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 岡部の『大旅籠・柏屋』に向かう。<br /> 走るのは昭和初期の国道1号線。<br /> 途中に大正トンネルがある。<br /> 大正トンネルは、大正から昭和5年にかけて造られたもので、現在の昭和トンネル(昭和34年開通)ができるまでの30年間、重要な役割を果たしてきた。<br /> この道には、幼い頃の断片的な記憶があり、思い出そうとすると胸が熱くなる何かがある。<br /> どんな道だったんだろう?<br /> そして今は、どうなっているんだろう?

宇津ノ谷峠・つたの細道を歩く(4/4)昭和初期の東海道(国道1号)と岡部の大旅籠柏屋

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2020/03/01 - 2020/03/01

6244位(同エリア31355件中)

旅行記グループ 宇津ノ谷峠・昔の道を歩く

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motogen

motogenさん

 岡部の『大旅籠・柏屋』に向かう。
 走るのは昭和初期の国道1号線。
 途中に大正トンネルがある。
 大正トンネルは、大正から昭和5年にかけて造られたもので、現在の昭和トンネル(昭和34年開通)ができるまでの30年間、重要な役割を果たしてきた。
 この道には、幼い頃の断片的な記憶があり、思い出そうとすると胸が熱くなる何かがある。
 どんな道だったんだろう?
 そして今は、どうなっているんだろう?

同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
自家用車

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  •  昭和トンネル造成中の写真があった。<br /> 当時の国道1号線は、土埃りがもうもうと上がる砂利道だった。<br /> とぎれとぎれに浮かぶ幼い頃の記憶がある。<br /> 運送屋の手伝いをしていた父に連れられて、オート三輪でこの峠を超えたのだ。<br /> 道は曲がりくねり、デコボコ道で、内臓が揺さぶられ過ぎて腹痛を起こし、我慢を続けていると、<br /> 「静岡に着いたら、安倍川餅、買ってやるから・・」<br /> となぐさめられたこと。<br /> 山の中にたくさんの光が瞬き、異様な音が響いていたこと。<br /> 「今にあのトンネルができたら、楽になるかな・・」<br /> そんな父の言葉と恐ろしげな光景が、今も脳裏にちらつく。

     昭和トンネル造成中の写真があった。
     当時の国道1号線は、土埃りがもうもうと上がる砂利道だった。
     とぎれとぎれに浮かぶ幼い頃の記憶がある。
     運送屋の手伝いをしていた父に連れられて、オート三輪でこの峠を超えたのだ。
     道は曲がりくねり、デコボコ道で、内臓が揺さぶられ過ぎて腹痛を起こし、我慢を続けていると、
     「静岡に着いたら、安倍川餅、買ってやるから・・」
     となぐさめられたこと。
     山の中にたくさんの光が瞬き、異様な音が響いていたこと。
     「今にあのトンネルができたら、楽になるかな・・」
     そんな父の言葉と恐ろしげな光景が、今も脳裏にちらつく。

  •  この峠道は、時代と共に大きく変化してきた。<br /> 鎌倉時代以前の『つたの細道』<br /> 秀吉・家康時代の『東海道』(緑色)<br /> 明治時代の道路(赤)<br /> 昭和初期の国道1号線(紫)<br /> 現在の国道1号線(平成トンネルのある高架道路)

     この峠道は、時代と共に大きく変化してきた。
     鎌倉時代以前の『つたの細道』
     秀吉・家康時代の『東海道』(緑色)
     明治時代の道路(赤)
     昭和初期の国道1号線(紫)
     現在の国道1号線(平成トンネルのある高架道路)

  •  父に連れられて走った道を訪問する。<br /> 宇津ノ谷集落の入り口に来た。<br /> 先ほど歩いた場所だ。<br /> 集落に入らずに、その北側を迂回する。

     父に連れられて走った道を訪問する。
     宇津ノ谷集落の入り口に来た。
     先ほど歩いた場所だ。
     集落に入らずに、その北側を迂回する。

  •  昭和30年代には砂利道だったのに、今はすっかり整備されている。<br /> 日本の道路が舗装されたのは、いつ頃だったんだろう?

     昭和30年代には砂利道だったのに、今はすっかり整備されている。
     日本の道路が舗装されたのは、いつ頃だったんだろう?

  •  「大正トンネル」が現れた。<br /> 昭和トンネルが開通する前は、東西を結ぶ重要なトンネルだ。

     「大正トンネル」が現れた。
     昭和トンネルが開通する前は、東西を結ぶ重要なトンネルだ。

  •  道幅は狭いが、当時のトラックやバスは小さくて、そもそも車の台数も少ない時代には、これで充分だったのだ。

     道幅は狭いが、当時のトラックやバスは小さくて、そもそも車の台数も少ない時代には、これで充分だったのだ。

  •  トンネルを抜けると、左に折れる細道があった。<br /> 明治トンネルへの道だ。

     トンネルを抜けると、左に折れる細道があった。
     明治トンネルへの道だ。

  •  坂道を下って行くと、現在の主要道路となっている国道1号線と、しばし並走する。<br /> 道の駅も見えた。<br /> 国道1号線はこの先、岡部や藤枝の町中を避け、いくつかのトンネル内を走っていくが、

     坂道を下って行くと、現在の主要道路となっている国道1号線と、しばし並走する。
     道の駅も見えた。
     国道1号線はこの先、岡部や藤枝の町中を避け、いくつかのトンネル内を走っていくが、

  •  私たちが走るこの道は、岡部の町中に向かう。<br /> 松並木の松がわずかに残っていて、江戸時代の東海道を感じさせる。

     私たちが走るこの道は、岡部の町中に向かう。
     松並木の松がわずかに残っていて、江戸時代の東海道を感じさせる。

  •  岡部の町に入った。<br /> この道が国1だった頃、何回も走り抜けた町だ。<br /> その頃は、車が渋滞するほど賑わっていたのに、静かな町となっている。<br /> 「すっかり変わってしまったなあ・・」<br /> 気がつくと、大旅籠・柏屋の目の前にあった。<br /> ここまでを動画でも紹介します。<br />https://youtu.be/obySJTBAuTc<br />

     岡部の町に入った。
     この道が国1だった頃、何回も走り抜けた町だ。
     その頃は、車が渋滞するほど賑わっていたのに、静かな町となっている。
     「すっかり変わってしまったなあ・・」
     気がつくと、大旅籠・柏屋の目の前にあった。
     ここまでを動画でも紹介します。
    https://youtu.be/obySJTBAuTc

    岡部宿大旅籠柏屋ひなまつり 祭り・イベント

  •  駐車場に車を停めて最初に向かったのは、岡部本陣跡。<br /> 屋根付きの黒塀と門が、嫌でも人の目を引く。<br /> 陣屋は参勤交代の大名や旗本が泊まった宿泊施設だ。

     駐車場に車を停めて最初に向かったのは、岡部本陣跡。
     屋根付きの黒塀と門が、嫌でも人の目を引く。
     陣屋は参勤交代の大名や旗本が泊まった宿泊施設だ。

  •  陣屋の門と外塀は復元されているが、

     陣屋の門と外塀は復元されているが、

  •  敷地内は芝生の広場で、これといったものは何もない。<br /> 館の跡が石のブロックで表示されているだけだ。

     敷地内は芝生の広場で、これといったものは何もない。
     館の跡が石のブロックで表示されているだけだ。

  •  隣に見えるのが、歴史資料館となっている柏屋で、<br /> その背後の土蔵風の建物は、収納館や展示棟となっている。

     隣に見えるのが、歴史資料館となっている柏屋で、
     その背後の土蔵風の建物は、収納館や展示棟となっている。

  •  展示棟を覗くと、季節がら『ひな人形展』が開かれていた。<br /> しかし、ここのひな人形はちょっと変わっている。

     展示棟を覗くと、季節がら『ひな人形展』が開かれていた。
     しかし、ここのひな人形はちょっと変わっている。

  •  竹に乗ったひな人形は、竹から生まれたかぐや姫を連想させる。<br /> 「可愛い!」<br /> こんな私でも微笑んでしまう。

     竹に乗ったひな人形は、竹から生まれたかぐや姫を連想させる。
     「可愛い!」
     こんな私でも微笑んでしまう。

  •  人形などには関心のないのに<br /> ついつい見とれてしまうひな人形たちだ。

     人形などには関心のないのに
     ついつい見とれてしまうひな人形たちだ。

  •  作者の発想の豊かさに感服し、降参するしかない。<br /> 「良いものを見た!」<br /> と中庭に出ると、

     作者の発想の豊かさに感服し、降参するしかない。
     「良いものを見た!」
     と中庭に出ると、

  •  土蔵風の建物が並び、手前は和食の『一祥庵』、その奥は『ギャラリーなまこ壁』で、

     土蔵風の建物が並び、手前は和食の『一祥庵』、その奥は『ギャラリーなまこ壁』で、

  •  ギャラリーに入ると、

     ギャラリーに入ると、

  •  「あっ!連鶴!」<br /> と女房の顔つきが変わる。

     「あっ!連鶴!」
     と女房の顔つきが変わる。

  •  「連鶴って何?」<br /> と見れば、一枚の折り紙で何十羽という鶴を折ったもので、芸術作品と言えるものだった。

     「連鶴って何?」
     と見れば、一枚の折り紙で何十羽という鶴を折ったもので、芸術作品と言えるものだった。

  •  「一枚で、本当にこんなもの、できるの?」<br /> 「どんな折り方してるの?」<br /> 「もちろん、ハサミは使っているよね?」<br /> 次々に疑問がわいてくる。

     「一枚で、本当にこんなもの、できるの?」
     「どんな折り方してるの?」
     「もちろん、ハサミは使っているよね?」
     次々に疑問がわいてくる。

  •  作者はきっと、普通の人ではないな・・<br /> 雑念を捨て、人間社会から脱し、虫眼鏡で見るような世界に没頭して、ただひたすらに折り続けるんだろう。<br /> すぐに作者のことを考えてしまうが、そんな人がいることが嬉しくて、

     作者はきっと、普通の人ではないな・・
     雑念を捨て、人間社会から脱し、虫眼鏡で見るような世界に没頭して、ただひたすらに折り続けるんだろう。
     すぐに作者のことを考えてしまうが、そんな人がいることが嬉しくて、

  •  いよいよメインの大旅籠に向かう。<br /> この建物は部分的に改修されているものの、180年の歴史をもつ建物だ。<br /> 案内所で入場チケットを買って、

     いよいよメインの大旅籠に向かう。
     この建物は部分的に改修されているものの、180年の歴史をもつ建物だ。
     案内所で入場チケットを買って、

  •  帳場の前を通って、暖簾をくぐると、

     帳場の前を通って、暖簾をくぐると、

  •  大きな人形がずらりと並んでいる。<br /> 祭屋台を飾る人形みたいだが、<br /> 良く見れば、これは等身大の雛人形だ。<br /> 製作されたいきさつや、人形の特徴などを、ボランティア(?)の女性が詳しく説明してくれている。

     大きな人形がずらりと並んでいる。
     祭屋台を飾る人形みたいだが、
     良く見れば、これは等身大の雛人形だ。
     製作されたいきさつや、人形の特徴などを、ボランティア(?)の女性が詳しく説明してくれている。

  •  ひな人形師「二代目好光」が、自らの技術向上のために、4年10ヶ月かけて完成させた作品だという。<br /> 衣装は西陣織。<br /> 顔の表情や所作にはそれぞれ特徴がある。<br /> ずっと蔵の中にしまわれていて、今回50年ぶりの披露のようだ。

     ひな人形師「二代目好光」が、自らの技術向上のために、4年10ヶ月かけて完成させた作品だという。
     衣装は西陣織。
     顔の表情や所作にはそれぞれ特徴がある。
     ずっと蔵の中にしまわれていて、今回50年ぶりの披露のようだ。

  •  ひな人形を眺めているのは『やじきた道中』のマネキンで、ひな人形とは別物だが、これも実に良くできている。<br /> 

     ひな人形を眺めているのは『やじきた道中』のマネキンで、ひな人形とは別物だが、これも実に良くできている。
     

  •  「どうぞ、写真を撮っていってください・・」<br /> 「ここからが、一番雰囲気ありますよ。」<br /> と勧めてくれた場所から写真を撮って、

     「どうぞ、写真を撮っていってください・・」
     「ここからが、一番雰囲気ありますよ。」
     と勧めてくれた場所から写真を撮って、

  •  別の部屋に移動すると、旅籠屋であった当時の家具や調度品が展示されていた。<br /> 江戸時代の旅人の多くは、「木賃宿」に泊まって自炊するのが常だ。<br /> 旅費に余裕のある旅人は食事や各種サービス付きの「旅籠」に泊まったのだが、<br /> 江戸後期になると、旅籠に泊まる人が多くなってきたという。<br /> 町人の経済力が大きくなり、社会が贅沢になってきた表れだ。

     別の部屋に移動すると、旅籠屋であった当時の家具や調度品が展示されていた。
     江戸時代の旅人の多くは、「木賃宿」に泊まって自炊するのが常だ。
     旅費に余裕のある旅人は食事や各種サービス付きの「旅籠」に泊まったのだが、
     江戸後期になると、旅籠に泊まる人が多くなってきたという。
     町人の経済力が大きくなり、社会が贅沢になってきた表れだ。

  •  「大旅籠」は、旅籠の中でも一級品の旅籠で、調度品もそれに見合い、書見台まで備わっている。<br /> そんな解説を読むと、<br /> う~ん・・勉強になる。<br />

     「大旅籠」は、旅籠の中でも一級品の旅籠で、調度品もそれに見合い、書見台まで備わっている。
     そんな解説を読むと、
     う~ん・・勉強になる。

  •  2階に上がると、<br /> 泊り客が酒を飲んでいるシーンがあった。<br /> 客と女中の会話が流されている。<br /> 「さすが、ここは大旅籠だ。」<br /> 「ゆっくり休んで行ってくださいね・・」<br /> 「今夜は楽させてもらおうか。」<br /> 良くできているものだと感心する。

     2階に上がると、
     泊り客が酒を飲んでいるシーンがあった。
     客と女中の会話が流されている。
     「さすが、ここは大旅籠だ。」
     「ゆっくり休んで行ってくださいね・・」
     「今夜は楽させてもらおうか。」
     良くできているものだと感心する。

  •  その横には寝具があり、寝床となっている。<br /> 床は畳。<br /> 畳はまだ庶民のものではない。

     その横には寝具があり、寝床となっている。
     床は畳。
     畳はまだ庶民のものではない。

  •  宿場町を表現したジオラマも一級品で、目が釘付けになってしまう。<br /> 客を呼びとめる宿屋の女、どこに泊まろうかと見回す旅人、素通りしていく巡礼者・・<br /> 人々のドラマが見えるようだ。<br /> 

     宿場町を表現したジオラマも一級品で、目が釘付けになってしまう。
     客を呼びとめる宿屋の女、どこに泊まろうかと見回す旅人、素通りしていく巡礼者・・
     人々のドラマが見えるようだ。
     

  •  すごい雛飾りがあった。<br /> 畳四畳を占める大きさだ。<br /> 京都御所をかたどった「御殿飾」という雛飾りで、江戸時代後期の関西ではこの形が一般的だったという。<br /> これは160年前の作品で、清涼殿・紫宸殿・宜陽殿を模した3棟が、渡り廊下でつながっている。

     すごい雛飾りがあった。
     畳四畳を占める大きさだ。
     京都御所をかたどった「御殿飾」という雛飾りで、江戸時代後期の関西ではこの形が一般的だったという。
     これは160年前の作品で、清涼殿・紫宸殿・宜陽殿を模した3棟が、渡り廊下でつながっている。

  •  公家が御殿の階段を上る姿や、廊下を歩く官女の姿など、40体以上もの雛人形が、まるで生きているように表現されている。<br /> これほどの豪華なものは滅多にないという。<br /> 山内家所有のものだったというが、山内家といえばこの大旅籠の持ち主だ。<br /><br /> 

     公家が御殿の階段を上る姿や、廊下を歩く官女の姿など、40体以上もの雛人形が、まるで生きているように表現されている。
     これほどの豪華なものは滅多にないという。
     山内家所有のものだったというが、山内家といえばこの大旅籠の持ち主だ。

     

  •  山内家は旅籠と質屋を兼業し、町の名誉ある地位をつとめてきた岡部屈指の有力者だったという。<br /> 明治になると旅籠は衰退していくが、問屋その他の事業で家財を守り、名家として伝統文化を伝えてきた。

     山内家は旅籠と質屋を兼業し、町の名誉ある地位をつとめてきた岡部屈指の有力者だったという。
     明治になると旅籠は衰退していくが、問屋その他の事業で家財を守り、名家として伝統文化を伝えてきた。

  •  文化財は歴史のかけらを刻み込んだ、民族としても大切な財産だ。<br /> これらは歴史資料となって、数々のことを教えてくれる。<br /> 社会とは何か、日本人とは何か、そして自分とは何かを考える材料てもある。<br /> 文化財保存に努力してくれる藤枝市に感謝して帰路についた。<br /> 最後はまとめの動画です。<br />https://youtu.be/X2iaELkOJ4Q

     文化財は歴史のかけらを刻み込んだ、民族としても大切な財産だ。
     これらは歴史資料となって、数々のことを教えてくれる。
     社会とは何か、日本人とは何か、そして自分とは何かを考える材料てもある。
     文化財保存に努力してくれる藤枝市に感謝して帰路についた。
     最後はまとめの動画です。
    https://youtu.be/X2iaELkOJ4Q

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