東カスピ海・西黒海(3)主よ主よ、天国に行ったことはないけれど、天国とはこんな感じなのでしょうか。

2017/05/11 - 2017/05/12

旅の4日目。

郊外のホルビラップ修道院に足を伸ばすことにする。

自由広場まで歩けば、近郊ツアー用のミニバンがあちこちに止まっており、郊外の観光地を組み合わせた日帰りツアーをやっている。

が、滞在したホテルのスタッフがイイ感じだったので、奮発してホテルのクルマをチャーターしちゃう。
4時間で16,000ドラム、4,000円くらいかな。
現地の物価を考えれば、ゼータクなんだけどね。

こうゆうところが「なんちゃってオヤジバックパッカー」です。

エリア エレヴァン(アルメニア)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: タクシー 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

ちなみにホテルのミニバンはベンツだけど、ハンドルは右についている。さらによく見ると「YANASE」のステッカーが貼ってある。

さらには、車内の表示も日本語。
つまり日本から輸入された中古車なのだ。

閑話休題。
アルメニアもジョージアも、右ハンドルの中古車だらけだ。
なんとなーくではあるが、町を走ってるクルマの2割くらいが右ハンドル。

さらににミニバンにいたっては、半分近くが日本の中古車って感じである。
一番人気はトヨタのヴォクシー、次がニッサンのセレナと続く。
ここは休日の関越道か!!

ちなみにステッカーもそのまま貼ってある。「トヨタ南九州」とか「ニッサン山口」とか。「福島」「新潟」もあるぞ。

日本人観光客がほとんど来ないこのヨーロッパの辺境に、こいつら、どうやってたどり着いたんだろう。「秘密のトンネル」とかあるのかしら。

・・・などとモーソーしてみるが、よく考えたらここはロシア経済圏であるから、極東のウラジオストクに陸揚げされた日本の中古車が、ここまでやってきているらしい。

そういえば最近読んだ「ユーラシア横断1万5000キロ」とゆう本に、極東で陸揚げされたクルマをシベリア経由でモスクワまで運ぶドライバーの話が書かれていた。

つまりはこのクルマたちも、シベリアを誰かが運転して、ユーラシア大陸をほとんど横断して、はるばるとここまでやってきたんだろうなぁ。
えらいこっちゃ。

郊外を走ると、西にアララト山が大きくなってくる。ノアの方舟がたどり着いた伝説の山。
実際に「方舟の痕跡が発見された」なんてニュースもあったよね。

ちなみに北側の山塊が「大アララト」、南が「小アララト」。小アララトはきれいな円錐形で、富士山とそっくりだ。

高速道路から側道をそれ、やがて田舎道に入る。
周囲は乾いたブドウ畑が広がっている。

途中、立ち寄った売店で、地元のオジーチャンガ日向ぼっこしていた。
ショートホープを進呈すると、ニコニコ握手してくれる。

コウノトリの巣。
子育ての最中かな？　真下をそーーーっと通過する。

まもなく、ホルビラップ修道院がそのブドウ畑の向こうに見えてくる。
大アララトを背景にしたたたずまいが美しい。

小アララトをバックに。
なかなか姿を見せてくれなかったけど、かろうじて富士山と似てるってことはわかるよね。
「小」ってゆっても、実は富士山より高い山なんだけど。

丘を登って修道院へ。
やはりきれいなバラ色だ。

見晴らしのきいた高台で、ぐるっとあたりを見回す。
この一帯は盆地で、四方のどちらを向いても山がある。
運転手にいちゃんが、それぞれの山塊を指してゆう。

「ターキー(トルコ)、アゼルバイジャン、ジョージア、イラン」

出口なしの内陸国で、人口たった300万。

きみら、よう滅びんかったもんだね。

絶景を前に大コーフンしているのは、インド人御一行様。

「わがインドはあっちの方角だー」

賑やかに写真を撮りあって、ドドドっとバスに乗り込み去って行った。

「あんたらヒンズーやんか!!」

とツッコみたいところだけど、ドライバーのお兄ちゃんによると、インド人観光客は最近多いとのこと。
そかそか、別に巡礼ではないのね。
彼らにとって一番近いヨーロッパなのかもしれんね。

ホテルに戻る途中、エレバンの街中で降ろしてもらう。
市内は教会がいくつかあるくらいで、見どころは案外少ない。

とゆうより、バラ色の建物が続く街並み自体が見どころ、とゆった方がいいかもしれん。

エレバンは、アララト山が遥かな昔、噴火した降灰の上にできた街だ。
つまりは関東ローム層と一緒で、地面は赤土。
それが長い時間をかけて固まり、どこを掘ってもバラ色の凝灰岩が出る。
だから教会はバラ色になる。さらにはビルもマンションもこの石を使う。

町を歩いていると不思議な気分になる。近代的なビルまで、全部バラ色なのだ。

こんな町ってほかにあるんだろうか。

街角で、魔女みたいなオバーチャンがレモンを売っていた。

あんまりきれいなオレンジ色なので、ついつい手に取り、買ってしまう。ひとつ200ドラム。

その場でかじってみる。
いくらか甘味はあるけど、そこはレモンであるから、しっかり酸っぱい。

「ぎょえーーーーー」

って顔したら、ニヤっと笑われたので、カメラを向けたらしっかりポーズ取ってくれました。

おお、姿勢がいいぞ元アルメニア美人!!

ちなみに売り終わると、そのままホーキに乗って飛び去っていった。(うそ)

自由広場に近いカフェで、昼間っからビール。
空気が乾いているからいくらでも呑めそうだけど、まだ日が高いのでいっぱいだけ。

近くではストリートミュージシャンのおじさんが静かにデュデュクを吹いてる。
かっこはタテブエだけど、音はクラリネットに近いアルメニアの民族楽器。

町の真ん中に歴史博物館があった。休憩も兼ねて入ってみる。(⇒内部は撮影禁止)
でもって「アルメニアの古代」なんてとこから見学する。
とゆうか、この国の近代はあまりに悲惨なのでパスしたい気分だ。

旧石器時代から農耕が始まるあたりの展示をじっくり見てると、日本の土偶にそっくりな人型の焼き物を見つけた。十日町の博物館に似たようなのがあったげな。
でも土器はエチゴの火焔式の方が迫力がある。それに世界一古い土器は日本の縄文式だもんね。ちょっと自慢したい気分だ。

おーでもこのカケラには綺麗な模様が入ってるな。なんだろうコレ。
しゃがんで、しげしげと眺める。
彩文土器って日本はあったかなー。

などと一人でブツブツゆうてると、お隣の部屋から中学生の集団がドヤドヤと移動してきて、なんでか知らん、ワシがしゃがんでる展示のガラスケースをぐるりと囲んだ。

そのまま、引率のおばさん先生はワシに気づかず、ガラスケースの向こう側で説明を始める。でもってワシの周りを、女子中学生がぐるりと囲んでしまう。
やむなく息を潜める。

「アルメニアの土器は紀元前8000年から作られています」(→翻訳済み)

先生先生、8000年はいいけど、あなたの向かいに東洋人のオヤジがしゃがんだ格好のまま進退窮まっております。

「男子、ふざけてないで説明聞きなさい！もっと前に来なさい！」(→翻訳済み)

怒られた男子(→ドウデモイイ)が外側につき、前列の女子の輪がさらに小さくなる。触れなば落ちん、とゆうくらいの距離。でも触れたら大変なことが起きそうな気が。タイーホされて国外退去かしら。

形のいいおケツがドドドと目の前に迫る。ジーンズに下着の線が浮かんでる子もいる。

ジーンズに おパンツ浮かび 夏は来ぬ

思わず吟ずる鯨である。

アルメニア人の女の子はそもそもメチャメチャかわいい。早熟だからチチもケツももりもりだ。おまけにいいにおいまで漂ってくるではないか。
でもって、ワシの真上でクスクス笑う。

主よ主よ、天国には行ったことがないけど、天国とはこんな感じなのでしょうか。

そのうちの一人がゆう。

「せんせい、ここにヤパンのハゲがしゃがんでます」(→翻訳済み)

こちら側の女の子がドッと笑う。先生はガラスの向こうから首を伸ばし、初めてワシに気づき、怖い顔になり、一言ゆった。

「そこで何してんですか」(→翻訳済み)

何もクソもない、ワシの方が先住民族だ！

でも先生ありがとー、一瞬天国が見えました、と静かに立ち去る鯨である。

この旅行記へのコメント （4）

• tabinakanotaekoさん 2019/08/10 00:04:38

  天国ってどんな風景なんだろうって？

  鯨さん、
  　天国って真っ白なこの山の姿を言われているのか、
  はたまた一面に広がるお花畑でも出てくるのかと
  読み進め、どひゃー、なんじゃこりゃ、オヤジだなと
  笑いました。笑わしてもらってありがとう。
  　　　　　　　　　　　taeko

  鯨の味噌汁さん からの返信 2019/08/12 15:27:42

  笑っていただいてナンボです！

  あい。
  マゴみたいな年齢のお子さんたちに囲まれて喜ぶジジイ、我ながらばっちいです。でもここで慈愛に満ちた老人には断じてなりたくありません、あくまで現役でブイブイグイグイの助平でありたいものです。居直ってますすみません。

• フィーコさん 2017/06/06 17:35:37

  天国～

  こんにちは 鯨さん。
  
  初めてお便りいたします。
  
  旅行記は見させていただいて「わはは！」
  と いつも笑わせていただいてます。
  
  お一人で自由に行けて良いですね。
  
  天国・・・体感なさってヨカッたヨカッた！
  
  私の天国はどんなんかな～？
  
  フィーコ

  鯨の味噌汁さん からの返信 2017/06/06 21:55:56

  RE: 天国?

  フィーコさん、
  
  どうもどうも初めまして。コメントありがとうございます。
  
  > 旅行記は見させていただいて「わはは！」
  > と いつも笑わせていただいてます。
  
  ありがとうございます。
  笑っていただいてナンボの旅日記です。
  
  > お一人で自由に行けて良いですね。
  
  自由だけに自己責任でごじゃいます。
  気絶するよーな凄惨な失敗もそれはもうゾロゾロと。
  
  > 天国・・・体感なさってヨカッたヨカッた！
  
  埼京線のラッシュで女子高生に囲まれてしゃがんだら似た状況になったかもしれません。
  デバカメ扱いされますのでしませんが。。。