2017/04/14 - 2017/04/17
59位(同エリア152件中)
ひよどりさん
伊万里のホテルから、江戸時代、大名への献上品にも使われた「鍋島」が焼かれた大川内山まで、歩いて行きました。
その道中の風景と大川内山に残る3基の登り窯の跡を中心に、三方を山に囲まれた谷の景観を紹介したいと思います。
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地図を確かめると目指す大川内山まで、滞在しているホテルから、5~6kmのようです。お天気も良いので迷わず歩いていくことにしました。
202号線唐津方面に進み、伊万里市役所前の交差点で右折、バス通りを歩きます。総合庁舎・警察・市役所といった官公庁と住宅の混在する地域を進み、立花小学校まで来ると、学校と住宅地の間にとても大きな溜池がありました。写真右上に写っている建物が小学校です。 -
溜池からバス通りを外れ、戸建やアパートの建つ住宅街を通り抜けます。
湿地のような池の脇も通りました。 -
民家も途切れ、細い小径を進みます。道なりに行けば県道26号線の吉田というバス停に着くはずです。
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無事、県道に出ました。
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道端のレンゲ。こんな良い季節にこんな良い景色を味わえるなんて、歩いて大正解でした。
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道路沿いに御堂が一宇。新緑、薫風、空広く、鯉幟を眺めながら小休止。繰り返しになりますが、本当に良い景色です。
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県道をひたすら山に向かって歩きます。
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休憩したり、景色を眺めたり、スマホのナビで確かめながらゆっくりのんびり歩いたので、秘窯の里「大川内山」まで2時間弱かかりました。
「大川内山」の案内図です。
本日のルート:図の右下の入り口付近「唐臼小屋」→右上「鍋島藩窯公園」→「鍋島藩窯坂」→左下の「登窯跡」 -
唐臼小屋 1
「陶工橋」を渡ると、「ザーッ、ドスン」「ザーッ、ドスン」という音と軽い振動が伝わってきます。見上げると、3基の唐臼がシーソーのような動きをしています。天秤式の杵の一方から水が溢れ落ち、水の重みを失い、もう一方が臼を突くことを繰り返しています。 -
唐臼小屋 2
小屋脇の階段を上ると、水力を利用した唐臼の仕組みがわかります。
水路から樋へと水が流れて行きます。 -
唐臼小屋 3
樋から天秤状の杵の屋外に張り出した方の先端に水が注がれます。樋は唐臼毎に一本づつあります。 -
唐臼小屋 4
杵と臼。磁器の原料となる陶石が砕かれます。陶石は、石英と絹雲母からなる岩石です。バス停近くの「伊万里・有田焼伝統産業会館」に原石が展示されています。(次の写真)
唐臼の動きを眺めていると、子供の頃、シーソーで降り遅れ、ドスンとやられた時のお尻の痛みや跳ね上がった体の感覚が蘇ります。
17世紀の藩窯時代から昭和40年代まで川沿いにいくつもの唐臼小屋が建ち並んでいたそうです。
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右下が切れてしまいました。
手前が白磁石・天草陶石・青磁原石等です。右下の黒っぽい原石が大川内山産の青磁原石で、釉薬として使われているそうです。原石から釉薬をつくる製法は、現在、大川内山でしか行われていないそうです。 -
唐臼小屋から「陶工の墓」に向かいます。五輪塔が並びます。
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陶工無縁塔。
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川上に大川内山観光の象徴、欄干に壺が置かれた鍋島藩窯橋が見えます。
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鍋島藩窯橋。
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欄干の壺、近景。
色鍋島のモチーフが使われています。 -
窯元のある風景1
午前中、団体客が訪れるまでは、ひっそりとしています。 -
窯元のある風景2
この後、国際色豊かな団体客で溢れます。 -
お経石窯跡 1
案内図右上、鍋島藩窯公園内の江戸時代に使われていた登窯の跡です。
活気に満ちた往時の姿を想像しました。江戸時代の産業遺跡です。階段状に整地された目の前の斜面に焼成室が13房、水平距離で47メートル、売れ筋の京焼風の器が各房に大量に運び込まれ、薪が焚かれ、熱気は10~12度の傾斜の山肌に沿って上昇していったことでしょう。製品は、今日歩いて来た平坦な開けた地を通り、伊万里の港へ、そして、風を待ち、潮に乗り、江戸を始めとした消費地へ・・・「凄い!」「大量生産大量消費社会のスタート!」と、切石の配列を眺めながら思いました。 -
お経石窯跡 2
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お経石窯跡 3
解説板。 -
展望台から。谷を取り囲む急峻な山々。
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展望台を取り囲む「大壁画」。
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「大壁画」近景。
トンバイ(窯の壁材の煉瓦)と磁器片のモザイク画。 -
清源下窯跡 1
この窯も「お経石窯」同様「京焼風陶器」が焼かれたそうです。大川内山では、最高品質の「鍋島」と人気商品の大量生産が同時に行われていたそうです。 -
清源下窯跡 2
ガラス越しに出土した器や窯道具が見られます。 -
清源下窯跡 3
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清源下窯跡 4
窯跡を下から見上げます。「お経石」より急角度です。 -
清源下窯跡 5
上からの眺め。使われるなくなった窯跡に木々が育ち、時の流れを物語っています。 -
「陶工の家」に続く階段。
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トンバイ橋。
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トンバイ橋。敷き詰められたトンバイ。
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清正公堂。
トンバイ橋を渡り、鍋島藩窯坂を横切り、案内図左上の地区に入ります。窯元が並ぶ路地の突き当たりに、芝生が植えられ(写真手前)、細工屋敷跡、藩役宅跡の解説板があります。足元をよくみると、点々と礎石があり、そして、清正公堂への道が続いてます。 -
清正公堂解説板。
18世紀の陶工の中には熱心な日蓮宗徒が多く、その浄財で、日蓮宗と縁のある加藤清正公の御堂が建てられ、現在でも火入れ式の祈祷所として使われているそうです。 -
登窯跡 1
案内図左下の地区。ここは藩窯公園や窯元街から離れた場所で、公式の解説板等がありません。この地に御用窯があったそうです。棚田のように整形されたかつての登窯の形跡が残っています。 -
登窯跡 2
窯跡途中にある資料館?開いてるのか不明?よくわからないので、チラチラ横目で見ながら素通りして、そのまま登りました。 -
登窯跡 3
どこまで登って良いのかも不明、とりあえず、ここまでにしました。まだ窯の最上部には達していないと思います。 -
登窯跡 4
窯跡下ります。谷の集落を見下ろす風情のある景色です。 -
もう少し散策してみます。
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大川内山の鎮守様。「権現岳神社」入り口です。
陶石を産み出し、森の木々を焚き、この山あっての秘窯の谷。山に座してる神様への信仰は厚いものがあったことと思います。参拝は残念ですが、夕刻も迫り、諦めましょう。 -
谷の外れまで来たようです。引き返しましょう。帰路はバスに乗ります。
案内図右下、焼物広場・再現登り窯を見て廻る時間が無くなってしまいました。 -
窯元のある風景3
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窯元のある風景4
16時頃、再びひっそりとした時間が流れます。 -
「伊万里・有田焼伝統産業会館」展示品。
次の写真の風景と見比べて見て下さい。 -
バス停近くから撮影。
江戸時代の陶工が見詰め、皿に描いた風景。脳裏に焼き付けて、帰ります。
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