過程と同じです(http://4travel.jp/travelogue/11196050の付録1.(2)参照)。
左下の写真はタレット・アーチ、右下の写真をサウス・ウインドウ(左)とノース・ウインドウ(右)です。 -
トレイル入口からノース・ウインドウを目指して300 m程東に歩いた所で南に見えたタレット・アーチ。
-
東に進んでノース・ウインドウに近づきます。
-
東に進んでノース・ウインドウに近づきます。
-
東に進んでノース・ウインドウに近づきます。
-
ノース・ウインドウの前までやってきました。
-
ノース・ウインドウのアーチ部分、ズームイン。
-
ノース・ウインドウを通して見た東方。
ノース・ウインドウの東北東には、北西から南東に延びる断層が走っており、この方向はノース・ウインドウの岩の位置よりずっと低くなっていています(付録2.(3)参照)。 -
南方のノース・ウインドウとサウス・ウインドウの間にある飛び出した岩。
-
サウス・ウインドウに向かう途中で見えたタレット・アーチ。
-
1つ上の写真の岩を避けるように南に進み、サウス・ウインドウの南南西にやって来ました。
サウス・ウインドウです。 -
サウス・ウインドウ、ズームイン。
-
ちょっと東に移動して、サウス・ウインドウ。
-
北東に引き返してタレット・アーチに向かいます。
-
途中北側に見えたノース・ウインドウの北側の岩。
-
1つ上の写真の岩、ノース・ウインドウ、サウス・ウインドウのパノラマ写真。
-
ちょっと南に移動して南方の風景。
中央の岩はナバホ砂岩、遠くに見える山は来る途中でも見えた、左からレンティン山(Mt. Mellenthin)、ピール山(Mt. Peale)、少し離れてトゥクイッキベツ山(Mt. Tukuhnikivatz)です。
断層はこの右(東)側を走っており、ここは高い方です。 -
せっかくなんでノース・ウインドウとサウス・ウインドウをバックに1枚撮ってもらいました。シャツのポケットから左下に延びる線はイヤホンの紐です(為念)。
-
てなことをやりながら、タレット・アーチの前に来ました。
こいつもでかいなあ。 -
タレット・アーチを見ながら駐車場に引き返します。
-
タレット・アーチ
-
ここでまたノース・ウインドウとサウス・ウインドウ。
-
タレット・アーチから大分離れました。
-
さらに離れてタレット・アーチ、ズームイン。
-
駐車場に近づいてきました。
北方の風景です。 -
駐車場を通り越して、トレイルを北西に進みます。
ダブル・アーチが見えてきました。 -
途中にあったダブル・アーチ(Double Arch)の説明板
右上黒地に白字の説明
「ダブル・アーチを詳しく見るには、この簡単なトレイルを歩き、そびえ立つアーチの下に立ってください。 そこから見上げると、かつてはポットホール(pothole、甌穴)だったものの縁が見え、今は空に向かって開いています。」
写真左上の説明
「ダブル・アーチでは、3つの主要な開口部が並行して拡大しています。 それらはすべて、1つのポットホール・アーチとして始まりました。」
写真右上の説明
「公園で3番目に大きいアーチであるダブル・アーチの大きい方の開口部は、幅144 feet、高さ112 feet(44 x 34 m^2)です。 小さい方の開口部は、幅67 feet、高さ86 feet(20 x 26 m^2)です。」
右下イラストの説明
左
「ポットホール・アーチの形成
ポットホール・アーチは、崖上部の窪みとして始まります。」
中
「そこに水がたまり、ポットホールをゆっくりと深くします。 時間が経つにつれて、水が崖面に浸透し、アルコーブ(alcove、壁面の一部を後退させてつくった窪み状の部分=崖面の窪み)を形成します。」
右
「最終的に、拡大するポットホールが拡大するアルコーブ上部と出会い、開口部が作成されます。 侵食が続くにつれてアーチが発達します。」 -
ダブル・アーチに向かって進みます。
-
近づいてきましたねえ、ダブル・アーチ。
-
さらに近づいて見上げたダブル・アーチ。
-
真下から見上げた手前(南南東側)のアーチ。
-
奥のアーチ(西側)の下まで岩を上って見た、南東方向(今来た方向)。
-
下から見上げた奥のアーチ。
-
アーチしたのウインドウから見た西側の風景。
なんせこのアーチの西側は絶壁になっているので、足が震えます。
左に見える道路は来るとき通って来たザ・ウインドウズ・ドーロです。
今日の見学はこれで終わり。
またあの道路も含めてさっき来た道をUS 191まで戻り、南下して今日はモアブ バレーイン(Moab Valley Inn)に宿泊です。
付録
アーチーズ国立公園
1.地理 -
この公園はキャニオンランズ国立公園(https://4travel.jp/travelogue/11668657)と同様、ユタ州、コロラド州、アリゾナ州、ニューメキシコ州にまたがるグランドサークルユタ州内のコロラド高原(図の青線で囲んだ部分、https://4travel.jp/travelogue/11546130の付録1参照)にあって、ユタ州とコロラド州にまたがるパラドックス盆地(図の黄線で囲んだ部分)北部にあり、キャニオンランズ国立公園(図の黄緑色で塗りつぶした部分)の北東(図の緑色で塗りつぶした部分)約20 km(最近接距離)に位置します。
-
公園の拡大図で、上が北です。緑色で囲まれた部分がアーチーズ国立公園です。公園の南側境界はコロラド川(Colorado River)、総面積は310.31 km^2(31,031 ha)で鳥取県の約9割に相当します。赤字で示した場所については、以下で説明します。
2.地質
アーチーズ国立公園には、世界で最も岩のアーチが集中しており、2,000を超える天然の砂岩のアーチがあります。 ほとんどのアーチはエントラーダ砂岩(Entrada Sandstone)のスリック・ロック・メンバー(Slick Rock Member)を主に、カーメル層(Carmel Formation)のデューイ・ブリッジ メンバー(Dewey Bridge Member)、カーティス層(Curtis Formation)のモアブ・トング・メンバー(Moab Tongue Member)から形成されています。 アーチに加えて、アーチーズ国立公園には、バランス・ロック、褶曲、石化した砂丘の平原、深く狭い峡谷の迷路の並外れた集まりがあります。
これら岩の驚異の形成に関する複雑な3億年の物語は、強力な地殻運動、海退と海進による多量の塩を含んだパラドックス層(塩床、ペンシルバニア紀中期~三畳紀後期、約3億~2億2280万年前)およびその他の堆積物(ペンシルバニア紀中期~白亜紀後期、約3億から7000万年前)による地層の形成、ならびに新生代第三紀(約6500万年~200万年前)に起きたララマイド造山運動(https://4travel.jp/travelogue/11446239付録1参照)とこれによるコロラド高原の隆起((https://4travel.jp/travelogue/11546130付録1.参照)、塩の溶解と移動(ソルトテクトニクス、Salt Tectonics)による地層の褶曲と断層の形成、そして最後に新生代第四紀(過去200万年)の侵食と塩の溶解が含まれます。中でも、アーチーズ国立公園の景観形成で最も特徴的な要因はソルトテクトニクスです。
アーチーズ国立公園の地層は同じコロラド高原のパラドックス盆地にあることから、キャニオンランズ国立公園(https://4travel.jp/travelogue/11668657の付録参照)と基本的に同じです。ここではその地層を基に、ソルトテクトニクスを用いてアーチーズ国立公園の代表的な構造物を説明します。
Salt Valley
(1)ソルトバレー(Salt Valley)
ソルトバレーはアーチーズ国立公園北西端の北西約5 km付近から南東に延びる平均幅約3 km長さ約25 kmの広大な谷です。 -
この図はソルトバレーが形成されるまでの鳥観図です。
(a)
先カンブリア紀の基盤岩(Basement Rock)の上にある多量の塩を含んで低密度・低硬度のパラドックス層(Saltと書かれた部分)は、その上にある岩層の重さによる圧力で中生代には氷河のように岩盤に沿って流れました。流れが断層(Fault)に遭遇したところで、パラドックス層は上向きに膨らみ、地層を押し上げて背斜(上向きの褶曲、岩塩ドームと言うこともあります)を形成しました。この背斜の中心付近をソルト・コア(Salt Core)
と呼びます。
(b)
硬度が高くて曲がることができない上部の岩層には亀裂が入りました。 亀裂から雨水が塩のソルト・コアに浸透し、コア部が溶解しました(Dissolving Salt)。
(c)
コアの支えがなくなった上の岩は新生代第三紀に崩壊し、ソルトバレーができました。谷の端に沿った岩は、谷の長手方向に亀裂(Cracks)が入りました。 侵食によってこれらの亀裂は拡大し、たくさんのフィンが形成されました。これらのフィンはソルトバレー北東端のデビルズ・ガーデン(Devils Garden)やフェアリー・ファーネス(Fiery Furnace)、南西端のクロンダイク・ブラフス(Klondike Bluffs)、ハーディーナ・パーク(Herdina Park)に見られます。 侵食の過程は、現在も谷の風光明媚な景観を作り続けています。
(2)モアブ断層(Moab Fault)
モアブ断層は、ビジターセンターの北西約25 km付近からビジターセンターのすぐ南を通って南東に延びる長さ約45 kmの断層で、モアブバレー(Moab Valley、モアブキャニオン(Moab Canyon))の中央を通り抜けてモアブ-スペインバレー(Moab-Spanish Valley)に達しています。 モアブ断層の北東側の岩石のブロックは、南西側のブロックに比べて下がっており、最大変位は約960 mです。 -
この図はモアブ断層の断面示したもので、左が南西、右が北東です。
ソルトバレーと同様、先カンブリア紀の基盤岩の上にあるパラドックス層は、その上にある岩層の重さによる圧力で基盤岩に沿って左に流れました。この流れが断層に遭遇したところで、上方に向きを変えて岩層を押し上げ、背斜を形成しました。この流れによって空いた空間に上部岩層が落ち込み、断層が形成されました。この過程は三畳紀から第三紀初期にかけて起こり、ジュラ紀中期から少なくとも白亜紀中期まで休憩して、8,000~5,500万年前頃に起きたララマイド造山運動(https://4travel.jp/travelogue/11446239付録1参照)の間に塩の動きが再開して継続しました。
(3)ウインドウズ・セクションの地形
この地域はソルトバレーの南西端より南西に4 km程離れており、アーチやフィン等の成因はソルトバレー両端のものと若干異なります。この地域にあって、アーチーズ国立公園では最高標高(1,723 m)となるのエレファント・ビュート(Elephant Butte)の頂上を通って北西から南東に延びる断層は、その南西側が高く、北東側が低くなっていて成因はモアブ断層と基本的に同じです。ただモアブ断層と異なってこの背斜にはエントラーダ砂岩が残されており、断層南西部の高台にあるこの砂岩にひび割れが発生して侵食され、ノース・ウインドウ、サウス・ウインドウ、タレット・アーチ、ダブル・アーチ等の有名な岩が形成されました。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
アーチーズ国立公園周辺(アメリカ) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
89