TMBを歩く④、エリザベータ小屋からクールマイユールへ

2013/08/15 - 2013/08/15

フランス、イタリア、スイスを巡るモンブラン一周ルート（ＴＭＢ）。
ドリュ西壁、ミディ針峰、モンブラン、フレネイ中央岩稜、ブランドジョラス、たくさんの物語を生んだ山々を見ながら歩く山旅。

シャモニーからベニの谷を越えてイタリアのクールマイユールへ。
クールマイユールからフェレの谷を越えてスイスへ。
スイスからバルム峠を越えて再びシャモニーへ。
谷に花が咲き乱れる季節は少し過ぎてしまったが僕らにはそれでも十分だ。
二人が若ければ途中の谷から分岐する、あちらの峠、こちらの山、夢のようなたくさんの旅ができるだろう。

だが、僕らはもう年を取りすぎてしまった。
モンブランを指さす、ジャック・バルマとド・ソーシュール、何はともあれこの二人の像の前で、シャモニに来れたことをまず喜ぼう。

＜・・・・・＞夫の言葉
≪・・・・・≫妻の言葉
（・・・・・）二人以外の言葉

対岸から見るモンブラン・ド・クールマイヨール
しばらく進むとクールマイヨールへ下るリフトにぶつかる。

エリア アオスタ(イタリア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.5
• 交通: 4.0

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 30万円 - 50万円
• 交通手段: 徒歩

■８月１５日ーエリザベータ小屋⇒コンバル湿原⇒クールマイユールー

雲ひとつないエリザベータ小屋の朝
後ろの稜線を右へ進むとモンブラン
左へ進むとエギーユ・ド・グラシエを経て最初に登った
テート・ノアール・ド・フーへと続いている。

＜今夜はアオスタ渓谷のクールマイユールだよ＞
≪うれしいわ、美味しいピッツアが食べられるかしら？≫

クールマイユールをボナッティの本で知ったのはもう４０年も前のことだ。
その頃は、アルプスよりもヒマラヤの山々を見てみたかった頃なので
ここら辺は二の次になってしまった。

＜でもやはり、ワクワクするね＞

ーコンバル湿原を目指してベニの谷を下るー

ー穏やかな山稜の傍らを進むー

エリザベータ小屋を出発してコンバル湿原の末端に沿って進む。
しばらくは緩やかな下り道だ。

ー僕らの歩く道は穏やかだがー

左側はイタリアのクライマー達のゲレンデが続いている。
若いクライマーにとっての最高の遊び場。

＜僕らも若かったらねー＞

ーコンバル湖から右の稜線に上るー

これを上るとモンブランのイタリア側のプロムナードが始まる。
左側にはミアージュ氷河からミアージュのコルにつながるルートもあるようだ。

（ここの氷河も大きく後退しています）

ガイドのＮさんが来た頃はコンバル湖のすぐ上まで氷河が来ていたそうだ。

ーミアージュ氷河とその奥に見えるミアージュのコルー

雲ひとつない青空
ミアージュのコルまで、簡単に登っていけそうな感じがする。

≪コルの近くまで行ってみたいわ≫
＜次に来るときには、きっと登れるよ＞

だが、僕らの足は何時までもつのだろう？

ー山稜へ上る途中にある朽ち果てた小屋ー

新鮮なオレンジジュース
いれたての美味しい珈琲
ここは歩き疲れた登山者がそんな飲み物を欲しくなりそうな場所だ。

≪７月から９月までの期間限定の営業はどうかしら？≫
＜美味しいバッケト付きなんて最高だね＞

ーモンブラン・ド・クールマイユールー

絶景の見える稜線へ登ったところで休憩。
クールマイユールはもうすぐだ。

≪あの小屋のあたりでやすむよりもここの方がいいわ≫

ーモンブランからグランドジョラスへ続く稜線を望むー

≪なんてきれいな山々なのかしら≫

ーイタリア側から見るモンブラン、モンブラン・ド・クールマイユールー

モンブランを真正面から見る。
こちら側から見るモンブランはなんて穏やかな顔をしているのだろう。
急峻なイノミナータ山稜さえ優しく見える。

≪やはり、急峻に見えるわ≫

ーイタリア側に広がるアルプを歩くー

穏やかなアルプ。
アルプの先の針葉樹。
その先の急峻なエギーユ・ノアール・ド・プトレイ。

＜昔からこんなアルプを歩き周ることが僕の夢だった＞

ーケクロイ峠のリフト乗り場ー

ここを下ればクールマイユール。
急ぐ必要なない、ゆっくりとリフトで下ろう。

（レストランで何か食べましょ！）
≪賛成≫

ーらくちん、らくちんー

景色を楽しみながら、スキーリフトでクールマイユールへ下る。

ースキーリフトから見下ろすクールマイユールー

ークールマイユールのホテル、Ｂｏｕｔｏｎ,Ｄｏｒ－

イタリアの登山家、ワルター・ボナッティやリカルド・カシンの本で初めて知ったクールマイユール。
どんな所なのか一度は訪ねてみたかった土地へやって来た。
もう少し田舎の町を想像していたが、シャモニを小さくしたようなスキーと登山の基地だ。
それでも僕らの泊まったホテルは山岳ホテルらしく、ガストン・レビュファやサミヴェルの初版本などが置かれていた。

＜あのサミヴェルの本売っていただけませんか？＞
（ノ！）

即座に断られてしまったが
図書室のようなリビングルームで蔵書を眺めるだけでも楽しい。

ークールマイユールで半日の休養ができたのでー

バルメ小屋に置いてきてしまった帽子の替えを探しにスポーツ用品店を見て回る。

＜made in china・・made in Vietnam．日本と代わり映えしないね＞

３軒目くらいの店で替わりの帽子を見つけ
近くの店でジェラートを買って街中を散歩する。
途中の小路でシャモニからやって来ている夫婦連れと話をする。

＜コンニチワ、どちらへ行ってきたんですか？＞
（お花畑がとてもきれいだったわ）
≪どちらのお花畑へ行ったの？スイス側それともフランス側≫
（？？？分からないわ）
＜僕らもベニの谷から下ってきたけど、少し季節遅れかもしれないね＞

話の内容では僕らが明日歩くフェレの谷を歩いたようだ。
楽しみにしよう。

（バイバイ）
≪気を付けてね≫