2020/11/13 - 2020/11/13
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ちいちゃんさん
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数年前に手に入れた、中尊寺の秘仏「一字金輪仏頂尊」を描いた日本画。
秘仏、なんてミステリアスな響き。
国宝指定の文化財があふれている中尊寺で、ご本尊でもない「一時金輪仏頂尊」がなぜ秘仏として大事にされ、めったに一般公開されないのかもやもやとした気持ちを抱えていました。
自分のもやもやを鎮め私なりの納得をしたいと平泉へと向かいます。海外旅行がままならない今の状況だから旅心をなだめるためでもあるんだけど。といっても高速を使って1時間ちょっとの旅。それほど気になっていたならもっと早く行けばいいのにという突っ込みは聞き流します。
NHKの土曜ドラマ「ノース・ライト」に登場した「タウトの椅子」をデザインした建築家ブルーノ・タウト、独特の感性と美意識の持ち主。日本にいる間あちこちに旅をしたようで平泉の中尊寺にも訪れています。京都や奈良の建造物とは違う趣に感動していた様子で、覆い堂に覆われた金色堂を胡桃の殻に囲まれた核と表現し、能舞台を簡素極まりなく洗練された建造物と評しています。平泉は東北の小さな町、タウトが訪れた1930年代とあまり変わらない形で今も目の前に広がっているような気がします。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
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町営第一駐車場から目の前に伸びる月見坂を登ります。駐車料金400円、時間制限はありません。
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侮るなかれ、月見坂と言う風流な名前のわりに結構な急坂。
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寒くなったから人出は少ないだろうと思っていたけど
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県内の多くの学校がコロナの影響で修学旅行の行き先を平泉に変えたせいか引率の先生に連れられた生徒達とすれ違う。最近の若い人たちは歩き方に覇気がない。
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月見坂の途中に弁慶堂。
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お寺の数が多いのでお賽銭用にたくさん用意していったほうがいいかも。硬貨でも紙幣でも。
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色が薄めの紅葉を見上げながら坂道は続く。
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薬師堂
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平泉は穀倉地帯。奥州藤原氏を支えた財力は金の産出だけでなく豊な実りによるところも大きかったんじゃないかしら。
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菊まつりが開催されていて、こちらは小学生が丹精込めた作品。
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こちらは、さすがです。
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本堂に到着。ご本尊は阿弥陀如来。
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1105年、藤原清衡は前九年の役、後三年の役で犠牲になった人の霊を弔い、これからの奥州の平和を祈願するため中尊寺を建立。
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私が愛読するクロニック日本全史には奥州藤原氏の描写はサイドストーリーとしてほんの少し記述があるだけ、逆に想像を掻き立てられるわ。
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1189年に滅びるまで、藤原清衡以来4代泰衡まで続いた奥州藤原氏。
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兄、源頼朝に疎まれた義経、後白河法皇は1185年11月11日、義経追討の院宣を出した。同じ年に義経は挙兵するのだが摂津大物浦で負け戦となり逃げ延びようと諸国を転々としたのち…
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羽黒山へ下る山伏姿に身を変えて以前世話になった藤原秀衡の元へ北陸路を落ち延びてやってきたという。
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義経をかくまっていた秀衡が1187年に亡くなる。
1188年2月21日平泉の藤原氏に義経討伐の宜旨が下される。秀衡の子泰衡に攻められ1189年4月30日、義経は衣川で自害する。頼朝の追及に抗いきれない泰衡、奥州藤原氏を守るためとはいえ父親が客人としてもてなしていた義経を討つとはつらい決断だったでしょうね。 -
このとき義経に従う弁慶は敵を前に立ちふさがって殉じた。「弁慶の立ち往生」として知られる壮絶な最期。
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義経の首は酒に漬けられ鎌倉に送られたという。
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平泉は北に花開いた黄金の文化、これを背後の脅威と感じていた頼朝は義経の首だけではなく奥州藤原氏を討つため自ら28万4000騎を率いて出兵する。1189年7月19日鎌倉を出発し8月21日平泉到着。
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平泉を戦場にしたくない泰衡は戦うことを避けて北上するが、家臣の裏切りに会い1189年9月3日、殺される。義経のことは言いがかりとしか思えない頼朝様。なんだ結局、権勢を誇った奥州藤原氏が疎ましかっただけなのね。
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その頼朝も1199年1月13日に53歳で没する。前の年の12月27日に落馬したのが原因と言われているがはっきりした死因は語られていない。鎌倉から平泉まで馬でやってきた人が落馬ですか。
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11月の日差しは思いがけずまぶしい。
奥州藤原氏の繁栄と滅亡を見つめていた中尊寺。 -
梵鐘
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藤原氏が滅んだ後も信仰の力で維持されてきた。
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弁財天のそばには必ず水場がある。
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弁財天の池。散ってゆく葉が多くてもうすぐ雪
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そうそう、秘仏の謎を解かなきゃね。図々しさなら大阪のおばちゃんにも負けない自信がある私。スマホに保存した「一字金輪仏頂尊」の写真を開いて、優し気なお坊様を見つけて聞いちゃいます。刑事ドラマの聞き込みみたい。
ネットで検索すれば何でも出てくる時代だけど人から伝わる情報は血が通っていて温かいのよ。 -
結局分かったことは秘仏なのでめったに公開しないこと。中尊寺にとって大切な仏様であること。
藤原秀衡の念持仏と伝えられる一字金輪仏頂尊は「ボロン」と言う梵字で表される本質的なもので諸仏の頂点。悟りを開かないと聞こえない仏様の声が梵字一字で伝わるの?謎は深まるだけ。私ごときが理解できることじゃありません。 -
こちらで金色堂への入場券を購入。800円。
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金色堂の入場券で見学できるミュージアムというか宝物館は同じ建物
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「さんこうぞう」と読むみたい。清衡、秀衡、奥州藤原氏のお名前「衡」の字が入っていますね。撮影禁止です。
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こちらのお手洗い、お掃除が行き届いていて気持ちよく使用できます。
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こちらから有料エリア
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金色堂の須弥壇の中には清衡、基衡、秀衡、泰衡が安置されているということです。悪役として扱われることが多い泰衡、でもその苦悩を一番わかっていたのは当時の人たち。鎌倉へ送られたという首がどのように平泉に戻りこうして安置されているのかは、またもう一つの物語。
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金色堂へ向かう途中に宮沢賢治の詩碑。37年という短い生涯の中でも旅を楽しんでいた様子がうれしい。
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すっかり読めなくなった詩碑
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金色堂を覆う建物。1124年8月20日に完成した金色堂。地上の極楽「此土浄土」を実現しようとしたとか。奥州藤原氏の財力を示す大事業、完成まで20年かかったという。
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旧覆い堂。
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近くにある経堂
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芭蕉の句碑。五月雨の降り残してや光堂
光堂は五月雨が降っても輝いている、永遠に輝くということかしらね。平泉に一つの時代を作った奥州藤原氏、繁栄は長い歴史の中で一瞬だったけど今でも黄金の輝きは色あせていないという芭蕉からの手向けの言葉のように聞こえる。 -
名残の秋
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賑やかなところよりこういうひっそりした場所に惹かれる。
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こちらの門をくぐると
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能楽堂へ出ます。
廃藩置県以前は南部藩と伊達藩に分かれていた岩手県、今でも両文化の違いの名残があってネイティブ岩手人じゃない私には面白い。平泉は財政に余裕がある伊達藩の所領でした。 -
結構な山の上なのに見事な能舞台。
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演者さんも大変だったろうね。
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第一駐車場へ向かう手前にある武蔵坊弁慶のお墓。ここに弁慶が眠っているとは思わないけど、お墓を作って供養したくなる気持ちはよくわかる。
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悲劇として伝わる弁慶の物語だけど、一生この人に仕えたいと思う主に出会い最後まで全うするって、本望な生き方のような気がする。合掌。
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寒さの中野菊が咲いていました。
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昼食は駐車場を囲むように並んでいるお店の一つ、一関の酒造会社「世嬉の一酒造」の地ビールが楽しめるレストランです。
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コーヒーはたっぷりと注がれていて、美味しくいただきました。
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地ビールの飲み比べが楽しいという評判ですが、運転なので残念。食事の選択肢はあまりありません。失敗がなさそうなキーマカレーを頼みましたが、ちょっと酸味が強い。キーマカレーに合わせるにはご飯が柔らかめ。そして量も少ない。磯山さやかさんのサインが飾ってあったけど、高齢の私だって物足りないくらいだから磯山さんはきっと「えっ、まじこの量!」って思ったはず。
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さて秘仏の謎を解こうと中尊寺にやって来ましたが、桂材の寄木造りで彩色が施されているので展示による劣化を防ぐために秘仏として大切にお守りしているのではないかというのが私の結論。何の落ちもない。
実物を見たことはありませんが画像で拝見する仏様はほんのりと人肌色で、肩から腕に流れる曲線は実に美しい。秘仏としてプレミアをつけ、公開をもったいぶっているなんて、そんなこと思ったりはしません。
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この旅行記へのコメント (8)
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- ねんきん老人さん 2023/12/11 12:01:21
- 秘仏ってか?
- ちいちゃんさん、こんにちは。
いやはや、もろ歴史の世界に浸った一日でしたね。 一字金輪仏頂尊って、初めて見た文字で、読み方も分かりません。 仏頂尊という言葉だけは、「仏頂面」との繋がりで聞いていましたが、これまでどこのお寺でも拝観したことがなく、なんとなく仏頂面をした険しいご面相の仏様だと思っていました。 ちいちゃんさんのご旅行記を拝読して、慌ててWikipediaで調べましたら、優しいお顔の仏様なのですね。 まったく何も知らない死にぞこないジジイの我が身に腹だたしい思いです。
私のように、「秘仏」より「秘宝」に縁の深い凡俗には勿体ない世界のお話でした。
平泉の歴史についても深いご造詣で、私のようにスゲー、スゲーッと見て回るだけの観光客とは大違い、これまた我が身を恥じる次第です。
泰衡についても、私は己の身を慮るあまり父がかくまった義経を差し出した男としてイヤな印象を持っていたのですが、ちいちゃんさんは、その泰衡の内心について、同情を交えて捉えていらっしゃるのですね。 なるほど、そうだったのかと、これまた反省をしながら読み進みました。
泰衡の首は鎌倉まで行ったのですか? 知りませんでした。 私は藤原三大のミイラが全身残っているのに対して泰衡の遺体は首しかないこと、その首に刃物で切断されたような跡が残っていることの謎について東北大学の先生の講話をお聴きしましたが、それが鎌倉に運ばれたということはまったく知らず、他の3体に比べて粗略に扱われていたという印象だけを持っていました。
ただ、塩づけで運ばれた義経の首は鎌倉に着いたときには人相も分からないほど腐敗していたそうですが、泰衡の首のミイラを(写真で)見ると、ちゃんと人の顔になっていました。 いろいろと謎がありますね。
中尊寺は歴史の語り部としての存在ともいえる世界の宝。 その中尊寺まで高速1時間で着ける北山崎(?)にお住まいのちいちゃんさん。 やっぱり私などとは歴史の捉え方が違いますね。
私の住む木更津市にあるお寺といえば、「証城寺の狸ばやし」の証城寺ぐらいで、子供でも信じない作り話の舞台でしかありません。 アチャー!
ねんきん老人
- ちいちゃんさん からの返信 2023/12/17 16:00:48
- Re: 秘仏ってか?
- ねんきん老人さん、まず、お互い今年を超えられそうなことに感謝いたしましょう。それから訂正したいのは、以前私が住んでいる岩手県の北山崎という意味合いで申し上げたつもりだったんですけど……。何を隠そう、私の住まいはあの大谷翔平の母校、花巻東高校の花巻市です。
大谷選手のインタビューがあったその日、こちらでは栗山監督の講演会があり「花巻の皆さんは翔平のことを自分の子供のように思っているんでしょうね。1000億円、おめでとうございます」と笑いを取っていました。
私の歴史の知識なんて小学生並、というと小学生にも怒られるかも、すべて「クロニック日本全史」に頼っています。時に歴史の描写は限りなく残酷ですね。
夫が病を得てからの数年間は闘病生活が続きました。その間、なかなか実現できなかった家族旅行へ行ったり、子供たちが頻繁に訪れたりと以前には考えられないような時間を過ごしました。そのころ何が私をそうさせたのか自分でもわからないんですが、購入したのがこの仏画。今でも仏壇のそばに飾ってあります。中尊寺の秘仏ということなので実際にお目にかかることはできなかったのですが、絵の中の優しい微笑みに見入ってしまいます。
今度お宝鑑定団に出ようかしら。
ちいちゃん
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- 164-165さん 2021/01/22 15:59:26
- 中尊寺の秘仏「一字金輪仏頂尊」
- ちいちゃんさん こんにちは。
平泉に仕事で5ヶ月くらい出掛けていましたが、その時、節分に豆まきをするのに年男が足りないので、1万円で年男の代役をやりました。その時の舛は今でも仕舞ってあります。テレビにも流れました。懐かしい思い出です。
一応、建物等は廻って見学しましたが、世界遺産になるとは思わなかったですね。
ましてや、秘仏は全く知りませんでした。景色が素晴らしいですね。散歩したくなります。
【164-165】
- ちいちゃんさん からの返信 2021/01/23 10:06:12
- Re: 中尊寺の秘仏「一字金輪仏頂尊」
- 164-165さん、中尊寺の節分で、年男になって豆まきをするなんて榮譽、はなかなか巡り合えないからラッキーでしたね。成田山や中尊寺は必ず全国放映されるから、特別な感じがあると思います。ところで1万円はいただいたのか、それとも支払ったのか気になるところです。
秘仏の絵はカワトクでウン十万円で購入しました。日本画、しかも仏画には全然興味がないのに、ふらふらっとクレジットカード出していました。何かのお病気の症状かしら、あら、怖い。
旅行記進んでいますか?超大作になりそうということで、おやつなど用意して読むようにしますね。
ちいちゃん
- 164-165さん からの返信 2021/02/02 17:10:06
- Re: 中尊寺の秘仏「一字金輪仏頂尊」
- もちろん、一万円は支払いました。しかし、会社の交際費で処理してもらったので、助かりました。年男でもなかったので、人数合わせに頼まれたので、豆を拾った人には何のご利益もなかったでしょうね!
ウン十万円の日本画は飾ってあるのでしょうか?それとも金庫にでもしまってあるのでしょうか?気になりました。お孫さんが来たら、隠さないといけませんね。
【164-165】
- ちいちゃんさん からの返信 2021/02/02 17:50:45
- Re: 中尊寺の秘仏「一字金輪仏頂尊」
- 今年は節分の行事が中止になったところが多いんじゃないでしょうか。なんだか寂しいですね。元気なのは恵方巻を販売しているスーパーだけみたい。
家に金庫はないので、出しっぱなしで飾っていますよ。こういう有難~い仏様のお姿を日々拝める幸せに「乾杯!」と、なんでもお酒を飲むダシにしてしまいます。
ちいちゃん
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- ぽぽさん 2020/12/18 10:45:44
- 1日違いでした(^^)
- こんにちは
紫波町在住のぽぽです。
12日中尊寺訪れてました。ちいちゃんさんと1日違い。紅葉もギリギリ間に合い天気にも恵まれた週でした。
拝観しながら復習してから訪れたら良かったと少々後悔、県内だからすぐ来れるとおもいながらも前に来たのはいつ?近くて遠い世界遺産です。
カマキリが高いところにたまご産む時は大雪だよ。とおばあちゃんが話してました。
12月にこんなに雪降るなんて~!!
カマキリ占い?!当たりました☆
コロナ、雪、寒い…すっかり巣篭もり生活になってしまいました。ちぃちゃんのハワイ旅行記読んで妄想旅行に出掛けてきます(^^)
フォローさせて頂きました宜しくお願いします。
ぽぽ
- ちいちゃんさん からの返信 2020/12/19 16:59:57
- Re: 1日違いでした(^^)
- ぽぽさん、フォローといいねをありがとうございます。
ただ一言だけご忠告を、私は勤勉な4トラメンバーではないのでサイトを開けるのは週に数回、そのたびにアクセスが必要というトラベラーです。fuzzさんみたいに毎日4トラに出勤(笑、fuzzさん談)していないのでぽぽさんの旅行記に訪問するのが遅くなったりします。
私は花巻在住で、空港へは余裕を持っても15分で到着します。JAL派なのでできるだけ花巻空港発着で旅をしたいのですが、これが中途半端なパズルより難しい。
1日違いの中尊寺でしたか?僧侶を捕まえては何やら質問している怪しいおばあさんを見かけなかったのは幸いでした。あの時は思いがけず紅葉が美しくて、今の雪に覆われた中尊寺とは別世界ですね。ひと月ちょっとでこんなに景色の変化が楽しめる岩手、バンザイ
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