2019/06/23 - 2019/06/23
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グランドサークル(The Grand Circle)西部、ユタ州(State of Utah)南西部に位置するブライス・キャニオン国立公園(Bryce Canyon National Park)に行って来ました。この公園はアンフィシアター(Amphitheater、「円形劇場、円形闘技場」、「円形谷」)と呼ばれる、円形の窪地が南北に連なっており、面積は145 km2です。私たちはこの中で、フードゥー(hoodoo、岩柱)、フィン(fin、鉛直独立壁)、その他の美しい岩で埋め尽くされたブライス・アンフィシアター(Bryce Amphitheater)と呼ばれるアンフィシアターを、その周囲を巡るリム・トレイル(Rim Trail)、および内部まで下りるナバホ・ループ・トレイル(Navajo Loop Trail)から見学しました。
付録に、1.ブライス・キャニオンの地質学的歴史を記載しましたので、お時間とご興味のある方はご覧ください。
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ユタ州(State of Utah)はブライス(Bryce)の宿泊ホテル:ベスト ウエスタン プラス ルビーズ イン(Best Western Plus Ruby's Inn)の朝。
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出発まで15分程時間があるので、近くをお散歩。
小さいけど綺麗な池があります。
快晴だね。雲一つない。 -
9:00、ホテル出発。
ユタ州ハイウェイ63号線(Utah State Route 63 , SR-63)をブライス・キャニオン国立公園に向かって南下します。 -
15分ほど(約7 km)でブライス・キャニオン国立公園のブライス・アンフィシアター(Bryce Amphitheater、” Amphitheater”は「円形劇場、円形闘技場」の意です。詳細は付録3をご覧ください)の西縁にある、標高2,450 mのインスピレーション・ポイント(Inspiration Point)駐車場に着きました。
駐車場脇の説明板です。
「インスピレーション・ポイントは、言葉では言い表せないほどの美しい景観をもって観察者に報います。新しい眺望を発見するために、3ヶ所*) すべての見晴台を探索してください。より高いポイントでは、キャニオンのより優れた景観を見ることができます。」
―中央の説明文の意訳―
*) インスピレーション・ポイントは北から、ローワー・インスピレーション・ポイント(Lower Inspiration Point )、ミッド・インスピレーション・ポイント(Mid Inspiration Point )、アッパー・インスピレーション・ポイント(Upper Inspiration Point )の3ヶ所があります。
「リム・トレイル沿って、さまざまな色と形の石を見ることができます。インスピレーション・ポイントからサンセット・ポイントまでの0.7マイル(1.1 km)の部分では、サイレント・シティ(Silent City、静寂な街)*)、カテドラル(Cathedral、大聖堂)*)、ウォール・オブ・ウィンドー(Wall of Windows、窓のある壁)*)、ウォール・ストリート(Wall Street、壁の間の通り*))等を垣間見ることができます。」
―左側の説明文の意訳―
*) これらは岩につけられた名称です。
「あなたは知ってましたか?
インディアン・ディック(Indian Dick)という名前の年配のパイユート(Paiute)*)は、ブライス・キャニオンがどのように形成されたかを記述しています。
インディアンが登場する前、伝説の人々がこの場所に住んでいました。彼らは多くの種類鳥、動物、トカゲなどでしたが、自分自身を人間のように見せるための力を持っていました。何らかの理由で、伝説の人々は邪悪だったので、コヨーテは彼らをすべて岩に変えました。あなたは今、その場所ですべて岩になった彼らを見ることができます。並んでいる人もいれば、座っている人もいれば、他の人をつかんでいる人もいます。岩になる前と同じように、ペンキを塗った彼らの顔を見ることもできます。」
―左側の説明文の意訳―
*) 北米先住民族の一部族(の人) -
駐車場脇にあったブライス・キャニオン国立公園のこの付近の地図です。
左が北です。
黒地に白抜きで”You Are Here”と書かれている部分が現在地です。
赤い実線はブライス・キャニオン共用遊歩道(Bryce Canyon Shared Use Path)で、私たちが今日見学する部分はサンセット・ポイントまでのごく一部です。
右下のグラフは遊歩道に沿った標高を示しています。 -
駐車場から東に上って、ポンソーガント台地のブライス・アンフィシアター側縁にある、標高2,484 mのローワー・インスピレーション・ポイントに出ました。
ブライス・アンフィシアター北側。
アンフィシアターはフードゥー(hoodoo、岩柱)、フィン(fin、鉛直独立壁)、その他の美しい岩で埋め尽くされています。
左の崖はピンク・クリフ(Pink Cliffs)です。
以下しばらくこのポイントからの写真を示します。
岩の形や色については付録3.を参照してください。 -
ブライス・アンフィシアターのパノラマ写真。当然のことながら、異なる水平位置間の方位の関係は実際と大きく異なります。
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フードゥー、ズームイン。
左側に上が平で木が生えた高台があります。 -
崖側のフードゥー達。
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東側の風景。
こちらにはフィンもありますね。
白くて固い石灰岩が上に載って、下の岩をフロスト・ウェッジング(frost wedging)と呼ばれる凍結風化から守っています。
詳細は付録3.を参照してください。 -
南に上って標高2,493 mのミッド・インスピレーション・ポイントにやって来ました。
ブライス・アンフィシアターの北側。
以下カメラを右(東)振っていきます。 -
ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
このへんの白い岩は石灰岩ですか。 -
ブライス・アンフィシアター。
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まとめてパノラマ撮影で。
ブライス・アンフィシアター。 -
ミッド・インスピレーション・ポイントを離れて少し南に移動しました。
南側の高台にアッパー・インスピレーション・ポイントが見えます。 -
さらに少し南に移動して分岐点にやってきました。
案内板です。
右(東)に行くとアッパー・インスピレーション・ポイント、左(南)に行くとブライス・ポイント(Bryce Point)ですか。 -
分岐点から見た東側の風景。
左の岩の上がアッパー・インスピレーション・ポイントです。 -
ポンソーガント台地から東北東に飛び出した岩上にある、標高2,520 mのアッパー・インスピレーション・ポイントの先端にやって来ました。
ブライス・アンフィシアターの北側。
以下カメラを右(東)振っていきます。 -
ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアターの崖:ピンク・クリフ。
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以下、アッパー・インスピレーション・ポイントから撮影したズームイン写真を示します。
ブライス・アンフィシアター。 -
ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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鳥が飛んでいますねえ。
羽の形、色からしてハヤブサの一種と思います。 -
アッパー・インスピレーション・ポイントを出て北に引きかえし、ローワー・インスピレーション・ポイント北に越えた位置から見たブライス・アンフィシアターです。
この後は写真を撮りながらリム・トレイルをサンセット・ポイント(Sunset Point)に向かいます。 -
ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
右上の一番高い所から飛び出している岩の上がさっきまでいたアッパー・インスピレーション・ポイントです。 -
ブライス・アンフィシアター。
このあたりから、リム・トレイルは徐々に東側に向きを変えて行きます。 -
ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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標高2,438 mのサンセット・ポイントにやってきました。
案内図です。
北は斜め左上、南北および東西方向に繋がった青の実線がブライス・キャニオン国立公園の境界、ライトブルーはポンソーガント台地(Paunsaugunt Plateau)、薄いベージュとピンクがブライス・キャニオン、このうちピンクがブライス・アンフィシアターとなります。
現在地は黒地に白抜きで”YOU ARE HERE”と書かれた場所です。 -
ブライス・アンフィシアターの東側。
左下に見える白い遊歩道はブライス・アンフィシアターに下りるナバホ・ループ・トレイル(Navajo Loop Trail)です。後で下ります。
以下しばらくサンセット・ポイントからの風景です。 -
ブライス・アンフィシアター。
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パノラマ撮影したブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
右下に見えるジグザグに曲がった白い遊歩道はナバホ・ループ・トレイルです。 -
望遠でみたアッパー・インスピレーション・ポイント。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
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ブライス・アンフィシアター。
10:30、11:10にこの場所に再集合とのことで、一旦解散して自由行動。
私はナバホ・ループ・トレイルを下ります。 -
ブライス・アンフィシアター。
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中央の鉛直立つ岩はトール(ソー)のハンマー(Thor's hammer、”Thor”は雷・戦争等の神)です。後で横方から見た写真を示します。
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ナバホ・ループ・トレイル両側の岩。
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孔の空いた岩。
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フードゥー達。
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3姉妹(Three Sisters Hoodoo)。
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ブライス・アンフィシアター。
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トールのハンマーと3姉妹。
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トールのハンマー
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標高2,395 mまで、下りてきました。
ナバホ・ループ・トレイル両側の岩。 -
フードゥー達。
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ナバホ・ループ・トレイル脇に岩。
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フードゥー達。
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フィン。
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先が尖った岩。
泥岩ですかね。(付録3.を参照してください) -
ナバホ・ループ・トレイル下方。
まだまだ下ります。 -
さらに下って、ナバホ・ループ・トレイル上方。
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ナバホ・ループ・トレイル下方。
あの岩の間が暗くなっているあたりまで下りますかね。 -
岩の間を通り抜けられます。
ワール・ストリートです。 -
ワール・ストリートの向こう側が見えます。
ツアーのメンバーは誰もついて来ないか。 -
見上げた岩。
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ナバホ・ループ・トレイル上方。
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ナバホ・ループ・トレイル前方のワール・ストリート。
この先は平坦になるようです。 -
ナバホ・ループ・トレイル上方。
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平坦なワール・ストリートを進みます。
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ワール・ストリート出口手前。
随分高い木が生えています。
パノラマ撮影で上部が曲がって見えますが、実際は真直ぐです。 -
ワール・ストリート出口。
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ワール・ストリートを出て振り返る。
高い木が2本生えています。
これもパノラマ撮影で上部が曲がって見えますが、実際は真直ぐです。 -
先に進みます。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
まだまだ先に進みます。 -
下から見上げた岩と木。
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今にも落ちそうな岩だ。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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下から見上げた岩と木。
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パノラマ撮影した、岩と木。
てなことをやっていたら、10:55、添乗員さんが「そろそろ集合時間になります。」と呼びにきました。
ここの標高は2,310 m。サンセット・ポイントから約130 m下りたってことですか。
帰りが大変だ。 -
ワール・ストリートを戻って見上げたナバホ・ループ・トレイル。
やっぱり大変だ。 -
11:08、サンセット・ポイントに戻りました。集合時間ぎりぎりですね。
それにしても13分で130 m上り切りました。私もまだまだいける。 -
サンセット・ポイントから見たブライス・アンフィシアター。
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最後にサンセット・ポイントから見たブライス・アンフィシアターのパノラマ写真。
これでブライス・キャニオン国立公園の見学は終わり、次の目的地に向かってバスで出発です。
付録
ブライス・キャニオンの地質学的歴史
ブライス・キャニオン国立公園はコロラド高原(Colorado Plateau)西部に位置し、この高原には今後旅行記執筆予定のグランド・キャニオン国立公園(Grand Canyon National Park)、ザイオン国立公園(Zion National Park)、キャニオンランズ国立公園(Canyonlands National Park)、アーチーズ国立公園(Arches National Park)、メサ・ヴェルデ国立公園 (Mesa Verde National Park)、モニュメント・バレー(Monument Valley)、フォー・コーナーズ(Four Corners)、アンテロープ・キャニオン(Antelope Canyon)、ホースシューベンド(Horseshoe Bend)がありますので、まずコロラド高原から順番に説明します。
1. コロラド高原
この高原はアメリカ西部の観光地域で有名な面積約43万km2(半径約370 km=230 mile、ウィキペディアはじめそれを盲信したネット記事の「半径230 km」は全て間違いです。)のグランドサークル(The Grand Circle)にスッポリ入ります。ブライス・キャニオン国立公園、ザイオン国立公園、キャニオンランズ国立公園、アーチーズ国立公園、モニュメント・バレー北部のあるユタ州(State of Utah)、メサ・ヴェルデ国立公園のあるコロラド州(State of Colorado)、グランド・キャニオンズ国立公園、モニュメント・バレー南部、アンテロープ・キャニオン、ホースシューベンドのあるアリゾナ州、それにニューメキシコ州(State of New Mexico)の4州にまたがっており、その面積は約34万 km2で、日本の面積の約9割(日本から九州を除いた面積)に及びます。
約6億年前の先カンブリア時代(Precanbrian、約5億4千万年前以前)末期、コロラド高原は現在の北アメリカ大陸より一回り小さい原始北アメリカ大陸の端に位置していました。この大陸はクラトン(craton)と呼ばれる先カンブリア時代にできた安定地殻でできており、当時は赤道付近にありました。古生代(Paleozoic Era、約5億4千万年前~約2億5千万年前)を通して、熱帯の海はコロラド高原地域に度々浸水し、約3億年に渡って石灰岩、砂岩、シルト岩、頁岩の厚い層が浅い海域に堆積し、また部分的には浸食によって除去されました。
約2億5千万年前にパンゲア超大陸の形成(https://4travel.jp/travelogue/11426175 付録1参照)と一致した大変動が始まり、この地域は一連の造山運動の影響を受け、それが北米西部を変形させ、大きな隆起を引き起こしました。これにより、古生代後期および中生代(Mesozoic Era、約2億5千万年前~約6500万年前)の多くの期間を通して海洋の堆積物が減少し、陸生堆積物が支配的になりました。火山山脈から西への噴火では、火山灰が広大な地域を埋めました。一方、隆起によって取り残された川、湖、および内海は、チンレ(Chinle)、モエナベ(Moenave)、カイエンタ(Kayenta)などの堆積層を形成しました。また、後に広大な砂漠がナバホ(Navajo)とテンプルキャップ(Temple Cap)層を形成し、海岸近くの乾燥した環境がカーメル(Carmel)を形成しました。
中生代の白亜紀(約1億~約6500年前)後期には、ユーラシア大陸と南北アメリカが南大西洋に沿って分離し(https://4travel.jp/travelogue/11446239付録1参照)、南北アメリカの西海岸で沈み込みが始まりました。これは後出のララマイド造山運動と呼ばれる-現代のロッキー山脈の成長の初期段階に相当しますが、これにより北極海の一部が北アメリカ西部を越えて南に移動し、やがて、南側がメキシコ湾と繋がって、白亜紀海路(Cretaceous Seaway、西部内陸海路(Western Interior Seaway))が形成され、この地域は再び暖かい浅い海に覆われていました。ダコタ砂岩(Dakota Sandstone)と熱帯頁岩(Tropic Shale)は、この進退する海路の暖かく浅い海に堆積しました。他のいくつかの地層も形成されましたが、2つの大きな隆起期間の後にほとんど侵食されました。
8,000~5,500万年前頃に起きたララマイド造山運動(https://4travel.jp/travelogue/11446239付録1参照)は、白亜紀海路を閉鎖し、コロラド高原地域を最大のブロックとして、モンタナ州からメキシコへの大きな地殻帯を隆起させました。コロラド州の衝上断層(上位の地層が下位の地層に対して緩い角度でずり上がった断層)は、堅固な地殻ブロックとして機能したコロラド高原のわずかな時計回りの動きから形成されたと考えられています。コロラド高原地域は、おそらくその相対的な厚さのために、単一のブロックとして大きく隆起しました。この相対的な厚さは、造山運動からの圧縮力がほとんどその地域を変形するのではなく、その地域を介して伝達された理由である可能性があります。先カンブリア時代の岩石に存在していた弱点は、圧縮によって利用され再活性化されました。これらの古代の断層や他の深く埋もれた構造に沿って、地域の比較的小さく緩やかに傾斜した屈曲部の多く(背斜、向斜、単斜など)が形成されました。
新生代(Cenozoic Era、約6500年前~現在)の始まりまで軽微な隆起が続き、いくつかの玄武岩質溶岩の噴火と軽度の変形がおこりました。ブライス・アンフィシアター(Bryce Amphitheater, ‘Amphitheater’ はもともとローマの「円形闘技場」の意ですが、今では「円形の谷」の意も持ちます。)やシーダー・ブレイクス(Cedar Breaks)の繊細なフードゥー(hoodoo、岩柱)を形成するカラフルなクラロン層(Claron Formation)は、その後、暁新世(Paleocene Epoch)から始新世(Eocene Epoch)にかけて(約6300万年~約4000万年前)冷たい小川や湖の底に堆積しました。
その後、コロラド高原は約1600万年前に再び隆起して異なる高原に分割され、それぞれが断層によって近隣から分離され、独自の隆起率を持っています。
2.グランド・ステアケース(Grand Staircase、「大段丘」の意)
1.で説明したように、コロラド高原は20億年以上にも渡って堆積した多くの地層からできています。これらの地層はコロラド高原西部で階段状に露出しており、グランド・ステアケースと呼ばれて直接見ることができますます。また、ブライス・キャニオン東部は面積約4,000 km2(指定当初の1996年は約7,600 km2)の「グランド・ステアケース=エスカランテ国定公園(The Grand Staircase-Escalante National Monument)に指定されています。ブライス・キャニオンからグランド・キャニオンに至る南北方向のこの様子は、断面も含んだ鳥瞰図としてWikipediaに載っていますが、著作件使用許諾が得られませんでしたので、ここに載せることはできません。興味がある方は
https://en.wikipedia.org/wiki/Grand_Staircase
をご覧ください。この地域は北のブライス・キャニオンが上部の高い所で標高約2,800 m、南に下ったザイオン国立公園の一番高い山が2,660 m、さらに南に下がったグランド・キャニオン国立公園の南縁(South Rim)が約2,300 mと、うねりながらもわずかに南に傾いていおり、この間に5つの明確な崖があります。これらの崖はその色から名前が付けられており、北から、ピンク・クリフ(Pink Cliffs)、グレイ・クリフ(Gray Cliffs)、ホワイト・クリフ(White Cliffs)、バーミリオン・クリフ(Vermillion Cliffs)、チョコレート・クリフ(Chocolate Cliffs)となります。ブライス・キャニオンの崖はピンク・クリフです。
3.ブライス・キャニオンの形成
上記1.記載の約1600万年前の隆起によって、同じく上記1.記載のクラロン層からなるポンソーガント台地(Paunsaugunt Plateau)には大小多くの鉛直方向の割れ目が形成されました。大きな割れ目には川が流れて岩を浸食し、時間が経つにつれて、台地の側面に深い溝の谷が形成されました。一方小さな割れ目に流れ込んだ雨水や雪解け水は夜間に凍結して、その体積が約9%増加した氷のくさびを形成し、割れ目を広げまました。このような現象は現在でも年間約200日間起こりますが、その繰り返しにより、最終的に岩は破壊されます。この現象はフロスト・ウェッジング(frost wedging)と呼ばれる凍結破砕作用の一種で、広くは機会的風化(Mechanical Weathering、物理的風化(physical weathering))作用に含まれます。このフロスト・ウェッジングによって破砕・落下した岩が地面に衝突すると、丸石サイズの破片に崩壊します。結果として生じる破片は、雪解け水、鉄砲水および重力によって押し流され、その一部は斜面を形成します。長年にわたるこのような浸食・風化作用によって、ポンソーガント台地の谷には大量のフィン(fin)と呼ばれる鉛直独立壁やそれがさらに風化したフードゥーと呼ばれる岩柱が残されて、現在のブライス・キャニオンが形成されていきました。
クラロン層を形成する岩層は、石灰岩、シルト岩、ドロマイト、泥岩の4種類ですが、各タイプの岩石は異なる速度で風化されます。風化に対する岩の抵抗は、側面の水平方向の縞が鉛直方向に波打つ形状のフィンやフードゥーの原因です。ドロマイト、石灰岩、シルト岩は非常に硬く、ほとんどの岩の最上部にあって保護キャップの役割を果たします。泥岩は、最も柔らかい岩であり、フィンやフードゥーの最上部にあっても非常に狭い面積を占めるだけです。
ブライス・キャニオンはピンクを基調とした美しい色をしていますが、これはクラロン層の各岩石に含まれる鉱物によります。白は石灰(Ca2CO3)に、茶色、ピンク、赤はヘマタイト(hematite、 Fe2O3)に、黄色は褐鉄鉱(limonite、FeO(OH)・nH2O、イエローストーンの名前の起源となる鉱物です。https://4travel.jp/travelogue/11521186 参照)に、紫色はパイロルサイト(pyrolusite、MnO2)に由来します。
ブライス・キャニオンはアンフィシアターが南北に連なった形状をしています。これは、このブライス・キャニオンが1本の川による浸食でできたものではなく、上記したように広い範囲にできた割れ目が雨水等で一様に浸食された(上流侵食、headward erosion)ことによります。”canyon”は「川の流れる1次元的な峡谷」は意味しますが、その意味でブライス・キャニオンは本来の意味での「キャニオン」ではありません。ブライス・キャニオン国立公園で最大のアンフィシアターは、東西約4 km、南北約3 km、深さ240 mのブライス・アンフィシアター(Bryce Amphitheater)です。
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この旅行記へのコメント (4)
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- take_it_easyさん 2019/10/09 15:36:22
- ロディオ
- bunbunさん
こんにちは。
1996年に家族を連れてブライスキャニオン、ザイオンへ出かけました。
凄い、読み応えのある大作です。
ナバホ・ループ・トレイル、暑くてヘトヘトになった事を思い出しました。
谷底のすーット伸びた木は健在なんだ。
僕もルビーズ・インに泊まりました。
近くの牧場で生ロディオを初めて観て、米国だ西部と喜んでいました。
いつもは、写真をパラパラと眺める事が多いが、ジックリと読ませて頂きました。
楽しい旅を続けてください。
take_it_easy
- bunbunさん からの返信 2019/10/09 21:33:29
- RE: ロディオ
- take_it_easyさん、こんばんは。
ご訪問、私の拙い旅行記への投票ありがとうございます。
そうでしたか。ブライスキャニオンはそれほど期待はしていなかったのですが、あまりに綺麗で感激しました。
私のツアーにロディオはついていませんでした。残念です。
私は何でも知りたい質で、海外旅行の場合、現地で入手した説明書、ネットの現地語説明、書籍等を読みまくり、論理的矛盾が無いように纏めて付録に載せます。最初の頃は本文中に入れていいましたが、ある時メンバーさんから、細か過ぎて読みにくいとのご指摘を頂きましたので、それ以来付録となりました。
この付録に関してはまれにメーバーさんからコメントを頂きますが、趣味で書いた部分までお読み頂けるのは、本当に嬉しいことです。
「奇石とレーシングカー / ダートムーア 1 UK2019/5/3-1」拝読しました。私は奇岩、遺跡、広大な風景は大好きです。まだ行ったことはありませんが、いつか行けたらと思います。
これからもtake_it_easyさんの旅行記を楽しみにしております。
take_it_easyさんも楽しい旅をお続けください。
bunbun
-
- もんちゃんさん 2019/10/03 22:40:41
- はじめまして。
- bunbunさま
はじめまして、もんちゃんと申します。
フォローしていただき、とても感激しております。
こんな光景みたことありません!!
まるで違う星のようです。
写真、解説、付録ともに何度も拝見したいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
- bunbunさん からの返信 2019/10/05 19:11:31
- RE: はじめまして。
- もんちゃんさん、こんばんは。はじめまして。
ご訪問、私の拙い旅行記への投票、フォローありがとうございます。
イエローストーンのカラフルな池を見ることは長年の夢でした。そんな折、昨年マダカスカルツアーでお世話になったユーラシア旅行社さんから届いたツアー冊子の中に、イエローストーンを含むアメリカ西部国立公園のツアーが載っていましたので即決しました。16日間のツアーで池の見学は2日目でしたが、あの池は私にとって最大の目玉でしたので、見終わった後はもう他の観光はどうでもいい、と思ったくらいです。ただその後も素晴らしい観光地の連続で、長いツアーでしたが行って本当に良かったと思っています。
私は西欧はかなり回っているつもりですが、ポルトガルにはまだ行ったことがありません。ヨーロッパの古い街並みやちょっとした日常の風景は大好きです。いつかポルトガルにも行ってみたいと思っています。
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
bunbun
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