京都・泉屋博古館と聖護院特別公開　＋　武徳殿と夷川発電所

2020/10/07 - 2020/10/07

住友家のコレクションである泉屋博古館に行ってきました。

東山の麓にあるとても落ち着く美術館でした。
実はバスの走る大通からそれほど離れていないのですが、この空間は別世界のように静かでした。

聖護院門跡の特別公開、さらに、旧武徳殿、夷川水力発電所も見学してきました。

エリア 下鴨・宝ヶ池・平安神宮(京都)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 徒歩

泉屋博古館は住友家が収集した美術工芸品を収蔵・展示する美術館で、京都東山の鹿ケ谷にあります。

泉屋博古館 美術館・博物館

空中に浮いたような建物です。１９７０年竣工。

設計は日建設計、施工は住友建設と鴻池組の共同体です。

泉屋博古館 美術館・博物館

中庭から見た美術館。直線的でシンプルな建物です。

泉屋博古館 美術館・博物館

東山を借景とした、静かで、解放感のある空間が広がります。

この地は元々住友家の別邸があったところなので、景色・環境がいい。

泉屋博古館 美術館・博物館

特別展は別館で開かれていました。

今回は龍、鳳凰、虎という吉兆をもたらすとされた動物たち（瑞獣というそうです）の美術品の展覧会でした。

泉屋博古館 美術館・博物館

鳳凰、龍、虎をモチーフとした様々な時代の青銅器、鏡、屏風、掛け軸などが、瑞獣ごとに展示されていました。（写真撮影は禁止。）

線刻仏諸尊鏡像という平安時代に日本で作られた鏡は国宝に指定されていました。
鏡面に細かい線で描かれた仏像は超絶技巧。

泉屋博古館 美術館・博物館

青銅器の常設コレクション展ですが、ボリュームから言えば、特別展よりこちらのほうが圧倒的。
主に第１５代住友家当主住友友純のコレクションです。
この友純という方は西園寺家から来た養子で、７代前が東山天皇で、５代前が現皇室の御祖先と兄弟という人物なので、もしかしたら皇室の男系の血筋の方がいらっしゃるかもしれませんね。

泉屋博古館 美術館・博物館

ロビーには須磨にあった住友家の別邸のミニチュアが展示してありました。

空襲で焼けてしまいましたが、門柱は今でも須磨の海岸に残っているそうです。

泉屋博古館 美術館・博物館

須磨の別邸は洋館だったようです。温室も見えますね。

泉屋博古館 美術館・博物館

展示室は写真撮影禁止でしたが、ロビーに置いてあるものは撮影可でした。

表面に線刻が施してあります。

泉屋博古館 美術館・博物館

美術館の横に「泉屋博古の庭」という静かな庭園がありました。

こちらは時間内なら誰でも散策することができます。

泉屋博古館 美術館・博物館

泉屋博古館と道路を隔ててあるのが住友有芳園で、一般には非公開です。

こちらでは年に一回、住友家と住友グループ企業の重役が一同に会して物故者の慰霊祭を行っています。
以前、テレビで、その様子を見たことがあります。

住友家はどちらかというと、実務は大番頭が取り仕切り、
特に明治以降は当主はあまり実務に携わることはなく、広瀬宰平や伊庭貞剛など、有能な総理事が運営を行いましたが、一方で、総理事はじめ社員は当主を敬い、それが
今に至るまで続いているとも言えます。

泉屋博古館を後にして、平安神宮の北側を西に向かって歩いていきました。あまりこのあたりは来たことがないのですが、御辰稲荷神社というのが鎮座していました。

辰＝達に通じ、何事でも「達成する」というご利益で信仰を集めている神社です。

御辰稲荷神社 寺・神社・教会

少し北に入ると交通安全の神様・須賀神社がありました。
縁結びにもご利益があるそうです。

須賀神社 寺・神社・教会

そして、聖護院の特別公開にやってきました。

聖護院門跡 寺・神社・教会

聖護院は門跡寺院ですが、光格天皇や孝明天皇（光格天皇の孫）が仮皇居とされたところなので「聖護院旧仮皇居」として史跡に指定されています。

聖護院旧仮皇居 名所・史跡

聖護院は、また、修験道の総本山ですが、明治時代に「修験道廃止令」というのが出ていたというのは今回ここを訪れて初めて知りました。
修験道は山岳信仰、自然崇拝といった神道と仏教が習合したものですが、やはり明治政府が考える「神道」とは相いれず、神仏分離を強制したのでしょう。

聖護院門跡 寺・神社・教会

宸殿前の砂庭は枯山水ではなく、修験道の修行の場なのだそうです。

聖護院門跡 寺・神社・教会

宸殿は狩野派の障壁画に囲まれさすがに華やかです。

聖護院門跡 寺・神社・教会

室内は撮影禁止ですが、ここのみ、写真ＯＫ。

聖護院門跡 寺・神社・教会

華やかな襖絵。

聖護院門跡 寺・神社・教会

宸殿の執務室であった場所に複数の不動明王像などが安置されていましたが、それらは明治時代に廃寺となり行き場を失ったものを引き取ったものだそうです。

聖護院門跡 寺・神社・教会

書院は御所より移されたものと伝えられている建物ですが、台風被害のために見学中止となっていました。展示してあった写真を見ると、江戸時代のものですが、何か
モダンな雰囲気のする設えでした。

聖護院門跡 寺・神社・教会

昼食を食べていなかったので、聖護院近くで通りかかった「泉輪」という喫茶店に

入りました。

ブルーのカーテンとイスがいい感じの喫茶店です。

喫茶泉輪 グルメ・レストラン

喫茶店ですが、定食のメニューが洋食屋並みに豊富！ハンバーグを注文しました。

ハンバーグは「肉を食べてる～」と、肉感が強くてすごくおいしかったです。
目玉焼き付きで、サラダもたっぷり。
ごちそうさまでした。

喫茶泉輪 グルメ・レストラン

次に訪れたのは、平安神宮の西側にある京都市武道センター＝旧武徳殿です。

武徳殿は、明治時代に日本の武道振興は図るために結成された大日本武徳会の道場として造られたものです。

設計者は京都府庁や京都ハリストス教会、大阪の武田薬品本社などを手掛けた松室重光です。

京都市武道センター 名所・史跡

戦後、武徳会はGHQより解散を命じられ、この建物も警察学校や学校施設として転用されるなど、紆余曲折を経たのち、保存決定され、現在では重要文化財に指定されています。

京都市武道センター 名所・史跡

車寄せ。

中には玉座もあるそうですが、開いていなかったので見られませんでした。

京都市武道センター 名所・史跡

南側から見たところ。
大規模な木造建築です。

南側は広くなっていますが、東西や北側は敷地に余裕がないため、引いて全体像を撮影ができません。

京都市武道センター 名所・史跡

武徳殿南門は、京都府庁内にあった京都守護職の御用屋敷の門を移築したものです。

京都市武道センター 名所・史跡

武徳館の見学を終えて出ると、気になる店構えが目に入りました。

LA VOITURE グルメ・レストラン

入ってみると、ここがタルトタタンで有名なラ・ヴァチュールだったんですね。

最初はそのまま、あとでヨーグルトをかけていただきました。

LA VOITURE グルメ・レストラン

最後に見学したのが琵琶湖疎水を利用した夷川発電所です。
琵琶湖疎水の発案者・北垣国通京都府知事の銅像が建てられています。

大正６年建設の煉瓦造りの夷川発電所は小さいながらも瀟洒な煉瓦造り。時代はちがいますが、煉瓦造りの水路閣や蹴上の発電所と合わせたのでしょうか。

現在も関西電力の現役の水力発電所として使用されています。

夷川船溜まりは水力発電のためのダムです。

先ほど見学してきた武徳殿の大日本武徳会の遊泳部が練習場としていた場所です。１９７０年まで使われたそうですから、それまでは水がきれいだったのでしょうね。
この遊泳部は戦後「京都踏水会」となりました。踏水会といえば、立ち泳ぎなどの日本古式泳法を連想してしまいますが、シンクロナイズドスイミングのオリンピック代表を輩出していることとは無縁ではないのかもしれません。

さきほどの船溜まりがダムで、そこから流れ出る水で発電を行っています。

これほどの落差で発電ができるの？と思いますが、、実際に見ると水の勢いはかなりありました。