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 長い参道を登っていく。<br /> 御神木の杉林の中に、赤い帽子をかぶった羅漢の石像が、のきょのきょと顔をのぞかせる。<br /> 端正な仏の顔ではない。<br /> けったいで個性的な顔だ。<br /> それぞれが違う顔をしている。<br /> 禅の悟りをひらいた自由人は、独創性を持ち、個性的な顔をしているのだという。<br /> そういえば太古の日本の神は異相をしている。

かもめの佐久米駅と湖北五山めぐり(3/4)禅寺は山奥がふさわしい・奧山方広寺

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2019/04/28 - 2019/04/28

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motogen

motogenさん

 長い参道を登っていく。
 御神木の杉林の中に、赤い帽子をかぶった羅漢の石像が、のきょのきょと顔をのぞかせる。
 端正な仏の顔ではない。
 けったいで個性的な顔だ。
 それぞれが違う顔をしている。
 禅の悟りをひらいた自由人は、独創性を持ち、個性的な顔をしているのだという。
 そういえば太古の日本の神は異相をしている。

同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
自家用車

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  •  その中に「龍偃杉(りょうえんすぎ)」の立札があった。<br /> 「大蛇がふせるが如し・・」<br /> との説明がある。

     その中に「龍偃杉(りょうえんすぎ)」の立札があった。
     「大蛇がふせるが如し・・」
     との説明がある。

  •  「えっ! どれがそうなの?」<br /> 「もしかして、これ?」

     「えっ! どれがそうなの?」
     「もしかして、これ?」

  •  橋の下をくぐって反対側を見ると、その根の続きが這っている。<br /> 「うん、これは大蛇に見える!」

     橋の下をくぐって反対側を見ると、その根の続きが這っている。
     「うん、これは大蛇に見える!」

  •  石段の上には、「椎河龍王(しいがりゅうおう)」の社がのぞく。<br /> 方広寺を開いた開山禅師が、増水した川で足止めになっていると、龍が現れて自らが橋となり、対岸まで渡してくれたという。<br /> その後、この山寺に龍がやって来て、<br />「いまわしい蛇身の身から解脱させて欲しい」と願った。<br /> 開山禅師が経典でなでると、龍は人の姿となって昇天し、山の守り神となったそうだ。<br /> これがその守り神の社というわけだ。

     石段の上には、「椎河龍王(しいがりゅうおう)」の社がのぞく。
     方広寺を開いた開山禅師が、増水した川で足止めになっていると、龍が現れて自らが橋となり、対岸まで渡してくれたという。
     その後、この山寺に龍がやって来て、
    「いまわしい蛇身の身から解脱させて欲しい」と願った。
     開山禅師が経典でなでると、龍は人の姿となって昇天し、山の守り神となったそうだ。
     これがその守り神の社というわけだ。

  •  今までの私なら、<br /> 「ふん、くだらない話で人を惑わすな・・」<br /> と腹を立てたものだが、今は少々違っている。<br /> 神話や伝説とは、ある出来事を奇想天外な娯楽話として、後世に残している大切なものだと知ったからだ。<br /> 川を渡してくれたのは、船頭さんか、近くの住民だったに違いない。<br /> その人は病気などで苦しんでいて、開山禅師が祈祷して治療してあげたが、天運つきてあの世に旅立ったという、こんな話が伝説となったのだろう。

     今までの私なら、
     「ふん、くだらない話で人を惑わすな・・」
     と腹を立てたものだが、今は少々違っている。
     神話や伝説とは、ある出来事を奇想天外な娯楽話として、後世に残している大切なものだと知ったからだ。
     川を渡してくれたのは、船頭さんか、近くの住民だったに違いない。
     その人は病気などで苦しんでいて、開山禅師が祈祷して治療してあげたが、天運つきてあの世に旅立ったという、こんな話が伝説となったのだろう。

  •  あれこれ空想をしながら坂道を登っていくと、樹々の間から寺が見えてきた。

     あれこれ空想をしながら坂道を登っていくと、樹々の間から寺が見えてきた。

  •  寺に渡る赤い橋が見えるが、寺には背を向けて、

     寺に渡る赤い橋が見えるが、寺には背を向けて、

  •  寺とは反対側にある三重の塔を見学する。

     寺とは反対側にある三重の塔を見学する。

  •  塔も良いが、ここからの見晴らしはさらに素晴らしい。<br /> 歩いて来た道や、そばを食べた門前町も見える。<br /> 周囲四方は山、山、山。<br /> 禅寺は町から離れた山の奥がふさわしい。<br /> ここは名前通りの奧山だ。<br />

     塔も良いが、ここからの見晴らしはさらに素晴らしい。
     歩いて来た道や、そばを食べた門前町も見える。
     周囲四方は山、山、山。
     禅寺は町から離れた山の奥がふさわしい。
     ここは名前通りの奧山だ。

  •  すぐ下に見える建物は何だろう?<br /> ジンギスカンのレストラン「きじ亭」のようで、客もいる。

     すぐ下に見える建物は何だろう?
     ジンギスカンのレストラン「きじ亭」のようで、客もいる。

    きじ亭 グルメ・レストラン

  •  三重の塔は、大正12年に京都の篤志家の寄付によって建立されたとの説明がある。<br /> 篤志家は、寺の管長の忠告で商売を手控えたため財産を失わず、そのお礼の意味を込めて寄贈したのだ。<br /> 正式の伽藍ではなので、敷地のはずれの別の山頂に建っている。

     三重の塔は、大正12年に京都の篤志家の寄付によって建立されたとの説明がある。
     篤志家は、寺の管長の忠告で商売を手控えたため財産を失わず、そのお礼の意味を込めて寄贈したのだ。
     正式の伽藍ではなので、敷地のはずれの別の山頂に建っている。

  •  本堂からはこんなに離れた場所に建てられているのだ。

     本堂からはこんなに離れた場所に建てられているのだ。

  •  本堂と三重の塔の間にある小さな谷には、朱色の橋が架かっていて、<br /> 亀背橋の名が付いている。

     本堂と三重の塔の間にある小さな谷には、朱色の橋が架かっていて、
     亀背橋の名が付いている。

  •  その亀背橋を渡って、

     その亀背橋を渡って、

  •  本堂の左にある「半僧坊真殿」に向かう。<br /> 半僧坊の名には伝説がある。<br /> 開山禅師が中国での修行を終えて帰国する船が、嵐の中で沈没寸前。<br /> その時天狗のような異人が船先に立ち、船を進路を導いて、開山禅師は無事に帰国できたのだそうだ。<br /> その後、この異人が寺に現れて開山禅師の弟子となる。<br /> その姿は「僧にあって僧にあらず」と、禅師から半僧坊と呼ばれ、開山禅師が亡くなると、「この山を護ろう!」と姿を消したのだという。

     本堂の左にある「半僧坊真殿」に向かう。
     半僧坊の名には伝説がある。
     開山禅師が中国での修行を終えて帰国する船が、嵐の中で沈没寸前。
     その時天狗のような異人が船先に立ち、船を進路を導いて、開山禅師は無事に帰国できたのだそうだ。
     その後、この異人が寺に現れて開山禅師の弟子となる。
     その姿は「僧にあって僧にあらず」と、禅師から半僧坊と呼ばれ、開山禅師が亡くなると、「この山を護ろう!」と姿を消したのだという。

  •  神話めいた話ではあるが、それに似た事実があったのだろう。<br /> 大往生した人や、幸せの中で亡くなった者は、神にはなれない。<br /> あれこれ空想するのも楽しいものだ。<br /> 半僧坊を祀る建物がこの「半僧坊真殿」で、ひさしの下の昇り龍と下り龍の彫刻は優れものらしい。

     神話めいた話ではあるが、それに似た事実があったのだろう。
     大往生した人や、幸せの中で亡くなった者は、神にはなれない。
     あれこれ空想するのも楽しいものだ。
     半僧坊を祀る建物がこの「半僧坊真殿」で、ひさしの下の昇り龍と下り龍の彫刻は優れものらしい。

  •  一本彫りの岩五郎の作で、<br /> 見事にできているとは思うが、その真髄を味わえる眼力は、自分にはない。<br /> 「鑑定団」の解説ビデオや、鑑定士の説明があって、仏師の生い立ちや作品の特徴、歴史的価値などが紹介されれば、ぐっと興味も高まるのだが・・知識がなければ、猫に小判だ。

     一本彫りの岩五郎の作で、
     見事にできているとは思うが、その真髄を味わえる眼力は、自分にはない。
     「鑑定団」の解説ビデオや、鑑定士の説明があって、仏師の生い立ちや作品の特徴、歴史的価値などが紹介されれば、ぐっと興味も高まるのだが・・知識がなければ、猫に小判だ。

  •  「半僧坊真殿の中は、本堂からの廊下を伝って来ると入れます。」<br /> との案内で境内を引き返す。<br /> 鐘楼があり、

     「半僧坊真殿の中は、本堂からの廊下を伝って来ると入れます。」
     との案内で境内を引き返す。
     鐘楼があり、

  •  中央のこの大きな建物が本堂のようで、

     中央のこの大きな建物が本堂のようで、

    方広寺(奥山半僧坊) 寺・神社・教会

  •  その右はずれに本堂への入り口となる建物があった。

     その右はずれに本堂への入り口となる建物があった。

  •  玄関を入ると展示物か並べられていて、<br /> 「展示物の撮影はご遠慮ください」と書いてある。<br /> 撮りたいものはないから、これで良し。

     玄関を入ると展示物か並べられていて、
     「展示物の撮影はご遠慮ください」と書いてある。
     撮りたいものはないから、これで良し。

  •  別室のDVD解説で寺のあらましを学習し、

     別室のDVD解説で寺のあらましを学習し、

  •  本堂に進む。<br /> 広~い!<br /> いったい何畳あるんだろうか。

     本堂に進む。
     広~い!
     いったい何畳あるんだろうか。

  •  廊下も広~い。<br /> 方広寺は臨済宗の禅寺だ。<br /> 禅宗では仏は客観的な存在ではなく、仏は一本一草の中、あらゆるものの中に秘められている形のないものだ。<br /> だから寺院も必要としない。<br /> 仏像もいらない。<br /> 自分の中にある仏を自覚し、仏になるにはどうしたらよいのか・・と問う仏教だ。

     廊下も広~い。
     方広寺は臨済宗の禅寺だ。
     禅宗では仏は客観的な存在ではなく、仏は一本一草の中、あらゆるものの中に秘められている形のないものだ。
     だから寺院も必要としない。
     仏像もいらない。
     自分の中にある仏を自覚し、仏になるにはどうしたらよいのか・・と問う仏教だ。

  •  そのために戒律を守り、禅を積み、己を見つめ、己を空にする。<br /> すごい教えだ。<br /> 禅宗は道教と結びついて中国の宋で生まれたが、本国では衰退した。<br /> しかし鎌倉時代に日本で発展し、日本独特の宗教となって広まったという。

     そのために戒律を守り、禅を積み、己を見つめ、己を空にする。
     すごい教えだ。
     禅宗は道教と結びついて中国の宋で生まれたが、本国では衰退した。
     しかし鎌倉時代に日本で発展し、日本独特の宗教となって広まったという。

  •  この日は秘宝の十六羅漢像が公開されていた。

     この日は秘宝の十六羅漢像が公開されていた。

  •  左右に8体ずつ置かれている羅漢像。<br /> これまで光の入らない山門内に保管されていたため、色彩も豊かで、傷みも少なく、

     左右に8体ずつ置かれている羅漢像。
     これまで光の入らない山門内に保管されていたため、色彩も豊かで、傷みも少なく、

  •  五百羅漢と同様に異相だ。<br /> 日本の古代の神は顎が長かったり、頭がゆがんでいたり、鼻や目の形が独特であったりで、みな異相だという。<br /> 羅漢はこの神の伝統を受け継いでいるのだろうか。

     五百羅漢と同様に異相だ。
     日本の古代の神は顎が長かったり、頭がゆがんでいたり、鼻や目の形が独特であったりで、みな異相だという。
     羅漢はこの神の伝統を受け継いでいるのだろうか。

  •  半僧坊真殿までたどりついた。

     半僧坊真殿までたどりついた。

  •  ご祈祷を受けている人たちがいる。<br /> 私たちはそれを眺めるだけで、退散し、

     ご祈祷を受けている人たちがいる。
     私たちはそれを眺めるだけで、退散し、

  •  トイレに寄ると、その脇から坂道が伸びていた。<br /> 坂の上に舎利殿があるらしい。<br /> 見に行こうか、やめようか・・と迷っていると、<br /> 「景色が素晴らしかったですよ・・」と勧めてくれる夫婦がいて、

     トイレに寄ると、その脇から坂道が伸びていた。
     坂の上に舎利殿があるらしい。
     見に行こうか、やめようか・・と迷っていると、
     「景色が素晴らしかったですよ・・」と勧めてくれる夫婦がいて、

  •  「では行ってみようか・・」となった。<br /> すごいお面が飾られている通路を登っていくと、

     「では行ってみようか・・」となった。
     すごいお面が飾られている通路を登っていくと、

  •  お堂があって、みんな参拝している。

     お堂があって、みんな参拝している。

  •  眼下に本殿の屋根や三重の塔が見えた。<br /> でも、それほどの景色ではない。

     眼下に本殿の屋根や三重の塔が見えた。
     でも、それほどの景色ではない。

  •  2時を過ぎて肌寒くなってきた。<br /> お地蔵さん方に挨拶して、次のお寺に急ぐ。<br /> 残りのお寺は2つも残っている。

     2時を過ぎて肌寒くなってきた。
     お地蔵さん方に挨拶して、次のお寺に急ぐ。
     残りのお寺は2つも残っている。

  •  登って来た道でなく本道の近道を帰る。<br /> 自然と足が早くなる。

     登って来た道でなく本道の近道を帰る。
     自然と足が早くなる。

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