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道路の両側は咲き乱れる今を時期のアジサイに色どられ、のんびり山に向かって歩いていくと、前方にがっしりした長屋門のある旧家に突き当たる。その前の道路では、集落の人々5−6人が花壇の整備をしている。これから咲く夏の草花の入れ替えをしているようだ。日曜日の朝、町内会の申し合わせで、もう何年もこのようなことを続けてきたのだろう。嘗ては相模と甲州を結ぶ山間の街道、古くは日本武尊も通ったかも知れない集落。こうした里山を歩くと、いつしか心も昔の時代に羽ばたいていく。<br /><br />がっしりとした長屋門の表札を見ると、「大神田」とある。もう何世代も、江戸時代よりも更に古くから、この地、この場所に館を構え、集落の中心になっていたに違いない。寺の参道の入り口に構え、寺を守り続けてきたに違いない。大檀家。その姓も良い。「大神田」。良きも悪しきもニュースになれば人々の脳裏に刻まれる。<br /><br />この長屋門の横の空スペースが壁新聞のような掲示板になっていて、近時のトピックスなどが掲げられている。先ず目に付いたのは去年皇太子殿下がこの山、石老山へ登山したことだ。殿下は元々山好きで、独身の頃から各地の名山を登山し、結婚してからも雅子妃と時々登られていたようだが、妃殿下が病気になってから暫く登山も途絶えていたようだ。それから又今度はお一人で登山するようになり、殿下が去年この山に登山されたことが、誇らしげに掲げられていた。<br /><br />もう何年も前、雲取山に登った時、途中の8合目にある山小屋に立ち寄った時、その古びた、貧相な小屋の入り口に殿下の登山姿の白黒の写真が誇らしげに掛けられているのを見て、ああ、山好きの殿下はこんな高い、2000mもあるような山まで登ってきたのか・・、この山小屋に立ち寄られた時の主人はどれ程感激し、誇らしく思ったことだろう・・、宮家の、しかも次なる天皇が、これ程までに山を愛し、自然を愛し、人々と打ち解けている。殿下の横に佇んだ60年配の初老のはにかんだような嬉しいような、生涯に最初で最後の栄誉を心に秘めた微笑みの写真に、自分も日本人として生まれ、実に幸せだと思った。殿下が登山したのは数年前の事だったが、その時自分が同じ登山道を歩いて登頂することに幸せを感じた。<br /><br />今日またこの山に登り、殿下が去年登った道を歩いて登る。望外の喜びだった。そもそもこの山に登ろうと考えたのは、この山の麓にある顕鏡寺の境内に白蓮さんのお墓があり、旧知のTakaさんとお参り登山しようと話し合っていたのだが、なかなか日程の調整が付かず、結局今日自分一人で来ることになったのだが、それは山登りが主目的なのか、墓参りが主目的なのか、どちらとも取れない動機からだった。<br /><br />壁新聞の掲示板には皇太子殿下の登山記事の横に、その白蓮さんにまつわる記事も掲示されている。一昨年、NHKの朝の連ドラで「花子とアン」が放映され、その中で、仲間由紀恵演ずる白蓮さんが出てきた。明治の時代を奔放に生きた女性像を仲間は抜群の演技力で生き生きと描いた。それまでの仲間を余り高く買っていなかった当方にとっては、目を瞠らせるものがあった。いや、仲間を通しての白蓮の生き方であったかも知れない。その白蓮さんが、この寺の境内に納められているという。大正天皇の従妹という高貴な身分に拘らず、どうしてこんな辺鄙な山里に近い寺に納骨されたのか・・。一度はお参りし、彼女の生きてきた時代を想起したくも思った。今その壁新聞を読み、2年前の朝の連ドラ、仲間演ずる白蓮さんを思い出していた。

顕鏡寺の白蓮さんと石老山(2)参道入り口の旧家の前で。

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2016/06/19 - 2016/06/19

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ちゃお

ちゃおさん

道路の両側は咲き乱れる今を時期のアジサイに色どられ、のんびり山に向かって歩いていくと、前方にがっしりした長屋門のある旧家に突き当たる。その前の道路では、集落の人々5−6人が花壇の整備をしている。これから咲く夏の草花の入れ替えをしているようだ。日曜日の朝、町内会の申し合わせで、もう何年もこのようなことを続けてきたのだろう。嘗ては相模と甲州を結ぶ山間の街道、古くは日本武尊も通ったかも知れない集落。こうした里山を歩くと、いつしか心も昔の時代に羽ばたいていく。

がっしりとした長屋門の表札を見ると、「大神田」とある。もう何世代も、江戸時代よりも更に古くから、この地、この場所に館を構え、集落の中心になっていたに違いない。寺の参道の入り口に構え、寺を守り続けてきたに違いない。大檀家。その姓も良い。「大神田」。良きも悪しきもニュースになれば人々の脳裏に刻まれる。

この長屋門の横の空スペースが壁新聞のような掲示板になっていて、近時のトピックスなどが掲げられている。先ず目に付いたのは去年皇太子殿下がこの山、石老山へ登山したことだ。殿下は元々山好きで、独身の頃から各地の名山を登山し、結婚してからも雅子妃と時々登られていたようだが、妃殿下が病気になってから暫く登山も途絶えていたようだ。それから又今度はお一人で登山するようになり、殿下が去年この山に登山されたことが、誇らしげに掲げられていた。

もう何年も前、雲取山に登った時、途中の8合目にある山小屋に立ち寄った時、その古びた、貧相な小屋の入り口に殿下の登山姿の白黒の写真が誇らしげに掛けられているのを見て、ああ、山好きの殿下はこんな高い、2000mもあるような山まで登ってきたのか・・、この山小屋に立ち寄られた時の主人はどれ程感激し、誇らしく思ったことだろう・・、宮家の、しかも次なる天皇が、これ程までに山を愛し、自然を愛し、人々と打ち解けている。殿下の横に佇んだ60年配の初老のはにかんだような嬉しいような、生涯に最初で最後の栄誉を心に秘めた微笑みの写真に、自分も日本人として生まれ、実に幸せだと思った。殿下が登山したのは数年前の事だったが、その時自分が同じ登山道を歩いて登頂することに幸せを感じた。

今日またこの山に登り、殿下が去年登った道を歩いて登る。望外の喜びだった。そもそもこの山に登ろうと考えたのは、この山の麓にある顕鏡寺の境内に白蓮さんのお墓があり、旧知のTakaさんとお参り登山しようと話し合っていたのだが、なかなか日程の調整が付かず、結局今日自分一人で来ることになったのだが、それは山登りが主目的なのか、墓参りが主目的なのか、どちらとも取れない動機からだった。

壁新聞の掲示板には皇太子殿下の登山記事の横に、その白蓮さんにまつわる記事も掲示されている。一昨年、NHKの朝の連ドラで「花子とアン」が放映され、その中で、仲間由紀恵演ずる白蓮さんが出てきた。明治の時代を奔放に生きた女性像を仲間は抜群の演技力で生き生きと描いた。それまでの仲間を余り高く買っていなかった当方にとっては、目を瞠らせるものがあった。いや、仲間を通しての白蓮の生き方であったかも知れない。その白蓮さんが、この寺の境内に納められているという。大正天皇の従妹という高貴な身分に拘らず、どうしてこんな辺鄙な山里に近い寺に納骨されたのか・・。一度はお参りし、彼女の生きてきた時代を想起したくも思った。今その壁新聞を読み、2年前の朝の連ドラ、仲間演ずる白蓮さんを思い出していた。

旅行の満足度
4.5
  • 正面に旧家が見える。右に進めば顕鏡寺の参道だ。

    正面に旧家が見える。右に進めば顕鏡寺の参道だ。

  • ああ、集落の人々が、花壇の手入れをしている。部落を愛しているんだ。

    ああ、集落の人々が、花壇の手入れをしている。部落を愛しているんだ。

  • 参道の入り口に立つ古めかしい墓標。

    参道の入り口に立つ古めかしい墓標。

  • 参道の入り口には由緒あり気な屋敷が建っている。

    参道の入り口には由緒あり気な屋敷が建っている。

  • ・・大神田家。長屋門の中は広い敷地になっている。何十世代もここに居を構えているんだろうか・・

    ・・大神田家。長屋門の中は広い敷地になっている。何十世代もここに居を構えているんだろうか・・

  • ああ、長屋門には壁新聞のような掲示板がある。

    ああ、長屋門には壁新聞のような掲示板がある。

  • 皇太子殿下の記事もある。・・ああ、去年殿下がこの石老山に登られたんだ!

    皇太子殿下の記事もある。・・ああ、去年殿下がこの石老山に登られたんだ!

  • NHK朝ドラで一躍有名になった蓮子さん、白蓮さんの記事も大きく載せてある。演じた仲間さんどうように美貌な女性だ。

    NHK朝ドラで一躍有名になった蓮子さん、白蓮さんの記事も大きく載せてある。演じた仲間さんどうように美貌な女性だ。

  • ああ、駆け落ちした白蓮さんの連れ合い、宮崎龍介氏の記事も出ている。地元の人だ。

    ああ、駆け落ちした白蓮さんの連れ合い、宮崎龍介氏の記事も出ている。地元の人だ。

  • 白蓮さんの墓所の案内図まで出ている。訪ねて来る人も多いのだろう・・。

    白蓮さんの墓所の案内図まで出ている。訪ねて来る人も多いのだろう・・。

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