Go To トラベルで日本の白地図を一気に埋める旅・熊本田原坂編

2020/10/24 - 2020/11/01

まとまった時間が出来たので、この期にGoToトラベルキャンペーンを使ってこれまで行ったことない都道府県を一気に回る計画を立てました。というわけで、今回白地図を埋めるのは九州。九州は過去3回訪れていますが福岡、長崎、佐賀しか上陸していないので残りを全て潰しに行きます。これを達成すると47都道府県で残るは秋田のみになります(旅行として訪れてないとか昔過ぎて旅行記が書けないとかで、４トラ的にはまだ埋まってない所もあります)。

まとまった時間が出来たと言っても限りはあるので、大分、宮崎、熊本、鹿児島の4県を1週間で駆け抜けるという毎度の如く鬼スケジュールに。

さらに、熊本城で見た西南戦争のイラストに急に取りつかれてしまい(https://4travel.jp/travelogue/11674652)、阿蘇での予定を短縮して熊本市内へ戻ることにしました。市内といっても中心部からかなり離れた田原坂、とにかく最終入館時間に間に合うように資料館へ急ぎます。

今回の旅程
10月24日　自宅→成田
10月25日　成田→福岡→熊本→阿蘇
10月26日　阿蘇→熊本　★いまここ　→鹿児島
10月27日　鹿児島→桜島→鹿児島→小林
10月28日　小林→宮崎
10月29日　宮崎→日南→宮崎→延岡
10月30日　延岡→高千穂峡→延岡→別府
10月31日　別府→福岡→成田
11月１日　成田→新宿→自宅

エリア 熊本市(熊本)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 3.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: タクシー JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

13:39阿蘇発の特急あそ号で14:47に熊本到着。15:15のローカル線発車までにさくっと昼食を済ませたい、けど、カフェとかコンビニじゃつまらないし…と、駅ビルにある寿司屋で馬刺しの握りを食べました。これ含めて3皿超特急で食べて在来線へ。

15:32、田原坂着。熊本から5駅で無人駅になっちゃう。

田原坂駅 駅

ここから資料館までは徒歩約30分。阿蘇山の山登りをして疲れている上、資料館は受付16:30までなので、ここはタクシーを使うことにしました。

田原坂駅 駅

車が来たので、駅前の急勾配を下ります。

田原坂駅 駅

タクシーは林の中の道から農道へ。時々下校中の小学生とすれ違う程度で、ひと気がありません。

田原坂公園に到着しました。

田原坂公園 公園・植物園

時間がないので資料館へ直行。資料館は有料(300円)で、イラスト展だけなら無料ですが、せっかくなので有料エリアも見ることにしました。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

遥か昔の日本史の授業と「るろうに剣心」の記憶しかない幕末から明治初期の歴史を一気に思い出します。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

熊本城で見たイラストは、この資料館で配布している「年刊田原坂」の表紙用にデザインしたオリジナルキャラクターだそうです。あとでじっくり読んだのですがこの冊子、毎回西南戦争を特定のテーマに沿って紹介していてかなり読み応えあります。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

五榜の掲示！って授業で出てきたなあ。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

合戦の陣形とか見るのはけっこう好きなのでこういう図は燃えます。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

手前が薩摩軍、奥が政府軍の衣装です。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

戦場でのごはん。おにぎりかなり大きいです。薩摩軍が「政府軍はロクなもん食ってないんだろ」と挑発したら握り飯が投げられてきたなんてエピソードも残っているらしい。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

資料館にある、戦場を再現した部屋です。両軍の陣地から様子を伺うことができるようになっています。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

この戦場再現ホールでは戦いの様子を再現したドラマが上映されているのですが、てっきり過去に放送された時代劇などを使っているのかなと思ったらあとで「年刊田原坂」読んだところ完全オリジナルでキャストは地元の素人さんらしく…草鞋の足音や刀のぶつかる音なども本物使って採音したらしく、その力の入れように脱帽。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

西南戦争では刀と銃器両方が使われました。今でも土の中から銃弾が見つかるとか。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

大砲も展示されています。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

西南戦争は日本最後の内戦であり、日本刀が実践で使われた最後の戦争でもあります。刀は鉄砲には勝てないとばかり思っていましたが、田原坂の戦いの初期は士族で構成される薩摩軍は斬り込み攻撃で政府軍に圧倒していたらしいです。政府軍が警視抜刀隊を派遣してから形勢が逆転したそうです。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

もちろん銃も活躍。最終的には政府軍の軍事力が薩摩軍を圧倒していきます。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

西南戦争時のエピソードを集めた展示。互いの屁で交戦した話とか、仮病で参戦しなかった話とか、人間臭くて良いです。西南戦争、遠い昔のようで、実はまだ実際に経験した人の話を直接聞いたことのある世代がギリギリ残っているくらいの年代なので、歴史書などには残らない小さなエピソードなども残っているのが面白いです。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

有料展示出口のところに熊本城で見たイケメンキャラのパネルが。このキャラクターは「山口雄吾」という名で、薩摩軍に数多く参加した少年兵たちのエピソードをモデルにしたオリジナルキャラクターだそうです。この資料館と「年刊田原坂」でしか展開していないようですが、長崎出身であのグラバー園のグラバーと日本人女性の間に生まれ西南戦争に参加、生き延びて後に長崎県知事になったというドラマチックな人生が設定されてます。その漫画描いて欲しい…。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

西南戦争に関わった色々な人の悲しいエピソードも紹介されています。展示は時期によって少しずつ変わっているようです。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

入り口には政府軍と薩摩軍の衣装着たくまモンがいます(笑)

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

有料ゾーン見終わったので、入り口ロビーでやっているイラスト展に移ります。「年刊田原坂」は刊を追うごとに表紙イラストの時系列が少しずつ進んでいくようになっており、オリジナルキャラクターと実在のキャラクターを織り交ぜたストーリーが展開されています。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

山口少年の衣装も様々なエピソードを元に少しずつ変わっていきます。着物は母親のお下がりだから女物という細かい設定を付けつつ、着物に洋服を羽織るのが流行った、袴を履くのをやめたなど実際に残っている記録も再現。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

窪田征巳郎という警視抜刀隊のキャラクター。元会津戦争の白虎隊員で、西南戦争では政府軍の抜刀隊として参戦し戦死した窪田重太という実在の人物がモデルだそう。それ知ったら会津にも興味出てしまったのでそのうち行くと思います…。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

小野暉久というキャラクターも面白い。従軍記者をしていた若き日の犬養毅がモデルだそうで、この小野を主人公にした冊子も出ています。政府軍の従軍記者として戦地に赴いた彼の視点から描かれながら実際の当時の新聞記事も多数紹介されて、史実とファンタジーが絶妙に折り混じったリアルなストーリーになっています。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

年刊田原坂の案内役は熊本出身の攘夷志士で幕末の四大人斬りのひとり、明治4年に処刑された河上彦斎。「るろうに剣心」の主人公剣心のモチーフになった人物でもあるそうです。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

幕末の絵なども展示されていました。この作家さん、他に作品無いのかな…。と後にいろいろ調べていたところこれらのイラストを描いた樫木成香さんは熊本市役所の臨時職員だそうで、え、プロじゃないの!?と驚き。更に調べていたら「ハクメイとミコチ」というファンタジー漫画を描いている樫木祐人先生の制作裏話などにアシスタントを務める妹さんが登場するらしく、この方(か、ご本人か)なのかなと予想しています。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

やたら熱心にイラストを見ていたせいか、資料館のスタッフさんが「普段は子供にしか配らないんだけど」と熊本の歴史上の人物をキャラクター化したシールをくれました(笑)

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

資料館の外には「弾痕の家」という建物があります。西南戦争の銃撃戦で無数の弾丸が当たった家を再現しているそうですが、現在はコロナ対策により外観しか見ることができません。

熊本市田原坂西南戦争資料館 美術館・博物館

帰りの電車は17:41発。資料館が17:00で閉まるので、30分の道のりなら間に合うし暗くなるまでももう少し時間がありそうだったので、帰りは歩いちゃうことにしました。

畑に囲まれた長閑な風景です。こんなところでたった140年前には生身の人間が斬り合い、撃ち合ってたんだな。

年刊田原坂に登場するような美少年は実在しなかったかもしれない、でも彼らのように威信を掛けて懸命に戦った少年たちがいて、その短い生涯にひとつひとつの物語があったんだろう。政府軍にも地元民にも、それぞれの物語があったんだろう。などと思いを馳せました。

歩きだと車の通れない細い道が最短ルートみたいなんですが、これが阿蘇山以上の急勾配のガチ山道。これは本当に敵が出て来そうです…。帰りは下りなので滑り落ちそうになりながら歩いていきましたが、行き、歩かなくて本当に良かった…。

ようやく平坦な道に出ました。

田原坂駅の向かいの畑をぐるっと囲むような小道があったので、そこを歩いて田原坂駅の全体像を撮ってみます。

田原坂駅 駅

今回は時間がなくて「馬上の美少年像」(少年兵をモデルにした像)も見れなかったので、「年刊田原坂」の次号が出たら、今度は田原坂のみに焦点を絞った旅行をしようかな…。

駅舎への坂道を登ります。

田原坂駅 駅

電車が来ました。無理やりねじ込んだ田原坂だけどちゃんと間に合って熊本まで帰ってこれました。むしろいまきん食堂に行くコースより早く熊本に帰ってこれたので、これから向かう鹿児島も夕飯に間に合う時間に着けるな(もともとの計画では21時過ぎる予定でした)。

田原坂駅 駅