2018/07/12 - 2018/07/13
15位(同エリア59件中)
ひらしまさん
「歩き方」の ”泊まってみたいベルナーオーバーラントの山岳ホテル” というページに目が止まった。山の上の宿の絶好の眺望は魅力的だし、とりわけ朝日、夕日がつくりだすダイナミックな変化をゆっくり見てみたい。
とくにメンリヒェンのベルクハウスは料金が手頃で、私らでも大丈夫そうな初心者向きハイキングコースもある。そこで、大まかな日程を決めたらすぐ予約を入れた。
そして、最初のハイキングはメンリヒェンからクライネシャイデックまでの4km余りの絶景コースを、2時間かけてのんびり歩こう。
〈旅行時の実質レート 114円/1フラン〉
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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7月12日。きょうはトゥーンから鉄道、バス、ロープウェイを乗り継いでメンリヒェンへ移動する。
トゥーン9時23分発の電車をインターラーケンオストでベルナーオーバーラント鉄道に乗り換える。オスト駅にエレベータはなかったが、スロープがあって助かった。グリンデルヴァルト方面は後半車両だ。
座った席の隣は韓国人母娘、通路反対側は中国人グループ。東北アジア組で独占だ! -
インターラーケンを離れるとすぐ列車は山の中に入って行く。そして、白い雪をかぶった山々が近づいて来た。
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グリンデルヴァルト駅に着くと、山歩きスタイルの人たちがあふれている。
ここからメンリヒェン行きロープウェイの駅へは、電車だと少し歩くのでバスに乗り、数分で着いた。
見ると、ロープウェイ駅の手前が工事中で、そこを臨時の歩道橋で越えていくようになっている。
実は、メンリヒェンに持って上がる荷物を減らそうと、スーツケースの1つは明日泊まるグリンデルヴァルトの宿で預かってもらうことにしていた。ところが今朝、パッキング担当の妻から荷物入替は無理とのお達しがあり、予定外のスーツケース2個持ちとなっていた。
ロープウェイに乗るのに階段があるのは覚悟していたけれど、手前に臨時歩道橋まであるとは…。2つのスーツケースを2回に分けて、上って下りて、いやあ、しんどかった。
でも、ユングフラウ・トラベルパスのおかげで切符の列に並ばなくてすむのはありがたい。
ゴンドラは1組ずつ乗るので、大きな荷物があっても問題なかった。 -
このロープウェイは欧州最長だそうで、メンリヒェンまで30分も乗る。
グリンデルヴァルトの村がみるみる遠くなる。その向こうにそびえる奇妙な形の山はヴェッターホルンかな。
窓ガラスが残念ながら傷だらけなので、カメラを側面の小窓から突き出して撮った写真。 -
ところどころで草を食む牛の群れの上を通る。カウベルの音が意外に大きく聞こえ、ガムラン音楽のよう。
景色は素晴らしいが、微妙な振動があるので乗り物に弱い妻は少し酔ってしまった。 -
メンリヒェンに着いたのは正午前。
駅を出て驚いた。そこは標高2千メートルの遊園地だった。 -
赤い観音開きの雨戸がかわいいベルクハウス・メンリヒェン。駅から目と鼻の先で、道も舗装されているので助かったが、さすがにスーツケースは場違いな感じが否めない。
チェックインできる時間までそのスーツケースを預かってもらい、標高2千メートルの眺望を楽しむ。 -
その時は山の名前などまったく分からなかったけれど、山荘正面から見て正面奥が、左からアイガー、メンヒ、ユングフラウの有名な三山。ユングフラウの山頂はこのあともずっと雲に隠れていた。
メンヒとユングフラウの間の手前近くの山はチュッゲン。私は名前を覚えられなくて、勝手にワイナピチュと呼んだ。 -
左手、草の上で思い思いくつろぐ人々の向こうにヴェッターホルン。
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その下にはグリンデルヴァルトの村が見える。
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反対側を見おろせばヴェンゲンの村が真下に見え、足を滑らせたら一気に村まで落ちていきそうだ。
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だからか欧州ではあまり見ない有刺鉄線が張られている。
中央がツィンゲルホルン、左がブライトホルン。 -
ユングフラウの頂きは見えないけれど山容は迫力があり、美しい。だから”若い女”という名なのか。
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山々を見ながら昼食をとったあと、子どもたちに混じって各種遊具で遊ぶ。
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2時にチェックイン。最上階だが荷物は宿の若者が運んでくれた。
杉板の斜め天井が山荘らしいが、普通のホテルと変わらぬ快適さだ。
バストイレ付きの部屋で朝食付き180フランを2食付き232フランに変更してもらった。 -
窓からは遊園地や”ワイナピチュ”が見える。
しかし、次第に雲が広がり、そして寒くなってきた。ありったけの防寒衣類を着込むが、夜は大丈夫だろうかと不安になる。5時半にロープウェイが止まると人の姿が見えなくなり、寂しい気分だ。
6時半夕食。隣のテーブルの米国人風4人家族の女の子は、誰もいない遊園地を独り占めにして料理が出るまで遊んでいた。
ハーフボードの定食のサラダ、カツレツは特にうまいわけじゃないが、スイスで26フランで夕食が食べられるだけでお得感がある。そして、シャーベットが意外にも洗練されおいしかった。 -
9時近く、アイガーの中腹に夕日がかすかにあたっているのに気がつき、望遠レンズを付けて外に出てみた。
北西方向の展望台に行くと、昼間かすかに遠く見えた湖が今は夕日を受けて黄金色に輝いている。考えたら、あの湖は昨日遊んだトゥーン湖に違いない。今はとても近く感じられる。 -
雲の下に出てきた夕日が、近くの岩肌を明るく浮かび上がらせた。絶壁の小さな花々が輝いている。
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遠くの山肌も赤く染まって、昼間とはまったく違う顔を見せている。ここに泊まったからこそ見られる景色だ。
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そして夕日もきれいだ。夢中でシャッターを切っていた。
と、どこかで「サー」という声が聞こえる。何回も聞こえるので後ろを振り向くと、夕食で隣り合わせた家族連れのお母さんが、上の方を指さしている。 -
見れば、いつのまにかアイガーの頂きの雲が切れ、薄紅色に染まったアイガーが暗くなった空に浮かんでいる。
彼女はそれで私を呼んでくれていたのに、私は「サー」なんて呼ばれたことがないので気がつかなかったのだ。失礼しました。そして、ほんとにありがとう。 -
隣のメンヒも顔を見せてくれ、そして両山ともすぐに雲の中に消えていった。
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幸運はまだ続いた。部屋に引き揚げてからふと見ると、ずっと見られなかったユングフラウの山頂がそっと姿を現した。
夜空に白く浮かび上がるユングフラウは厳かな美しさをたたえていた。
心配していた寒さも感じず、とても幸せな気持ちで眠りについた。 -
7月13日。
朝6時過ぎに目が覚めてカーテンと雨戸を開けると、雲ひとつない快晴! ユングフラウも全貌を見せている。
南南東方向にあるユングフラウ三山は朝は逆光になると思いこんでいたけれど、ヨーロッパの夏の日の出は早い分だけ位置が北寄りで、今は真横から光が当たっている。しまった、もっと早く起きればよかった。 -
大急ぎで身支度して外に出ると、純白の三角形ジルバーホルンがまばゆいくらいに輝いている。
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望遠レンズでのぞくユングフラウの険しい山頂。
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左隣のメンヒ。
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ヴェンゲン行きロープウェイ駅の近くまで来て振り返る。中央の建物が泊まっている山荘。
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この先のポコッと盛り上がっているのがメンリヒェンの山。途中まで登ってみよう。
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“ワイナピチュ”に隠れて見えなかったメンヒとユングフラウの間の稜線がようやく現れた。
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中央の稜線上に黒く見えるのがユングフラウ鉄道ユングフラウヨッホ駅だろう。標高3454mのあんな山の上まで鉄道をつくってしまったスイス人の思考回路は、私にはとうてい理解できない。
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足元の小さな花たちも楽しみながら戻る。
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きのう夕照に染まっていた岩壁も朝の顔になっていた。
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1時間の朝の散歩から部屋に戻り、窓からもう一度ジルバーホルンを仰ぎ見る。
陽の光が強くなりさらに輝きを増している。なんて美しいのだ。 -
朝食後、宿代を精算したらビールが水より安かったのに驚いた。
きょうはこれからあのユングフラウ三山のふもとクライネ・シャイデックに向けハイキングだ。 -
花いっぱいの草原をスタート。
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ところどころに小さな池がある。少し前まで雪が凍ってたんだろうな。
近くを歩いていたおしゃれな韓国人女性と日本語、英語混じりで少し話したが、時間がないそうでこの先でメンリヒェンに戻っていった。 -
クライネ・シャイデックまでは4.4km、ゆるやかな下りが多い。休んだり写真を撮ったりの我々は抜かれてばかり。ハイカーも多くないのでハローを交わし合う。静かでいいコースだ。
”ワイナピチュ”の左を巻いて進む。正面の山はメンヒ。 -
いろんな花が咲き誇るのを見るとつい立ち止まってしまう。
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ホーネックまで来るとユングフラウも見えるようになり、休憩するハイカーで少しにぎやかになるが、すぐにまたばらけていく。天気は最高だ。
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ユングフラウの分厚い雪が今にも落ちてきそうだ。
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インベルクで、妻を入れて山の写真を撮ろうとした時、妻がつまずいて両膝を打ってしまった。近くにいたカップルも心配してくれたが、すぐ湿布して大事にはならずにすんだ。
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このコースの終点、クライネ・シャイデック駅が見えてきた。
グリンデルヴァルト、ラウターブルンネン両方から登ってくるヴェンゲンアルプ鉄道と、ユングフラウヨッホに登るユングフラウ鉄道とが接続する。 -
ユングフラウ鉄道の列車が出発した。標高2061mのクライネ・シャイデックから3454mのユングフラウヨッホまで、一気に登ってゆくのだ。
雪と氷のアルプスはイタリアのトリノ小屋で経験済みなので、我々は鉄道には乗らず、引き続きハイキングを楽しむ。
こんな絶景コースを楽して歩けるなんて、なんだか申し訳ない気さえする。
次の目的地はヴェンゲルンアルプだ。
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この旅行記へのコメント (2)
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- sanaboさん 2018/08/31 19:28:39
- ワイナピチュ(´艸`*)
- ひらしまさん、こんばんは
メンリヒェンの山岳ホテルに泊まられたのですね~。 あんなに素晴らしい夕焼けもご覧になられ、お天気にも恵まれ気持ち良いハイキングができましたね♪ 奥様のお膝も心配しましたが、大事に至らず良かったです。
我が家は2009年の6月下旬にグリンデルワルトに1週間滞在しましたが、お天気にはあまり恵まれませんでしたので、ひらしまさんのお写真を羨ましく拝見しました^^
そして我が家もクライネシャイデックへのコースを歩きましたヨ。 ベギーバギーを押してる人もいたりしてビックリでした!
ワイナピチュってもしかして?と思いググったら、マチュピチュの山の名前なのですね。 形もそっくりで、ひらしまさんがワイナピチュと呼ばれたお気持ちが分かったような気がしました(笑)
グリンデルワルト周辺は歩きやすいコースがたくさんあり、初心者(我が家もです!)でも楽しめるのがいいですよね。 小さな子供さんまで歩いてて、小さい頃から絶景ハイキングを楽しめる環境を羨ましく思ったものです。
次回はどのコースを楽しませていただけるのか、楽しみです♪
sanabo
- ひらしまさん からの返信 2018/09/01 13:52:15
- Re: ワイナピチュ(´艸`*)
- sanaboさん、こんにちは。
いつもご訪問ありがとうございます。
そうなんです。
チュッゲンを見た瞬間、僕の脳内でワイナピチュと命名されてました。
マチュピチュ遺跡も二つの山の間の鞍部にあるので、メンリヒェンと地形が似てるんです。
「形もそっくり」とsanaboさんに太鼓判を押していただいてよかった(笑)。
不安定な山の天気でも、ハイキング3日計画したうち1日は晴れてほしいと願っていました。
だから、初日のメンリヒェンのハイキングがこんな晴天に恵まれて、もう大喜びでした。
sanaboさんのスイスは残念なことに天気に恵まれなかったそうですが、4トラのメンリヒェン旅行記を拝見しても曇天の方が多かったので、僕ら運がよかったんですね。
あのコース、あとで写真を見返すと”ワイナピチュ”の急傾斜に大きな落石がごろごろしていて、結構こわいところに道をつけたんだなあと思いました。
でも、歩きやすくて眺めがよくて、最高のコースでしたね。
ところで、ベルギー旅行記も終盤でしょうか。
コインロッカーでは、僕もベルンで苦労しましたが、知らないシステムには手こずりますね。
でも、誰かの体験が次の人の危機を未然に防いでくれる旅行記ってありがたいです。
今度、sanaboさんの旅行記をガイドブック代わりにベルギー旅もいいなと思っています。
早ければ来秋のチョコレートが溶けない時期に。
ひらしま
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