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 京都バスの清滝バス停から急坂を下り、清滝の集落にある鳥居で、これから進む道を見ておののいた。かなり急な石段が続いているのだ。以前、清滝から高雄へ歩く途中に見て、いつか訪ねようと思った愛宕神社への道とかなり違う。確かに山道だったが、もっとなだらかだったはずだ。<br /> いやいや、急な石段は最初だけかもしれない。前に見た登山道は別の場所で、ここから先で合流するのかもしれない、と考えた。とりあえず上ろうと意を固め、歩を進めた。<br /> だが、結論から言うと、山頂の神社まで、記憶に残っていたなだらかな場所はなかった。行けども、行けども急な坂と石段が続く。あれは幻だったのだろうか。途中、わずかに平坦な個所があったものの、神社までの5キロ足らず、ほとんどが急な上りだった。すぐに荒くなった息づかいは最後まで収まることはなく、歩みは重くなるばかり。それでも、2時間半ほどでどうにか神社にたどり着いた。<br /> 苦しい道のりに癒しを与えてくれたのは、途中途中にある小さな地蔵さま。信者がまめに着せ替えているのだろう、色鮮やかな前掛けもかわいらしい。もうひとつ、地元消防団が手作りした距離表示もありがたかった。上った距離に比例して「40分の○」と書いてあり、少しずつ、しかし確実に進んでいるのが分かるのだ。ただし、距離表示とともに添えられている教訓めいた一言にあまり重みがなく(笑)、ようやくたどり着いた「40分の40」地点の先に「40分の41」の標識があったこと、さらには「40分の41」地点を過ぎてから神社まで険しい石段が待ちかまえていたのはご愛敬だったが。<br /> 苦労してたどりついた神社、境内は厳かで、静かだ。吹き抜ける風が木々を揺らすと、なにか大きな力が駆け抜けているように感じる。信仰心の薄い私でも、ありがたい気持ちがわいた。<br /> 穏やかな気持ちで踏み出した帰路だが、その道のりも厳しい。息づかいが荒くなることこそなかったが、石段を下り続けるうちに脚の筋肉、膝が悲鳴を上げそうになった。特に急なところでは、ゆっくりと下りるよう心がけたが、それでも3度ほど転びかけ、さらに慎重に歩を進めた。<br /> とはいえ、頂きを極めた後なので気持ちは楽。上ってくる人たちを応援する気持ちが自然とわいてくる。行きは楽しむ余裕がなかったが、広葉林は豊かで、山道から数回眺めることのできる京都市街の景色は美しい。厳しいものの、少しは余裕も持てた1時間半の下り坂だった。<br /> 蛇足。私は軽装だったが、靴はトレッキング用だったので助かった。ランニングシューズなどは厳しいだろう。行きは汗だくになったので、シャツの着替えがあればいいかも。往復4時間から5時間。食料は必携ではないが、飲料水を忘れると大変だ。山歩きに慣れていないとかなり厳しい行程だと思うが、幼児、高齢者も挑んでいた。好天の日に、時間を気にせずに、ゆっくり、のんびり歩けるスケジュールを組めば、必ずたどりつける。苦労はするが、その甲斐、価値はあるところだ。

愛宕神社。心が穏やかになれる場所

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2016/10/29 - 2016/10/29

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ベル  さん

 京都バスの清滝バス停から急坂を下り、清滝の集落にある鳥居で、これから進む道を見ておののいた。かなり急な石段が続いているのだ。以前、清滝から高雄へ歩く途中に見て、いつか訪ねようと思った愛宕神社への道とかなり違う。確かに山道だったが、もっとなだらかだったはずだ。
 いやいや、急な石段は最初だけかもしれない。前に見た登山道は別の場所で、ここから先で合流するのかもしれない、と考えた。とりあえず上ろうと意を固め、歩を進めた。
 だが、結論から言うと、山頂の神社まで、記憶に残っていたなだらかな場所はなかった。行けども、行けども急な坂と石段が続く。あれは幻だったのだろうか。途中、わずかに平坦な個所があったものの、神社までの5キロ足らず、ほとんどが急な上りだった。すぐに荒くなった息づかいは最後まで収まることはなく、歩みは重くなるばかり。それでも、2時間半ほどでどうにか神社にたどり着いた。
 苦しい道のりに癒しを与えてくれたのは、途中途中にある小さな地蔵さま。信者がまめに着せ替えているのだろう、色鮮やかな前掛けもかわいらしい。もうひとつ、地元消防団が手作りした距離表示もありがたかった。上った距離に比例して「40分の○」と書いてあり、少しずつ、しかし確実に進んでいるのが分かるのだ。ただし、距離表示とともに添えられている教訓めいた一言にあまり重みがなく(笑)、ようやくたどり着いた「40分の40」地点の先に「40分の41」の標識があったこと、さらには「40分の41」地点を過ぎてから神社まで険しい石段が待ちかまえていたのはご愛敬だったが。
 苦労してたどりついた神社、境内は厳かで、静かだ。吹き抜ける風が木々を揺らすと、なにか大きな力が駆け抜けているように感じる。信仰心の薄い私でも、ありがたい気持ちがわいた。
 穏やかな気持ちで踏み出した帰路だが、その道のりも厳しい。息づかいが荒くなることこそなかったが、石段を下り続けるうちに脚の筋肉、膝が悲鳴を上げそうになった。特に急なところでは、ゆっくりと下りるよう心がけたが、それでも3度ほど転びかけ、さらに慎重に歩を進めた。
 とはいえ、頂きを極めた後なので気持ちは楽。上ってくる人たちを応援する気持ちが自然とわいてくる。行きは楽しむ余裕がなかったが、広葉林は豊かで、山道から数回眺めることのできる京都市街の景色は美しい。厳しいものの、少しは余裕も持てた1時間半の下り坂だった。
 蛇足。私は軽装だったが、靴はトレッキング用だったので助かった。ランニングシューズなどは厳しいだろう。行きは汗だくになったので、シャツの着替えがあればいいかも。往復4時間から5時間。食料は必携ではないが、飲料水を忘れると大変だ。山歩きに慣れていないとかなり厳しい行程だと思うが、幼児、高齢者も挑んでいた。好天の日に、時間を気にせずに、ゆっくり、のんびり歩けるスケジュールを組めば、必ずたどりつける。苦労はするが、その甲斐、価値はあるところだ。

旅行の満足度
4.5
観光
4.5
同行者
一人旅
交通手段
JALグループ 新幹線

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  • 神社へ続く石段。最後の頑張りどころだ

    神社へ続く石段。最後の頑張りどころだ

  • 参拝者を見守りように建つお地蔵さま

    参拝者を見守りように建つお地蔵さま

  • 山頂には稲荷神社もある

    山頂には稲荷神社もある

  • 愛宕神社への途中、京都市街地を望む

    愛宕神社への途中、京都市街地を望む

  • 分かれ道。右へ進めば愛宕神社

    分かれ道。右へ進めば愛宕神社

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