2019/10/31 - 2019/10/31
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この旅行記のスケジュール
2019/10/31
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徳島空港
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はやしのお好み焼
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徳島と言えば、阿波踊りに人形浄瑠璃。それだけでも、郷土色の強い土地柄を連想させますよね。
一方で、江戸期。阿波・淡路の2国、25万7千石を有する蜂須賀家の徳島藩は、それだけでも大藩のイメージがある土佐20万石より大きいのに、藍やたばこに塩の収益で実質は40万石以上の実力があるといわれた豊かな藩でした。しかし現在の状況はというと、徳島市の人口は25万人。四国内で比較すると、松山市50万人、高松市40万人、高知市でも30万人超ですから、一段と小規模の地方都市といった感はぬぐえない。本来は関西にも近くて有利な立地のはずなんですが、宇高連絡船の時代から本四架橋への流れの中で、四国の玄関が高松となると、むしろ、高松からのアクセスが悪い徳島は不便な場所という評価になっていったのではないかと思います。
それでも、時代をもう少し遡ると、畿内との関係は実は想像以上に色濃いもの。清和源氏の名門足利氏の支流で、足利尊氏に従って発展した細川氏。義満の時代になり三管領の一つと数えられるまでとなる細川家の本流、京兆家の始祖、細川頼之は阿波を手始めに土佐、讃岐から伊予へと勢力を拡大し四国の分国化を進めます。その後、細川氏の配下から力を蓄えた三好家の台頭は、三好三人衆としてその勢力が一時は畿内を席巻するといったこともあり、阿波と畿内の関係は尋常ではない。阿波弁が京都弁に影響を与えたという説もあって、もしかしたらそうかもと思えるくらいの濃度です。
一方、細川氏の勢力が衰え、細川氏に下克上を果たした三好氏も織田信長との抗争で力を失うとその隙間を埋めていくのが土佐の長曾我部氏。阿波の栄光も消えかかりますが、江戸期に入り、蜂須賀家がそれを少し挽回するといった感じでしょうか。蜂須賀家は細川、三好氏の時代に築かれた伝統的に豊かな基盤を受け継いだのではないかと想像できるとも思います。
ちょっと前置きが長くなりましたが、今回はその徳島出身の瀬戸内寂聴のこと。瀬戸内寂聴はマスコミにもたびたび登場して、尼さんの強烈な個性が先に立つのですが、やっぱりモノ書きとしての才能は傑出しています。私は、最近、瀬戸内寂聴の源氏物語を読みましたが、かなり刺激的であり感動的。源氏物語のもともとの素晴らしさはあるのですが、それをきちんと咀嚼して書き下ろすのは並大抵のことではないと思います。そして、そうした文学に素養のある人物は、しっかりした歴史と文化がない土壌では生まれえないし、育まれないというのが私の考え。今まで、徳島と瀬戸内寂聴なんてあまり頭にありませんでしたが、今回それを意識することで、改めて、徳島への憧憬が深まったような気がしました。
もう何度目かの徳島ですが、やっと少し本質に迫れたのかな。そんな気のする旅の始まりです。
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羽田から徳島空港に到着。
小さなローカル空港なので、建物やロビーもこじんまりした印象。徳島市街から近いということもあるのでしょうが、家族の出迎えとかも多い感じ。地元色が強くてアットホームな雰囲気もあると思います。 -
徳島空港と徳島市内を結ぶバス。乗車時間は約40分で料金は470円。空港はアクセスがいいですね。
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空港からだと徳島駅が終点となりますが、徳島城の前を通るので、そこで途中下車して市内観光を開始しました。これだと無駄がないと思います。
鷲ノ門から内部へ。 -
ちなみに、徳島城は、1585年、豊臣秀吉の四国征伐に功のあった蜂須賀家政が阿波18万石に封じられ、その後、この地に大規模な平山城を築いたもの。その後、大阪の役の活躍で淡路島を加えて徳島藩は25万石となり、明治維新を迎えています。
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イチオシ
天守閣とか建物は残っていませんが、この石垣が大きな特徴。阿波青石という緑泥片岩でできていて、独特の美しさがあると思います。
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城跡は、
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公園になっていて、徳島中央公園。
穏やかな眺めですよね。 -
城山貝塚は、公園の一角。徳島市立徳島城博物館の裏手の崖下を巡る遊歩道沿い。ちょっと分かりにくいかもしれません。
説明によれば、約4000~2300年前の縄文時代の後期から晩期の岩陰・洞窟遺跡。貝や土器片のほか、3体分の人骨も出土したのだそう。徳島は吉野川の下流域。海に近い場所だし、古代から人の暮らしやすい環境が整っていたことがうかがわれました。 -
そのまま公園の北東。数寄屋橋から外に出ます。
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少し北に向かって。
菓游 茜庵 本店は、徳島城のお堀端にある和菓子屋さん。 -
ちょっと格式も感じるようなお店です。
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いただいたのは、羽二重餅でゆず餡を包んだ「淡柚」。真っ白な羽二重餅がまぶしいくらい。ふわふわの触感も素晴らしいし、ゆず餡の方も上品ですねえ。
ただ、「徳島ならスダチじゃないですか?柚は高知の特産ですけど」と意地悪質問をしたら、柚は高知の北川村の産ですとしっかり切り返されてしまいました。変な言い訳とかしない。さすが、ちゃんとしてます。 -
イチオシ
徳島中央公園の北側をゆったりと流れていているのは、助任川。吉野川水系に含まれる新町川の支流ですが、もしかしたら、かつての徳島城ではお堀の役割も果たしていたような感じかな。ただ、もともと徳島市街はひょうたん島と呼ばれる吉野川の支流が市街を覆いつくしている街。市街にはいくつも川が流れているので、そういう意味だとこの川に特別感はないかもしれません。
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で、やってきたのは徳島県立文学書道館。徳島ゆかりの文学者や書家の作品が展示されているというのですが、想像以上に立派な施設ですねえ。
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伺うと名誉館長は徳島市出身の瀬戸内寂聴。この館自体が瀬戸内寂聴の存在があってできたようなものとも聞きました。そういう意味だとやっぱり瀬戸内寂聴記念室が一番の見どころなのかな。
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ただ、阿波古典文学と銘打って、古事記や日本書紀、土佐日記に紹介された阿波国を紹介しつつ、面白いところだと中世の三好氏関係の三好紀も。
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最初はちょっと誇張もあるのかなと思いましたが、
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イチオシ
四国お遍路や人形浄瑠璃の歴史を考えれば、
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やっぱりちゃんと現代につながっている気分になってくる。もしかしたら、吉川英治の鳴門秘帖なんかもその阿波の魅力に魅かれた一端かもしれませんけど、
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その結実した最終形が瀬戸内寂聴ということになるのかな。絵描きとかは生まれた街がどういう町かはあんまり関係ないのですが、文学者はそうはいかない。その街にしっかりした歴史と文化がないと偉大な文学者は生まれないですからね。
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海部郡出身の書家、小坂奇石の書斎。知らない名前でしたが、書家としては初めて日本芸術院恩賜賞を受賞した大家のようです。
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さて、ここからが瀬戸内寂聴記念室。
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幼かりし日からの時代を徳島市で過ごし、徳島県立高等女学校から東京女子大学国語専攻部へ。
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その徳島の時代にどのような空気を吸っていたのか。その空気が彼女にどのように影響を与えたのか。やっぱり気になるところです。
国語専攻部へ進んだということは早くから文学へのあこがれがあったということなんでしょうが、若かりし日の寂聴って、私としては映画「夏の終わり」のイメージが強すぎる。女優、満島ひかりの輝きも素晴らしかったですね。 -
円熟味が増してからの代表作の一つ、源氏物語ですね。
少し感想を言わせてもらうと、源氏物語でも宇治十帖の評価が高いというのをよく聞いていましたが、私はそれにはあまり同意できないかな。。
浮舟のはかなく運命にもてあそばれる女性像は女のさがも赤裸々に描かれていて、確かに現代小説に通じるリアルさがあると思います。たぶん、実像としては大君や中君の魅力からすると少し落ちるのかなとも思いますが、その運命がドラマチックなだけに浮舟の輝きははるかに増しています。そして、その三人の姫と恋のさや当てをする薫と匂宮。しかし、その行動や考え方はイマイチ未熟なんですよね。そういう不完全なところが悲劇を生んでいくというのは分かりやすいんですが、男女の関係というのはそういうことではないんですよ。
一方の光源氏。きめ細かな愛情や奥ゆかしさに並ぶもののない美貌と知性に才能の数々は完璧。そして、女性も源氏の思いにそれぞれ懸命に応えようとする。しかし、それであってもなお切ない思いに包まれて、光源氏ですら必ずしも無上の喜びには至りきれない。そのどうして、どうして。どうしてなの?という無限の思いが「もののあわれ」にもつながるのかな。しみじみとした味わい。そこの深さに比べると宇治十帖はちょっと浅いように思います。 -
最後にあった瀬戸内寂聴の執筆作品の一覧展示。まだ創作意欲は衰えていないよう。益々の活躍を期待します。
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続いて、市街中心部。
あわぎんホールは、藍場浜公園内の一角。新町川に面して建つ多目的ホールを中心とする複合文化施設ですが、その大きさはけっこう巨大。ちょっと頭でっかちのデザインが独特なんですが、工事中でよくわからないかな。
で、今日のお目当ては、5階の阿波木偶資料館です。 -
これが阿波木偶資料館の入り口。やっているかどうか不安に思いましたが、ひっそりと無人の施設なんですね。
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イチオシ
のれんをくぐって中に入ると、立派な人形がお出迎え。
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楽屋裏みたいな
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作業場みたいな部屋があって。
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なんか雰囲気ありますね。
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そこから奥が展示スペース。
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名工、天狗久の作品も豊富に展示してあって、なかなかの迫力。
エビスさんに -
絵本太功記の
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イチオシ
初菊と
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イチオシ
十次郎。
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操に
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皐月と
いずれも天狗久の作品です。 -
ほか、おめでたい三番叟に
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イチオシ
義経千本桜の権太も悪くないですね。
あとは、阿波農村舞台の襖からくりもここで予習しましたが、これもなにげに価値ある展示。阿波十郎兵衛屋敷に比べればアクセスはいいし、ここはなかなかの穴場かなと思います。 -
では、寺町の方も少し。
浄智寺です。鉄筋コンクリートの本堂は都会的なモダンアート風の軽快なデザインですが、れっきとした浄土宗の寺。周囲を囲む塀も低いので、オープンな感じもあって、気軽に眺められるお寺です。 -
般若院は、真言宗の寺で阿波秩父観音霊場番外札所。しゃちほこを載せた正統派の山門から
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境内に入るとしっかりした大きさの唐破風を備えた本堂が印象的です。もともとは城山の麓にあり、徳島城の鬼門の寺だったところ、慶長元年(1596年)に現在の位置に移ったっということです。
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妙典寺は、眉山をバックにした眉山に近い方。最近、釣り鐘と鐘楼の新築を祝う落慶法要が行われたようですが、境内は敷石が敷き詰められて、本堂もさほど古さを感じない。適宜メンテをしてきちんとしたたたずまいが維持されているのを感じます。
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妙長寺は、日蓮宗四国七十七ヶ寺の一つ。表通りの角っこに御睦殿というお堂があって、層を重ねた青銅葺きの屋根に正面の唐破風の意匠が目立っています。こちらには強運の御睦経王大明神を祀っているそうで、霊験あらたかといった雰囲気がムンムンしています。
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そして、最後は潮音寺。ロープーウェイ駅からすぐの小さな臨済宗妙心寺派のお寺で、砂利を整地しただけの平地に質素な本堂が建つだけの寺ですが、
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奥に入っていくと明治期に活躍したポルトガルの外交官で徳島にゆかりのあるモラエスと妻である福本ヨネ、ヨネの姪である斎藤コハルの墓所がありました。寺は質素ですが、ここはちょっと特別な場所のような気がします。
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続いては、東新町商店街の方へ。
オーバッシュは、少し脇に入ったところにあるパン屋さん。ハード系のパンとか充実しています。 -
朝飯代わりにウインナーのパンを買いましたが、ちょっと値段はお高めかな。。と思ったら、このポークウインナーは高級感があるし、パンもしっかり。レベル高!これなら納得の値段設定かなと見直しました。
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で、これが東新町商店街。ちゃんとアーケードもあるし、昔ながらの商店街なんでしょうか。ただ、地方によくあるシャッター通り商店街といった寂しい雰囲気は否めない。今では徳島駅の方が発展しているし、かつての活気を取り戻すのは容易ではないような。チュロスの店とかさっきのオーバッシュとか。元気な店はわずかです。
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続いて、そのまま銀座商店街の方へ。
岡久蒲鉾店は、両国橋の南側。 -
いただいたのはごぼう天。
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しっかりしたごぼうの歯ごたえが気持ちいい。ただ、かまぼこはまあ普通。徳島はやっぱりちくわだったかな。ちくわのプリンとした触感が恋しくなりました。
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で、これが銀座商店街。東新町商店街とも少し連動しているかな。ただ、こちらの商店街は、並木通り沿いにうどんやさんとか元気な食堂がいくつかあるので、東新町商店街に比べれば微妙ですけどまだ活気があるような気がします。
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で、入ってみたのは手打ちうどん 山しげ。さりげないけど、なんとなくのオーラを感じて入りました。
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冷たいぶっかけうどんをいただきましたが、つるんとした触感と程よいコシ加減。あれ?徳島でもやっぱり四国。さりげなくうどんの名店がありますねえ。いいお店を発見して、ここでちょっとテンションが上がりました。
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そして。。
徳島にお好み焼きのイメージはありませんでしたが、はやしのお好み焼は、地元でも大人気のお店だそうでして。
用心して予約を入れて伺いましたが、平日のお昼だし、そこは早期にする必要はなかったようです。 -
イチオシ
さて、いただいたのは、豆の入ったお好み焼き。豆というのは甘い金時豆。徳島ではチラシ寿司なんかにも入っていますよね。それがアクセントになっているんですが、このお好み焼き、全体としては、ドロドロ系。具材もドロドロに溶けた感じで、それらが混然と一体になったおいしさ。なるほどねえ。確かに、大阪のお好み焼きとは違ったおいしさです。
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粉ものつながりで、パン屋さんも探索です。
ベーカリー ツネヤマも銀座商店街。12時からのオープン。一人でやっているおばちゃん曰く、マイペースなお店です。 -
いただいたのは、ハード系のパンでしたが、甘い系の柔らかパンもいい感じ。地元密着の緩いパン屋さんです。
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もう一軒のルパン工房は、徳島市役所の向かい側。外観は普通でしたが、店内は美しい陳列。
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注文すると店員さんがパンを取ってくれるスタイルです。
こんがり焼けたパンはどれも美しいですね。粒餡のあんパンをいただきましたがしっとり感とか期待通りのおいしさでした。これですっかり落ち着いたかな~ -
今日はいい天気。駅前のそごうのビルも美しいですね。
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そのビルの地階にあるのがとくしま旅づくり。しかし、こんなところに観光案内所って。そもそも観光客だったら駅の周辺か。そうじゃなければ阿波おどり会館とかで情報を得たいと思うはず。がこんなところまでくるのかなあと疑問に思わざるを得ませんね。地元の人が何かの時のためにここで情報を得ておくということなのかな。県外からの観光客には、やっぱり縁遠い場所だと思います。
? -
駅まで戻って、これはポッポ街。
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その入り口近くにあるのが、チュ チュ チュロス カフェ。
どこかの遊園地っぽいメイクをした女性が迎えてくれます。 -
さて、チュロスの方は種類がたくさん。
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ここは基本のシュガーをいただきましたが、揚げたての暖かなチュロスはカリカリ感もあるし、極上の味わい。チュロスっておいしいなと改めて認識させられました。
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なお、晩飯は昴。両国橋からすぐ南の商店街中ほど。個室がたくさんあるお店ですが、内容はリーズナブルで気軽に一杯やれるという感じ。地元のブランド阿波尾鶏の空揚げや竹チクワなど、徳島の地元料理もさりげなくラインナップしています。(写真は撮り忘れました)
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で、今夜の宿はハイパーイン 徳島両国橋。安宿なので、寝るだけ。明日からはレンタカーの旅なので早めに休みます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- チーママ散歩さん 2020/08/27 07:13:39
- ありがとうございます。
- おはよう御座います。
旅行記にお立ち寄り頂きまして、いいねとフォロー頂きましてありがとうございます。
私のは内容の薄い備忘録なので、たびたびさんの
しっかり徳島の奥深い魅力をご紹介している旅行記
と比べたら恥ずかしいですね(o^^o)
4つの時代を生きた瀬戸内寂聴さんですね。
98歳の今も現役でご活躍されているのでしょうか。
美人秘書さんが有名なミーハーな事しか知りませんが^o^
たびたびさんの紹介文を拝見して、寂聴さんの源氏物語が気になりました。
お城の黄色橋も、朱塗りが多い中、初めて。
改めて知らない徳島の旅行に連れて行って頂きました。
ありがとうございます^o^
今日も残暑厳しい日になりますので、水分補給を
なさって元気にお過ごし下さい。
チーママ散歩より
- たびたびさん からの返信 2020/08/27 20:49:49
- RE: ありがとうございます。
- 四国は松山と高知に住んだことがあり、それなりに縁のあるところ。しかし、四つの県はそれぞれに特徴があって、新鮮な気持ちになるんですよね。
今回の徳島の旅行記もあと4本を準備していまして、まだいろいろ試行錯誤中。少しずつアップしていく予定ですので、よろしくお願いします。
たびたび
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