2018/06/15 - 2018/06/24
5位(同エリア7件中)
tonaさん
ロマネスクの街ポワティエから、いよいよショーヴィニーへ!
旅行の拠点をポワティエにしたのは、ロマネスクの街ってこともあるけど、近郊ショーヴィニーの"ロマネスクの宝石"聖ピエール教会が大きい
本で見た、異次元感漂う衝撃の一頭二身獣、やわらかかつ厳かな聖母子の柱頭(『ロマネスクの教会堂)』)、これは見たい!
SNCF(フランス国鉄)のストライキで、頼りのOui bus(SNCF運営)がまさかの運休。ちょっと冷や冷やしたけど、ついにこの日が!
~Chauvigny ショーヴィニー~
Viennne ヴィエンヌ県、Nouvelle-Aquitaine ヌーヴェル=アキテーヌ
ポワティエから東に32km、ロワール川の支流ヴィエンヌ川と小川を見下ろす町
ロマネスクの教会、5つの城が残る中世の町
★ポワティエ(ショーヴィニー)
ナント
アンジェ
トゥールーズ
コンク&コルドシュルシェル
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
-
rue St-Pierre サン・ピエール通り
バス停からのんびり歩いて20分程で旧市街に到着
お城、教会、まさに中世の町!
あの鐘楼が目指す教会かな -
イチオシ
◆Eglise collegiale Saint Pierre 聖ピエール教会
11世紀前半に創建、起源はあまりわかっていない
現在の姿は12世紀のもの。鐘楼は13世紀初め。19世紀の修復で内部が塗り直された
名前の聖ピエールは、ポワティエの大聖堂 Cathedrale Saint-Pierre から
さぁ、いよいよだぁ~
いざっ、と思ったら入口がない。冷静になって考えたらこっちは後陣だったねこれがポワトゥの宝石!光と怪物あふれる聖堂 by tonaさんエグリーズ サン ピエール ド ショヴィニー 寺院・教会
-
気を取り直して正面へ
人影がまったくない
一歩一歩、中世へ足を踏み入れている感じ -
正面入口
頑なに扉が閉まってる
フランスだけに驚かないけど、困ったな~
試しに強めに押したら、開いた!
シンプルながら歴史を感じる重厚なファサード(入れないかもショックで、ファサード写真撮り忘れ) -
身廊
おぉ~~~!
重々しい扉からは想像もつかない、まるでロココの宮殿のようなやわらかい明るさ!
これがショーヴィニーのサン・ピエールなんだねっ!
漆喰は1857年に修復、後2004年には地元の粘土で作った漆喰で塗り直し、当時の色を忠実に再現したんだそう
つまり、この明るさは本来の姿!すごいっ
身廊の幅が狭めになったのは、Montleon城とGouzon城のせいらしい
結果、高さ&長さのある美しい身廊に -
側廊
身廊といい側廊といい、やたらとかわいい
彩色ラインがちょいちょいぐねってるのもまたかわいい -
柱頭
さっそく何かいる~ -
柱頭
いるいる~
後書き感満載だけど、面白い -
翼廊
鐘楼を支える八角形のクロイスターヴォールト(天井)
四隅に大きなスキンチ(四角い平面を多角形にする近似的手法。ここでは四角を八角形に変えている)
聖ティレール教会(ポワティエ)にもあったね -
イチオシ
アプシス(内陣)12世紀半ば
上部に開いた3つの採光口、下段のアーチからも外側に設けられた祭室の窓から光が差し込み、夢のように柱頭に注いでいる
ここに立つ日が、この目で見られる日が来るなんて・・・
ありがとう、ショーヴィニー! -
アプシス天井
天井が高い。っていうか、ロマネスクであの位置に採光口・・・
と思ったら、ドームでもヴォールト(穹窿)でもなく、な、なんとタイル張りの屋根を覆っているだけの壁なんだそう
ブルネレスキもびっくりだね
その下には小さなブラインドアーチがかわいく並ぶ -
ブラインドアーチ
柱頭のレリーフ、柱の色彩が1つ1つ違ってる
ポワティエではお馴染みの獅子のレリーフ(左柱頭)も。よく見ると、ハイタッチしてる。後ろ足は見えずらいけど、跳ね上がっているっぽい!
昨日見たサント・クロワ美術館のレリーフ(Eglise Saint-Nicolas 聖ニコラス教会)に酷似してるね
ポワティエ~近郊のレリーフ、楽しい! -
アプシス内側ビュー(左側)
いろんな意味で有名なのがこの柱頭群(6本の円柱と両サイドの角柱2本)
1つは保存状態のよさ
もう1つはそのシーン。聖書の説話の中でも、「ヨハネの黙示録」的な怪物・悪魔で埋め尽くされている
最も聖なる場所であるアプシスに、これだけ怪物がいるのは類をみないらしい -
ではでは左端から1つ1つ見てみよう
・地獄のシーン(左角柱:内側ビュー)
鶏冠のあるトカゲのような悪魔が、地獄に墜ちた人間をサタンの元に引き立てている
「ヨハネの黙示録」からのシーン -
・人面スフィンクス(円柱1:内側ビュー)
羽根をピンと立て、美しいシンメトリーを描く
アルパカっぽい長い首の先には人間の顔!隅にはその尾を咥えた悪魔の顔が
ロマネスクらしいシンメトリーと、組紐模様のようにつながって続いて行く感じがケルトっぽくもあって面白い -
・セイレーン(円柱2:内側ビュー)
こちらもシンメトリーに二匹、真ん中に鳥
後々人魚姫のように魚足が主流になるけど、ここは半人半鳥 -
同上
顔に髭らしきものが・・・ってことは男セイレーン? -
イチオシ
・有翼の獅子(円柱3:内側ビュー)
あご髭を生やした人頭有翼の獅子
よくあるお尻をぐるっと一周する尾。その先が人の手になってる~!
「いいかげんにしなさいっ」と突っ込みを入れているみたいでちょっと笑える
つっこまれてる的な隅に歯を向いた女性の顔=淫乱の象徴? -
同上
すごいインパクト~。すぼめた口に吸い込まれそう
さっきのスフィンクスもだけど、シャンとした羽根が美しいね
趾で柱の縁をぎゅっと掴んでて、今にもフンッってこっちに飛んで来そう。口から笛のような音を出しながら弧を描いて教会内を延々飛んでそう・・・ -
イチオシ
・マギの礼拝 by 新約聖書(円柱4:内側ビュー)
アプス内唯一の聖母・イエスの説話の柱
中央に聖母子、右上の手は神の手。これは「汝はわが顔を見るにあたわず」(出エジプト記)的な表現だね
両サイドには贈り物を捧げる三博士。頭上には博士たちを導いたベツレヘムの星(八芒星)が輝く
やさしく厳かな空気が包む。そうだ、ここ聖堂だったね、と改めて気付いたりして -
同上
「Gofridus me fecit(Gofridus 我を創れり)」という、作者と思われる文字が
一番ちゃんとした(?)レリーフの、しかも聖母マリアの背景にサイン。ま、怪物の足の間とかにはしたくないよね~
Gofridusについては何も知られていないらしい
ロマネスクの時代、建築家・彫刻家っていう明確なものはまだなく、修道士が兼ねたり、石工の匠といわれる世俗の職人が手掛けていたのでは、と考えられている
ノミを片手に巡礼の旅路で作品を残したと言われるMaitret de Cabestanyカベスタニの巨匠(大好きな聖アンティモ修道院の柱頭など)的な人もいる
そんな匠を主人公にした映画とか、ないかな~。もちろん聖堂シーンたっぷりで! -
アプシス内側ビュー(右側)
円柱の淡いパステルカラー
スウィーツの館にいるんじゃないかと錯覚するかわいさ
同じ19世紀の修復でも、「タトゥー」と酷評されたノートルダム・ラ・グランド教会(ポワティエ)とは似ても似つかないね -
イチオシ
こちらも1つ1つ見ていってみよう
・貪り食う有翼ドラゴン(円柱5:内側ビュー)
ドラゴンに捕えられ、今まさにがっぷり貪られ中の人間(=罪人の魂)。肢体は鉤爪で身動きできない
ドラゴンは悪魔の象徴、貪られているのは地獄に墜ちた罪人。これも黙示録だね
衝撃っ!
人が首を折った横顔なのが一層無力さを感じさせると同時に、もうどこも見ていないような瞳に、同じ種として足場が崩れるような恐怖を感じる
と同時に、デザイン的にはこれまた紋章にしたくなるほど美しいシンメトリーなのが凄い
聖堂の悪魔・怪物は戒め的な要素なんだろうけど、こう当たり前のようにわんさかいると、想像と創造の産物っていうのはちょっと信じ難くなってくる
もう、これは・・・いた?
12世紀のショーヴィニーには、こんなのがうじゃうじゃと・・・ -
同上
大きな翼、ベスティアリ(中世の動物寓意譚)にあるような、象を絞め殺しそうな太い蛇のような尾 -
同上
隅の顔は舌を出している
ドラゴンの尾が渦巻く混沌から、コポコポと顔が湧き出てきたみたいでかなり不気味・・・ -
・羊飼いへのお告げ 新約聖書(円柱6:内側ビュー)
翼を大きく広げる大天使ミカエル。背景には 「Gloria in excelsis Deo いと高きところに神に栄光あれ」の文字
それを見上げる羊飼いの頭上に、「pastores (牧草地)」の文字
ホッとする説話柱
悪魔群に比べると、人・天使は直立なせいか比率が小さい。それがいっそう脆く、それと同時に大切な命に感じさせる -
同上
天使の足元に集う羊たちがかわいい!
背中に乗っちゃってるけど、わかるよ、いっぱいいるんだよね!
メェェェ~ -
(右角柱)
鳥が次々と人を捕まえ、貪るようにその肉をついばむ
世界が死に覆いつくされる「ヨハネの黙示録」のシーン
人間を圧倒する大きさが怖い
やわらかい内腿を巨大な趾でがっつりつかんでいる・・・ -
放射状祭室付周歩廊内陣
ポワティエに続いて、ここも巡礼路沿いの教会に多い周歩廊
光あふれる周歩廊だね -
周歩廊の側壁柱
柱頭には出会いがしらにこんにちは、なお馬さん。ちょっとメルヘンチック -
アプシスの外回り、周歩廊を歩いてみよう
・黙示録の鳥(右角柱:外側ビュー)
さっきの鳥。完全にとどめを刺しちゃってる・・・。両足も趾でロック
ロマネスクの素朴なタッチでギリゆるくなってるけど、映画ならR指定ものだね -
・バビロンの大淫婦 by ヨハネの黙示録(円柱6:外側ビュー)
頭上に「BABILONIA MAGNA MERETRIX」の文字
身を飾り立て手に穢れた金杯を持つ、大淫婦バビロンのアレゴリー(寓意象) -
同上
・大天使ミカエルの魂の計量 by ヨハネの黙示録
90度回り込むと登場するのは翼を大きく広げた天使、フランス語ではミシェル
天使のラッパで全ての人間が蘇り、終末の日にその魂の善悪を計量し天国or地獄行きを決める(最後の審判)シーン -
イチオシ
同上
魂を乗せた秤にぶらさがり、地獄行きにしようと謀る悪魔
悪魔の頭上に「DIABOLUS 悪魔」の文字
その背中合わせには
・バビロンの衰退
バビロンの遺跡で瞑想する預言者。頭上には「Babironia desert 呪われた(?)バビロン」の文字
バビロンの空中庭園を思わせる影が陽炎のように揺れている -
周歩廊ビュー
ど~んど~んと建つ円柱
改めて、ロマネスク=ローマなんだな~ -
・貪り食う有翼ドラゴン(円柱5:外側ビュー)
内側ビューでは完全にやられちゃってた人間(=罪人の魂)が、こっちでは舌を出してる!? -
同上
舌を突き出す=嘘や貪欲、そして悪魔の印や属性を表わすとも
だとすると、人が悪魔側にトランスフォームされちゃった的な?手を親指を立てGoodのサインしてる、っぽいし!
ロマネスクの図像解釈には、いまだ「100%これ」というものが少ない。答えがないから面白かったりするんだよね~。っていうある意味底なし -
同上
あ、こっち側は舌で鼻を舐めてる!
美しいシンメトリーと隅に顔。もうこれはアート
説話の人物レリーフと違い、比率無視で顔オンリーでも成立しちゃうのが怪物パワー
デザイン的な美しさとキャラの大きさ、これがショーヴィニー流? -
・受胎告知 by 新約聖書(円柱4:外側ビュー)
大天使ガブリエルとマリア
このシーンではマリアは小さく驚いていること多い。ここでもたぶん驚いているんだろうけど、やさしい表情から歓喜しているようにも見える -
・荒れ野の誘惑 by 新約聖書(同上)
悪魔がイエスに「石をパンに変えてみろ」と迫る、三度の誘惑のうちの1つ
唯一の平和な柱だから、丸いものを差し出しているのはてっきり天使かと。よく見たらワニ顔な悪魔だった・・・。三白眼で顎をしゃくらせて「おらおら」と迫ってる -
・主の奉献 by 新約聖書(同上)
エルサレムへ赴むき、神殿で生後40日目のイエスを神に捧げるシーン
マリアがイエスを捧げる先に待つのは、聖霊に導かれ神殿を訪れていた預言者シメオン
イエスとシメオンの手が美しいシンメトリーを描く
いつもは怪物レリーフにうひゃうひゃだけど、あまりの多勢に、この正統(?)柱頭に癒される癒される
これがショーヴィニーマジック -
放射状祭室
周歩廊から放射状に設けられた祭室
ここは3室 -
放射状祭室
聖母子像(木造、17世紀)
中央の金の聖櫃箱には、リモージュの最初の司教Saint-Martial 聖マルシアルの聖遺物が収められているらしい -
放射状祭室
ミサ中でも、巡礼者はミサを妨げることなく周歩廊からこの外側の祭室を参ることができる、というすぐれもの -
(円柱3:外側ビュー)
こっちでも尾の先が手に。神の見えざる手とは真逆、的な?
隅では、内側で歯を剥いていた顔が、ここでは口をパカッと開いている。口の中の闇が深くて怖い。顔、首中を走る皺も怖~い -
(円柱2:外側ビュー)
堂内はほぼ貸切。2~3人来たけど、気づくといなくなっている
1つ1つ、心行くまで柱頭旅堪能 -
・曲芸師(?)(同上)
一見、縄跳びをしている風。よくみると両側から獅子が噛みつき、その体はビリビリと二つに引き裂かれつつある壮絶シーン
良くなさ毛な意味がありそうだね -
背中合わせの獅子(同上)
右側の獅子は隅で、隣の面のアンフィスバエナに頭を噛まれている
どちらも足にボールを持っている。西洋でも龍玉=ドラゴンボール、あるのかな -
イチオシ
アンフィスバエナ(双頭の蛇またはドラゴン)(同上)
肉感的で太い蛇のような肢体の両端に顔!
どうやって前に進むのか、どうやって休むのか。想像力刺激しまくりな伝説の生物。後々体から鎌首だけ2つ伸びる一身双頭ドラゴンになっていくけど、これは
まさにアンフィスバエナ。ここまで強烈なのは初めて見た
臆さず獅子にがっつくあたりの凶暴さも半端ない! -
人面スフィンクス(円柱1:外側ビュー)
背筋(っていうか首)を伸ばし、斜め上をキッと見つめる感じが騎士っぽい
首の模様も鎖帷子っぽいしね -
同上
隅でスフィンクスの尻尾を咥える顔
その上で葉飾りの余韻を残すぐるぐるちゃん。柱頭「La Dispute 諍い」(サント・クロワ美術館、蔵)にあったのとよく似ている -
地獄のシーン byヨハネの黙示録(左角柱:外側ビュー)
中央にど~んと構えるのは、鬼によく似たサタン。その股の下で罪人を煮る地獄の釜がぐらぐら音を立てている
両サイドの悪魔が地獄に墜ちた人間をサタンの元に引っ立てる。こっち側の悪魔は鶏冠&全身がワニみたいな鱗で覆われている
これでアプシス内・外一周
ふぅ~。すごいなぁ~、ショーヴィニー -
中世の人たちは、柱群を見上げ何を思ったんだろう
地獄への畏怖?けど、それだけで済まないよね~
ロマネスク好きの宝刀、「・・・書物より大理石を読み解こうとし、神の掟を黙想するより、日がな一日これら奇異なものを1つ1つを愛でていたくなるであろう」(クレルヴォ―の聖ベルナール)を抜くまでもなく、中世も今も、人の想像力がこの世で一番、果てしないもんね -
周歩廊から身廊ビュー
-
アプシスを旋回する怪物たちの多くは、最後の審判でアウトになった人間の魂を拷問し続けている。つまり強大な悪を象徴する様々な怪物が登場する「ヨハネの黙示録」からここへ飛来したんだね
アプシスに黙示録・・・どこかであったな~
そうだ、ノートルダム・ラ・グランデ教会(ポワティエ)のフレスコ画も、薄っすらだったけど、テーマは黙示録だったね -
柱頭(アプシス入口のアーチ、右側。ブラインドアーケードよりも高い位置)
両隅に髭を生やした王様風のおじさんの顔
その下で何かが体を丸めている。頭を足の方まで突っ込んでいる。気になる~ -
アプシス入口のアーチの半円柱の下部(右側)
上のおじさんを冠した柱は途中で終わっていて、この土器風の装飾になっている
面白~い -
こっちにも土器風なのが(身廊の半円柱)
キツネっぽいのが襞襟コスプレしてるみたい! -
横臥像(側廊)
-
身廊からの側廊ビュー
-
柱頭(側廊)
ペン入れ感の強い草飾り
これはこれでかわいい -
複合柱(身廊)
-
柱頭(側廊)
草飾り、かと思ったら右はちょっと違う? -
柱頭(側廊)
やっぱりなんかいた。はくしょん大魔王、的な?
いや~、ポワトゥの宝石、すごかった!
次は外観を巡ろう
https://4travel.jp/travelogue/11617151
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