2019/07/05 - 2019/07/08
13位(同エリア28件中)
国電さん
■はじめに
今回の非鐡の旅の行き先は、黒島である。と言っても、観光地としてそこそこ有名な沖縄県の黒島ではなく、鹿児島県にある地味な島である。
本来は、去年の5月に訪問する予定であった。しかし当日の朝(もう鹿児島市にいる)になって船が欠航してしまい、急遽代替の旅を実施して「臨機応変・九州満喫の旅」(https://4travel.jp/travelogue/11365679 )として旅行記にまとめたところ、トップページの「おすすめ旅行記」に取り上げられてしまい、いつも以上に多量の投票を得たという、妙な思い出がある。
6月末からの記録的な豪雨で鹿児島県内の交通に様々な影響があり、今回もまたかと思ったが、出発日(7月5日)になって落ち着いてきた。後は、船次第である。
初日:午前の便で鹿児島へ。空港連絡バスで鹿屋へ行き、鉄道記念館へ。バスで鹿児島市内へ(鹿児島泊)。
2日目:フェリー「みしま」で黒島へ(黒島泊)。
3日目:フェリー「みしま」で鹿児島へ。指宿へ移動(指宿泊)。
4日目:指宿枕崎線で枕崎へ。バスで加世田へ行き、鉄道記念館へ。空港連絡バスで鹿児島空港へ行き、空路東京へ。
非鐡とは言っても、鐡分は意図的に多めである。
@加世田バスターミナルにて
- 旅行の満足度
- 4.5
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-
■2019.7.5
今日は鹿児島市に移動するだけであるが、せっかくなので夏季休暇を取得して午前の便で移動した(金曜夜の宿泊も付けたパック旅行である)。
鹿児島空港着は、定刻より5分遅れの12時ちょうど。12時00分発の鹿屋行バスはもとより諦めていたのだが、建物入口から外に出てみると、なんだか大行列である。というのも、高速道路が一部閉鎖ということで、鹿児島市内行のバスが最大で「2時間遅れ」であるという。行列は空港建物の端まで連なっており、他人事ながら大変そうであった。
いつもの私ならこれに巻き込まれていたところであるが、今日は幸いにも上記旅程の通りであるため、カードラウンジに行き、ネットでバスや高速道路の状況を確認しつつ(そういう私も、復路は関係があるので)、13時00分発の鹿屋行バスを待ち続けた。
時間になり、バス乗り場へ。鹿児島市内行バスの大行列を尻目に、鹿屋行に乗り込んだのは私1人だけであった。
@人生とは不公平也 -
定刻に出発。空港最寄りのインターが閉鎖ということで、国分を過ぎるまでは下道を走るという。また、そもそも乗客は私1人だけであるため、私が下車する市役所前まで停まらずに行ってくれるという(12時発は路線バスであるが、13時発は高速道路経由であり停留所はほとんどない)。運転手曰く「トイレか何か必要でしたら言ってくださいね」ということで、これはもう「超巨大タクシー」状態である。
@下道を走るため、日当山温泉も通った -
市役所前には、14時27分に到着した。時刻表より7分早着であるが、空港付近から高速に乗っていれば、もっと早く着いていたであろう(高速と言っても片側1車線が多い=遅い車に引っ掛かっても大丈夫な時刻設定にしているものと思われる)。
さて、わざわざここに来たのは、鉄道記念館があるからである。駅跡地が市役所になっており、その隣にある立派な記念館がもう見えている。いそいそとそこに向かって中に入った。
@展示の一例 -
初老の方が事務所から出てきて説明をしてくれ、また硬券のような入場券も無料で頂けた。展示物の数もかなりあり、この手の鉄道資料館は鍵が閉まっていたり開館日が極端に限られていたりすることが多いが、ここはかなり充実している部類であった。
建物の後ろには車両(キハ20)もあり、中も当時のままで、自由に入ることができるようになっている)。
@懐かしい -
歩いて鹿屋バス停(リナシティ前)まで行き、空き時間があったのでスーパーで地の物(鹿屋産納豆など)を買い、次に乗るべきは鹿児島市内行の直行バスである。
@やって来ました -
15時25分に出発、乗客は私を含めても4人だけである。
直行バスといっても、このバスは錦江湾沿いにずっと走り続けるわけではなく、垂水でバスのままフェリーに乗り込んで対岸の鹿児島市へ直行するのである。海外(北欧など)ではこういう「フェリーに乗り込む路線バス」に乗ったことがあるが、国内では初めてかもしれない。
16時05分に垂水フェリーターミナルに到着し、しばし時間調整の後、バスはフェリーに飲み込まれていった。
@バスで乗船中 -
16時30分に垂水を出港。航行中はバスから降りられるため、デッキから桜島を眺め続けた。対岸到着後、天文館で下車し、パックに付いてくるホテル(意外に良いところ)に投宿し、スーパー食材で一献して就寝。
■2019.7.6
この週末は曇り時々雨予報であったが、予想を裏切る晴れである。早めにチェックアウトして、散策がてらに西郷さんの銅像に寄ったりして、フェリー乗り場へ向かった。
@これに乗る -
待合室にある窓口で黒島(片泊)までの往復切符を買い(なんと硬券!)、船内の2等室に荷物を置き待つことしばし、定刻の9時30分に出航した。
しばらくは両側に景色が見えるためそれを見続けたが、船旅の景色というのは「動きが少ない」ので、すぐに飽きてしまうのが玉に瑕である。指宿を過ぎた辺りで珍しく「他の船舶を抜く」シーンがあったので、いそいそと写真に収めた。
@数少ない動的シーン(開聞岳をバックに) -
12時30分頃に竹島に着岸し、数人の乗客と島民向けの荷物が降ろされた。15分ほどで出発すると、次は訪問歴のある硫黄島(薩摩硫黄島)である。(今から7年半前、チャーターしたセスナ機で訪問するという変わったパック旅行に参加し、「【非鐡の旅③】セスナで行く薩摩硫黄島」(https://4travel.jp/travelogue/10629814 )として旅行記を掲載)
だんだんと活火山が近づき、入った思い出のある海際の温泉を経て、13時20分頃に硫黄島に到着した。鉄分多めの茶色い海が懐かしい。
@錆だらけ -
お出迎えの太鼓演奏があり、やはりこの島は、三島村の中では一番観光色が強い感じがする。それが証拠に、かなりの乗客がここで降りてしまった。
数える程度の乗客になってしまい、15分後くらいに太鼓の音に見送られて出航。続いては、黒島(大里)である。14時50分頃に着岸し、釣り客を含む数人の乗客が下車。ずいぶん寂しくなったな…と思って船内に戻ると、まさかの「乗客は私1人」状態である。今回の冒頭でのバスもそうであったし、JRのローカル線でも何度か経験があるが、大型フェリーで1人だけは初めてである。
フェリー「みしま」は、私だけを載せて終着の片泊に向けて出港した。もとより、このフェリーの目的は各集落へ物資を届けることであるから、観光客の数などどうでもいいのであろう。
定刻から若干遅れ、15時40分過ぎに着岸した。
@無事到着 -
予約していた宿の車で送迎してもらい、荷物を置いて、さて散策である。しかし、観光要素のある場所は数少なく、しかも歩いて行ける距離ではないため、小さい小さい集落内を歩くだけである。
坂が多いが、猫も多くてそれなりの収穫はあった。坂の途中に役所の出張所があり、船舶情報が掲示されていたが、やはり乗客は1人だけである。今日この集落にいる「部外者」は私だけ、と思うと妙に面白くなってきてしまった。
@咳をしてもひとり -
集落のはずれ(頂上)近くにある宿に戻り、魚や野菜中心の夕食を平らげ、就寝。
■2019.7.7
さて、今日は8時00分出航の船で戻るだけである。その前に散策であるが、ルートはほぼ昨日と同じ(+神社を足した程度)である。今日も、猫写真が中心である。
@「猫鐡」復活? -
宿に戻って朝食を頂いてから、送迎を断って散策を兼ねて港へ。フェリーに乗り込み、私だけを乗せた船は定刻に出航した。
大里で数人の乗客と車を乗せ、やっとフェリーらしい仕事をした。ここで、荷物を持っていない数人(子ども含む)も乗り込んできたので何事かと思ったら、彼らの目的は船内にあるアイスの自販機であった。なるほど、黒島には商店が存在しない(わずかに飲料の自販機がある程度である)ので、ある意味「移動商店」のようなものである。子どもにとっては「今日はフェリー(アイス)の日!」であるに違いない。大人など、何本も買ってバッグに入れていた。
その次の硫黄島では、今日も太鼓(+踊り)の歓迎を受けた。昨日と逆回しの景色ではあるが、飽きることはない。
@硫黄島 -
しかし晴れているとはいえ、変化に乏しい景色でもある(車窓がテンポ良く移ろう鉄道とは違うところ)。竹島出航後は、船内にあった漫画本を読んで時間をつぶした。
14時08分に鹿児島に到着し、時間もあるので歩いて鹿児島中央駅へ向かった。このまま空港に行っても帰ることができる時間帯であるが、日曜午後の便ではパック旅行が高くなってしまうため、今日は指宿にある激安宿(自炊宿)に泊まることにしている。非鐡の旅を謳いつつも、ここは鉄道での移動である。
@ロングシートなのが残念 -
15時01分に出発し、時折現れてくる海などを見ているうち、1時間15分程度で指宿に到着した。駅から20分ほど歩いて自炊宿に投宿。何も調べないでやってきたが、偶然にも地元のお祭りをやっており、まずはそれを眺めてから、スーパーに行って食材を買い(いつもと違うのは、自炊設備があるため加工していない肉なども買ったこと)、地元の刺身などを食べつつ焼酎を飲み、十数年(数十年?)ぶりに蚊取り線香の煙に巻かれて眠りに付いた。
@「日本の夏…」 -
■2019.7.8
当初は指宿駅からJRに乗る予定であったが、昨晩ふと「山川駅も可能だな」と思い付き、5時20分頃に宿を出てグーグルマップを頼りに40分ほど歩いて山川駅に到着した(こちらのルートの方が、海際を歩くので景色が奇麗)。
さて、今日も鐡ネタからの紹介である。
@最南端「有人」駅(最南端駅、ではない) -
乗るべきは、6時13分発の枕崎行である。「経験則からすれば、この時間はガラガラ(下手するとまた私1人状態)だろう」と思っていたら、高校生の大行列であった。要するに、今日は月曜日だからである(週末旅行に慣れすぎてしまったようだ)。
幸い、進行方向側の窓側をキープできた。定刻に出発。指宿枕崎線+たくさんの高校生、ということで、宮脇俊三氏の『最長片道切符の旅』の一場面を思い出した。
@今日の開聞岳(少しピンボケ) -
高校生の多くは、鹿児島・指宿方面からやって来た列車から乗り継いでいる。「高校の選択肢は鹿児島市の方が多いだろうし、鹿児島市の方が近いのに。なぜ?」と思っていたが、終点である枕崎の1つ手前にある薩摩板敷駅で彼らが下車したことで謎は解明した。近くにあるのは「鹿児島水産高校」であり、要するに鹿児島市にはない種類の学校なのである。
途中から雨が降り始め、7時18分に枕崎に到着した時点では結構な大雨になってしまった。
それにしても、以前来たときは、原っぱの途中のような場所に駅があり「ここが終着駅?」と違和感を覚えたのだが、いつの間にか新駅舎が完成し、周囲も整備されていた。よって、再訪した気になれず、初めて来たような気分である。
@新駅舎 -
7時45分発のバスに乗り込み、加世田を目指す。途中でとんでもない大雨になったため、スマホで雨雲を見てみると、局地的豪雨になっているようであった。後で散策をする予定であるため、それまでには去ってほしいところである。
8時25分、加世田到着。ここは旧駅跡であり、鉄道記念館が併設されている。開館時間前であるため、別の路線バスに乗り、万世特攻平和祈念館に向かった。特攻隊といえば知覧が有名であるが、ここ加世田にも特攻隊の飛行場があったのである。復路のバスが来るまで、1時間以上もかけて見学したが、色々と考えさせられる展示である。
@南無(遺品関係は撮影不可) -
路線バスで加世田に戻る。バスセンターで鉄道記念館の料金200円を払い(記念館のドアは空いているので勝手に入れるが、こういうのはきちんと支払うべき)、中に入った。
それなりの展示物があったが、有料の割にあまり管理はされていなかった(廃線後35年もたっているから、しょうがないのかもしれないが)。空調もないので、訪問する場合夏は避けた方がいいであろう。
@写真は撮る
その後は、時間潰しで郷土資料館へ行き(先ほどまでの大雨はどこへやら、快晴である)、地味な武家屋敷群を見学してから、13時30分発の空港連絡バスに乗り込んだ。
*旅行記および私の詳細については以下で。
「鐡旅」http://www2u.biglobe.ne.jp/~kokuden/tetu.htm
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