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◆第8便 松崎小学校15:54→修善寺駅17:38 (東海バス西海岸線) \2,190 / 54.5km<br /><br />伊豆半島最後のバス路線である。<br /><br />修善寺駅以南・以西には鉄道路線がないから、昔も今も変わらず天城線や西海岸線は大幹線だ。かつて伊豆急行線が開通する前の時代は東海岸線が特急・急行など多彩な種別を有する第一級の幹線だったそうだが、現在では西海岸線が東海バスを代表する路線ということになろうか。<br />実際に、今回乗車する松崎高校→修善寺駅の便が、55.9kmと東海バス最長である(高速路線や順天堂病院線を除く)。この区間の運賃は\2,220だが、今はなき西伊豆特急に乗っても三島駅から松崎まで\2,240。このあたりが東海バスの最大運賃と思われる。<br />修善寺往復で既に\4,000を超えるため、「東海バス全線フリーきっぷ」の2日券が\3,900、3日券が\4,700と箱根フリーパスに比類する高額さであっても簡単にモトは取れてしまう。松崎営業所で発売していないのがイヤらしいがやむを得ないところか。<br /><br />考えてみれば、仁科や松崎から三島まで電車バスで往復するとなるとマトモに払えば\5,000をゆうに超えるわけで、秘湯梅ヶ島でさえ静岡駅から運賃\1,630かつ2時間かからないのだから、いかに西伊豆が心理的に遠いかよくわかる。<br />そう言うと大変な僻地に思えてくるが、松崎までは普通に市街地・集落が続いており、西伊豆町・松崎町・下田市間の人的交流はなかなか盛んで、中高生だけでなく地元民のバス利用率は高い。太平洋ベルトとは離れた区間で需要が旺盛なわけだ。<br />それを示すように西海岸線の主要区間は修善寺口ではなく宇久須以南であり、西伊豆折返し便が増えるほか、特に堂ヶ島~松崎間はバサラ線が被るためコロナ減便ののちも毎時2~3本を確保している。スポット巡りには便利と言えるだろう。<br /><br /><br />さて、食事が終わったらなまこ壁でも眺めながら松崎高校までのんびり歩こうかとも思っていたが、アジ叩きが想定外の量だったため、殆ど時間がなくなってしまった。せめて長八美術館の裏手にある足湯くらいには浸かりたいと思っていたのだが。<br />国道を徒歩連絡し松崎小学校バス停から修善寺駅行に乗る。エルガミオばかりの路線ではあるが幸いにも特急エアロスターだった。少し座席を傾けリラックスする。堂ヶ島で西陽を迎えるにはまだ少し早い時間だ。<br /><br />・・・割とすぐ眠りに落ちてしまったらしい。西海岸線というだけあり、サンセットや遠目に聳える富士の嶺も美しいが、修善寺まで100分を数えることもあり惰眠に入りやすい路線でもある。船原越えの区間は別段面白くはないのでせめて海岸線でも眺めていたいと思うのだが、、、抗えなかった。<br /><br />路線バスに揺られるという以外は、松崎で90分ほど飯を食えるだけで他に観光要素もないクレイジーな旅行だから仕方がない。<br />いちおう沿線のスポットを挙げておくと、堂ヶ島や土肥金山あるいは恋人岬もむろん有名だが、大浜海岸や深田クリスタルビーチといった海水浴場も人気。下田白浜ほどの名ではないが、隠れたスポット、と言えない程度には夏季のシーズン中混雑を見せる。冬は冬で伊豆だから厳しい冷え込みはなく、どこにでも温泉はあるし、駿河湾を挟み白く染まった富士と南アルプスがクッキリ臨めて良いものがある。交通至便とは言えないが、一度は訪れてみてほしい。こればっかりは文章で伝わるものではないので。<br /><br />気づけば車窓はもう山の中であり、船原越えする頃には大分暗くなっていた。出口交差点で天城線と合流すればものの15分で修善寺駅である。<br />修善寺を出てから早7時間、東海バス乗継強行ツアーは伊豆2/3周で幕を閉じた。<br /><br /><br />◆第9便 修善寺駅17:52→大仁駅17:58 (伊豆箱根鉄道駿豆線) ¥150 / 3.2km<br />◆第10便 大仁駅18:28→三島駅18:59 (伊豆箱根鉄道駿豆線) ¥460 / 16.6km<br />◆第11便 三島駅19:05→御殿場駅19:55 (富士急モビリティ御殿場線) ¥990 / 21km<br /><br />基本的には往路と同区間なので沿線の概要は割愛するが、このまま帰っても三島駅で中途半端に時間が余るだけなので大仁駅前の足湯でまったり。時間が時間だけに残念ながら写真はない。平日の夕方ゆえ大仁駅にはひっきりなしに通勤客が訪れ、少々落ち着きない。夕方以降完全15分サイクルの路線にもかかわらず、上り電車も空いているとは言い難い。見た感じ特に伊豆仁田~韮山間は上りの方が混雑している。最後の最後で旅情を殺ぐこと甚だしいが、特急は夕方前で終わってしまうからやむを得ない。<br />三島19:05発の御殿場駅行は1日4本しかないうちの1本。三島といっても東京と較べれば都会でないため19時を過ぎると交通量もガクッと落ちる。三島アウトレット線より所要時間は短いが、岩波以北は乗降が殆どないので快走だ。<br />御殿場駅で駅の反対側、箱根乙女口に渡り最終の小田急箱根高速バスで帰還した。<br /><br /><br />10回の乗継を経て、甲府→伊豆→御殿場と約300km超、¥12,580の旅行は終了した。当然ながらこんな広範囲を移動できるようなフリーきっぷの類はこの世にないため大変満足である。<br />今度はバスの時間を気にせず、ゆっくり足湯巡りでもすることにしよう。<br /><br />ところで、IzukoなるMaaSによるフリーパスが第3期を迎える。要するにスマホ画面で交通系事業者のフリーパスを統合するみたいな試みだ。東急とJR東日本の主導であり、JR東海は関心がないのか参加しておらず、そのつもりもないのか、東海道線熱海以西や御殿場線がフリーエリアに含まれることも一切ない(なおJR東海は自社でふじのくに家康公きっぷなどのフリーパスを新幹線客などに限定して発売している)。<br />期間は11月16日から年度末まで。第2期に較べてフリーパスの種類は大して増えていないが、唯一「なか・にしイズコ」だけが光るから気になる方は目を通しておいては。<br />内容は駿豆線全線と東海バス戸田線・天城線・西海岸線・雲見線が乗り放題というもの。三島から松崎往復でゆうに5,000円と書いたが、2日間乗り放題で2,800円。東海バスとしては手痛い決断だったと思うが、これを機に西海岸へ足を踏み入れてみては。<br />蛇足だがバスは後払いなのでこのフリーパスは乗車してからでもスマホ上で買える。松崎営業所で東海バス全線フリーきっぷは購入できないと書いたが、案外、観光客より西伊豆や松崎の住民がIzukoを購入する例も多いかもしれない。<br />

路線バスで山梨→伊豆の乗継を試みる(その5)

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2020/10/22 - 2020/10/22

138位(同エリア256件中)

旅行記グループ 10/22 山梨・静岡旅行

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Smith26

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◆第8便 松崎小学校15:54→修善寺駅17:38 (東海バス西海岸線) \2,190 / 54.5km

伊豆半島最後のバス路線である。

修善寺駅以南・以西には鉄道路線がないから、昔も今も変わらず天城線や西海岸線は大幹線だ。かつて伊豆急行線が開通する前の時代は東海岸線が特急・急行など多彩な種別を有する第一級の幹線だったそうだが、現在では西海岸線が東海バスを代表する路線ということになろうか。
実際に、今回乗車する松崎高校→修善寺駅の便が、55.9kmと東海バス最長である(高速路線や順天堂病院線を除く)。この区間の運賃は\2,220だが、今はなき西伊豆特急に乗っても三島駅から松崎まで\2,240。このあたりが東海バスの最大運賃と思われる。
修善寺往復で既に\4,000を超えるため、「東海バス全線フリーきっぷ」の2日券が\3,900、3日券が\4,700と箱根フリーパスに比類する高額さであっても簡単にモトは取れてしまう。松崎営業所で発売していないのがイヤらしいがやむを得ないところか。

考えてみれば、仁科や松崎から三島まで電車バスで往復するとなるとマトモに払えば\5,000をゆうに超えるわけで、秘湯梅ヶ島でさえ静岡駅から運賃\1,630かつ2時間かからないのだから、いかに西伊豆が心理的に遠いかよくわかる。
そう言うと大変な僻地に思えてくるが、松崎までは普通に市街地・集落が続いており、西伊豆町・松崎町・下田市間の人的交流はなかなか盛んで、中高生だけでなく地元民のバス利用率は高い。太平洋ベルトとは離れた区間で需要が旺盛なわけだ。
それを示すように西海岸線の主要区間は修善寺口ではなく宇久須以南であり、西伊豆折返し便が増えるほか、特に堂ヶ島~松崎間はバサラ線が被るためコロナ減便ののちも毎時2~3本を確保している。スポット巡りには便利と言えるだろう。


さて、食事が終わったらなまこ壁でも眺めながら松崎高校までのんびり歩こうかとも思っていたが、アジ叩きが想定外の量だったため、殆ど時間がなくなってしまった。せめて長八美術館の裏手にある足湯くらいには浸かりたいと思っていたのだが。
国道を徒歩連絡し松崎小学校バス停から修善寺駅行に乗る。エルガミオばかりの路線ではあるが幸いにも特急エアロスターだった。少し座席を傾けリラックスする。堂ヶ島で西陽を迎えるにはまだ少し早い時間だ。

・・・割とすぐ眠りに落ちてしまったらしい。西海岸線というだけあり、サンセットや遠目に聳える富士の嶺も美しいが、修善寺まで100分を数えることもあり惰眠に入りやすい路線でもある。船原越えの区間は別段面白くはないのでせめて海岸線でも眺めていたいと思うのだが、、、抗えなかった。

路線バスに揺られるという以外は、松崎で90分ほど飯を食えるだけで他に観光要素もないクレイジーな旅行だから仕方がない。
いちおう沿線のスポットを挙げておくと、堂ヶ島や土肥金山あるいは恋人岬もむろん有名だが、大浜海岸や深田クリスタルビーチといった海水浴場も人気。下田白浜ほどの名ではないが、隠れたスポット、と言えない程度には夏季のシーズン中混雑を見せる。冬は冬で伊豆だから厳しい冷え込みはなく、どこにでも温泉はあるし、駿河湾を挟み白く染まった富士と南アルプスがクッキリ臨めて良いものがある。交通至便とは言えないが、一度は訪れてみてほしい。こればっかりは文章で伝わるものではないので。

気づけば車窓はもう山の中であり、船原越えする頃には大分暗くなっていた。出口交差点で天城線と合流すればものの15分で修善寺駅である。
修善寺を出てから早7時間、東海バス乗継強行ツアーは伊豆2/3周で幕を閉じた。


◆第9便 修善寺駅17:52→大仁駅17:58 (伊豆箱根鉄道駿豆線) ¥150 / 3.2km
◆第10便 大仁駅18:28→三島駅18:59 (伊豆箱根鉄道駿豆線) ¥460 / 16.6km
◆第11便 三島駅19:05→御殿場駅19:55 (富士急モビリティ御殿場線) ¥990 / 21km

基本的には往路と同区間なので沿線の概要は割愛するが、このまま帰っても三島駅で中途半端に時間が余るだけなので大仁駅前の足湯でまったり。時間が時間だけに残念ながら写真はない。平日の夕方ゆえ大仁駅にはひっきりなしに通勤客が訪れ、少々落ち着きない。夕方以降完全15分サイクルの路線にもかかわらず、上り電車も空いているとは言い難い。見た感じ特に伊豆仁田~韮山間は上りの方が混雑している。最後の最後で旅情を殺ぐこと甚だしいが、特急は夕方前で終わってしまうからやむを得ない。
三島19:05発の御殿場駅行は1日4本しかないうちの1本。三島といっても東京と較べれば都会でないため19時を過ぎると交通量もガクッと落ちる。三島アウトレット線より所要時間は短いが、岩波以北は乗降が殆どないので快走だ。
御殿場駅で駅の反対側、箱根乙女口に渡り最終の小田急箱根高速バスで帰還した。


10回の乗継を経て、甲府→伊豆→御殿場と約300km超、¥12,580の旅行は終了した。当然ながらこんな広範囲を移動できるようなフリーきっぷの類はこの世にないため大変満足である。
今度はバスの時間を気にせず、ゆっくり足湯巡りでもすることにしよう。

ところで、IzukoなるMaaSによるフリーパスが第3期を迎える。要するにスマホ画面で交通系事業者のフリーパスを統合するみたいな試みだ。東急とJR東日本の主導であり、JR東海は関心がないのか参加しておらず、そのつもりもないのか、東海道線熱海以西や御殿場線がフリーエリアに含まれることも一切ない(なおJR東海は自社でふじのくに家康公きっぷなどのフリーパスを新幹線客などに限定して発売している)。
期間は11月16日から年度末まで。第2期に較べてフリーパスの種類は大して増えていないが、唯一「なか・にしイズコ」だけが光るから気になる方は目を通しておいては。
内容は駿豆線全線と東海バス戸田線・天城線・西海岸線・雲見線が乗り放題というもの。三島から松崎往復でゆうに5,000円と書いたが、2日間乗り放題で2,800円。東海バスとしては手痛い決断だったと思うが、これを機に西海岸へ足を踏み入れてみては。
蛇足だがバスは後払いなのでこのフリーパスは乗車してからでもスマホ上で買える。松崎営業所で東海バス全線フリーきっぷは購入できないと書いたが、案外、観光客より西伊豆や松崎の住民がIzukoを購入する例も多いかもしれない。

旅行の満足度
4.5
交通手段
高速・路線バス

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  • 松崎高校バス停。学校敷地外の停留所であり誰でも乗車できる。東海バス最長路線の始発停留所としては地味だが下田方面も出ており平日に限るものの乗継する価値は高い

    松崎高校バス停。学校敷地外の停留所であり誰でも乗車できる。東海バス最長路線の始発停留所としては地味だが下田方面も出ており平日に限るものの乗継する価値は高い

  • 仁科地区にあるライダーズカフェ ドン・マーリンの「モモレンジャー」。1,500円で本格的なステーキが楽しめる。

    仁科地区にあるライダーズカフェ ドン・マーリンの「モモレンジャー」。1,500円で本格的なステーキが楽しめる。

  • 堂ヶ島。伊豆の松島と言われるだけはあるが、素人がスマホで撮った写真じゃその10%くらいしか伝わらないかも。

    堂ヶ島。伊豆の松島と言われるだけはあるが、素人がスマホで撮った写真じゃその10%くらいしか伝わらないかも。

  • 三四郎島。干潮の2時間ほどだが向こう側に渡れる。結構足場が危ういが子供連れも少なくない。渡った先は特に何もなくフナムシのパラダイスだが謎の充足感がある。

    三四郎島。干潮の2時間ほどだが向こう側に渡れる。結構足場が危ういが子供連れも少なくない。渡った先は特に何もなくフナムシのパラダイスだが謎の充足感がある。

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