2017/11/22 - 2017/11/22
124位(同エリア3763件中)
とーりさん
職場から勤続のご褒美として3日の連続休暇とそれに2日の有給を絡めて9日のお休みをもらいました。例のごとく旅行の計画を練っていると、ふと、あと何カ国訪問すると「ヨーロッパ制覇」できるのだろうと思いました。ヨーロッパの区域をウラル山脈以西に首都のある国とし、日本国政府の承認国48カ国と捉えると、この段階での未訪問国家は全部で16カ国。結構散在しており、制覇するには計画的に訪問する必要がありそうです。ということで、今回は落穂拾いのごとく、取りこぼしていた小国家群のモナコ、サンマリノ(アンドラは入口のカタルーニャ州の独立問題が頂点を迎えていたため後日)と位置的に他の未訪問国とセットにしづらいアイルランドを訪れることにしました。また、前回訪問時はまだNGだったイタリアの美術館での写真撮影が解禁されたということで、その所属名画との再会も目的のひとつとしました。
実際訪れたニースやモナコは、リゾートらしい南仏の美しい海岸風景や豪華な施設に目を奪われ、駆け足訪問となったアイルランドでは、予想以上の素晴らしい街並みに滞在の短さを悔やみ、最古の共和国サンマリノでは独立国とは何かと思い、再会したルネサンス絵画の色褪せない美しさに改めてときめきを感じるなど、落穂拾いではなく、大きな収穫があった旅となりました。
日程は以下の通りです。
1日目(11/17)羽田発 ⇒ 北京 ⇒ ローマ ⇒ ニース
2日目(11/18)ニース市内観光 & モナコ市内観光 ⇒ パリ ⇒ ダブリン
3日目(11/19)ダブリン市内観光 ⇒ アムステルダム ⇒ ボローニャ
4日目(11/20)サンマリノ市内観光 ⇒ ミラノ
5日目(11/21)ミラノ市内観光 ⇒ フィレンツェ
6日目(11/22)フィレンツェ市内観光 ⇒ ローマ
7日目(11/23)ローマ市内観光
8日目(11/24)ローマ市内観光 ⇒ 北京
9日目(11/25)北京 ⇒ 羽田
今回は6日目③です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ショッピング
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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サンタマリアノヴェッラ教会を出て、いよいよウフィツィ美術館へ向かいます。ドゥオーモ広場とシニョリーア広場を結ぶ繁華通り、カルツァイウォーリ通りを南下します。(サンタマリアノヴェッラ教会12:09 ⇒ 12:20シニョリーア広場)
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途中あったオルサンミケーレ教会です。建物には入りませんでしたが、外観の彫像が楽しませてくれます。
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フィレンツェでドゥオーモ広場と双璧をなすシニョリーア広場に到着です。ヴェッキオ宮が聳え建ちます。
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広場に面したランツィのロッジアです。
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レプリカでしょうが、たくさんの像が並び楽しませてくれます。
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ダヴィデ像のレプリカもこのとおり。
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さて、いよいよウフィツィ美術館に入ります。通常入館では8ユーロです。名にし負うフィレンツェ一番の見どころ、大混雑が想定される見どころで、フィレンツェカードの効果が最大限に発揮できる施設です。
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と、思ったらちょっと様子が違います。
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な、なんとガラガラです。ファストパスラインはもとより、通常ラインもほとんど人はおらず全く列はできていません。こんなことがあるのでしょうか!前回のトグロを巻くような人混みを想定していたのでこれは衝撃でした。
(ウフィツィ美術館12:23~14:10) -
折角のフィレンツェカードなので、ガラガラのファストパスラインから入場しました。久しぶりの客とみえて、係員はとても愛想がよかったです。セキュリティを抜け、階段を上がり展示室へ向かいます。絵画鑑賞としては館内が空いている方が当然よいのですが、高価なフィレンツェカードを買わずとも待たずに入ることができたことを考えるとがっかりもします。要は貧乏性なのでしょう。
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気を取り直して名画との再会を存分に楽しむことにします。他のイタリアの美術館もそうですが、最近館内の写真撮影が解禁となったのでへたくそですが、自分の撮った写真をご紹介できます。
まずはやはりこれ、ジョット「マエスタ」です。
以下、感想は以前の自分の旅行記「イタリア・バチカン・チュニジア旅行(2013~2014年末年始:7日目後半 フィレンツェの実力1-2) 13/16」から流用します。
表情の柔らかさ、立体感のある身体つき、奥行きを感じさせる構成など、中世宗教画からルネサンスの曙を感じさせるものがあります。 -
こちらはチマブーエ「荘厳の聖母」。ジョットの革新さに比べるとまだ前時代的な感じが残ります。
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マルティニ「受胎告知」です。ゴシック期シエナ派の代表者の画家です。
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出ました、ピエロデッラフランチェスカ「ウルビーノ公夫妻の肖像」です。
当時の肖像画は横向きが主だったそうです。遠くの風景は公爵の領地だったとのことで、遠近法を駆使したうえ、透明感のある風景を描き出しています -
こちらは裏面になります。風景の美しさは前面にも劣りません。
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フィリッポリッピ「聖母子と二天使」です。
配色の巧みさ、漠とした背景、ヴェール部分の繊細さなど、この美術館で私が最も好きな作品のひとつです。
聖母がリッピ特有の涼しい顔、キリストが落ち着いた顔に対し、天使の無邪気な顔がこの作品を親しみやすいものにしていると思います。 -
ギルランダイオ「玉座の聖母と天使と聖人たち」です。フィレンツェで活躍した画家で聖母子を中心とした左右対称の構図は安定感を感じます。中央下部の階段に敷かれるカーペットの写実は見事で、その段差で奥行を感じられる作品になっています。
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きました、ウフィッツィ美術館と言えばボッティチェッリ。そしてこの「ヴィーナス誕生」と「春プリマヴェーラ」がメインのような扱いですが、私としてはそれほどボッティチェッリは好きではありません。とはいえ見ないわけにもいかないのでとりあえず紹介します。
まずはご存知「ヴィーナス誕生」。 -
こちらは「春プリマヴェーラ」です。「ヴィーナス誕生」とも大きな作品です。前回に比し、鑑賞客は少ないのですが、入れ代わり立ち代わりツアー客が取り囲み、長々説明をしているので、空いているとはいえ写真を撮るのは苦労します。
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同じボッティチェッリでも私はこの作品「東方三博士の礼拝」が好きです。
パトロンであるメディチ家の人物が画中に描かれ、ボッティチェッリ自身も右端に描かれています。 -
ポッライオーロ「夫人の肖像」です。どことなく見たなと思い返してみたら、一昨日のミラノポルディペッツォーリ美術館に同一画家の作「若い貴婦人の肖像」を見ていました。
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閑話休題的に彫像の部屋がありました。
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アルノ川を眺め、一服です。
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コの字型のウフィツィ美術館の付け根部分に来ました。まだまだ名画が待っています。
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それにしてもやはり館内はガラガラです。こんなことがあるのでしょうか。嬉しいやら悔しいやら。
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ヴェロッキオとダヴィンチ「キリストの洗礼」です。師弟の合作と言われています。ダヴィンチの描いた左端の天使を見て、師であるヴェロッキオは筆を折ったという俗説があるそうです。
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ダヴィンチ「東方三博士の礼拝」です。色合いがくすんでいると思ったら未完の作だそうです。
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そして出ました。ウフィツィ美術館ボッティチェリ「ヴィーナス誕生」と双璧をなすダヴィンチ「受胎告知」です。
ダヴィンチの初期の大作といえると思います。背景に空気遠近法のはしりが見えたり、大天使ミカエルの羽根がより鳥の羽根に近い形をしているなど、多才な画家の着目点が感じられます。 -
ベルジーノ「フランチェスコデッレオペレの肖像」です。ラファエロの師とも言われる画家で、確かに写実的な人物像と背景の色鮮やかな美しさは見事です。
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名画が続きます。ミケランジェロ「聖家族」です。
ライバル、ダヴィンチへのアンチテーゼか、彫刻家としての着眼点か、明確な輪郭線で立体的に表現しています。
背景の裸人の一部は当時発見されたラオコーンのポーズをヒントに描かれているそうです。 -
展示室はこんな感じ。有名画家の名画には人だかりがしますが、他は閑散とまでは行きませんが、空いています。
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外に出られるスペースがありました。ちょっと休憩です。
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この角度・近さでヴェッキオ宮を眺めることができるのもウフィツィ美術館ならではでしょうか。
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さて名画鑑賞に戻ります。ラファエロ「ユリウス2世の肖像」です。ユリウス2世はラファエロをローマへ招きパトロンとなったローマ教皇です。
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ラファエロ「ひわの聖母」です。
私はラファエロの画がとても好きなのですが、これは彼の描く聖母子シリーズの中でベスト3に入ります。
やさしい画風とダヴィンチから学んだと思われる三角形に纏まった構図、鮮やかな色遣いなどラファエロならではの安定感が感じられます。 -
ポントルモ「祖国の父コジモ」です。コジモはフィレンツェにおけるメディチ家の支配を確立した人物です。コジモ、ピエロ、ロレンツォとメディチ家は隆盛していきます。
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こちらはロット「スザンナの貞操」です。
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ベネチア派の雄、ティツィアーノ「フローラ」です。しっとりとした優しい画風で私も好きな画家のひとりです。
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同じくティッツィアーノ「ウルビーノのヴィーナス」です。
ベネチア絵画の雄、ティッツィアーノの最も有名な画ではないでしょうか。
ふくよかで官能的な画風で繊細に描かれています。 -
パルミジャニーノ「首の長い聖母」です。
時代はやや下りマニエリスムの作品です。
聖母の身体はS字に捩れながら引き延ばされており、小児キリストも同様に引き延ばされています。
背景にある円柱は柱か塔かもよく解らず、後ろにいる聖ヒエロニムスも異様に小さく描かれており、遠近法が崩れています。
ラファエロらによって完成されたと思われた絵画形式から、歪めたり誇張することによって独特な美しさを引き出した傑作だと思います。 -
同じくパルミジャーノ「サンザッカリアの聖母」です。「首の長い聖母」と同一人物(確かにそうなのですが)ゆえ同じ顔で描かれています。背景の建物や塔は「首の長い聖母」同様いまいちわかりません。
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ブロンズィーノ「リュートを持つ若者の肖像」です。ブロンズィーノは宮廷の肖像画家として傑作をたくさんの残しています。こちらはそのひとつです。
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同じくブロンズィーノ「エレオノーラデイトレドと息子の肖像」です。彼の代表作のひとつです。画中の大半を占める豪華なエレオノーラの服装が眼を惹きます。
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カラヴァッジョ「メデューサの首」です。
さらに時代は下り、バロックの時代になります。
それまでの遠近法による調和や的確な描写ではなく、鮮烈な明暗法や躍動感溢れる構図が求められる時代でした。
その初期バロックの祖と言えると思われるのがこのカラヴァッジョです。
画風は彼の強烈な個性も相俟って、行き過ぎとも思える明暗法に、当時としても目を背けたくなるシーンを主題とした迫力ある画を多く描いています。
これはそのうちのひとつです。目を剥いたその迫力に、神話にあるように石になってしまいそうです。 -
同じくカラヴァッジョ「バッカス」です。彼の作品としては初期のものに入ると思います。劇的な明暗法はまだ見えず、静かな構図となっています。
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じっくり見ましたが空いていたこともあり、ミュージアムショップに寄って買い物をしても2時間弱で出ることができました。
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いったん表通りに戻ります。
(ウフィツィ美術館14:10 ⇒ 14:17ヴェッキオ橋) -
入口部を見てみます。やはりガラガラです。う~ん、こうなったら元を取るためもっと施設を回らねば。
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美術館前も閑散としています。
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さてアルノ川畔に出ました。ヴァザーリの回廊に沿って歩きます。
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ヴェッキオ橋です。このごちゃごちゃ感はたまりません。
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橋上部に出ました。橋の両側には屋根付き店舗がひしめいています。
(ヴェッキオ橋14:19 ⇒ 14:33ブランカッチ聖堂) -
金や宝石を売る店が多く、ゴージャスな雰囲気です。
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店舗が途切れ、橋から川面が眺められるところがありました。
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上流部はアーケードのようにヴァザーリの回廊が作られているのがわかります。
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下流部はサンタトリニタ橋です。
続いては川向うのサンスピリト地区を回ります。
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この旅行記へのコメント (2)
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- sanaboさん 2019/02/20 17:57:26
- ウフィツィの衝撃( *´艸`)
- とーりさん、こんにちは
フィレンツェは一年通していつもどこも混んでいると思っていましたが
クリスマスシーズンにはちょっと早いこの時期は穴場なのかもしれませんね。
とはいえ、せっかくフィレンツェカードを買ったのですから、大行列を横目に
その効力を大いに発揮させ優越感に浸りたかったですよね~(笑)
私が行った2013年当時はまだ美術館の写真撮影は禁止だったので
隠し撮りした「ヴィーナスの誕生」の写真は酷く曲がってるし
オヤジの禿げ頭の後ろ姿付きです(爆)
sanabo
- とーりさん からの返信 2019/02/20 23:35:12
- 衝撃でした。
- sanaboさんこんばんは、とーりです。いつもありがとうございます。
そうなんですよ、まさかあのウフィツィ美術館が空いているとは夢にも思わなかったのですが、思い返してみれば、ドゥオーモ広場周辺の施設も、これから投稿しますがパラティーナ美術館も混雑はしていませんでした。唯一列ができていたのがアカデミア美術館だけでした。この時期フィレンツェは全体的に空いているのかもしれませんね。事前リサーチが足りませんでした(^^;)。
sanaboさんも南仏の小さな村々を訪ねる充実した旅をされたようですね。私もsanaboさんのようにじっくり楽しむ旅を目指したいのですが、どうしても駆け足になってしまいます。落ち着きが無い性分なので最近はちょっと諦め気味です。((+_+))
とーり
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