2020/12/25 - 2020/12/31
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ばねおさん
コロナウイルスに翻弄された一年の終わり。
フランスの大晦日は Le réveillon de la Saint Sylvestre (サン・シルヴェストルのレヴェイヨン)と呼ばれ、夜を徹してご馳走を食べたり、ダンスをしたりして新年を祝うというのがステレオタイプだ。
パリでは例年であれば凱旋門に続くシャンゼリゼに繰り出す数十万人もの人たちのカウントダウンによる歓声と花火で新年を迎えるはずになるところ、今年は街に繰り出すことも、6人以上ので集まりも禁じられ、これまでとはまったく違う年越しとなった。
そんなことには我慢できないという人はどこにでもいるもので、どこかの地方では大倉庫に千人を超えるひとたちが集まりディスコに興じていたところを憲兵隊が踏み込み摘発されたというニュースが大々的に報じられた。
参加者はいずれもノーマスクだ。
フランス生活を始めて新年を迎えるのはこれで3度目となるが、1度目は日本に一時帰国、2度目はアルザスで過ごす予定が交通ストによって吹き飛び、そして今回だ。
生活や行動スタイルの変化を余儀なくされ、不自由なこともあるけれどウイルス感染の終息までは工夫して自分なりの生活を楽しむほかない。
2020年クリスマスから大晦日まで、道すがらに出会ったことのあれこれ
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
12月25日、クリスマス
この日、5区のMaubert - Mutualité まで行く用事があり徒歩で向かう。
約40分の行程だ。
ルクセンブルク公園の一画にあるSénat セナ(元老院)前を左折してオデオンへ
Sénatの玄関横には立派なツリーが据えられていた。
クリスマスということもあって、行き交う人や車は極端に少ない。 -
Maubert - Mutualité まで来たついでに、シテ島にも寄ってみた。
2019年12月の長期交通ストの最中、当時住んでいたアパルトマンから毎日片道1時間以上かけて歩いて通った時は辛かったが、今となっては懐かしさもある思い出でだ。
セーヌ河岸のモンテベロ通りに出ると、カモメが群舞していた。
人の往来が少ないことによるものなのか、先日はラスパイユ通りのマルシェの魚屋にカモメの一群が飛来していた。 -
シェイクスピア書店の前にも多くのカモメが低空で飛び交い、路上の鳩たちがまるですくんでいるような光景だ。
この由緒ある書店が、今経営難にあると聞いている。
何とか救えないものだろうか。 -
2020年7月のシェイクスピア・アンド・カンパニー書店の店先風景。
訪れる人もなく、観光客もいないためまことに閑散とした雰囲気であった -
シテ島へ渡りノートルダム大聖堂前の広場へ。
火災の修復工事は、2024年のオリンピックに間に合うように尖塔再建を目指しているが、途中でコロナウイルスによる作業の中断もあり、果たして予定通りとなるかどうか。
火災当時に組み立てられていた金属製の足場が高熱で熔解し、建物等に付着してしまたため、これの除去が大仕事であったそうだが、11月には除去作業が終了したとのこと。
焼失物の片付けと除去作業を終え、これからが本格的な再建工事に入ることになるのだろう。 -
クリスマスの時期には、大聖堂前には大きなツリーが据えられるのが長年の慣わしであったけれど、今年も見ることができない。
クリスマスの夜、せめて大聖堂だけでも見ようとするのか、Petit Pont から広場にかけては人影がやや多くなった。 -
2020年7月末の作業の様子
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観光名所ではないけれど、向かいにあるパリ警視庁もトリコロールにライトアップされていた。
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シテ島を後にし、サンミッシェル通り角のノートルダムホテル
一階のカフェは灯りがついているが営業している訳ではない。
勝手な推測だが、ここが真っ暗ではあまりにも寂しすぎる
せめて灯りだけでもという
何か心意気のようなものを感じる。 -
中世美術館の前を通り
サンジェルマン大通りを帰路につく
車は通るけれど、いたって静かな宵だ。 -
先日も通ったサンジェルマンデプレ教会横のマルシェ・ド・ノエル
すでに店仕舞いもされていた。 -
客はいないが
サンタが両手を広げてウエルカム
サンタさん、どうぞもうお休みください。 -
レンヌ通りから振り返ったサンジェルマンデプレ教会辺り。
街路の青いイルミネーションは医療従事者たちへの感謝の意味なのだろう -
ボンマルシェの前に来ると
11月には、幕が下ろされていたショーウインドが公開されていた。
今年の出し物は何だろう? -
ウインドウごとに変化がある。
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上のほうに表題らしき文字があり
どうやら今年のテーマは「もみの木」らしい -
子供は大喜びだが、大人だって楽しい。
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ボンマルシェよりはるかに規模の大きいギャラリー・ラファイエットやプランタンの今年の出し物も見てみたいが、わざわざ見に行くこともできない。
例年通り華麗なショーウィンドウなのか、それとも何かのメッセージを込めたデイスプレイになっているのだろうか。 -
12月31日、パリ15区役所近くの日本食材店まで買いものに
区役所は例年通りの飾りつけだが
敷地内に出店するクリスマス用品を売る小屋はなく、今年は取りやめたようだ。
日本ほどではないが、スーパーやチーズ、食肉、魚介類の専門店には年末の買い出し客がみられる。
そして店頭や路上には、いつもより数多くの物乞いが施しを求めている。
どこまでが本当の困窮者なのか、あるいはサイドビジネスなのか見分けは難しい。
スーパーFranprixの出口に陣取っていた物乞いと、高齢のマダムとのやりとりはちょっとおかしかった。
食べるものがないのでお恵みを、と書かれた札があり、買い物を終えて出てきたマダムが袋からパンを取り出して与えようとするのだが、物乞いはこれを固辞しているのだ。
この光景を翻訳すると、いいえパンは結構です、欲しいのはお金です、ということになろうか。 -
フランスはレバノンとの関係が深く、多くのレバノン人が住んでいるが
8月に起きたベイルート港での大爆発事故の時には
友愛と連帯を示すためか、区庁舎にレバノン国旗が掲げられていた -
街を歩くと必ずいくつか出会うのがウイルス検査のために設けられたテント。
予約不要で、誰もが無料で受けることができる。
検査の結果も数十分で知らされるようだ。
今ではすっかり街の風景のひとつになってしまった。 -
近くまできたので、お気に入りのパン屋 La Maison Pichard へ立ち寄りバゲットを購入。
モンパルナスへ引っ越ししてからは少し遠くなってしまったけれど、わざわざ足を運んでもよい店のひとつだ。
バゲットコンクールで優勝歴を持つここの美味しいバゲットは、何と1ユーロ。
他のパン類も値段が安くてうまい。
但し、店のマダムに愛想はなく、ただのやり手△△□。
その分を店員たちが頑張っている。
先日出かけたMaubert - Mutualité には メトロの近くにLa Maison d’Isabelleというパン屋がある。
この Pichard の息子が営んでいる店だとの話だが、真偽は不明。
Isabelle のほうはクロワッサンで優勝している。
自分も買った記憶はあるのだが、La Maison d’Isabelle の近くの LA PARISIENNE Saint Germain というパン屋のサンドウィッチ類が好きで通っていたので、味がどうであったか正直あまり印象に残っていない。 -
Pichard は、スイーツ類もかなり充実している。
ホールケーキに書かれた文字は
Joyeux Noël(メリークリスマス)に代わってBonne Année(新年おめでとう) -
モンパルナスへ戻り、近くの郵便局へ
局員がたったひとりで対応のため、いつまでも列が続く
郵便博物館も併設する大きな局なのに職員の多くが休暇に入ってしまったのか
こうしたところは、いかにもフランスだ -
今はどこの郵便局もこうした機械を置いて省力化を図っているのだが
誰もが操作に慣れているわけではない
隣の機械に向かっていたひとが、こちらに助けを求めてくるときが時々ある。
見渡すと局員がいない
分かることは教えるが、こちらもいつも分かるとは限らない
それ以上に、何が分からないのか分からないこともある。
機械の上部にある計量スペースに郵便物を乗せ、普通/書留、市内/国内/海外などの選択ボタンを押すと自動的に計算して、精算後に切手がでてくる仕組みなのだが、日本の迅速に反応する機器を知っていると、いかにももどかしい。
先日、書留を利用したら手書き記入の代わりに綺麗に印字されたシートが出力されて、ああ便利だと思ったのだが、なんと差し出す封筒よりシートが大きかった。
この場合はどうするの?
局員の答えは簡単だった。
何を迷っているの
こうすればよい、と言ってシートで封筒を包んでみせた。
ああこれもまた、いかにもフランスだ。 -
年末最後の買い物は花屋になった。
店頭にはスイセン、マツユキソウ、チューリップなどの球根も並べられ
春の芽吹きを楽しみに、ということか。 -
多くの花の種類を期待できないこの時期に、店の一番の押しはRose Avalanche。
クリーミーでとても上品なバラだ
でも、これだと何か物足りない
上品すぎて自分には不釣り合いと言うべきか -
選んだのはミモザ
桶に投げ入れられていた最後の一束に残りをおまけしてくれた。
水揚げの悪いこの花は、すぐに花玉がしぼんでしまうけれど
部屋を明るくし、気分を高揚させてくれる
飾ってみたら、ほらこの通り。 -
さて、いよいよ大晦日の夜
モンパルナスと対面するモンマルトルの丘
ライトアップされたサクレクールはいつも通りの静かな佇まい。
ゆく年くる年の鐘が鳴るわけでもない。 -
向かいのアパルトマンでは、部屋部屋でさまざまな過ごし方をしている。
パリではどこでもそうだが、ほとんどの部屋はカーテンがあっても開いたままであることが多く、見ようとせずとも生活が見えてしまう。
見ても見られても気にしないというスタイルに慣れてくると、日本のようにきっちりカーテンを閉じるという生活が何だか妙にさえ感じ始めてしまっている。
そして、いよいよカウントダウン
近隣のアパルトマンの窓やバルコニーに住民たちが顔を出し、一斉に声を揃えて数え始めた。
隣の建物のマダムがこちらにシャンパングラスを差し出して Bonne Année !(新年おめでとう)と挨拶。
こちらもあわてて Bonne Année ! を返した。
至る所でBonne Année ! が聞こえる。
本当に心から bonne année (良い年)をと祈らずにはいられない。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- rinnmamaさん 2021/03/22 14:13:27
- 初めまして
- ばねおさん、こんにちは
突然、ご挨拶もせずにフォローさせて頂きまして、失礼をお許しください。
また、フォローも有難うございます。よろしくお願い致します。
ミモザが立派で黄色が華やかさを運んでくれて、このコロナ禍には元気が出てきますね。
日本でも春の到来を告げる花は黄色が多いと思います。
我が家の庭もマンサク・土佐水木・水仙が春だよ~と黄色の花を咲かせてくれます。
そのうちにピンク・白と華やかになり、新芽の葉っぱもこれからの時期ならです。
パリのクリスマスのウィンドウって、素敵で見事だと何時も思います。
アルザスのギャラリーラファイエットで眺めた、クリスマスウィンドウを今も覚えています。フランスのディスプレイは見惚れます。
フランスパン・・1ユーロ^^)香りがこちらまで届けられ気分で幸せでした。
日本は見切り発車のごとく、21日に緊急事態宣言が全ての解除されました。
基本的に誰のせいでもなく自分で自身の身を守るしかないのですが、パリは街角に無料の検査所があること自体が、日本とは隔世の感があり過ぎて、我慢も限界と皆が思ってしまう部分の気がしています。せめて検査はしたいのに、出来る体制が何時までも構築されず、不満の方が膨らんでいく日々です。
何時になったら大好きな欧州に行けるかと思いながら、今年もひとつ年を重ねてしまいました。
パリも日本人に対して(アジア人かも)嫌がらせなど有るようですので、どうぞ、お気をつけてお過ごしくださいませ。
rinnmama
- ばねおさん からの返信 2021/03/23 06:57:27
- RE: 初めまして
- rinnmamaさん こんにちは
フォローとコメントをいただきありがとうございます。
「還暦すぎのUK留学」拝読し、勇気あることと感心いたしました。
年齢にかかわりなく、志を立て、思いを遂げるということはなかなか容易ではありませんが、出会った困難も過ぎてしまえば次の勇気に結びついていますね。
南仏のミモザは1月にはパリの花屋の店頭に大量に現れますが、とても気持ちを晴れやかにさせてくれる存在です。
> 我が家の庭もマンサク・土佐水木・水仙が春だよ?と黄色の花を咲かせてくれます。
> そのうちにピンク・白と華やかになり、新芽の葉っぱもこれからの時期ならです。
素敵なお庭の情景が目に浮かぶようです。
パリの公園ではクロッカスが芽を出し、黄スイセンが至る所に咲いています。
桜も見頃を迎えているだろうとは思うのですが、3月20日からの第3次外出規制の下ではやはり出歩くことを控えざるを得ません。
> 日本は見切り発車のごとく、21日に緊急事態宣言が全ての解除されました。
> 基本的に誰のせいでもなく自分で自身の身を守るしかないのですが、パリは街角に無料の検査所があること自体が、日本とは隔世の感があり過ぎて、我慢も限界と皆が思ってしまう部分の気がしています。せめて検査はしたいのに、出来る体制が何時までも構築されず、不満の方が膨らんでいく日々です。
たしかに検査の態勢は整っていますが、日本と比べると2桁多い数字が新規感染者として日々発生しています。
検査件数に比例していることもあるでしょうが、やはり絶対数が多いのは事実で、その理由、原因もいろいろ取り沙汰されていますが、ウイルス拡散についてはやはり個々の意識と行動にかかっていると思うのです。
フランスではウイルスの変異種の割合が高く、さらには検査をすり抜ける新たな変異種まで出現したということで、まさに人類とウイルスの戦いです。
> 何時になったら大好きな欧州に行けるかと思いながら、今年もひとつ年を重ねてしまいました。
ワクチンでウイルスの抑え込みができるのかどうかも含め、本当に先が見通せない状況ですね。若ければ将来の時間というものに余裕が持てたのですが、年齢は待ったをしてくれないので困ります。
パリも日本人に対して(アジア人かも)嫌がらせなど有るようですので、どうぞ、お気をつけてお過ごしくださいませ。
ありがとうございます。
幸いこれまでにあからさまな嫌がらせ等は受けたことはないのですが、気を付けてまいりたいと思います。
rinnmamaさんもどうかお元気で
次の欧州行きが早く実現できますように
ばねお
-
- マイレージユリコさん 2021/01/05 21:24:27
- パリの匂いがして来そうです
- 初めまして、こんにちは。
リアルなパリの状況、いつも興味深く拝見しています。
(行く予定などありませんが…)
美術関係のお仕事、、、なのでしょうか。
とてもお詳しく、勉強になります。
パリは大好きで、もう7~8回くらいでしょうか、伺っていますが、
本当に上っ面の観光旅行ばかりで旅行記を見られる事が恥ずかしいです。
日本もいよいよ再度の緊急事態宣言のようです。
まあ、ヨーロッパのような厳しいものではないでしょうけど…
旅行がキャンセルになってマイルがどんどん戻って来ています。
収束したパリへそのマイルでゆっくりと行きたいと、
キラキラしたエッフェル塔をみてしみじみ思いした。
その時は是非、美味しいレストランを教えて下さいね。
早くその日が来ますように…
お互い感染に気を付けて乗り切りましょう。
- ばねおさん からの返信 2021/01/06 03:33:38
- RE: パリの匂いがして来そうです
- マイレージユリコさん、こんにちは
コメントをお寄せいただきありがとうございます。
パリの一隅に身を置いていると、日々の小さな移動でも新たな出会いや発見があり、ご覧いただいたような生活日誌のような内容を綴っております。
> パリは大好きで、もう7?8回くらいでしょうか、伺っていますが、
> 本当に上っ面の観光旅行ばかりで旅行記を見られる事が恥ずかしいです。
何度も訪問した場所であっても、出来事や印象がまったく同じということにはならないでしょうから、その時の思いを書き留めるだけで十分ではないでしょうか。
> 日本もいよいよ再度の緊急事態宣言のようです。
> まあ、ヨーロッパのような厳しいものではないでしょうけど…
いよいよ、あるいはようやくと申すべきか、再びの緊急事態宣言ですね。
もっとも、事態はとっくに緊急状態になっていると思いますが。
これによって感染が抑止され、事態が好転すればよいですが、どうでしょうか
> 旅行がキャンセルになってマイルがどんどん戻って来ています。
> 収束したパリへそのマイルでゆっくりと行きたいと、
> キラキラしたエッフェル塔をみてしみじみ思いした。
マイルを使っての上質な旅が期待できそうですね。
いずれは実現するその時に備えて素敵な計画をお立てください。
頑張りましょう。
ばねお
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