ナラボーからエアーズロックへ4,500km　　　　　　　　　　　　　　　　　　中老人隊のアドベンチャードライブ③

2016/02/19 - 2016/02/29

【写真　グレーとイースタンハイウェイと呼ばれる94号線に沿って約600?メール先の内陸部の町まで伸びる水道管】

2003年11月にパースからダーウィンまでを、オーストラリアをぐるりと一周する国道1号線と、700㌔以上もダート道が続くギブリバーロードを走り6,000㎞を越える12日間の冒険ドライブをした。その続きとして13年後の2016年2月、今度は同じパースからナラボー平原を突っ切り、エアーズロックへ至る4,500㎞を8日間で走るドライブ旅行をした。この旅行記は私たちの旅の記憶を記録したものです。

メンバーは前回と同じ男３人組だが、あの時には50歳代と40歳代であった中年隊が13年経って、60歳代と50歳代になり、中老人隊と呼ぶしかない年齢になっていた。あの旅はちょっと前のことだった気がするのに。



③はパースからノースマンまで


その①は http://4travel.jp/travelogue/11103225
その②は http://4travel.jp/travelogue/11110589
その③は http://4travel.jp/travelogue/11112233
その④は http://4travel.jp/travelogue/11113047
その⑤は http://4travel.jp/travelogue/11113417
その⑥は http://4travel.jp/travelogue/11115948
その⑦は http://4travel.jp/travelogue/11116043
その⑧は http://4travel.jp/travelogue/11117414
その⑨は http://4travel.jp/travelogue/11118190
その⑩は http://4travel.jp/travelogue/11118200

エリア エアーズロック(オーストラリア)

• 旅行の満足度: 4.0

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 30万円 - 50万円
• 交通手段: レンタカー
• 航空会社: カンタス航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

今日は約720?先のノースマンまで走る。パースを出て10分ほどは高速道を走るが、それも空港近くを過ぎるとすぐに片側2車線の94号線に入り、30分もすると渋滞というか、ノロノロ運転が始まった。シドニーやパースの市内ならともかくこんな郊外の道路で。

少し走るとすぐにその原因がわかった。100ｍほど前方に突然出現した2車線分の道を全部塞いでノロノロ走る超大型トレーラーだ。荷台には巨大なブルドーザーのような重機を積んでいる。テレビの番組でも見たことがあるがオーストラリアの鉄や石炭の採掘場では、日本では絶対に見られないような超巨大な重機が動いている。この前を行くのもたぶんその手のものだろう。


【写真　この山のようにデカイのを載せて、延々と続く後続車を無視して、約30分ほど私たちの前を塞いで走る】

この94号線をパースから600?ほど内陸部に入るとカルグリー＆ボールダーという街がある。その街の周辺はゴールドフィールドと呼ばれていて、現在でも世界最大級の露天掘りの金鉱山があるという。

1900年の初め頃その金鉱山に水を運ぶため、このパースから約600?の長さのパイプラインが作られたという。造った水道技師が、パイプラインが完成して開通した時に蛇口を開いても水が出ずに失意の自殺した。しかし彼の死後数週間後に突然蛇口から水が流れ出始めたという。パースから全長600?、標高差400ｍを流れてくるにはその位の時が要したという話だ。

94号線に沿ってパイプラインは延々と続いている。道の右になったり左になったり、坂をのぼったり下ったり、くねくねとまた一直線にどこまでも続く。
水道パイプラインは100年を経た今も現役だ、確かに水の流れの音もするし、この日差しにもかかわらずパイプは冷たい。

パースから約150?のカンダーディンという町、たぶんインディアンパシフィック鉄道の駅が昔からあったのだろう。鉄道の引き込み線らしき施設の公園になっていて、木造の大きな給水塔があり昔の西部劇にでも出てきそうな景観だ。トレーラーの売店や向側にはそれらしいパブもあり国道のちょっとしたオアシスになっている。

パースからナラボー平原を横切りシドニーまでの4,300?、オーストラリア大陸を直線的に横断するインディアンパシフィック号だ。中でもナラボー平原を走る478?の直線の長さが世界一として有名な鉄道である。グレートイースタンハイウェーと呼ばれている94号線は、パースから約370?先のサザンクロスという街まで、この鉄路とは並行して走っている。

この先もしばらくは鉄道と並行したり、交差するが、インディアンパシフィック号に出会うことはないだろう。なにしろインディアンパシフィック号はパースからシドニーを片道3泊4日で走り、週に2往復しか運行していないのだから。その代り貨物列車には何回か出会った、それも数えきれないほどの貨車を連結した長大なやつだ。国道ではロードトレインと言う、3重連、4重連の全長100ｍほどもありそうなトレーラートラックが走る国だから、貨物列車も長大な連結をしているのだろう。

道路脇のパーキングで最初の自炊で最初のランチ。このあたりでは、まだ全然用心してなかったのに蝿がワンサカと寄ってきた。それにもめげず最初のランチなのでご飯を炊いて、レトルトのカレーを温めるだけでなく、インスタントの味噌汁に、トマトまで入ったツナサラダまで作った。

このパーキングには本来椅子もベンチもあるが、蝿と戦いながら食べるので、とても座って食べる気にならず立ち食いだ。この先の大陸の内部に入れば蝿が増えてくるとは覚悟していたが、こんなまだ玄関先ような場所でこれでは、この先が心配だ。


【写真　こうした場所でコンロやバーナーで調理するのには風避けが必需品だ。これがないと火が消えないまでも、いつまで経っても煮えない。】
【群がる蝿に、蚊取り線香を炊いてみたが、効果はなし、この先何か考えないと、野外ランチが楽しめない。】

パースを出て300?ほど走った初めてのキャラバンホテルのあるGSで最初の給油。まだ数十?置きくらいには小さな町もある地域なので、ガソリン代もパース市内よりちょっとだけ高く、リッターあたり10.99ドルだが、この先ほとんど町もなく、人の住んでいない地域へ入っていくと幾らになるのだろう。

94号線はパース郊外を過ぎると片側1車線道路になっている。前方から「OVER SIZE」という看板を付けた1台の車とすれ違った。また例の車線ハミダシトラックが来るに違いない。こんどは上下の道幅を全部使い巨大な重機の部品のような物を載せたトレーラーがきた。上下線の道幅一杯ということは、こちらは道路内には居られないということだ。

つまり路肩から外に出て待機するしかない。日本でも深夜に警察パトカーの先導などで鉄道車両などの運送が行われたりするが、ここオーストラリアでは普通にまっ昼間の国道でやるようだ。この後のドライブでも何回か、それも重機のようなものだけでなく、プレハブの住宅などを載せたトレーラーで「オーバーサイズ」なる物と出会った。

オーストラリアの国道の速度制限はほとんど110?。ただ市街地の手前の数?前から、80?、60?となり、町中は40?という形で速度が落ちていく。シドニーなど大都市の近郊だけでなく、アウトバックと呼ばれるノーザンテリトリーやこのナラボー平原の国道で、何百?も無人地帯が続き、やっと現れた町で国道の両側に数百人程度しか住んでいないような小さな町(部落)でも同じだ。

私たちは前回のドライブも今回も一日700〜900?を走る必要もあり、郊外(というよりほとんど無人の原野)では130〜150?の速度で走っている。大半のオージーの車はたぶん120〜130?の速度で走っているので、彼らより少し早い。

パースを出てからずっと東に向かっていた94号線が大きく南に曲がるクールガディの町が近づいてきた時は私が運転していた。130?ほどの速度で走っていて、まだ市街地など見えないが、速度制限の表示が80?の表示が見えた時、アクセルを離し速度を下げた。その数百m先で60?の表示が出た時に、それは起こった。私の後ろに信号灯を付けた覆面パトカーが就いた。どこかの脇道に隠れていて、私の車を発見して後ろに回ったのであろう。

確かに、表示を見た時点でブレーキを踏まず、アクセルを離しただけで、自然の速度低下にまかせたので速度ダウンが遅れたのは事実だが、人ひとり歩いていない、車もまばらな道で、結局60?制限のところを73?で速度違反だ。13?オーバーで罰金は200ドル。またそれだけでなく結果は何事もなかったが、例の息を吹き込む器具を使ってアルコールの検査もさせられた。

【写真左　こんな車も人もいないガランとしたとこで13?オーバーで捕まった】
【写真右　これに捕まった、完全な覆面、どこかでマヌケな魚を待っていたのだろう。そのマヌケが私だった。】

オーストラリアでは、ビールやワインなどにはこれをどれだけ飲んだら飲酒運転になるかの目安が表示されている。私はこの時は3時間ほど前のランチでこの缶ビールを1本飲んでいた。どうやらオーストラリアでは昼間でも速度違反で止められると、飲酒の検査も行われるようだ。


私は20年ほども前に、ブリスベンからケアンズへ向けてドライブ中にも速度違反で捕まったことがある。実は昨日、このドライブ旅行をスタートするにあたり、今時は昔と違うので、取締が厳しくなっているはずなので、スピードと飲酒には気をつけて走ろうと、ＢとＣには話したばかりなのに、結局はその私が捕まってしまった。なんとも後味が悪く自己嫌悪に陥った。


【写真上、缶ビールに書かれた、グラスマークで1.0、ここまでなら飲酒ＯＫの印、大抵のアルコール飲料にはこれが書いてあるらしい】

【写真下　切られた違反切符と翌日郵便局で200ドル納付した、証明書】

今日の宿泊地ノースマンが近い、この干上がった湖を横切るともうすぐだ。干上がった湖の中に車のタイヤ痕があるので、このクーガーがAWDであることを思いだし、私たちも恐る恐る乗り入れた。時折かすかな水たまりも見えるので、雨が降れば、それなりの湖になるのであろう。今回の行程は湿地帯の多いノーザンテリトリーの北方と違い、こういう干上がった湖が多い。それも干上がった塩の湖だ。


【写真　道路際はうっすらと白く浮き出ているのは塩。この先私たちは、真っ白な塩の湖に幾つか出会うことになるが、これが最初のものだった。】

ノースマンの宿泊はキャラバンパーク。敷地の中にオートキャンプ場と、独立した簡素なコテージの組み合わせだ。私たちは事前に３ベッドのあるコテージを予約してた。部屋は2段ベッドとダブルベッドにシャワー・トイレとしっかりとしたキッチンの付いたリビングがある。人口が何千人程度の田舎町、日本なら地方の名前さえ話題にならないような田舎町のここで、160ドル(約14,000円)は安いのか、高いのか??。

キャラバンパークには私たちのような、コテージ宿泊者は少ない。大型の立派なキャンピングカーやトレーラーハウスも多い。またＳＵＶ車にキャンプ道具を積んでテントを張っての宿泊者もいる。オーストラリアはこうしたキャラバンパークやロードハウスが良く整備されている。観光地だけでなく、国道沿いのかなり小さな町にもこうした施設がある。それだけにオージーだけでなく世界中から、車でドライブしながら大陸を旅する旅行者がくる。

こうした旅行形態は、ヨーロッパやアメリカ、また私は行ったことはないが、アフリカや南米でも多くはないだろう。それは広大な国土を持つ単一の大陸でこうした施設が整備されているというだけでなく、安全面、衛生面から見てもオーストラリアならではのことである。そうした意味でキャンプやオートモービル旅行にこれほど適した国は他にはないだろう。


【写真　若い人、年寄り夫婦、いろんな人が車で旅をしている。目の前の大型キャンピングカーの70歳過ぎのご夫婦は世界中をまわっているとか。なんとこのご婦人は猫まで連れて旅をしているらしい。】

初めての自炊の夕食。野菜炒めにポテトサラダに、昨日パースのスーパーで買ったハンバーグのパテを焼いた。このコテージは簡素ながら、本格的なキッチンがついているので、手のこんだ?料理も手際よく調理できる。私の速度違反という楽しくない事件もあったが、何はともあれ夕食を囲み乾杯。明日は出発前にこの町の郵便局へ罰金の200ドルを支払に行かねばならない。


【このオーストラリアの田舎町のコテージで、日本にいるのと同じような和食の夕食が食べられる。こんな嬉しいことはない。もちろんこの食事を調理してくれる二人には感謝だ。】