2019/04/28 - 2019/04/28
69位(同エリア199件中)
motogenさん
- motogenさんTOP
- 旅行記391冊
- クチコミ1件
- Q&A回答3件
- 381,448アクセス
- フォロワー45人
長い参道を登っていく。
御神木の杉林の中に、赤い帽子をかぶった羅漢の石像が、のきょのきょと顔をのぞかせる。
端正な仏の顔ではない。
けったいで個性的な顔だ。
それぞれが違う顔をしている。
禅の悟りをひらいた自由人は、独創性を持ち、個性的な顔をしているのだという。
そういえば太古の日本の神は異相をしている。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
PR
-
その中に「龍偃杉(りょうえんすぎ)」の立札があった。
「大蛇がふせるが如し・・」
との説明がある。 -
「えっ! どれがそうなの?」
「もしかして、これ?」 -
橋の下をくぐって反対側を見ると、その根の続きが這っている。
「うん、これは大蛇に見える!」 -
石段の上には、「椎河龍王(しいがりゅうおう)」の社がのぞく。
方広寺を開いた開山禅師が、増水した川で足止めになっていると、龍が現れて自らが橋となり、対岸まで渡してくれたという。
その後、この山寺に龍がやって来て、
「いまわしい蛇身の身から解脱させて欲しい」と願った。
開山禅師が経典でなでると、龍は人の姿となって昇天し、山の守り神となったそうだ。
これがその守り神の社というわけだ。 -
今までの私なら、
「ふん、くだらない話で人を惑わすな・・」
と腹を立てたものだが、今は少々違っている。
神話や伝説とは、ある出来事を奇想天外な娯楽話として、後世に残している大切なものだと知ったからだ。
川を渡してくれたのは、船頭さんか、近くの住民だったに違いない。
その人は病気などで苦しんでいて、開山禅師が祈祷して治療してあげたが、天運つきてあの世に旅立ったという、こんな話が伝説となったのだろう。 -
あれこれ空想をしながら坂道を登っていくと、樹々の間から寺が見えてきた。
-
寺に渡る赤い橋が見えるが、寺には背を向けて、
-
寺とは反対側にある三重の塔を見学する。
-
塔も良いが、ここからの見晴らしはさらに素晴らしい。
歩いて来た道や、そばを食べた門前町も見える。
周囲四方は山、山、山。
禅寺は町から離れた山の奥がふさわしい。
ここは名前通りの奧山だ。 -
すぐ下に見える建物は何だろう?
ジンギスカンのレストラン「きじ亭」のようで、客もいる。きじ亭 グルメ・レストラン
-
三重の塔は、大正12年に京都の篤志家の寄付によって建立されたとの説明がある。
篤志家は、寺の管長の忠告で商売を手控えたため財産を失わず、そのお礼の意味を込めて寄贈したのだ。
正式の伽藍ではなので、敷地のはずれの別の山頂に建っている。 -
本堂からはこんなに離れた場所に建てられているのだ。
-
本堂と三重の塔の間にある小さな谷には、朱色の橋が架かっていて、
亀背橋の名が付いている。 -
その亀背橋を渡って、
-
本堂の左にある「半僧坊真殿」に向かう。
半僧坊の名には伝説がある。
開山禅師が中国での修行を終えて帰国する船が、嵐の中で沈没寸前。
その時天狗のような異人が船先に立ち、船を進路を導いて、開山禅師は無事に帰国できたのだそうだ。
その後、この異人が寺に現れて開山禅師の弟子となる。
その姿は「僧にあって僧にあらず」と、禅師から半僧坊と呼ばれ、開山禅師が亡くなると、「この山を護ろう!」と姿を消したのだという。 -
神話めいた話ではあるが、それに似た事実があったのだろう。
大往生した人や、幸せの中で亡くなった者は、神にはなれない。
あれこれ空想するのも楽しいものだ。
半僧坊を祀る建物がこの「半僧坊真殿」で、ひさしの下の昇り龍と下り龍の彫刻は優れものらしい。 -
一本彫りの岩五郎の作で、
見事にできているとは思うが、その真髄を味わえる眼力は、自分にはない。
「鑑定団」の解説ビデオや、鑑定士の説明があって、仏師の生い立ちや作品の特徴、歴史的価値などが紹介されれば、ぐっと興味も高まるのだが・・知識がなければ、猫に小判だ。 -
「半僧坊真殿の中は、本堂からの廊下を伝って来ると入れます。」
との案内で境内を引き返す。
鐘楼があり、 -
中央のこの大きな建物が本堂のようで、
方広寺(奥山半僧坊) 寺・神社・教会
-
その右はずれに本堂への入り口となる建物があった。
-
玄関を入ると展示物か並べられていて、
「展示物の撮影はご遠慮ください」と書いてある。
撮りたいものはないから、これで良し。 -
別室のDVD解説で寺のあらましを学習し、
-
本堂に進む。
広~い!
いったい何畳あるんだろうか。 -
廊下も広~い。
方広寺は臨済宗の禅寺だ。
禅宗では仏は客観的な存在ではなく、仏は一本一草の中、あらゆるものの中に秘められている形のないものだ。
だから寺院も必要としない。
仏像もいらない。
自分の中にある仏を自覚し、仏になるにはどうしたらよいのか・・と問う仏教だ。 -
そのために戒律を守り、禅を積み、己を見つめ、己を空にする。
すごい教えだ。
禅宗は道教と結びついて中国の宋で生まれたが、本国では衰退した。
しかし鎌倉時代に日本で発展し、日本独特の宗教となって広まったという。 -
この日は秘宝の十六羅漢像が公開されていた。
-
左右に8体ずつ置かれている羅漢像。
これまで光の入らない山門内に保管されていたため、色彩も豊かで、傷みも少なく、 -
五百羅漢と同様に異相だ。
日本の古代の神は顎が長かったり、頭がゆがんでいたり、鼻や目の形が独特であったりで、みな異相だという。
羅漢はこの神の伝統を受け継いでいるのだろうか。 -
半僧坊真殿までたどりついた。
-
ご祈祷を受けている人たちがいる。
私たちはそれを眺めるだけで、退散し、 -
トイレに寄ると、その脇から坂道が伸びていた。
坂の上に舎利殿があるらしい。
見に行こうか、やめようか・・と迷っていると、
「景色が素晴らしかったですよ・・」と勧めてくれる夫婦がいて、 -
「では行ってみようか・・」となった。
すごいお面が飾られている通路を登っていくと、 -
お堂があって、みんな参拝している。
-
眼下に本殿の屋根や三重の塔が見えた。
でも、それほどの景色ではない。 -
2時を過ぎて肌寒くなってきた。
お地蔵さん方に挨拶して、次のお寺に急ぐ。
残りのお寺は2つも残っている。 -
登って来た道でなく本道の近道を帰る。
自然と足が早くなる。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
この旅行で行ったグルメ・レストラン
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ かもめの佐久米駅と湖北五山めぐり
0
36