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 女満別空港から知床へ向かう。路線バスで巡りたかったのだが、札幌出張後の週末を利用した訪問なので、日程に限りがある。レンタカーを借り、まずは能取湖を目指した。<br /> 目的はサンゴ草の見学。訪れた9月初旬はシーズン入り直後らしいが、湖はほんのりと桜色に色づいていた。規模は、正直、期待ほどではない。観光客も私と老夫婦のみ。しかし、減少しつつあったサンゴ草を地元の方々の努力で回復させている途上とのこと。湖に延びる木製の遊歩道もありがたい。感謝の気持ちを抱きつつ、初めて見る景色を楽しんだ。<br /> 国道沿いの原生花園でしばらく停車したほかは、一路斜里へひた走る。道路は広く、車は少ない。快適。オホーツク海が左手に現れる。鹿児島生まれにはあこがれの海だ。冬、ここは氷で埋め尽くされるのだろう。いつかこの目で眺めてみたいものだ。<br /> オシンコシンの滝に立ち寄る。国道のわきにあるのに、流れ落ちる水の落差と量に驚く。さすが北海道。自然の規模が違う。でかい。雄大。知床へ来てよかった。<br /> 昼食はガイドブックで知り、訪ねてみたかったウトロ漁業婦人部食堂。観光客だけなのだろうと想像していたが、漁師らしい地元の客も多い。彼らはラーメンなどを食べていてので、日ごろから利用していることが分かる。食堂が、地元にとけ込み、愛されているあかしだ。<br /> 私は観光客らしく、ガイドブックにあったホッケを注文。好物のウニ丼はメニューに「今季は終了」とあり、素直にあきらめられたが、キンキの干物が魅力的。だが、1000円のホッケ定食に対してキンキは「時価」。これで決まり。この判断に誤りはなく、ホッケは肉厚で大きく、あじもすばらしい。全国チェーンの居酒屋でしか知らなかった私は、ホッケに謝りたくなった。さらに感激したのは、イカのしおから。うまい。これがあればご飯は何杯でもいけるだろう。当然のように羅臼の町で取った夕食でも注文した。だが、品切れ。作り置きができないのだという。おいしいイカが捕れる町で、新鮮なうちに作るからこその味なのだろう。<br /> いよいよ知床の中心部に踏み入る。「ヒグマに注意」との立て札に恐れを抱きつつ、たどり着いたフレペの滝は美しかった。滝を包むように太い蒸気が立ち上っている。その上を鳥が飛び交っている。ツバメだろうか。雄大。クマは怖いが、遊歩道を取り囲む林の景観もすばらしかった。<br /> しかし、次に訪れた知床五湖は霧。知床峠はさらに深い霧。車のヘッドライトなしには進めない。羅臼岳などもまったく見えない。峠ではしばらく待ったが、霧が晴れる気配はない。無念。自然には勝てないということだろう。仕方ない。また訪ねてくればいいのだ。<br /> 宿泊は羅臼。ホテルに入る前に、展望塔に上って町を眺める。こぢんまりとしたいい町だ。港に出入りする漁船などは見えるが、その先にあるはずの北方領土は確認できなかった。ホテルに車を止め、さっそくホテルの前のコンビニでビールとえびせんを買い、歩いて港へ。群れ飛ぶカモメを眺めながら飲むビールはうまい。カモメにえびせんを狙われるかもと心配したが、うまい魚を食べるカモメは見向きもしなかった。<br /> 翌日は釧路泊の予定だったが、九州へ台風が接近しており、予定を変更して釧路空港へ。左手に見える根室海峡から上る朝日は雲から時々姿を現すだけだったが、これも美しい。多くは霧の中だった知床だが、ここでしか経験できない自然と暮らしがあることは確認できた。やはり、再訪しないといけない、とあらためて思った。

知床は霧の中

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2016/09/02 - 2016/09/03

31472位(同エリア55213件中)

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5

ベル  さん

 女満別空港から知床へ向かう。路線バスで巡りたかったのだが、札幌出張後の週末を利用した訪問なので、日程に限りがある。レンタカーを借り、まずは能取湖を目指した。
 目的はサンゴ草の見学。訪れた9月初旬はシーズン入り直後らしいが、湖はほんのりと桜色に色づいていた。規模は、正直、期待ほどではない。観光客も私と老夫婦のみ。しかし、減少しつつあったサンゴ草を地元の方々の努力で回復させている途上とのこと。湖に延びる木製の遊歩道もありがたい。感謝の気持ちを抱きつつ、初めて見る景色を楽しんだ。
 国道沿いの原生花園でしばらく停車したほかは、一路斜里へひた走る。道路は広く、車は少ない。快適。オホーツク海が左手に現れる。鹿児島生まれにはあこがれの海だ。冬、ここは氷で埋め尽くされるのだろう。いつかこの目で眺めてみたいものだ。
 オシンコシンの滝に立ち寄る。国道のわきにあるのに、流れ落ちる水の落差と量に驚く。さすが北海道。自然の規模が違う。でかい。雄大。知床へ来てよかった。
 昼食はガイドブックで知り、訪ねてみたかったウトロ漁業婦人部食堂。観光客だけなのだろうと想像していたが、漁師らしい地元の客も多い。彼らはラーメンなどを食べていてので、日ごろから利用していることが分かる。食堂が、地元にとけ込み、愛されているあかしだ。
 私は観光客らしく、ガイドブックにあったホッケを注文。好物のウニ丼はメニューに「今季は終了」とあり、素直にあきらめられたが、キンキの干物が魅力的。だが、1000円のホッケ定食に対してキンキは「時価」。これで決まり。この判断に誤りはなく、ホッケは肉厚で大きく、あじもすばらしい。全国チェーンの居酒屋でしか知らなかった私は、ホッケに謝りたくなった。さらに感激したのは、イカのしおから。うまい。これがあればご飯は何杯でもいけるだろう。当然のように羅臼の町で取った夕食でも注文した。だが、品切れ。作り置きができないのだという。おいしいイカが捕れる町で、新鮮なうちに作るからこその味なのだろう。
 いよいよ知床の中心部に踏み入る。「ヒグマに注意」との立て札に恐れを抱きつつ、たどり着いたフレペの滝は美しかった。滝を包むように太い蒸気が立ち上っている。その上を鳥が飛び交っている。ツバメだろうか。雄大。クマは怖いが、遊歩道を取り囲む林の景観もすばらしかった。
 しかし、次に訪れた知床五湖は霧。知床峠はさらに深い霧。車のヘッドライトなしには進めない。羅臼岳などもまったく見えない。峠ではしばらく待ったが、霧が晴れる気配はない。無念。自然には勝てないということだろう。仕方ない。また訪ねてくればいいのだ。
 宿泊は羅臼。ホテルに入る前に、展望塔に上って町を眺める。こぢんまりとしたいい町だ。港に出入りする漁船などは見えるが、その先にあるはずの北方領土は確認できなかった。ホテルに車を止め、さっそくホテルの前のコンビニでビールとえびせんを買い、歩いて港へ。群れ飛ぶカモメを眺めながら飲むビールはうまい。カモメにえびせんを狙われるかもと心配したが、うまい魚を食べるカモメは見向きもしなかった。
 翌日は釧路泊の予定だったが、九州へ台風が接近しており、予定を変更して釧路空港へ。左手に見える根室海峡から上る朝日は雲から時々姿を現すだけだったが、これも美しい。多くは霧の中だった知床だが、ここでしか経験できない自然と暮らしがあることは確認できた。やはり、再訪しないといけない、とあらためて思った。

旅行の満足度
4.0
同行者
一人旅
交通手段
レンタカー JALグループ
旅行の手配内容
個別手配

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  • 能取湖のサンゴ草。色づき始めたばかりだ

    能取湖のサンゴ草。色づき始めたばかりだ

  • ウトロ漁協婦人部食堂の入り口に干してあるキンキ。うまそぅ

    ウトロ漁協婦人部食堂の入り口に干してあるキンキ。うまそぅ

  • フレペの滝が水蒸気に包まれる

    フレペの滝が水蒸気に包まれる

  • 展望塔から羅臼の町を眺める

    展望塔から羅臼の町を眺める

  • 根室海峡に昇る朝日。この日も北方領土は見えなかった

    根室海峡に昇る朝日。この日も北方領土は見えなかった

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