2019/06/22 - 2019/06/22
27位(同エリア283件中)
かっちんさん
嶮暮帰島(けんぼっきとう)は、霧多布湿原から眺めると琵琶瀬湾に横たわる「まな板」のような島。
周囲4.5km、東西2km南北700mの島は、約3000年前に海底が隆起し、波の浸食によって削られた「台地状」の島です。
遠い昔、台地の上に牧場があったようですが、現在は人の存在がないため手つかずの自然を残し、夏の時期にエゾカンゾウ、ヒオウギアヤメ、その他の花々が咲き、海鳥たちのコロニーになっています。
島の周囲はほぼ断崖絶壁ですが、北側の海岸に磯浜があり、夏の昆布漁の時期に漁師が寝泊まりしていた番屋(建物)が残されています。
昭和46年から1年間、作家の畑正憲(ムツゴロウ)さんがエゾヒグマの赤ちゃん「どんべえ」と一緒に暮らしたことがあります。
琵琶瀬(本土)と嶮暮帰島までの距離は500mほど、以前は砂嘴(さし)により繋がり、大潮の日には歩いて渡ることができました。
現在は砂嘴の中間を浚渫し、漁船が航行できるようになっています。
嶮暮帰島は浜中町の町有地で、定住者のいない無人島です。
島内には勝手に入ることが禁止されており、今日はペンションポーチ主催の「嶮暮帰島ツアー」に参加します。
ペンションのご主人の舟に乗り、島に上陸すればガイド役となって豊富な知識で動植物や自然の景色を紹介してくれます。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・浜中町観光協会「嶮暮帰島」「霧多布 花アルバム」
・きりたっぷペンションポーチのHP
・日本の島へ行こう「嶮暮帰島」
・バイク呉服屋の忙しい日々「海を見ていた午後 浜中・嶮暮帰島」
・森林野生物研究会誌「嶮暮帰島の動物相(I)」、28.2002、pdf
・野山の花たち-東北と関東甲信越の花-「エゾスグリ」「ミミコウモリ」
・二人の館、花図鑑、野に咲く花・山に咲く花 北海道「ミミコウモリ」
・花図鑑-植物図鑑「エゾスグリ」「ミソガワソウ」
・四季の山野草図鑑「オオカサモチ」
・三河の植物観察「ヤマブキショウマ」
・かぎけん花図鑑「ヒオウギアヤメ」
・岡山理科大学生物地球学部、植物雑学事典「オオハナウド」
・梅沢俊著、新北海道の花「バイケイソウ」「ミヤマハンノキ」「エゾノシモツケソウ」
・サントリーの愛鳥活動、日本の鳥百科「コシジロウミツバメ」
・室見川の野鳥、識別ノート01「カモメとウミネコ」
・海の釣り場情報「琵琶瀬漁港」
・ウィキペディア「嶮暮帰島」「ミミコウモリ」「どんべえ(エゾヒグマ)」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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-
イチオシ
まな板のような「嶮暮帰島」
琵琶瀬湾に横たわる台地状の「嶮暮帰島(けんぼっきとう)」。 -
霧多布湿原・嶮暮帰島の案内図
釧路と根室の中間にある浜中町。
浜中町にある「霧多布湿原」、その向かいの海上にあるのが「嶮暮帰島」。
本土と島の距離は500mほど。以前はその間が浅瀬になっていて、大潮の日には歩いて渡ることができました。 -
嶮暮帰島ツアー(ポーチHPより転載)
現在、嶮暮帰島は自由な立ち入りができず、宿泊したペンションポーチ主催のツアーに参加します。
開催時期は、5月~10月の9:30~12:30(3時間)。
料金は、宿泊者7,000円、フリー客8,000円。 -
嶮暮帰島へ渡る舟(琵琶瀬漁港)
ペンションポーチのご主人(瓜田勝也さん)の舟で島へ渡ります。
当日の参加者は4名です。 -
水門(琵琶瀬漁港)
琵琶瀬川の広い河口域につくられた漁港は、左岸から長い北防波堤が伸びています。
防波堤の付け根部分には津波対策のための水門があり、ここを通り抜けて島へ向かいます。 -
砂嘴の浅瀬
本土と島の間には砂嘴による浅瀬の箇所があるので、注意して航行します。
以前は島まで砂嘴でつながっていたのですが、漁船の行き来があるため、砂嘴の中央を浚渫しています。 -
嶮暮帰島の北側に着岸
桟橋などないので、船首から脚立を介して上陸します。 -
ロープで舟付け(海岸)
舟から錨も下ろしておきします。 -
嶮暮帰島探検開始(海岸)
島の北側にある磯浜は、かつて昆布採りの番屋と畑正憲氏が1年間定住した家がありました。
他の海岸線は断崖絶壁で近づけません。
では、ガイド役のご主人の後に続き出発します。 -
ウミネコのお出迎え(海岸)
本土とつながっていた砂嘴の一部にいるウミネコ。
ソッポを向いたお出迎えですが・・・ -
台地に上がる道
海岸から50mほど登れば、なだらかな平地になります。 -
草の茂る山道
腰の高さまで伸びる「オオヨモギ」や「オオハナウド」の葉をかき分けながら登ります。
ペンションポーチで用意してくれた雨がっぱを着込み、長靴も履いているので、ビショビショになっても大丈夫です。 -
イチオシ
昆布採りの番屋跡(山道)
山道を少し登ったところから見えます。
昆布採りの時期、漁師はこの番屋に泊まっていたのです。 -
光沢のある「ミヤマキンポウゲ」(山道)
嶮暮帰島では「ミヤマキンポウゲ」、琵琶瀬の霧多布湿原では「シコタンキンポウゲ」が分布し、生育環境の違いが顕著です。 -
島から伸びる砂嘴(山道)
-
「バイケイソウ」(山道)
花は分枝する総状花序に多数つけます。 -
ちょっと曲がった「バイケイソウ」(山道)
-
半透明の「エゾスグリの実」(山道)
開花時期は5~6月、長さ5~6mmの短い鐘形をした目立たない紅紫色の花をたくさんつけます。
花の後にできる実は球形の半透明な液果(水分が多く柔らかな果皮をもつ果実)で、秋に赤く熟します。
実は甘酸っぱく、食用になります。
葉は手のひら状に5つに裂け互生します。 -
「コシジロウミツバメ」の巣(山道)
嶮暮帰島は「コシジロウミツバメ」の繁殖地として国内では厚岸町大黒島に次ぐ2番目の大きさです。
巣は草の生えている地面に穴を掘り、一卵を産みます。
この鳥は夜明け前には島を出て、巣への帰島は夜になってからです。
なので鳥の姿は、サントリーの「日本の鳥百科」で確認することができます。
https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4669.html -
「ヤマブキショウマ」(山道)
円錐花序に多数の小花をつけています。
小葉は卵形で先が尖り、鋭くてよくそろった重鋸歯があります。
葉の側脈は11対~15対あり、あまり曲がらず、葉の縁に達して明瞭。
似ている「トリアシショウマ」は、葉の側脈が曲がり、脈が縁に達しないので、「ヤマブキショウマ」と見分けることができます。 -
イチオシ
葉に特徴のある「ミミコウモリ」(山道)
葉は腎形で、葉先や数ヶ所の脈の先は急に短く尖っています。
「ミミコウモリ」の名前は、葉の基部が耳状で、葉の形が蝙蝠(こうもり)に似るところから付けられたといいます。 -
自然のままの草原(内陸部)
山道を登りきると視界が開け、そこは平らな台地。
人の存在がない自然のままの草原が広がっています。 -
「エゾカンゾウ」と「ヒオウギアヤメ」の咲く草原(内陸部)
-
イチオシ
どちらも一日だけの花(内陸部)
「エゾカンゾウ」と「ヒオウギアヤメ」が今日一日、一生懸命に花を開いています。 -
白い傘の「オオカサモチ」(内陸部)
傘のように多数の柄が伸びて上部にまとまって大きな花序を形成します。
茎は太く中空で、高さが0.5~1.5m。
葉は1~3回3出羽状複葉で長さ10~30cmの広卵形羽根状中裂し、先が尖ります。 -
イチオシ
背丈の低い草原(内陸部)
台地の上は歩きやすいです。 -
牧場だったところ(内陸部)
かつて、嶮暮帰島の台地には牧場や牧草地があり、当時の柵の杭が残っています。 -
四角い茎の「ミソガワソウ」(内陸部)
茎は四角形で高さ0.5~1mになり、細毛があります。
葉は対生し、長さ2~10mmの葉柄があり、広卵形または広披針形で、鈍い鋸歯があります。
茎の上部に花穂をつくり、紫色の唇形花が開きます。
花の名前は木曽川の支流「味噌川」付近に多かったためではないかといわれています。 -
美しい虎斑模様の「ヒオウギアヤメ」(内陸部)
花の基部に黄と紫をした虎斑模様があります。 -
「ヒオウギアヤメ」の群落(内陸部)
-
「ヤマブキショウマ」(内陸部)
円錐花序の先端が赤くなっています。
もしかすると違う種類かも? -
霧のかかる断崖(南側)
南側の断崖の上に来ています。
この何も見えない幻想的な風景を見ながら休憩します。
ご主人が用意していた温かいお茶とお菓子を食べながら、しばしくつろぎます。 -
イチオシ
幻想的なお花畑(南側)
この島には川も水源地もないのに、なぜか草花が育っています。
夏が近づくと毎日のように「霧」が発生し、この「霧」が水分となつています。 -
湿地に自生する「ヒオウギアヤメ」(南側)
休憩後、別の道を通り、海岸へ戻ります。 -
「ミヤマハンノキ」(内陸部)
葉は長さ5~10cmの卵形で、細かい重鋸歯縁で先が尖り、裏面は粘っています。
霧多布湿原では「ヤチハンノキ」が生育します。 -
もじゃもじゃの「サルオガセ」(内陸部)
「ミヤマハンノキ」の枝にまとわりついています。
厄介者でも、冬には温かく寒さを凌げるかも・・・ -
隠れるように咲く「スズラン」(内陸部)
北海道を代表する花です。 -
巨大な葉の「オオハナウド」(内陸部)
日当たりの良いやや湿った林内に生育します。
葉は大きくて3小葉からなり、頂小葉は大人の顔が隠れるほど。
名前の由来は大型でウドに似ていて、美しい花を咲かせることからです。 -
分岐点で振り返り(内陸部)
山道⇒内陸部⇒南側海岸⇒内陸部と台地の一部を周遊してきました。
ここから海岸へ戻ります。 -
手を振って踊る「エゾノシモツケソウ」(内陸部)
茎は直立し、葉は奇数羽状複葉で、側小葉と頂小葉の大きさに極端な差があるので単葉に見えます。
頂小葉は掌状に5~7中~深裂し、側小葉は0~3対あり、いずれも鋸歯縁。
下部の葉ほど長い柄があります
茎頂に径4~5mmの花が多数つきます。 -
露の水滴が美しい「クモの巣」(山道)
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これから花の咲く「オオハナウド」(山道)
全草大型で草丈は2mほどにもなります。
花序は大きく、白い花が無数に集まり半球形となり、遠くからでも目立ちます。 -
海岸に戻って来ました
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岩に張り付く海藻(海岸)
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長~いコンブ(海岸)
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錨を引き上げて出港
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砂嘴の浅瀬
赤い浮き玉の注意表示に従い、浅瀬を避けて通ります。 -
舟の航行を見守る「ウミネコ」くん
石がゴロゴロしている浅瀬です。 -
琵琶瀬漁港の入口
大きな水門を抜けると琵琶瀬漁港です。 -
琵琶瀬港に無事到着
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ペンションポーチで一休み
カッパをお返しし、列車の発車時刻まで一休みします。 -
花咲線茶内駅
宿の車で茶内駅まで来ています。
ここでお世話になったお礼を言い、お別れです。 -
信号てこ跡(茶内駅)
かつて腕木式信号機の時代に信号機やポイントをワイヤーと連動して作動させる「てこ」がありました。 -
駅名標(茶内駅)
駅名標の中央と下側にクモの巣のような模様。
カビの仲間でしょうか? -
原野を走ってきた「釧路行き列車」(茶内駅)
この列車に乗り、釧路で特急「スーパーおおぞら」に乗継ぎ、今晩は札幌に泊まります。
嶮暮帰島は自然がそのまま残り、今の時期、霧の幻想的な風景と夏の花を満喫することができます。
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