2019/09/22 - 2019/09/22
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ミズ旅撮る人さん
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「大塚国際美術館」。名前はツアーなどで、よく目にしますが、
遠方ということもあり、わざわざ行こうとは思いませんでした。
ところが、たまたま溜まったマイルで徳島に行くことになり、
それなら近くにあるのでと
「大塚国際美術館」を検討してみました。
するとその入館料にびっくり!3,240円?
よほどやめようかと思ったのですが、これを逃したらまず行くことはない場所。
多くの人が訪れているというし、これだけの金額に見合うのか、
実際に行ってみないとわからない。
本物の絵画は1枚もなく、すべて陶板画だという「大塚国際美術館」。
行ってみました。全部を見て回ると歩く距離は4kmにもなるといいます。
実際、6時間掛かりました。
陶板画を見るだけでなく、コスプレフェアもやっていて、
結構楽しめました。
1,000点を越える収蔵量は収蔵量が半端ではありませんでした。
恐れ入りました。
※金額は消費税8%時点です。2019年10月以降とは異なります。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通手段
- レンタカー JALグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
台風17号が九州の西を通過しようとしています。
羽田からの飛行機は「天候次第では引き返す」という条件付きでしたが、無事徳島空港に降り立ちました。
空港から「大塚国際美術館」はすぐです。直接路線バスでも行かれます。
鳴門海峡を挟んで淡路島とは大鳴門橋の向こうとこっちという場所です。
駐車場は美術館の前を通り過ぎ、海が見えたら左に曲がって
少し行った先にあります。
無料のシャトルバスが随時客を乗せてピストン輸送しています。
緑の上に見えているのが1・2階部分で、この玄関を入って
一番始めの展示会場は地下3階になります。
そこへ行くのにも、長いエスカレータを上って行きます。
チケットは、コンビニで予め購入しておくと、3,100円です。 -
エスカレータを上がると、オフィスビルの玄関ホールのような
場所になります。
出入り口の手前と売店の奥にコインロッカーがあります。
ここに不要な荷物を入れておくことをお勧めします。
なにしろ、道中が非常に長いので、
少しでも身軽にしておくことが肝心です。
「大塚国際美術館」の写真で一番多いのが、
「システィーナ礼拝堂」ではないでしょうか。
目玉商品が入場してすぐ目の前にあります。
右手に売店、左手には「カフェ・フィンセント」があります。 -
「カフェ・フィンセント」です。
開館直後ですが、既にお客さんがいます。
時間を追うごとに混雑して行くでしょうから、ここ目当ての人は
この時間が狙い目なのかもしれません。
「フィンセント」は、ゴッホのファーストネームです。
余談ですが、ゴッホファンの方は、南仏のアルルに行くことを
お勧めします。
街中にゴッホが絵を描いた場所があり、
その絵の説明板をあちこちで見ることが出来ます。
ゴッホの黄色い家や、最初に入院した元修道院、有名なカフェもあって、散策するのが楽しいです。
旅行記「南仏&モナコのクリスマス(1)
古代ローマとゴッホの町アルル」で紹介しています。 -
「システィーナ礼拝堂」を再現した部屋です。
バチカン市国に行った時、サンピエトロ寺院には入ったけれど、
システィーナには入れなかったので、実物とどの程度同じに
再現されているのかわかりません。
この部屋は天井付近だけを再現してあるので、
ちょっとホテルのホールのような印象です。 -
システィーナで言う東壁が正面に当たりますが、
3層を貫いて一枚の絵になっています。
ミケランジェロの「最後の審判」です。1541年に完成しました。 -
中央がイエス・キリスト、その左側に聖母マリアがいます。
キリストの周りを使途たちが囲んでいます。
マリアの隣が聖アンデレ、その隣が洗礼者ヨハネ、
マリアの下が聖ロレンツオ。キリストの右側で両手に大きな鍵
(天国への鍵)を持っているのが聖ペテロ。 -
怖いのは、キリストと聖ペテロの間の少し下にいる人物(写真の左端)。
聖バルトロメオです。彼は、自分の皮を左手に握っています。
生皮を剥がされて殺されたという殉教者であることを
示しているそうです。
いくらなんでも、こういう描き方をするの?その神経がわからない。
しかも聖バルトロメオの顔はミケランジェロ自身の顔であると
言われているそうです。 -
この「最後の審判」は、完成当初は全員全裸で描かれていました。
しかし、1564年にカトリックの議会の決定により、
腰布が描き足されました。
腰布を描いたミケランジェロの弟子は、
以来「ふんどし画家」と呼ばれたとか・・・
「最後の審判」の上からが天井部分になります。
右側の角が「青銅の蛇」、左側の角が「ハマンの処刑」です。
中央の足元に大きな魚が描かれているのが聖人ヨナです。 -
「最後の審判」は画面構成が大きく左右に分かれ、
向かって左、キリストから見て右側が神に選ばれて
天国へと上って行く人々、
左側が地獄に下る人々が描かれています。
これは「マタイによる福音書」に、
「王(キリスト)は右にいる人々に言うであろう、
『わたしの父(神)に祝福された人たちよ、
さあ、世の初めからあなたがたのために用意されている御国を
受けつぎなさい。』」と書かれていることを表しています。
この時から「右」が善であるとされ、
英語でも「正しい」という意味を持っています。
この「善」と「悪」の二つしかないという単純な色分けを
してしまったために、人間はどちらでもあるのだと認識できずに
争いが絶えないのだと思います。 -
自分の絵に腰布を描き足されてしまったミケランジェロは怒って、
右下の地獄の王ミノスの顔に議長ビアージオの顔を描き込み、
その体を取り巻く蛇に陰部を咬み付かれているようにしてしまいました。 -
では、天井の中心部分に行きます。
天井画は、中心に9枚の『メインストーリー』が並びます。
その周囲には12枚の『聖人と巫女たち』と、四隅のペンデンティブと
呼ばれる部分の『4つの物語』があります。
この写真は「最後の審判」に近い部分で、中央に『メインストーリー』の最後「ノアの泥酔」があります。
その上に逆さまになっていますが、『聖人と巫女たち』の「ゼカリヤ」(本を読んでいる坊主頭の聖人)。
その脇の三角形が『4つの物語』で、右が「ユディトとホロフィネス」、左が「ダヴィデとゴリアテ」です。
「ノアの泥酔」の両脇は『聖人と巫女たち』で、
女性が「デルフォイの巫女」、男性が「ヨエル」です。 -
更に両側に三角形をしたヴェラと呼ばれる部分の
『ユダ王国の歴代の王たち』、
その更に外(写真では下)側のバームクーヘンの半分のような
ルネット部分の『キリストの先祖』」というシリーズがあります。
『メインストーリー』部分は、左から「ノアの泥酔」・「大洪水」・
「ノアの燔祭」・「原罪と楽園追放」・「エヴァの創造」です。 -
上から「エヴァの創造」・「アダムの創造」と「大地と水の分離」です。
写真にはありませんが、この先に「太陽、月、植物の創造」と
「光と闇の分離」が続き、『天地創造』グループを形成します。 -
本来なら、システィーナ礼拝堂の壁には3層に分かれた壁画があり、
3層目には窓があって堂内に光をもたらします。
「大塚国際美術館」では、その上の天井画部分だけの
再現になっています。
第3層目には歴代の教皇が描かれています。
第2層目には、南壁に「モーセの物語」と北壁に「キリストの物語」が
描かれています。
第1層は黄金のカーテンの装飾になっています。 -
このシスティーナ礼拝堂では、2018年末の紅白歌合戦で、
歌手が歌ったそうです。
本物の絵画ではないので、ライトなども自由に使えて、
いい舞台になったようです。 -
礼拝堂を出た所には、すぐ目の前に在る鳴門の渦潮の干満潮の時間を
表示してありました。
台風が近くを通っているので、いつもよりすごい渦潮が見られたのかな? -
それでは、「大塚国際美術館」の陶板画を順路に沿って見て行きます。
「大塚国際美術館」は、1998(平成10)年に大塚製薬創立75周年
事業として設立されました。
常設展示スペースが延床面積29,412㎡という巨大な美術館には、
世界26ヶ国、190余の美術館収蔵の名画1,000余点が、
大塚 オーミ陶業株式会社の特殊技術によってオリジナル作品と
同じ大きさに複製してあります。
最初に訪れる地下3階には、
「システィーナ礼拝堂」を始めとした聖堂が復元されており、
更に古代の壁画やモザイクタイル、壺などが展示されています。
第2展示室には、マドリッドのプラド美術館にある
エル・グレコの「三位一体」(左)と「聖アンデレと聖フランチェスコ」(右)があります。
エル・グレコは本名ではなく、ギリシャ人を意味するエル・グレコと
呼ばれていたのです。
本名はドメニコス・テオトコプーロス。
宗教画を主に描き、青白い色使いが独特な画家です。
クレタ島で生まれ、イタリアを経てスペインで活動しますが、
フェリペ2世に認められず、宮廷画家にはなれませんでした。
それでも、スペインのプラド美術館には彼の作品が多くあります。 -
第3展示室は「エル・グレコの部屋」。
ドーニャ・マリア・デ・アラゴン学院の祭壇衝立画の復元です。
戦争に因り、祭壇画は散逸してしまったため元の形がわからず、
推論の一つに基づいて復元されています。
中央の下段が「受胎告知」、その左が「羊飼いの礼拝」、
右が「キリストの洗礼」。
上段の中央が「キリストの磔刑」、左が「キリストの復活」、
右が「精霊降臨」です。
現在では存在しない祭壇をこうして復元できるのが、すごいですね。 -
エル・グレコの代表作「オルガス伯爵の埋葬」です。
トレドのサント・トメ聖堂にあります。 -
順路は左端の第2・3展示室からセンターホールを横切って
次の第4展示室へと向かいます。
ホールに釣り下がっているのは、マネの「笛を吹く少年」です。
「大塚国際美術館」では、フランス絵画のコスプレを開催しているので、
その宣伝です。
もちろん「笛を吹く少年」のコスプレもあります。 -
第4展示室では「聖マルタン聖堂」(フランス)の壁画が
4面すべて展示されています。
こうして立体的に展示されていると一層臨場感がありますね。 -
第5展示室は「聖ニコラオス・オルファノス聖堂」(ギリシャ)の
再現です。
青を基調とした聖堂の中は、なんだかエジプトの玄室の中みたい。
「王家の墓」に入った時、数千年も前の壁画なのに、
色が鮮明でびっくりしました。
この後、古代ギリシャ・ローマの遺跡なども展示されているのですが、
古代エジプトはなかったなあ。 -
第6展示室は、ポンペイの遺跡の中で特によく壁画が保存されている
「秘儀の間」です。
秘儀荘の中に「ディオニュソス(バッカス)の秘儀の間」があります。
ポンペイ・レッドと呼ばれる美しい赤が印象的な壁画です。
ポンペイはヴェスビオス火山の火砕流によって埋まってしまった町です。
遺跡は大変広く、足元は当時のままの大きな石で舗装されているので
かなり疲れます。
見学コースをよく考えて行った方がいいです。
そして、ほとんど日陰がないので暑さ対策も万全に。 -
第7展示室は、イタリアのモンテロッツィ墓地にある「鳥占い師の墓」。
こうした立体復元の展示室はここで終わりです。 -
さて、第9展示室は大きな円型をしており、
「古代系統展示」と題されています。
真っ直ぐ進むと、展示室は2段になっていることがわかります。
まず上段の展示を半分見たところで、下段に誘導されます。
上段の円を囲むように下段があり、再び上段に戻って来ます。 -
古代ローマの壺の展開図になっています。
球体を広げているので、ちょっと見にくいのですが、
壺の平面図なんて普通は見られません。 -
「アレクサンダー・モザイク」。
マケドニアのアレクサンダー大王(紀元前356~323年)を
描いたとされるこのモザイク・タイル、アレクサンダーの
顔の部分ばかりが有名で、全体はこんなに大きな作品だったんですね。
アレクサンダーの東方遠征によって、
後にヘレニズム文化が形成されました。
このモザイクは、先程のポンペイ遺跡で出土しています。 -
この陶板画はなんだか妙な画面構成になっています。
-
元々は、写真のような形の物の展開図だからなんです。
平面にしか転写できないということなのかな?
「陶板画とは、陶器の大きな板に原画に忠実な色彩・大きさで
作品を再現したものです。
紙やキャンバス、土壁に比べ色が経年劣化せず、
また大きさも原寸大に再現されている」
と、HPでは説明されています。
「古代から現代に至るまでの西洋美術の変遷が美術史的に
理解できるように順を追って展示しています。」ということなので、
このようなちょっと無理矢理な展示になっています。
個人的な意見としては、壺は壺のままで見たいなあ。 -
これもポンペイ出土の「若い女性の肖像」です。
A.D.1世紀後半のもので、貴族の娘と考えられています。
現在は「アレクサンダー・モザイク」と同様、
ナポリ国立考古学博物館に収蔵されています。 -
下段から上段を見上げています。随分変わった造りになっています。
正面の通路からこの第9展示室に入って来ました。
入ってすぐの両脇には、陶板画の説明がされています。
昭和48年、大塚と滋賀県信楽町の近江化学陶器株式会社が合併して
大塚オーミ陶業株式会社を設立しました。
しかし、石油ショックで陶器が売れず、高い技術力で品質の優れた陶板を作ることが出来たため、陶板画へと発展させていきました。
陶板画には鳴門海峡の砂を用い、
1,300度で特殊技術を以て焼いています。
普通の絵画とは違い、1,000年以上経過しても
変色などがないということです。 -
こちらもポンペイの「悲劇詩人の家」から出土した壁画
「アキレウスとブリセイス」です。
これは説明を読むとおもしろいので転記します。
「この壁画は、アキレウスのもとを去るブリセイスを主題としている。
アキレウスは奴隷のブリセイスを愛していたが、愛妾クリュセイスを
失ったギリシャ軍の総帥アガメムノンは、その代わりとして
アキレウスからブリセイスを取り上げる。
アキレウスの静かな身振りのうちにアガメムノンに対する怒りと
諦めの悲哀が込められている。
複雑な心理表現を描き出したこの作品は、ポンペイ絵画の傑作の
一つに数えられている。」
「アガメムノン」というと、「アガメムノンの黄金のマスク」を
連想しますが、あれはシュリーマンがミケーネ遺跡で発掘したもので、
現在ではアガメムノンの時代より前に造られたものであることが
判明しています。 -
第16展示室には石棺まであります。「狩りと漁りの墓」です。
-
円型展示室を出ると通路にモザイク・タイルが掲げられています。
第18展示室です。
右が「聖ディミトリオスと並ぶ司教と行政官」で、
左が「皇妃テオドラと侍女たち」かな?
とても大きな作品なので、作品名を確認しそびれました。 -
第17展示室は、イタリア・パドヴァの「スクロヴェーニ礼拝堂」です。
壁画はジョット の作品です。
ほんの小さな礼拝堂だそうですが、中身は壮大です。
正面が入り口で西壁に当たり、「最後の審判」が描かれています。
こちらの「最後の審判」は、着衣で描かれているので、
問題は起こらなかったでしょうね。 -
側面には、「キリストの生涯」が25場面描かれています。
反対側には「聖母の生涯」12場面があります。 -
色がとても綺麗で、筋骨隆々の「システィーナ礼拝堂」より好きです。
-
天井です。
この部屋は、カメラの光源の設定で、まったく違う色合いに撮れるので、是非ともいろいろ変えて撮ってください。
オートで撮っただけだと後悔します。
これは蛍光灯の設定です。
絵をよく見たいなら一番見安い画面になります。 -
同じ場所を「オート(標準)」で撮ったら、こうなりました。
むごい写真です。
一眼レフでなくとも、今のデジカメはコンパクトカメラであっても
かなり設定が変えられるので、この部屋だけは、絶対に試してください。 -
電球色にするとこうなりました。一番色が柔らかくて、いい感じです。
-
正面の祭壇は、東壁で「大天使ガブリエルを遣わす父なる神」が
描かれています。 -
「キリストの誕生」です。綺麗ですね。
それにしてもベッドの下にしゃがんでいるのは、
父親のヨセフだと思うのですが、情けないなあ。 -
「ピエタ」です。すごい表情ですね。
この礼拝堂は、すべての壁画をつぶさに見る価値があります。
一枚一枚じっくり鑑賞したい。
でも、「大塚国際美術館」は巨大なんです。
ゆっくりしていると、最後まで見ないうちに閉館になっちゃう。
地下3階に展示されている「古代」の展示作品は、ギリシャの壷絵・
ポンペイの壁画・モザイク画など約130点です。
第17展示室からの「中世」は、イコン・聖堂の壁画など
約100点が展示されています。 -
「古代」の円型展示室の外には
モナ・リザのコスプレが用意されています。
モナ・リザは2枚用意されているので、2組まで参加できます。
衣装は黒いストールやドレスがあり、思い思いに纏って撮影に臨みます。
モデルに老若男女の隔てはありません。
彼がもっとも脚光を浴びたのは言うまでもありません。 -
ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」もあります。
これは勢いよく国旗を振った時に撮る必要があるので、
タイミングが重要です。 -
館内には、展示室の案内があります。
単なる平面ではなく、途中で階段を降りて下段の部屋に行き、
更に奥の展示室を見て来るなど、複雑になっているので、
番号を追って歩かないと、展示品をずっぽり見損なう可能性があります。
22から23へは、21に戻って24を通って辿り着きます。
また、24から先はうっかり27に行ってしまうと、
25・26を見落とします。
このような複雑な構造が、長時間の鑑賞でも飽きさせない
秘訣なのでしょう。 -
24の長い展示室です。
右の入り口が23展示室、突き当りが25展示室です。
先ずは(写真には写っていませんが)左手の階段を降りて
第21展示室へ入ります。 -
「聖ニコラウスとその生涯」
13世紀前半、エジプト・シナイ山のアギア・エカテリーニ修道院です。
「聖人の誕生」から「聖人の死」までの
16枚の壁画で構成されています。
270年頃にトルコで生まれた聖ニコラウスは、
ギリシャ正教の聖人となり、西欧で広く信仰されています。
なんてったって、サンタクロースだもんね。
12月6日が聖ニコラウスの日なので、
ドイツではこの日にプレゼントがもらえます。 -
「聖ペテロ」
6世紀後半~7世紀前半。同じくアギア・エカテリーニ修道院です。
キリストから渡された「天国への鍵」と十字架のついた杖を
持っています。 -
第21展示室です。24から階段を降りて行きます。
主にイタリア・フランスの聖堂を飾る壁画の数々です。
奥に、第22展示室への入り口があります。 -
イタリア・チヴァーテのサン・ピエトロ・アル・モンテ聖堂の
「龍を退治する大天使ミカエル」です。
ミカエルは「龍退治」のモチーフで描かれることが多いです。
フランスのモン・サン・ミッシェルは、
この大天使ミカエルを祀る修道院で、
塔の先端には「金のミカエル像」が燦然と輝いています。 -
こちらも「大天使ミカエル」です。
14世紀中頃の作品で、アテネのビザンチン美術館に収蔵されています。
板絵の質感そのままに再現されています。
これが陶器だなんて、とても見えません。 -
1,100年頃の「ウラディミールの聖母子」は、
モスクワのトレチャコフ美術館に収蔵されています。
このポーズはビザンチンの特徴ですが、説明には
「母が子に抱く慈しみや、愛情の機微を示すエレウーサ型の
この聖母子は、人間味ある表現への転換期を代表し、
その後のロシアの聖母子イコンに大きな影響を与えた。」とあります。
あまり表情豊かとは思えないんだけどね。 -
「ヤロスラヴリの聖母」もトレチャコフ美術館収蔵です。
「両手を挙げるオランスの聖母は
「ブラケルニオティッサの聖母」と呼ばれる。」
説明書きのカタカナ部分が全然わからない。
聖母マリアが胸に「幼児キリスト」を内包していることから、
受胎告知後のマリアを暗示しています。 -
パリにあるクリュニー美術館収蔵のタピスリーで、
6枚一組の中の「一角獣を従えた貴婦人」という作品です。
貴婦人の後ろのテントには「わが唯一の望み」と書かれています。
織物であるタピスリーまで陶板画になるんですね。すごいなあ。
タピスリーは色褪せが早いから、鮮明なうちに転写できると
すごい保存方法になると思います。 -
ようやく地下3階の鑑賞が終わりました。
エスカレータで2階にあがります。
「ルネサンス」の展示数は約140点。ボッティチェッリ,
レオナルド・ダ・ヴィンチ,ラファエッロなどが並びます。
フィレンツェのウフィツィ美術館収蔵「受胎告知と二聖人」です。
「マリアの謙遜と純潔を証明する身振りである。
父なる神は現れていないが、中央のアーチに黄金の聖霊の鳩がいる。
これによって天と地の三角形が成立している」 -
このものすごく迷惑そうなマリアの顔が印象的です。
大天使ガブリエルとの間の空間に火花のように文字が発されています。 -
「受胎告知」シリーズが取り揃えられているこの作品群の中で、
異色なのがこれです。劇的なシーンの筈なんですが、
それをまったく感じさせません。
聖母マリアが、ただの読書中かのように、静かに佇んでいます。
1500年ベッリーニ・ジョバンニ作、
ヴェネツィアのアカデミア美術館収蔵です。 -
1486年カルロ・クリヴェッリ作、
ロンドンのナショナル・ギャラリー収蔵です。
大天使ガブリエルと大司教が外にいて、
聖母マリアには直接天からの光線が届いています。
光源には黄金の鳩がいて、この三者で三角形が形成されています。 -
1440年代後半、フラ・アンジェリコ作。
フィレンツェのサン・マルコ美術館収蔵です。
伝統的な中世の受胎告知に比べて、
至ってシンプル・簡素化されています。
光線も鳩もおらず、大天使ガブリエルと聖母が対峙しています。 -
15世紀中頃、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン作。
ルーブル美術館収蔵。
フランドル絵画の特徴として、光線などの超自然的なものを
描く代わりに、現実のもので象徴的な意味を表しています。
床に置かれた花瓶には純潔の象徴であるユリが活けられ、
その過敏には謙遜を意味するスミレが描かれています。
ベッドにも純潔を表す神をかたどったメダイヨンが下がっています。 -
1472~73年、レオナルド・ダ・ヴィンチ作。
フィレンツェのウフィツィ美術館収蔵。
ダ・ヴィンチは、聖母マリアのお腹に金色の帯を巻くことで、
純潔を表しました。 -
これが、レオナルド・ダ・ヴィンチの聖母マリアです。
-
1582~84年、フェデリーゴ・バロッチ作。バチカン美術館収蔵。
常に大天使の威光を纏っていたガブリエルが
まるで求婚するかのように優しく接しています。
聖母マリアもとても優しく応えています。
この作品は後のバロック絵画に影響を与えました。 -
こんな「受胎告知」もあるんですね。
1527年頃、ロレンツォ・ロット作。
イタリアのレカナーティ市立絵画館収蔵。
ガブリエルはまるで、掴みかかるかのように聖母に迫り、
聖母マリアは目を剥き、両手で遮るようにして
天使から逃れようとしています。
天使の背後には父なる神までが姿を現しています。
とても祝福の場面にはみえません。
この時期は宗教改革が起こり、世界が揺らいでいたので、
安定感のない画面になったようです。
28・29の展示室は、このように、「受胎告知」の変遷を
見せてくれました。 -
第31展示室。バチカン宮殿「署名の間」にある
ラファエッロの「アテネの学堂」。
古代ローマ大聖堂で左にプラトン、右にアリストテレスが立っています。
前者が上を指さしているのは、精神世界の研究を表し、
後者が下を指しているのは科学の研究を表しています。 -
フィレンツェのピッティ美術館でラファエッロと言えば、
これを思い出します。
珍しい円形の絵画で、聖母子らしくない、普通の親子のような雰囲気。
「小椅子の聖母」です。
そもそもターバンをした聖母なんて今までいたかしら? -
第32展示室。今度は聖母子シリーズです。
チマブーエ 作、「荘厳の聖母(サンタ・トリニタの聖母)」
フィレンツェの ウフィツィ美術館収蔵。
ビザンチン様式の聖母子です。聖母はイエスを左に抱えるのが定番です。 -
パルミジャニーノ作、「長い首の聖母」 ウフィツィ美術館収蔵。
題名にもなっている聖母の長い首。
全体的にくねらせた姿態の聖母はマヌエリスム様式の特徴です。
抱えられたイエスは、ぐったりして落っことされそうです。
羽根も輪っかもないし、「聖母子」として信仰を受ける絵画には
見えません。 -
フラ・フィリッポ・リッピ作「聖母子と二天使」ウフィツィ美術館収蔵。
「これは謙遜の聖母と呼ばれ、マリアが自分の母性としての尊厳を
主張せず、自分もまたイエスの下にあることを示している。
イエスは天使によって聖母の顔と同じ高さまで持ち上げられている。
それはマリアが人間の娘であり、
イエスという神の子を生むことでのみ尊いとされるドグマを暗示する。
イエスがマリアを祝福するような身振りをしているのも
それを強調している」
親子関係の喪失なのね。 -
ラファエッロの「大公の聖母」、ピッティ美術館収蔵。
ハプスブルクの大公が所有していたことからこの名が付きました。
たいへん人気があって、多くの模写が行われました。 -
ラファエッロの大変有名な一作「美しき女庭師」ルーブル美術館収蔵。
なんで「庭師」なんだろ? -
第33展示室。
ミケランジェロ作、「聖家族(ドーニ家の聖家族)」
ウフィツィ美術館収蔵。
ドーニ家の婚礼の記念に製作されました。珍しくヨセフがいます。
記念として作られたからか、とても鮮やかで印象的な絵になっています。
私が気に入ったのは絵じゃなくて、飛び出している額縁の方だけど。 -
第35展示室。
ティツィアーノ作「聖母被昇天」
ヴェネツィアのサンタ・マリーア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂収蔵。
16世紀になるとこの題材がもてはやされるようになり、
聖母被昇天教会が建てられていきます。 -
第30展示室。あまり美術に関心のない人でもこれなら知ってます。
ボッティチェッリ作「ヴィーナスの誕生」 ウフィツィ美術館収蔵。
西風の神ゼピュロスとニンフのクロリスが風を送って
ヴィーナスの乗った帆立貝を押し流しています。
季節の女神がローブを差し掛けています。
ちょっと歩き疲れて、鑑賞疲れもして来ましたが、
よく知っている名画の登場でまたやる気が出て来ました。
ここら辺りから、鑑賞している人の数がぐっと増えて来ます。
係員がピックアップして説明して歩くツアーもあるので、
この辺りは人口密度が急に高くなります。
もし、ツアーに行き合ったら、別の部屋に逃げ込んで
やり過ごしましょう。
時間が限られているツアーは、すぐに移動して行きます。 -
突き当りにはボッティチェッリの「春(ラ・プリマヴェーラ」
ウフィツィ美術館収蔵があります。
狭くなっているので、どうしても人はここに詰まります。 -
第36展示室。
ティツィアーノ作「ウルビーノのヴィーナス」 ウフィツィ美術館収蔵。
ウルビーノ公が依頼した作品。
背後で座り込んでいる白い服の女性が何をしているのか、
そちらの方が気になります。 -
隣には、手本となったジョルジョーネの「 眠れるヴィーナス 」が
あります。
急逝したジョルジョーネの代わりにティツィアーノが
背景を描いて完成させました。
ドレスデン古典絵画館収蔵。 -
第37展示室。
クラナッハ作「ヴィーナスに訴えるキューピッド」
ロンドンのナショナル・ギャラリー収蔵。
キューピッドがハチミツを採ろうとして鉢に襲われ、
ヴィーナスに助けを求めています。
この貧相な体つきの女性をヴィーナスと言えるクラナッハ。
珍妙な髪形といい、どうもわからない画家です。 -
ブロンズィーノ作「愛と時間の寓意」
ロンドンのナショナル・ギャラリー収蔵。
「嫉妬」を表す老婆、「欺瞞(ぎまん)」を表す少女、
「時の老人」にその娘「真理」。
たくさんの擬人像があって「寓意」が表わされているそうなんですが
単に絵として楽しみたいな。 -
第39展示室。
ブリューゲル(父)作「 バベルの塔」 ウィーン美術史美術館収蔵。
旧約聖書の創世記に書かれているものを描いています。 -
ブリューゲル(父)と言えば、こちらの「雪中の狩人」の方が
馴染みがあります。
ようやく画題が普通の人々の日常生活に及ぶようになりました。 -
レオナルド・ダ・ヴィンチ作「岩窟の聖母」ルーヴル美術館収蔵。
隣にそっくりな「岩窟の聖母」ロンドンの ナショナル・ギャラリー収蔵があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を基に
アンブロージョ・ディ・プレディスが描いたとされます。
ダ・ヴィンチ特有の聖母の腹部を指さす仕草がなかったり、
少しずつ違いがあります。 -
その腹部を指さしている聖ヨハネ。なかなかの流し目です。
-
第41展示室。
「ルネサンス」の目玉「最後の晩餐」です。
長方形の部屋の両側に「最後の晩餐」が飾られています。
1977年から20年以上かけて修復が行われた前と後の作品です。
これは修復後。 -
こちらが修復前です。どうやって修復前の転写が出来たんでしょうね。
「大塚国際美術館」の作品数は1074点です。
「最後の晩餐」は346番です。
ルネサンス期を終えたいと思っていたのですが、
あまりに作品が多いので、ひとまず「最後の晩餐」で今回は終わります。
次回は「ルネサンス」の残りと「バロック」に行きます。
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