2007/05/04 - 2007/05/10
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motogenさん
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バライの朝を迎えます。
6時です。
ゆっくりと風呂に浸かって気持を落ち着かせました。
昨日はどうかしていたのだ。
今日はきっと良いことが待っているでしょう。
自信はないけど、そうに決まっています。
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フロントまで降りていくとさっそく声がかかりました。
「こっち、こっち、コーヒー飲もう。」
色黒でやせている男・・・
どこかキツネに似ているこの顔は・・どこかで・・?
「ただで飲めるよ。 食事済んだか?
食べるものもあるよ。 フリー、フリー!」
「・・・・・?」
「コーヒー飲んだら、案内するよ。」
そう言えば夕べ、「明日は島巡り」と冗談半分に口約束したオジェの運転者だと思い出しました。
まだ忘れないでつきまとっているのだと憂鬱になります。 -
半信半疑でホテルの奥まで付いていくとレストランがあって、焼き飯と焼きそば、半熟卵、コーヒー、ジュースのバイキングとなっています。
このホテル、朝食付きだったのかと嬉しくなります。
この男が教えてくれなきゃ、外に食べに出たはずです。
案内してくれたこの男、まんざら悪い奴ではなさそうだ。 -
話を聞くと、この男も同じ階の部屋に住んでいるようです。
オジェのあんちゃんがホテル住まい?
信じられません。
シンガポール人に可愛がられ、そのボスが借り切っている部屋を、留守の間預かっているんだと言います。
私のつたない英語力での理解ですが、間違いではないでしょう。 -
ホテルのレストランの外は広いテラスで、昨夜到着したフェリー乗り場が目の前に見えます。
潮の香りを運んでくる風が心地よく、昨夜のおどろおどろしい雰囲気は微塵もありません。 -
オジェのおっさんの名前はGです。
Gが自分の部屋を見せてくれました。
何と窓から波止場が見える、私の部屋よりも上等な部屋です。
Gの英語はなまりのあって変ですが、私はさらに変な英語ですので、話がなかなか通じません。
しかし流暢な英語を話す人よりは、話が通じます。
何しろ単語をでたらめに並べるだけですから。
オジェでの島巡りは午後にして、午前中は町の様子を調べに歩いてみることにしました。 -
玄関を出てホテルを見上げると、外づらはなかなか立派なホテルです。
しかしWifiもなければ有線ランもありません。 -
この当時、私は株取引の初心者で、相場の動向が気になって仕方ありせんでした。
最近の株価は急落しています。
早くネット環境を見つけて対処しなくては・・・
ホテルの近辺を歩き回っても、ネットのできる店は陰も形もありません。
この島にはネット接続のインフラはないのか? -
スーパーもなければコンビニもなく、そもそも食堂をはじめとする商業施設が少ないのです。
商業施設がない代わりに、何もしないでボサッとしている男達が目立ちます。
仕事がなくて、目だけをギョロギョロさせています。
そんな男に道をたずねると、「知ってる、知ってる」と案内されますが、全く違った場所に連れて行かれるだけで、チップを要求されてしまいます。
油断も隙もありません。
自力で探すしか方法はないようです。 -
この島の地図を探そうと思いますが、本屋がありません。
軒先に古い雑誌が飾ってある雑貨屋はありますが、地図などありません。
島に来る前にグーグルマップで調べましたが、タンジュンバライの町中の道路はありましたが、郊外は空白です。
グーグルにも見捨てられた辺境の島なのです。
八方塞がりの末に通りかかったオジェに聞くと、コンピュータの店を知っていると言います。
そのオジェに頼ることにしました。
ところがオジェは、町中のあっちこっちで止まり、同じ道を行ったり来たりで、全く頼りになりません。
出会った人に場所を聞いて、やっと1軒のそれらしき店にたどり着きました。
オジェは走り去ってしまいます。
ドアを開けると子どもが遊んでいるゲーム屋でした。
もちろんここではインターネットはできません。 -
捜査はあきらめてホテルに戻り、フロント譲にインターネットができるところを尋ねると、店の名前と住所をメモしてくました。
メモをオジェに見せれば、連れて行ってくれるようです。
さすが教養のあるホテルの従業員です。 -
店はすぐに見つかりました。
PCが6台ほど並ぶ店内は、客が1〜2名座っているくらいの小さくて静かな店でした。 -
店主はPCの設定にも堪能で、接続のためのIPアドレスも暗記していました。
店のPCにつながっているランケーブルを抜いて、ノートPCにつなげてくれます。
2007年、まだスマホやタブレットの時代ではありません。
私はこんなノートパソコンをかかえて旅行に出かけたのです。
店番をしている女性も気さくな人で、私の拙い英語にも親切に付き合ってくれ、この店は数少ない私の憩いの場所となりました。
料金も1時間5千ルピア(40円)と良心的でした。 -
どうにかこうにかPCは作動しましたが、遅いこと遅いこと。
途中で接続が切れてしまうこともあります。
日本では2〜3分で終わる閲覧が、30分もかかってしまいます。
この島では、ADSLとかそれに類したものではなく、一昔前の電話線によるアナログ接続だったのか?
持ち株は急落していて、私はしょぼくれてしまいます。 -
意気消沈しながら市場を見つけ、食料を仕入れました。
サラッという果物を買ってその場で口に入れてみると、顔がくしゃくしゃになるほど酸っぱくて、食べれるものではありません。
この島に来て、いいことが一つあると、がっかりすることが3つ4つあります。
旅の初心者には、じわじわとしたダメージが蓄積されます。 -
食べれそうなものを仕入れて来ました。
そんなに食欲をそそるものではありませんが、生きるためです。
頑張って食べます。
飢餓で苦しんでいる人のことを思えばご馳走です。 -
「さあ、行こうか!」
オジェのGが待っていました。
しつこい男です。
3時間30,000ルピア(250円)で合意して、町の周辺を走ってみることにしました。 -
この町にはレンタルバイクもレンタル自転車もありません。
観光客向きのものはないのです。
シンガポール人やマレーシア人がバカンスでやっては来るものの、ビーチやゴルフや名所巡りを楽しむ、俗に言う観光客ではないのです。
気の向くまま、思いつきのまま、自分の力で走らないと面白くありませんが、レンタルバイクも地図もないとなると、オジェに頼るしかありません。 -
郊外に出ると、とたんに人やバイクの姿はなくなり、我らが道路となりました。
地図がないのでどこを走っているのか分かりません。
ゆっくりゆっくり走っていきます。
道路は予想外に整備されていて、快適なバイクの旅となります。 -
ゆるやかな起伏を登り下りしながら走り続けて丘の上にやって来ました。
丘の下に海が見えます。
バイクから降りて海を眺めることにしました。
ここには「へイ!」「へイ!」と甲高い声をあげるオジェの一団や、つきまとってくる町のにいちゃんがいません。
それだけでも心休まります。
海の向こうに見えるの島は、対岸のクンドール島なのだろうか? -
カリムン島の人口は12万で、島民は農業や漁業中心の生活をしているとガイドブックには書かれています。
書かれているのはそれだけですが、どこに田畑や漁船があるんでしょうか?
見たところ、そんなものはどこにもありません。
それどころか、汗水たらして働いている人がいません。
働く人は出稼ぎに島から出て行く? -
太陽からの日差しは強いのですが、海からの風が気持ちよく、日陰に入れば暑苦しさは少しも感じません。
この景色を眺めていると町に戻る気がなくなってきます。 -
しかしいつまでもここで休んでいる訳にもいかず、Gにうながされて先に進みます。
来る前に想像していた島とは、ずいぶん様子が違っています。
地図もない島は、舗装などないでこぼこだらけの細い道かと思っていたのに、しっかり舗装されています。
住民は草ぶきのあばら屋に住んでいるのかと思っていたのに、こんなしっかりした家に住んでいます。 -
見かけはタイよりも裕福です。
ごちゃごちゃしていません。
裸の子供もいません。
日本の田舎を走っているようで、旅情を感じません。 -
メインロードから外れて、寂れたゴーストタウンのような通りに入っていきました。
並んでいるのはコンクリの建物ですが、西部劇の町と雰囲気が似ています。
「1年前は、ここも賑わっていたんだがね・・・」とGが言います。
「シンガポール人やマレーシア人が夜になるとやって来て、酒と女で遊ぶ町だったんだ・・・」とも言います。
それが戒律を重んじるムスリムにつぶされたのだそうです。
(言語力のない私の解釈で、半分は推量が入っています。) -
静まりかえった家屋を覗いてみましたが、ドアや窓は閉まったままで、生活の臭いが漂ってきません。
人の姿はないけどバイクは停めてあります。
ということは、人は住んでいるが、昼間は留守にしている? -
表の道を時々バイクが通り過ぎていきます。
そのエンジンの音を遠ざかれば、再びシーンと静まり返り、不気味な廃墟の町に戻ります。
マフィアなどが出てくるんではないか?
急に怖くなって、Gに催促して先に進みました。 -
走っていても特別興味をひくものはありません。
ワットも市場もありません。
標識や看板はアルファベッドです。
-
脇道にそれて住宅街に入りました。
きれいな建物が並び、との家にもバイクが停めてあります。
「ここはフィラだ。」とGが言います。
フィラとは何か?
この住宅街の固有名詞なのか、それともこのような集落をフィラと言うのか?
危険はなさそうです。 -
「さっきのタウンと同じだ。」とも言います。
ここは派手に商売をしていなかったので、今はムスリム団から免れているらしいとも言います。
(多分そういう意味の説明でした。)
Gには知り合いの家があって、その家の入り口で話し込んでしまいました。
その間、私は一人でぶらついてみます。 -
ドアが開け放してある家屋もありますが、どの家もひっそりしています。
私に警戒しているのでしょうか。
女性の姿が多いように見えますが、暗い表情をしています。 -
ちょっと賑やかな一角がありました。
車も止まっています。
軒下には人が集まっています。 -
シンガポール人でしょうか、マレーシア人でしょうか。
軒下のテーブルで男達が酒を飲んでいました。
仲間同士でだべっている言葉は現地語ではなく、英語のように聞こえます。
女性を同席させている男もいますが、男はいやに威張っています。
「ハロー」と遠慮がちに挨拶すると、うさんくさそうに睨まれ、カメラを向けるなと手をふられてしまいました。 -
そんな一角が所々にありましたが、総じて慎ましく営業されているようでした。
酒や遊興禁止のイスラム社会の中で、ここは密かな穴場なのでしょう。
タイの南部、マレーシアとの国境付近の町は、マレーシア人たちの遊興の町、買物の町となっています。
この島もそれと同類のなかも知れません。 -
好奇心のみで生きているような軽薄な私は、張り切って取材したいのですが、いつもと勝手が違って手がかりが見つかりません。
無邪気に突っ込んでいけば、わが身に危険が訪れそうです。
バライの町に帰ることにしました。 -
どこをどう走っているのかはさっぱりです。
持っている地図はこんな簡単なものだけです。
この地図をGに見せ、今はどこに居るのか聞いても、Gは首をかしげるだけ。
道路網が簡略過ぎて分からないのか、地図の見方を知らないのか? -
バライの町に帰って来ました。
フェリー乗り場の近くまで足を伸ばしてみると、ニヤニヤした男に呼び止められました。
「どこから来たの?」
「日本・・」
「パスポートは?」
「えっ、ホテルだよ・・」
「ホテルはどこ?」
「ホリデー・カリムン・・・」
連れて行かれたのは小さな派出所で、男はポリスでした。
ポリスは3人いて、どうでもいいようなことを聞きながら、金をせびる雰囲気を漂わせてきます。
拳銃もチラつかせます。
言葉がわからないふりをしてとぼけていると、しばらくして開放してくれましたが、ポリスまでもが乞食のまねをするのかと、この島に対する警戒感は増すばかりです。 -
「マフィアよりも手に負えない!」
「公権力を持った暴力団だ!」
そんなネシアポリスの評判は聞いていましたが、観光客に拳銃を見せびらかして脅すとは思ってもみませんでした。
うかうかと外出もできません。 -
夜になると、またイスラムのお経が聞こえてきました。
島の人々が集まってきます。
夜は何があるかわからない。
屋台で食料を仕入れて来ると、静かに食事をして読書しながら寝ることにしました。
不気味なお経が聞こえてきます。
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この旅行記へのコメント (4)
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- trat baldさん 2016/02/02 08:48:35
- あっはっは(^o^)金の匂いをさせちゃあダメだって。
- >僕はGが使える男の様な気がする、貧乏の鍛え方が違うから金が湧いてくる可能性に彼らは賭けているからネ!お巡り=公的ヤクザは常識でしょう。
>でもmotogenさん、写真の道路を見てキレイな舗装と感じるなら既に現地病に罹っていますよ(^o^)
>僕の考えるmotogenさんの弱点は英語が使える事だと思います、会話集等を駆使して英語と日本語を一切使わない事が節約&安全につながると僕の拙い経験が物語ります。
>学校教育を受けた我々は地図が読めますが現地人は無理!しかも軍隊の無いわが国は天気と地図を世界中に広報していますから、、、、
>モスリームはほぼ演歌に等しいコーランは巨大スピーカーで朝夕に流してくれますが穏健派の連中は「隠れて」酒と女を楽しみます、流石に四足は食べませんが、、、、
原理主義なら浮気は死刑の対象ですよ、目には目歯には歯ですから(^o^)
- motogenさん からの返信 2016/02/02 14:29:15
- RE: あっはっは(^o^)金の匂いをさせちゃあダメだって。
- ありがとうございます。
この島がイスラムの島だということさえ知らずに出掛けてしまいました。
当時は、タイのコ・ランタやコ・スコンの農村漁村を想像していたかと思います。
きれいな海に、自然豊かな森林、素朴な住民・・・
そのギャップにまいりました。
最近のインドネシアのムスリム、どうなっているのでしょう?
ISの活動と共に過激になっている集団もいるとも聞いています。
Halonさんの「メダンの旅」を読んで、メダンに行きたいと思うようになっていたのですが(メダンから入国すると入国税はないそうです)、今は非常に危険かと思い直しています。
中部国際空港からタイ航空の深夜のバンコク行きが出ていたのは知りませんでした。
これだと早朝にバンコクに着き、その日にバスで地方に行けますね。
航空代金がそんなに高くないならば、利用する価値があると思います。
dangdutさんやアリヤンさんの「シーパードン」を読んで、タイからパクセー方面に行きたくなっています。
-
- dangdutさん 2016/02/01 12:21:40
- インドネシアらしい。
- motogenさん こんにちは。
久しぶりにインドネシア的雰囲気を味わえました。
あの、胡散臭さ、今はどうなんですかね。
私も、プラウ・ビンタンのタンジュン・ピナンから
パンタイ・トリコラにタクシーに乗った時、
後から料金を釣り上げたので、「イスラム教徒は
そんな事をするのか」てな事をしつこく言ったら、
逆切れされて、危ない目にあいました。
「自分が悪くても、あまり追及されるのは、ダメ」
なようです。
Dangdut
- motogenさん からの返信 2016/02/02 14:04:11
- RE: インドネシアらしい。
- コメントありがとうございます。
行く前は、こんな雰囲気のインドネシアを体験しようと思っていたのですが、実際に目の前に覆いかぶさってくると、理性も耐性も木っ端微塵になってしまいました。
カリムンは初心者には荷が重かったかと・・
でも貴重な体験になり、その後の旅行に役立ちました。
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