高崎周辺の隠れメジャースポット探索の旅 パートⅡ~崇神天皇第1皇子で下野毛国の始祖とされる豊城入彦命の陵墓はヤマト朝廷との特別な関係を示すもの。上野国分寺跡から、かみつけの里博物館と保渡田・総社古墳群へ。古代の上野国を辿ります~
2018/05/26 - 2018/06/04
12位(同エリア590件中)
たびたびさん
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今回も、パートⅠに続いて群馬県の古代の旅。高崎市の郊外に上野国国分寺跡があって、アクセスはかなり悪いんですが、井野駅からレンタサイクルで行けなくはないことが分かって、そこから旅の企画を広げてみました。
上野国国分寺跡から保渡田古墳群、かみつけの里博物館へ。下野国分寺の方も古墳群が同居している感がありますが、ここもちょっと似ていて、地の利のいい場所はやはりおいそれとは動かせないんでしょうか。ただ、群馬の場合はそれ以上に、県内あちこち広い範囲に大型の古墳があるので、国分寺跡の近くにもありましたかという理解の方が当たっているかもしれません。
総社古墳群は、群馬総社駅から歩いてすぐ。5世紀後半から7世紀後半にかけて造られた古墳で、遠見山古墳、王山古墳、総社二子山古墳、愛宕山古墳、宝塔山古墳、蛇穴山古墳で構成されます。
エリアには、前橋市総社歴史資料館があって、それぞれの古墳の発掘品の展示があるだけでなく、ボランティアの人が詳しく説明をしてくれます。群馬は古墳が多くて、資料館も充実していますが、この総社古墳群もその技術の高さや崇神天皇とのつながりを感じさせてくれる内容等で一級品。群馬を代表する古墳スポットの一つであると思います。
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今日の探索は高崎なんですが、スタートは井野駅から。無料のレンタサイクルがあって、それを利用します。
まずは、ちょっと腹ごしらえ。美好は、群馬でもあちこちにあるお団子や饅頭のお店ですが、井野駅から少し歩いたところにもありました。 -
いただいたのは、酒まんじゅう。餡子がこれでもかというくらいパンパン。食べると餡子を食べているような感覚です。おばちゃんたちが忙しく作業をしていて、活気があるのもこの店の特徴でしょう。
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そして向かったのは、上野国分寺跡。井野駅からは5キロちょっと。標識とかもほとんどないし道順も少し分かりにくい。アクセスは決していいとは言えませんね。
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上野国は歴史的にどこに中心があるのか。あんまり意識したことはありませんでしたが、やっぱりこの国分寺跡の付近なんでしょう。
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跡は再現された土塀が囲んだ原っぱのような眺め。
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礎石を保存するコンクリートの台座がいくつかありますが、
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全体としては寂しいもの。
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イチオシ
まあまあといえばまあまあですが、
一方で、群馬は巨大な古墳がけっこうたくさんあって、遺跡としてはそちらの方が圧倒的にインパクトがある。群馬県として、国分寺跡の扱いは低いのかなという印象です。 -
敷地内に建つ上野国分寺館です。
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展示は、五重塔のミニチュア模型や
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国分寺跡から出土した瓦や土器など。
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規模は小さくて、ミニマムサイズですね。
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ただ、漢字をはっきり書いた瓦は他では見ないもの。
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あまりにもはっきり書いてあって、今と同じ字形。
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これにはちょっと驚きました。
官制の寺なのに個人の名前があるというのは違和感ありですが、その辺りの説明は特にありませんでした。 -
上野国分寺跡から、今度は保渡田古墳群へ。ここも国の指定史跡です。古墳群は隣り合わせのような形で、大型前方後円墳、二子山古墳、八幡塚古墳が並んで整備されています。
これは、八幡塚古墳。墳丘長102m、後円部径56m、高さ現存約6m、前方部幅53m。素晴らしい大きさですが、これでも群馬県ではベスト20に入るかどうかという大きさなんです。群馬県がいかに大きな古墳が多いのか。実感できると思います。
ただ、例えば、数多くの銅矛・銅剣や銅鐸が大量に発見された出雲地方ですが、大型の古墳があるかといえばそうでもない。有名な荒神谷遺跡なんかも意外に小さな規模です。大きな古墳を作ることは力の象徴ではあるのですが、それだけでは測れないものもあるような気がします。 -
まずは空堀ですが外堀があって、
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それを越えると内堀。
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イチオシ
土塁は三段の構造で、ごろた石で表面を覆ったなんともメカニックな外観。ごろた石で表面を覆うのは一般的な工法だと思いますが、それをそのまま再現しているのは珍しいかもしれません。特に、近畿ではこのような再現はほとんどないと思います。
5世紀代の後半から6世紀前半代にかけてのものだそうですから、古墳時代の中期から後期にあたる時代です。 -
上に上ってこれは前方後円墳の前側を見た眺め。
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これが後ろ側の円墳の眺めです。
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円墳の方は中に入れるようになっていて、
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入ると石室に石棺。
こんな風に見れる古墳なんか初めての体験です。 -
イチオシ
これは、二子山古墳。墳丘長108m、後円部径74m、高さ10m。墳丘部は三段築成です。八幡塚古墳より少し大きくて、これで県内15位にランクインします。
こちらは全体が芝生に覆われて、どちらかというと馴染みの風景ですね。
ところで、薬師塚古墳も近くのはずですが、そこはよく分かりませんでした。少なくとも、こんな風な整備はされていないようです。 -
保渡田古墳群のそばにある資料館がかみつけの里博物館。この施設も含めて一帯は広々とした公園のような感じです。
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展示されているのは、
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ちょこっと中世の館の模型なんかもありますが、
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その辺りは
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ごくわずかで、
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古墳群から発掘された人物・動物埴輪が中心。
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大型の埴輪だし、
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質・量ともに一級品。
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近畿の埴輪や
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イチオシ
出雲の埴輪と比べても
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決して引けを取るものではない。
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ただ、それは、むしろ、日本独特の文化、古墳時代の文化が同時期に広い範囲に伝播していたことを理解すべきでしょう。
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紀元前10世紀頃から紀元後3世紀中頃までにあたる弥生時代。稲作が広まって、生産力が飛躍的に向上した時代ですが、それを支えたのは鉄器も作ったという総合的な技術力です。そこで力を貯めた地方の豪族があちこちに存在していたであろうことは容易に想像がつきますが、それらの豪族は互いに唯我独尊ではなくて、文化の交流を濃密に行っていたという事実。大和朝廷に組み入れられる前の地ならしが十分にできていたことをうかがわせます。
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ただ、その中で、そもそも大型の古墳群が群馬県に集中していて、全国的にも特殊な地域だったという説明にはちょっとびっくり。さすがに近畿には及びませんが、群馬と岡山がそれに次ぐというのは、あまり知られていないことではないかと思います。
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銅製の装飾品も
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群馬に近畿に匹敵する力を持つ豪族のいたことを想像すると
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とたんに違う輝きを持つように見えてきますね。
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ここからつでに。土屋文明記念文学館にも寄ってみます。
ただ、同じエリアにある割には、かみつけの里の方には案内板等もなく、連携が悪い。かみつけの里にやってきた人でも、この文学館に気が付かずに帰ってしまう人は多いと思います。 -
さて、土屋文明は歌人であり、歌の撰者として活躍した歌壇の重鎮。時代を追った作品や撰者としての活動の説明もありましたが、かなり知識がないと理解するのは難しいかも。一方で、古来の歌人を紹介し、その世界観の一端を感じれるのは悪くないかなと思います。
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古代を離れて、ここからは井野駅周辺のグルメチェック。
高崎 芸術野菜とイタリアンピッツァ マーロって、長々とした名前ですが、要は野菜にこだわったピザ屋さんということでしょう。 -
そうであればと、ランチのコースにしてみました。
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イチオシ
いきなり出てきたサラダは赤いカブが目にも鮮やか。ドレッシングの味は控えめに野菜の味わいを大事にしていますね。
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ピザの方も、ヨーロッパからの輸入チーズを使っているようで、格調が高い。
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デザートの丁寧な作りも印象に残りました。
高崎はパスタの町。田舎だと思ってバカにすると間違えますからね。 -
PANTONは、かつサンドの専門店。
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地元でもなかなか支持を集めているようで、お客さんがけっこうやってきます。
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いただいたのは、ヒレカツサンド。
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イチオシ
厚みのあるカツとキリリとしたアクセントのあるソースの組み合せは、上質感あり。人気の理由はよく分かります。
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アンポンタンのお菓子は、かつサンド工房 PANTONに置いてあります。小袋でどれも250円。小さな森のココアというクッキーをいただきました。濃厚なクッキーの香りがなかなかいい。少し食べるはずだったのに、一気に食べてしまいました。ちょっと癖になるようなうまさです。
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モン・セルヴァンは、井野駅から少し歩いた大通り。田舎の店らしからぬきちんとした構えの洋菓子店です。
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いただいたのは、シュークリーム。ちょっと高めですが、生クリームを上手に活かした上質な味わい。お店の腕をちらりと見せるような感じがにくいです。
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ところで、井野駅の周辺にはパン屋さんがないので、評判がよさそうなDEKOまで足を延ばしました。
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お店はなかなか活気がある。ピリ辛ウインナーをハード系のパンで挟んだタイプのパンをいただきました。しっかり歯ごたえがあるし、ウインナーも意外にジューシー。手堅くまとめた感じがする味わい。おいしくいただきました。
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そして、最後は井野駅からすぐのワッフル専門店 レスト。こんなところにワッフルの専門店なんてやっていけるのかあとか思いながら寄りましたが、店内はけっこう賑わっていて、人気店のようですね。
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いちごのワッフルをいただきましたが、フカフカの生地もいいし、特に生クリームのおいしさが抜群。ここまでおいしいワッフルはちょっと記憶にない。名店だと思います。
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さて、いったんここでおしまい。ここからは、日を改めてというか。季節を改めて、井野駅周辺に続いて群馬総社駅周辺の探索も紹介します。
群馬総社駅からほど近くには、総社古墳群という古墳があって、これも群馬県内の古墳めぐりでは外せないところなんです。
まずは、総社二子山古墳。 -
古墳時代終末期の6世紀末に造られた前方後円墳で、総社古墳群を構成する1基。
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崇神天皇第1皇子で下野毛の始祖とされる豊城入彦命の陵墓とされた時期もあるようですが、それは今は前二子古墳の方に訂正されています。
少し、下野毛の説明を加えると、上野国は毛野国→上毛野国・下毛野国→上野国と呼び名が変わる。上野国は多分大宝律令で定められた名前ですから、毛野国というのは古代の名前。群馬には上毛、両毛という言葉がまだ欠片のように残っていますが、いずれも上野国を示す古代の言葉なんですね。 -
古墳の上に続く階段があって、気持ちよく古墳の上全体を歩けます。ただ、あとで聞くところによると石室の方も見れたよう。それは見逃してしまいました。
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頂上からは赤城山がよく見えました。
ちなみに、赤城山は、榛名山、妙義山と並ぶ上毛三山の一つ。最高峰は、黒檜山の1,828m。前橋市街なんかからでもよく見えるので、県外から来た人間にとっては一番最初に気が付く山でしょう。この日は頂上付近が少し雪で白くなりかけたところ。空も青くていい眺めでした。 -
続いては、宝塔山古墳。7世紀末に造られた群馬県最大級の方墳で、南北辺54m、東西辺49m、高さ12mの堂々たるスケールです。
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見どころは石室。
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中腹に入口があって、切石切組積みの両袖型横穴式石室に入れます。
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イチオシ
ちなみに、7世紀末といえば古墳時代はもう終わりを告げたとされる時期。
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寺院建築の方が主流となっていた時期ですが、その分、古墳の技術もかなり高度。石はぴったりと組み合わされているし、
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石棺の底は平らではなく壇状で、これは仏教に関係する意匠なんだそうです。
なにか不思議なものを見ているような気持ちになりました。 -
イチオシ
少し移動して、これは蛇穴山古墳。一辺約39mの方墳で、造られたのは7世紀末~8世紀初頭。
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宝塔山古墳と比べると、規模は一回り小さいですが、さらに後期に作られたものであり、両袖型横穴式石室等の加工技術はさらに進化しているのだとか。
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石室にはこちらも簡単に入れます。
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総社古墳群は、5世紀後半から7世紀後半にかけて造られた古墳で、遠見山古墳、王山古墳、総社二子山古墳、愛宕山古墳、宝塔山古墳、蛇穴山古墳で構成されます。
エリアには、前橋市総社歴史資料館があって、 -
それぞれの古墳の発掘品の展示があるだけでなく、ボランティアの人が詳しく説明をしてくれます。これは崇神天皇の第1皇子の剣と伝わる副葬品のレプリカ。本物はいつの間にかなくなってしまったようですが、大和朝廷と群馬の関係が極めて近かったことを窺わせるものだと思います。
本来は、その辺りのことは地方の歴史(神話)をまとめた風土記が残っていると想像がつくのですが、ご案内の通り、風土記が残っているのは、出雲、宮崎、常陸とかに限られる。群馬の古代もまったく暗闇の中です。
ただ、鹿島神宮、香取神宮は出雲族を従えるために大和朝廷に協力をした神様。群馬にも崇神天皇とのつながりがあるということは、日本武尊の東征後、関東は意外に早くから大和朝廷と特別な関係が築かれていたのかもしれません。 -
ほか、展示のもう一つの自慢は山王廃寺跡関係。
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山王廃寺と国分寺・国分尼寺との関係は、同時期であり、同等の規模。
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それは放光寺と呼ばれていたことが判明し、古代豪族・上毛野氏の氏寺。ユネスコ遺産登録された山ノ上碑の銘文にも、放光寺の僧・長利が同碑を建立したことが記されており、7世紀後半には放光寺があったことが分かっています。
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時代は古墳から巨大寺院の時代へ。
群馬でもゆっくりと時代が動いて行ったことが想像されました。 -
さて、昼飯は近くの大村 総社町店へ。
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イチオシ
ソースかつ丼が目当てだったのですが、お昼のセットメニューがあって、ざるそばとの組み合わせをいただきました。カツ丼の方も赤身の豚肉がしっかりした味わいさすがです。しかし、この店はおそば屋さん。このそばは更科系ですが、白いそばに黒ゴマみたいなそばの皮が少し混じっていて、おしゃれなことになっていますね。どうかするとあの玉笑みたいですよ。そして、この切れ味が抜群。うまい。やっぱりこのそばの方が主役。嬉しい誤算となりました。
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啄木鳥は、群馬総社駅から少し歩いた住宅地。何もないところなんですが、駐車場も広いこのお店が突然現れるといった感じです。
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おじいちゃんが一人でやっていましたが、しかし商品はどれも見るからに繊細。焼きそばパンやフランスパンのエピまで幅広い品ぞろえだし、けっこう頑張ってます。店内には喫茶コーナーもあって、これもゆったり。使えるお店です。
さて、これで高崎周辺の古代の旅は終了。お疲れ様でした。
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