大崎下島・豊島・下蒲刈島旅行記(ブログ) 一覧に戻る
≪海軍大平山高角砲台と大下探照灯陣地≫ <br />当旅行の最終探訪地は下蒲刈島最高峰・大平山(275m)。山頂には、昭和16年に開隊した呉海軍警備隊が40口径89式12.7cm高角砲二基4門を備え、付近の山に探照灯陣地を築造していた。記録ではこの砲台から昭和20年5月5日に188発、6月22日に15発発射されている。<br /><br />島の県道74号沿い、蒲刈中学校西の切通しのすぐ西に大平山の小さな道標が出ている。<br />大下トンネル手前で西に折れるが、そこから200mほど行った所の変形四差路から南西に上るコンクリート道が大下探照灯陣地へ向かう道なので、それを覚えておき、まずは砲台跡へと進む。<br /><br />大平山頂西下の変形四差路角に駐車場があるが、ネットではこの駐車場が発電所跡ではないかという見解もあった。が、このような砲台に近い所は敵機に攻撃され易いため、そのような施設は設置しない。当方も具体的な場所は時間的なことで未調査だが、若干離れた谷沿いに建物が現存している模様。<br /><br />駐車場から南東へ100mほど上がれば、トイレのある展望所に至る。眺望は西から南、東へと開け、瀬戸内海の多島美が広がる。<br />そのすぐ北上が砲台跡。四角い水槽のようなものを取り囲む形で、南西、南東、北東の三ヶ所に直径数メートルの砲座が配置されている。記録では訓練用砲が一門記載されているので、その一門がさきほどの駐車場の所にあったのかも知れない。<br /><br />砲座の壁面はコンクリートで、四角い砲弾置き場を内包している。<br />中心部にある水槽のようなものは二ヶ所に階段が設置され、底へと下りていることから、水面下には地下室があるものと推測される。竪穴底部から横に掘られた地下弾薬庫が眠っているのではないだろうか。<br />付随の兵舎跡その他は駐車場やテニス場と化している。<br /><br />次は大下探照灯陣地跡へと移動する。前述の変形四差路からコンクリート道路を上がり、188mピーク西の鞍部手前の路肩に駐車する。最初はモノラックレール沿いの歩道を歩き、右手の尾根の藪が浅くなり、歩き易くなればすぐ尾根に乗る。<br />尾根を斜めに横断する溝のようなものの先には、L字型の窪みがある。その先には尾根上から北下にかけて、V字の道が造成されているが、これは移動式150cm?型探照灯の台車道跡。因みに移動式探照灯は四国では、陸軍豊予要塞佐田岬地区第一砲台探照灯が知られている。<br />V字のスロープ道を東に下りて行った先に探照灯格納壕がある。豊予要塞の格納壕よりは一回り小さい。<br /><br />尾根上に引き返す。もう片方のV字の先は扇形平地となっている。ここが探照灯の定位置だろう。その先には兵舎跡が現れる。北側の一部はコンクリートになっている。<br />次はまた平坦地となっているが、もしかしたらここに空中聴音器が置かれていたのかも知れない。<br />その先にはまたまた兵舎基礎。周囲を土塁で囲っている。<br /><br />とびしま海道の海軍の戦跡は他に上蒲刈島の見張所(地元自治体は戦跡の知識がないため、マップ等に「砲台跡」と誤って表記している)等があるが、機会があればまたゆっくり訪れたい。

とびしま海道・山と龍馬と戦跡とロケ地:5日目(6・完)

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2012/12/31 - 2013/01/04

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マローズ

マローズさん

≪海軍大平山高角砲台と大下探照灯陣地≫
当旅行の最終探訪地は下蒲刈島最高峰・大平山(275m)。山頂には、昭和16年に開隊した呉海軍警備隊が40口径89式12.7cm高角砲二基4門を備え、付近の山に探照灯陣地を築造していた。記録ではこの砲台から昭和20年5月5日に188発、6月22日に15発発射されている。

島の県道74号沿い、蒲刈中学校西の切通しのすぐ西に大平山の小さな道標が出ている。
大下トンネル手前で西に折れるが、そこから200mほど行った所の変形四差路から南西に上るコンクリート道が大下探照灯陣地へ向かう道なので、それを覚えておき、まずは砲台跡へと進む。

大平山頂西下の変形四差路角に駐車場があるが、ネットではこの駐車場が発電所跡ではないかという見解もあった。が、このような砲台に近い所は敵機に攻撃され易いため、そのような施設は設置しない。当方も具体的な場所は時間的なことで未調査だが、若干離れた谷沿いに建物が現存している模様。

駐車場から南東へ100mほど上がれば、トイレのある展望所に至る。眺望は西から南、東へと開け、瀬戸内海の多島美が広がる。
そのすぐ北上が砲台跡。四角い水槽のようなものを取り囲む形で、南西、南東、北東の三ヶ所に直径数メートルの砲座が配置されている。記録では訓練用砲が一門記載されているので、その一門がさきほどの駐車場の所にあったのかも知れない。

砲座の壁面はコンクリートで、四角い砲弾置き場を内包している。
中心部にある水槽のようなものは二ヶ所に階段が設置され、底へと下りていることから、水面下には地下室があるものと推測される。竪穴底部から横に掘られた地下弾薬庫が眠っているのではないだろうか。
付随の兵舎跡その他は駐車場やテニス場と化している。

次は大下探照灯陣地跡へと移動する。前述の変形四差路からコンクリート道路を上がり、188mピーク西の鞍部手前の路肩に駐車する。最初はモノラックレール沿いの歩道を歩き、右手の尾根の藪が浅くなり、歩き易くなればすぐ尾根に乗る。
尾根を斜めに横断する溝のようなものの先には、L字型の窪みがある。その先には尾根上から北下にかけて、V字の道が造成されているが、これは移動式150cm?型探照灯の台車道跡。因みに移動式探照灯は四国では、陸軍豊予要塞佐田岬地区第一砲台探照灯が知られている。
V字のスロープ道を東に下りて行った先に探照灯格納壕がある。豊予要塞の格納壕よりは一回り小さい。

尾根上に引き返す。もう片方のV字の先は扇形平地となっている。ここが探照灯の定位置だろう。その先には兵舎跡が現れる。北側の一部はコンクリートになっている。
次はまた平坦地となっているが、もしかしたらここに空中聴音器が置かれていたのかも知れない。
その先にはまたまた兵舎基礎。周囲を土塁で囲っている。

とびしま海道の海軍の戦跡は他に上蒲刈島の見張所(地元自治体は戦跡の知識がないため、マップ等に「砲台跡」と誤って表記している)等があるが、機会があればまたゆっくり訪れたい。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
5.0
交通手段
自家用車
  • 大平山山頂部を仰ぐ

    大平山山頂部を仰ぐ

  • 大平山からの展望

    大平山からの展望

  • 大平山高角砲台

    大平山高角砲台

    大平山公園 公園・植物園

  • 地下室を擁すると思われるコンクリート竪穴壕

    地下室を擁すると思われるコンクリート竪穴壕

  • 探照灯格納壕

    探照灯格納壕

  • 百五十糎探照灯(戦時中の外地での写真=自己所蔵)

    百五十糎探照灯(戦時中の外地での写真=自己所蔵)

  • 兵舎跡

    兵舎跡

  • 赤煉瓦壁も残る

    赤煉瓦壁も残る

  • 小聴音器(当探訪地のものではない)古写真(自己所蔵)

    小聴音器(当探訪地のものではない)古写真(自己所蔵)

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