静かな静かな阪九フェリー神戸航路「つくし」の一夜【親子で兵庫往復記１】

2020/05/10 - 2020/05/10

　息子が、兵庫の病院で外来にかかることになりました。GWを過ぎてコロナウイルス感染症は収束の兆しが見えてきたものの、まだまだ緊急事態宣言下。福岡と兵庫は特定警戒宣言地域であり、何も油断できません。
　しかも病院から近い和室のあるホテルは、軒並み営業自粛中。「安全な移動」と「和室」を両立すべく、往路は阪九フェリーに身を委ねることにしました。「旅」とは言えぬ移動ばかりですが、令和２年初夏の大変な世界の記録として残しておきたいと思います。

エリア 門司・関門海峡(福岡)

　午後４時、JR久留米駅へ。不要不急の外出自粛が呼びかけられる中、ガランとした状況が続きます。どうかまだまだ、気を緩めないように。

久留米駅 駅

　快速・普通電車は２段階に分けて減便が行われ、時刻表からもその形跡を読み取れます。赤のペケ印が１回目、ピンクの四角は２回目に行われた減便です。
　宗像への帰省に便利な、小倉行きの直通快速も運休中。外出自粛要請も相まって、帰省する気は起きません。

　運休のお知らせで気が滅入る中、JR九州のキャンペーン「その日まで、ともにがんばろう」のポスターに元気を貰いました。
　インクジェットプリンタで出力されたものを切り貼りしていて、駅員さんたちも、頑張ってくれたんだろうな。

　新大阪行き「さくら564号」で、まずは小倉へ。小倉に行く時、４千円近くかかる新幹線はまず使わないんだけど、快速も在来線特急も減便中なので仕方ありません。
　新幹線とて、明日からは大減便。この列車も博多駅で15分停車するダイヤになり、小倉からのフェリー連絡バスには間に合わなくなります。

新幹線 さくら N700系 (8両編成) 乗り物

　新幹線の清掃は念入りに行われているとは思うけど、子どもが触りそうな場所は、念のためにアルコール除菌。貴重品なんだぞ…

　１車両の乗客は、僕らの他に１組。いつもならどっと乗って来る博多駅でも、２組が乗ってきただけでした。よくぞ今日まで、ほぼ通常通りのダイヤを維持したものと思います。

　人がいなくてやたら音が響く、小倉駅に到着。

小倉駅 (福岡県) 駅

　まだ大人しくマスクが付けられない息子は、ベビーカーのレインカバーを使って、飛沫感染を防止します。

　阪九フェリーの新門司港は市街地から遠いので、小倉駅・門司駅から無料の送迎バスが出ています。
　大型バスの２台運行となるのが常なのに、今日はなんとジャンボタクシー。こんなこと、はじめてです。しかも他のお客さんは１人のみ。「密」になんて、なりようがありませんでした。

　新門司港の神戸行きフェリーターミナルは、なぜか中国の宮殿風。
　（船内から撮影）

新門司港フェリーターミナル 乗り物

　天井から下がるサインは、国鉄時代の駅のテイストです。
　窓口では、サーモグラフィーによる検温が行われました。37.5℃オーバーだった場合は、無条件に乗船拒否となるとか。ご丁寧に、事前に電話での連絡がありました。

　人のいないタラップを踏み、「つくし」にチェックインです。

阪九フェリー 乗り物

　新造船が続々就航する泉大津航路に対して、神戸航路は2000年代初頭に就航した船。こちらにも間もなく新造船が入るそうで、そう聞くと古い船を想像してしまいます。
　しかし実際は整備も清掃も行き届いていて、雰囲気もよく、至極快適な船です。

　予約した和室は、最大３名が利用できるカーペット敷。４名対応、畳敷きの泉大津航路に比べれば見劣りしますが、比べればの話。インターネット予約２割引の適用で10,640円／人の部屋としては、充分すぎる部屋です。

　「夢」…はやくコロナが収まり、息子と一緒に自由に旅できる日々が夢だなあ。

　給茶セット一式がサービス。

　アメニティも揃ってます。乗る度にたまる「ふねこ」の巾着袋は、保育園の登園カバンの中身を整理するのに、非常に重宝しています(笑)。

　どこか懐かしい、空調と放送のコントロールパネル。放送を切ることができて、子連れにはありがたいです。

　トイレ、風呂こそないものの、洗面台はあるので身支度には助かります。
　泉大津航路と同様、玄関と部屋の仕切りはないので、子どもが落ちないよう注意注意。

　２月末に乗った泉大津航路もガラガラと感じたけど、それとは比較にならない閑散っぷり。非常事態宣言下のあるべき姿ではあるけど、阪九フェリーの経営が心配になります。
　物流は活発なようなので、甲板にトラックの荷台が満載になっていることを、願うばかりです。

　大浴場前のマッサージチェアは、感染防止のため使用停止。大浴場そのものは時短ながら営業していました。
　全身入れ墨のおじさんがいてドキっとしたけど、カーネーションを何束買ったのかと同行の方と話していて、なんだかほっこり(笑)。

　子連れに嬉しいキッズルームも、閉鎖中です。泉大津航路のキッズルームより広く、すべり台まであります。遊ばせてやりたかったなあ…

　トイレにある温風乾燥機は、飛沫感染防止のため停止中。

　代わりにペーパータオルが置いてあるのは、なかなかできない心配りです。一時に比べればだいぶ良くなったけど、ドラッグストアで品切れのことは今もたまにあるので…

　電子レンジの設備は、案内所のあるフロアの給湯室にあります。幼児食を温められて、大助かりです。

　レストランは一部メニューが絞られているものの、営業時間は通常通り。営業休止にしたっておかしくはない状況なのに、頭が下がります。

　阪九フェリーのレストランは、好みの料理を取って行くカフェテリア方式。このご時世では、バイキングより安心です。
　20時を過ぎて、オーダーストップまで30分を切っているのに、料理はまだまだ残っていました。

　お客は僕一人きり。

　ステーキ丼に冷ややっこ、生中まで付けてちょうど2,000円。暖かい料理を食べられることに感謝の気持ちを込めて、いただきます。

　夜９時前というのに、深夜のような船内。あまりうろつくべきではないと思うし、うろついてもやることはありません。こんな夜は、早寝に限ります。つづく。