2015/10/01 - 2015/10/12
1249位(同エリア3887件中)
くろへいさん
ボローニャの町を過ぎると、車窓には収穫を終えた葡萄畑が秋空の下にどこまでも続いていた。
豊潤なトスカーナの大地をイタリア国鉄の誇る高速鉄道”ITALO”は時速200?を越える速度でフィレンツェに向けて疾走している。
規則正しい間隔で植樹された葡萄畑はウェーブのように幾つもの丘陵を越え、遥か彼方のスカイラインまで続いている。
黄金色に紅葉した葡萄畑が続く大地に、抜けるような秋空とのコントラストは四季折々の景色でも特に美しく、流れ行く景色は見飽きる事が無い。
もし、気球に乗って列車の上から見下ろす事ができれば、ウインザーニュートンの水彩絵の具で描かれたような原色の風景に、ワインレッドで塗装されたITALOの車体はさぞかし艶やかに映るに違いない。
そんな事を想像しながらの列車の旅は僅か2時間で終わってしまった。
丘陵地帯の長いトンネルを抜けるとITALOは徐々に速度を緩め、定刻通りにフィレンツエ.サンタ・マリア・ノヴェッラ駅に到着した。
少し段差のあるプラットホームに降り、スーツケースを引きずりながら人混みに流されながら構外へと歩いて行く。
スマホのGoogle Mapで方向を確認し、駅前の広場の一角を目指して歩いたところ、路上に駐車している白いフォードのバンの横で僕らに向って手を振る初老の男性を見つけた。
これから1週間お世話になる、アグリツーリズモのB&Bオーナーのジョンカルロさんだ。
「大きなスーツケースを引きずって歩いて来るんで、すぐに分かったよ」
ジョンカルロさんは、少々くたびれた白いフォードのハッチバックを開けると、僕らのスーツケースを運んでくれた。
細身で小さな彼には支えきれそうにないので、ハッチバック型の荷台には僕が担いで収納した。
車の荷台は片付けているものの、農作業用のシャベルと軍手が置かれており、フロアーは土で汚れていた。
「今日は朝からキノコ狩りに行っててね」
「ポルチーニ茸ですか?」
ポルチーニ茸はこの時期トスカーナの山林で採れる秋の味覚だ。
「そう、ポルチーニ茸を採りに行ったんだが、全然ダメだった。妻のエレンに怒られるな」
そう言いながらジョンカルロさんは苦笑し、起用にハンドルを切りながらフィレンツェ市内の小路を快調に飛ばしていく。
暫くすると、車は交通量の多い大通りに抜け、左手に広葉樹の木々が茂る公園を過ぎると、急に周囲の視界が広がった。
そこはアルノ川に架かる橋の上だった。
「Have a look(ご覧なさい).」
ジョンカルロさんの指す左方向に目を向けると、幾つかの橋を隔てて川面に映るベッキオ橋と赤い屋根の町並みが一望できた。
中でもドーモ(大聖堂)の姿は特徴的で、まさにフィレンツェの憧憬を凝縮したような風景に、母も妻も感嘆の声を上げずにはいられなかった。
例えイタリアに興味が無くても、誰もが一度ならずもメディアや雑誌で見た事のある、お馴染みの風景が広がっていた。
「フィレンツェへようこそ」
ジョンカルロさんの一言で、僕らの”トスカーナの休日”が始まった。
【旅の手配】
★イタリア国鉄/ベネチア⇔フィレンツェ
以下のHPで直接予約 クレジットカード決済 E-Ticketをスマホに保存してそのまま乗車
料金は、空席状況により異なる 今回は27ユーロ/片道で購入
http://www.trenitalia.com/tcom-en
★アグリツーリズモB&B Podere Valdibotte
Expedia& Agoda等の予約サイトでは受付けてないので以下のHPから直接メールで予約
チェックインとチェックアウトの日はフィレンツェ市内まで送迎してくれるが、要事前確認
行き方
フィレンツェ中央駅横の路面電車【T1】線で終点のVilla Costanza駅まで22分(電車は4分間隔)
Villa Costanza駅からB&Bまでは山道を4.4km バス&タクシーなし
フィレンツェ中央駅付近からタクシーで25-30ユーロ 約20分
夕食が必要な場合は、予めその旨伝えておく事
フルコースディナーはワイン付きで30ユーロ
一般のホテルと異なるので、日常会話程度の英会話ができる事
http://poderevaldibotte.it/
ここまでの旅行記
イタリア旅行記 2/4フィレンツェ編 は以下をご参照下さい
http://4travel.jp/travelogue/11102393
- 旅行の満足度
- 5.0
- ホテル
- 5.0
-
ジャンカルロさんの運転するくたびれたフォードのハッチバックは、フィレンツェ近郊の小さな町を通り過ぎると左に曲がり丘陵地帯へと進みます。
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人通りの少ない農道を暫く登ると、これから1週間お世話になる”Podere Valdibotte”の標識が登場。
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分岐点から広葉樹に覆われた秋の山道を更に進みます。
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おおっ!
車の脇をヤマアラシがあああ
「こいつは、この辺では滅多に見ないけど美味いよ」
とジョンカルロさん
ホロホロ鳥や猪もよく見かけるそうです。
市内から僅か20分でトスカーナの自然の懐に入ってきました。 -
B&B"Podere Valdibotte"に到着しました。
1階がリビング&ダイニング、及びキッチンにホストお二人の部屋。
2階の3部屋がゲストルームとなってますが、滞在中他のゲストは無し。
2階には共同のキッチンやリビングもありますが、全てくろへいファミリーが占拠?
お陰様で、素晴しく快適に泊まる事ができました。 -
敷地の中にある馬小屋
乗馬もできるそうですが、2匹の内の1頭の気性が荒れ過ぎでガチで怖い。
「反抗期?」 -
B&Bの敷地内にある農園
季節毎に様々な野菜や果物が採れます。
此方で取れた無農薬野菜が、そのまま食卓にのります。 -
玄関からは、絵に描いたようなトスカーナの景色が広がります。
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此処が裏口
裏口の玄関から2階の客室に昇る階段があるので、いつも此方のお勝手を利用させて頂きました。
このテーブルとダイニングのテーブルには、いつも農園で採れたトマトや葡萄、果物が盛られていて、好きなように摘まんで味見ができます。 -
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採りきれないほどの葡萄を収穫しており、傷んだ葡萄は馬のご飯になります。
そのまま食べても美味しいのですが、お菓子やワインなどに大活躍。
全てが秋の恵みに溢れています。 -
自慢の葡萄畑を探検します。
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既にワイン用に使う葡萄は収穫したそうです。
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とはいえ、収穫を逃れた葡萄も多く、こちらの殆どは"馬のご飯"になるとの事。無農薬なので、そのまま味見できます。
毎朝、葡萄を失敬しながらの散歩は景色も味も格別。
アグリツーリズムならではの贅沢なお散歩です。 -
今回の旅の目的のひとつは、エレンさんの作るトスカーナ料理
オーストリア人のエレンさんは近所でも有名な料理の名人。
地元のトスカーナ料理は勿論、学生時代を過したポローニャ地方の料理も得意。
観光で帰宅が遅くなる日を除き、できるだけエレンさんの手料理を頂きました。
勿論、キッチンに入らせて頂き、野菜を剥いたり、炒めたりとお手伝いをさせて頂きながら、名人のレシピもGet. -
台所の窓からオリーブ畑が見えます。
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これは、3日目のディナーだったかな?
ホロホロ鳥に香菜を詰めてオーブンで焼きました。
手の込んだ料理もあれば、名物のキアーナ牛のステーキの味付けは"塩"のみ
エレンさん曰く
「キアーナ牛は最高の牛肉よ。何も手を加える必要は無いの。塩だけで充分」
とはいえ、フライパンの温度や焼き具合に細心の注意が必要。
熱したフライパンに水滴を2-3滴垂らし、ジューッという音で最適な温度を知ります。
その時のエレンさんの顔は真剣そのもの! -
スパゲッティージェノベーゼ
DOCのパルミジャーノチーズをふんだんに使い、庭先で摘んだばかりのバジリコで作ったジェノベーゼが素晴しい。
パスタも自家製の生麵です。 -
パプリカやポルチーニ茸、ズッキーニの自家製オリーブ漬
パプリカに詰めたアンチョビ以外は全部自給自足
ワインの肴に最高の盛り合わせです -
エレンさん曰く
「とにかく、何でもオリーブに漬けるだけ」
シンプルだけど、極上の素材だからこそ美味しい
こちらは、1年前に漬けた"肴"です。
丁度食べ頃との事 -
滞在中、朝食前にB&B周辺を20-30分かけて散歩するのが日課でした。
彼は"デディー"1.5歳の少年?
玄関を出た瞬間、デディーはすぐに先頭きって走り出します。
「こっちだ!ワンワン」
お散歩の主導権はいつもデディーにあります。
散歩に限らず、外に出ると必ず側から離れません。 -
こちらは夕食準備中のデディー
台所から美味そうな匂いが…
「俺も入れてくれ〜」
凄い勢いで扉を開けようとするデディー
その辺で一日中遊んだせいで、ドロドロのモップみたいになってます。
然しながらジョンカルロさんがシャンプーしないと中に入れてもらえません。
皆と一緒に居たいけど、シャンプーは大嫌いなデディー -
オリーブ畑にて
収穫まで、あと3-4週間との事 -
散歩から帰ると、ダイニングに朝食が用意されています。
挽きたてのエスプレッソと絞りたてのジュース
チーズにサラミ、ハム、ヨーグルト -
これは菜園で採れた果物です。
果物と自家製ケーキはいつもテーブルの上に置いてあり、好きな時に食べる事ができます。
ゆいつの不満は、四六時中つまんでいるので、あまりお腹が好かない事。 -
この日は、エレンさんと一緒に車で山を降りて町の日曜市場で買物
近所の農家から採れたての野菜や果物、チーズが売られています。 -
ワゴン車を改造した移動式チーズ屋さん
まるで豆腐のように新鮮なバッファローモッツアレラに涎が… -
昼食はくろへいファミリーが作りました。
スーパーで買ったヒラメを煮付けたり、海老や貝を使った"ちらし寿司"
懐石料理を得意とする母の料理ですが…
繊細な京料理は味が薄すぎて評判はイマイチの様子。
葡萄畑を眺めながらの優雅な食事です。 -
ホストご夫妻には、イマイチの日本料理でしたが、海鮮をふんだんに使った料理は、猫ちゃんには大好評。
ヒラメの煮付けが少し残った皿を入念に舐めてます -
ご満足な様子
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-
今回は、フィレンツェ中心部から20分離れたB&Bを起点に滞在しました。
此処には7泊8日滞在しましたが、居心地が良いので3日間は何もしないで田舎の生活を満喫しました。
市内観光には不便ですが、部屋は清潔で広々。
宿泊代も市内のホテルに比べれば随分安価です。
何より、ホストのお二人のホスピタリティーは素晴しく、毎晩ワインを飲みながらのお喋りは今回の旅の最高の思い出になりました。
シティーホテルでは得がたい経験となりました。
旅の続きは以下をご参照下さい。
イタリア旅行4/4 トスカーナ州デイトリップ編
http://4travel.jp/travelogue/11109573
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