2016/07/17 - 2016/07/23
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ミズ旅撮る人さん
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ラジャスタン編13回目は、ファテープルのハヴェーリー巡りの後編です。
ファテープルには、現代のインド社会で巨大な財閥を形成するほどの成功を収めたマールワーリーたちによって建設された、華麗な壁画が特徴の邸宅ハヴェーリーが数多く建っています。
1930年以降、マールワーリーたちが去ったファテープルには、廃墟同然のハヴェーリーが残されました。
ファテ-プル編は、近代のインドの歴史と美術史の上で、ここがたいへん興味深い場所であることを紹介する内容となっています。
インドに全く興味のない方でも、歴史好きや、美術好きの方に、是非とも読んでいただきたいです。
後編は1軒のハヴェーリーに入って、中を見ることから始めましょう。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
人通りもまばらなファテープルの一角に、ハヴェーリー(邸宅)は並んでいます。
ハヴェーリーはここだけに集まっているのではなく、街なかにも、それこそあちこちに当たり前に建っています。
前編でも言及しましたが、ファテープルのあるシェカワティ地方に住む「移住商人」であるマールワーリーたちが、衰退したファテプールからムンバイやコルカタに商売の場を移し、時代の流れに乗って一気にインド経済の主力にまで登り詰め、故郷に邸宅ハヴェーリーを建設したのです。 -
マールワーリーたちは、故郷に邸宅だけでなく、寺院、井戸、貯水池、キャラバンサライなどの建造物を次々と建てました。
井戸には目印に2本または4本の塔が建っています。 -
ハヴェーリーにマールワーリーは住んではいませんが、管理人が中を見せてくれるところがあります。
そうしたハヴェーリーは、気配を察した管理人が出て来て、手招きするようです。
ここでは、腰巻姿のおじいさんが呼び入れてくれました。 -
中に入って唖然。ここまで簡素・粗雑な造りだとは思いませんでした。
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建物は、玄関を入ると前庭があり、そこから狭い通路を通って中庭に出ます。その時の写真がこれです。
管理人一家が生活しているのですから、生活感があるのは当たり前ですが、夢が無残に打ち砕かれるのがわかりました。 -
小さな中庭から、狭い階段を上り、2階のテラスから見下ろしています。これがファテープルのハヴェーリーなんだ。
正直、がっかりして足に力が入りませんでした。ハヴェーリーって、外面だけなんだ・・・ -
2階もこんな感じです。1階よりは随分いいですが、う~ん、やっぱり簡素。
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上を見上げても、こんなもの。わざわざ入ることもなかったな・・・まあ、入って見なければわからないし。
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しかし、おじいさんは、ちゃんと隠し玉を持っていました。
なんとこの一部屋だけ、贅沢な造りになっているのです。 -
呆れるほどの格差です。つまり主の居室だけが豪華なの?
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部屋は、中庭に面したこの部屋と、通りに面した部屋の二間続きで、どちらも極端に細長い構造になっています。
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2階から上の部屋には家具調度品が一切ないので、生活の様子が思い描けませんが、同じ家の中でも、主人とその被雇用者との間には、相当な格差が明確にあったようです。
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天井の模様はデザインや技法の完成度が高いのに、壁画はなんとも幼稚です。
前編でも言及しましたが、これは、天井がムスリム、壁画がヒンズーの職人だったのかなと思います。 -
こちらの絵は、9つの頭を持つ蛇ナーガ(アナンタ)の上で眠るヴィシュヌ神です。
ヒンズー教における三大神「ブラフマー(創造)、ヴィシュヌ(維持)、シヴァ(破壊)」の一人です。
ヴィシュヌは、大抵寝ていますが、代わりに10の化身として人間界に現れ救済を行います。
亀や魚、猪などの動物になったり、「ラマーヤナ」の主人公として名高いラーマ王子となったり、稀代のプレーボーイ、クリシュナになったりします。 -
マールワーリーの多くがヴィシュヌ派のヒンドゥーであるため、こうした絵が描かれることが多いのです。
ヒンズー教徒と言っても、信望する神様は千差万別。
これは、ヒンズー教が広まる際に、土着の神様を取り入れて、化身にしたり、奥さんにしたりして、なんでもヒンズーにしてしまったためです。
仏教の始祖である仏陀まで、ヴィシュヌの化身の一人です。
極論を言えば、仏教徒もヴィシュヌ神の信望者?
まさに混沌(カオス)の宗教ですね。 -
中庭側の部屋と通りに面した部屋との間には、このような鴨居があります。さすがにこれは、見事なものです。
真ん中の輪っかに間仕切りなどを吊り下げたのでしょう。 -
こちらの部屋は、一段と豪華です。おそらく、女性たちがほとんどの時間を過ごしたのでしょう。
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この小さな窓から、外を見下ろしながら。
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女性たちは、彼の様に窓の前に立つことは出来なかったでしょうが。
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白馬の王子様が迎えに来るのを待ちながら。
インドでは、結婚する時には、花嫁の家に花婿が白馬に乗って迎えに来るというパフォーマンスを現在でも行っています。
ガイドもそのうちに・・と言っていました。
実際にホテルでの結婚式に遭遇したことがありますが、白馬で花婿が登場していました。 -
この家で一番価値があるのは、この鴨居じゃないかな?
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この部屋から出て、コルカタへ移ったマールワーリーたちは、明るい部屋で幸せに暮らしているのでしょうか。
1930年にはいなくなったというので、もうこの部屋を覚えている女性はいないでしょうが。 -
2階の別の部屋に入ってみました。どうでしょう。誰かが、隣の部屋を見て、同じように描いてみたんでしょうか。
下段の女性の絵のように、どっちらけ。描くにしても、もう少しまともに描いて欲しかった。 -
あまりに暗いので手ぶれした失敗写真ですが、こっちが元になった絵ですね。
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ジャイサルメールの王族や宰相などが建てた屋敷と、マールワーリーたちの建てた屋敷とでは、明らかに違いがあるようです。
これは、まだファテープルのハヴェーリーを1軒しか見ていないので、断言は出来ませんが。
ファテープルのハヴェーリーを建てるという目的の変遷も関係しています。
当初は、商売の拠点でもあり、家族の生活の場でもあったのですが、段々とコルカタの生活に重点が置かれ、ファテープルには、地域貢献の意味での建設が続けられました。
自分たちの終の棲家ではなくなっていたのです。
そのため、外観重視、主人一族の必要な部分だけの装飾が行われたのかもしれません。 -
外に出ました。明るい気分になったのも束の間、強烈な日差しが照り付けます。熱気に包まれて足元もおぼつかなくなります。
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ここの門構えはガネーシャの3段構えです。さすがは、商売人マールワーリー。
コルカタ(旧カルカッタ)やムンバイ(旧ボンベイ)に居を移したマールワーリーたちは、独自のルートを持っていたので、まだ銀行などがなかった時代から為替に似た商売を始め、金融業務で富み、更にイギリスとの交易に力を入れて、インドの産業開発に積極的に投資しました。
これが、時流に乗り、巨万の富を築くことになります。 -
正面は美しく装飾しても、側面はこんな感じ。かなり劣化して定かではなくなっていますが、
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庇(ひさし)の下付近は、綺麗に残っています。
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描かれているのは、西洋のポスターを模倣した人物画です。
当時の人にとって、最高にモダンな絵柄だったのでしょう。 -
このハヴェーリーは、数ある中でも、保存状態が良く、色合いも品が良くて、好きです。
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この象を始め、人物像の数々にも動きがあり、それらは軽妙でさり気なくポーズをとっています。
縁飾りの模様も細かく、彩色も鮮やかで全体の統制も取れています。よほど熟練した設計者と職人を雇うことが出来たのでしょう。 -
「To visit haveli,please ring here→」と扉に書かれています。
なんてこった。ここは、呼び鈴を鳴らせば見学できたかもしれません。現にくぐり戸は少し開いています。
しかし、暑さに参って、外観を撮るだけで精一杯だったので、そんな文字に気づく余裕もありませんでした。 -
これだけの装飾が出来るなら、室内の(例え一部だけだとしても)装飾は如何ばかりか。
涼しい今では入ればよかったと思うけれど、当時は灼熱の中、ガイドについて歩くだけで精一杯。ああ、本当に惜しいことをしました。 -
絵柄に西洋かぶれな部分がまるでないのも、このハヴェーリーのいいところ。インドらしい、いい雰囲気です。
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1階部分ですが、なんだかイスラム教のモスクみたいですね。
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イチオシ
きゃ~~ん、この象さん可愛いすぎ!
にっこりしているように見える目は、本当は眉で、目はその下に薄く描かれているのですが、ちょっと見には、ルンルンの象さんに見えます。
脇に洋服を着た衛士の姿がありますね。まあ、そのくらい西洋が入ってもいいか。 -
一族の人の顔なのかな?いっぱいいますね。
現在のようにマールワーリーがまったく訪れなくなる以前は、拠点をコルカタに移しても、年に一度は一族の繋がりを確認するために集っていたそうです。 -
今の子孫たちは、この人たちを知らない世代ばかりになってしまいました。
だから、郷愁もないんでしょうね。 -
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このハヴェーリーの玄関アーチは見ものですよ。
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大写し2枚続きます。鴨居の素晴らしい緻密な彫刻。その脇を飾る白い花の意匠。アーチの付け根の飾り模様。
どれをとっても秀逸です。 -
アーチの内側の模様の精密なことったら!全部手作業だなんて信じられない精巧さです。
そのまま美術館か博物館にさらわれて行ってもおかしくないです。 -
自動車とか時計とか西洋人のポスターなどの絵柄がないから西洋風ではないと言ったけれど、やはりこの全体の色合いとか、モザイク風の画面とかが、影響を受けているのかな?
伝統的なインドの壁画には見られないものねえ。 -
イチオシ
でも、それは時代の流れで、どこにでも現れてくるものだから。
時代の先端を行く豪商たちの館なら当たり前じゃないかな。 -
このハヴェーリーの発注者は、余程人が好きなんですね。家じゅう、人だらけ。
人材こそ我が財なり、くらい言いそう。 -
名残惜しいけれど、次、行きます。
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手前のハヴェーリーは、かなり壁画が劣化してしまっています。
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そんなに離れた場所に経っているわけでもないのに、劣化の度合いが違うのは、建てた年代が違うのかな?
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象さんもだいぶ薄くなっています。
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その象さんの上に描かれている肖像画は、人物の背後に風景が描き込まれた西洋絵画の方式を取り込んでいます。言うなれば、モナリザの様式ですね。
ファテープルのハヴェーリーを見る楽しみは、インド美術の中に取り入れられ始めた、西洋の要素を見つけることかもしれません。
その点では、次に訪れるマンダワのハヴェーリーに非常におもしろい、わかりやすい壁画がありました。次回で紹介します。 -
向かって右端の部分です。やはり、表面の日焼けが激しくて壁画がはっきりしませんが、
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あまり日の当たらない部分の彩色は、ずいぶんハッキリと残っていました。
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そのアーチ部分の大写しです。人物の部分は笑えるほど稚拙ですが、それを取り巻く模様の美しさは格別です。
どうして、こんなに人物と模様との技術に差があるのでしょう。
個人的な推測ですが、今までインドの人物画はどうも横向き、それも真横を向いたものしかなかったような気がするのです。しかもかなり平面的な描き方でした。
それが、西洋絵画に触れて、人物を立体的に、しかも正面に近い向きで描くように努力した結果なのではないかと思うのです。
つまり、インドの人物画の発展途上の経過を表しているのではないかと。
そうして見ると、ますますファテープルのハヴェーリーは魅力的に見えて来るのです。 -
参考までに、数日前に訪れたジョードプルのメヘランガール砦で撮ったインドの伝統的な絵です。
これしか描けなかったインドの画家が、精一杯がんばって前向きに描いたのです。その意味では、たいへん貴重な絵画なのです。 -
さて、手前のすっかり風化したハヴェーリーとは対照的に、真っ白なハヴェーリーが見えます。
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こちらは、化粧漆喰を塗った上に壁画を描いたものです。そのため、保存状態もとてもいいのでしょう。
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庇(ひさし)の下の肖像画は、先ほどと同じモナリザ風です。
また、だまし絵もあって、左右の窓の外側は、窓の絵です。段々、悪いことも覚えて来たなあ。 -
正面玄関です。今度はガッチリ鍵が閉まっています。相変わらず1階に窓はないけれど、2階の窓は大きくて数も多いです。
建築様式も変わってきたのでしょうか。 -
玄関扉の両脇の柱にロケットの形のような窪みが彫られ、そこに人物が描かれるのが普通でしたが、ここでは窪みは絵で表現されるだけで、中は真っ白です。手抜き?
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ここの壁に、ハヴェーリーの名前が2つ書かれています。既に見たものなのか、別の物なのか見当もつきません。
観光マップがあったらいいのに。位置関係もわからない、名前もわからない、なんともすっきりしない観光です。
近年、欧米人に人気が出て来ているらしいのですが。英語版でいいから、地図を作って! -
これは、巨大なハヴェーリーです。さぞかし中身も立派・・・かどうかは、わかりませんが。
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昼食のレストランに向けて車で移動中なので、車窓の写真のみです。
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余程、この地域に慣れていないのか、レストランの場所がわかりにくいのか、迷いまくってようやく到着。
手前の右側にはパーパル(パパル)と呼ばれる豆で作った薄焼きせんべいのようなものが、いっぱい乗せられています。
その向こうの白い液状のものは、パチャディと呼ばれるヨーグルトに野菜の入ったもの。ちょっと酸味が強いので、あまり食べられません。
これらは、例によって南インド料理です。 -
ファテープルの町ともお別れです。車窓から見えるハヴェーリーを少し掲載します。
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マールワーリーは、コルカタに行く時は、先ず先達の起こした会社で働き、そこから独立して自分の会社を作るという縁故雇用のようなものがありました。
地域のつながりによって、新天地でも確実に働くことが出来、独立後は、後からやって来たマールワーリーを雇う。
うまい仕組みがあったことで、なお一層、成功を収める人々が多かったのでしょう。 -
車は、マンダワに向かいます。マンダワにももちろんマールワーリーの建てたハヴェーリーがあります。
次回は、これらのハヴェーリーと日本の不思議な繋がりを紹介します。
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