京劇だけが目的の北京 4日目

2015/07/23 - 2015/07/28

旅の4日目は午後と夜に芝居を観た。

午後：評劇『秦香蓮』
夜　：新作京劇『李逵與宋江』

※タイトルは「京劇だけが〜」だけど、この旅行記のみ評劇が含まれる。

エリア 北京(中国)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道 徒歩

旅の4日目も6時に起床。

台湾から持ってきていたベビーカステラみたいなのの賞味期限がこの日であったため、朝食はこれ。そして、顔が孫悟空であったときにローソンで買ったバナナ（サルがバナナを買ったことに気付いたのは、まさにバナナを食べようとしたとき。店員さん、突っ込んでくれればよかったのに）。

朝食後、部屋でCCTV戯曲台を観ながら部屋でゆっくりし昼食へ。
宮保鶏丁のセット（28元）

観るかどうか迷っていた評劇を観に行くことにし、昼前にホテルを出発。

向かうは北京南駅付近にある中国評劇大劇院。

開演45分ほど前にチケットを購入。

建物自体が古いから想像はしていたけど、内部もやはり老朽化している。

2階席

2階の両端部分は前方にせり出していて、2人がけの座席になっている。

知らない人とだと嫌だな......。

古い劇場だけど、北京京劇院や北方崑曲院など、一流劇団の公演がある。

自分が座ったのは2列目。

座席は普通の椅子にカバーをかけたもの。
一応、後方席とは差別化を図っている様子。

当然のことながら舞台に近い。

この日演じられたのは、他の中国戯曲でも演じられることが多い『秦香蓮』。

主役は国家一級俳優の劉慧欣。中国戯劇梅花賞を受賞している。

包丞は孫路陽。

観ながら京劇との違いを考えていた。

一番大きい差異は旦（女性の役）の発声法。

それから、宦官や兵士などの役のメイクが違った。
画像のは宦官。地の顔がほとんどわかり、京劇との差異を感じる。

こっち見なくていいから。芝居に集中して！

王朝の臉譜は京劇と変わらないように感じるけど......

馬漢は全然違う。

評劇では、関羽のように真っ赤に塗られている。

秦香蓮の息子である英哥ははっきりと元の顔がわかる。

どう見ても母親より老けている感じがする。

子役は身長を基準にして選ばれるのが一般的。

カーテンコール

『秦香蓮』はよく知られる演目で、評劇の代表作でもある。観に行ってよかった。

20分ほどかけて徒歩で北京南駅へ戻る。

大きな駅でマクドナルドが2軒あった。
他の飲食店も充実している。

来た時は出口を探すのに苦労した。

そのまま夜の観劇会場である梅蘭芳大劇院へ。

舞台では最終チェックがなされていた。

開演を待つ役者とスタッフ

メイク中

開演20分前になり、エントランスへ。

以前はなかったお土産屋。

これも以前はなかったコーヒーショップ。

今日の芝居は、新作の『李逵與宋江』。

水滸伝が好きな人には堪らない作品。

中央席だけど6列目。

台湾でネットチェックした時はもっと前方席があったんだけどな......。

楽隊は他の芝居のように右袖にいるんだけど、
蚊帳のようなものに囲われていた。
こういうの、初めて見た。

主役の宋江は劉壘。

まだ20代だけど、高い実力を有している。

メイク前後の変わり方が大きいタイプ。

李逵は前半と後半で役者が異なる。

前半は胡濱。何度も来台している若手の役者。

いい芝居するよ。

書画で卓越した能力を有したこと（及び子供が70人もいたこと）で有名な徽宗。

国家一級俳優である馬翔飛が演じた。

親近感の持てる役者。自分と同様、足のサイズが小さい。

※徽宗の書が台北国立故宮博物院で展示されている。細い字だけど力強いタッチ。

中国国家京劇院きっての武生、王好強。いい感じの青年。

この日の芝居には、見事な武功を披露する場面がなくて残念。

王のように、京劇俳優には礼儀正しく謙虚な人が多い。

『智取威虎山』で常宝を演じた朱紅は方銀花で登場。

美しい顔立ちをしているよね。

後半の李逵は劉魁魁。梨圓（戯曲役者を代々多く出す家庭）の出身。

歌舞伎の世界でも梨園という言葉が使われるけど、もともとは京劇で使われる表現。

劉も非常に繊細な芝居をしていた。

その繊細さが非常に強く現れた場面。

宋江は皇帝から毒薬を盛られた酒を賜り、それを飲み、さらに李逵にも飲ませた。

毒が入っていることを承知で酒をあおり、死んでも宋江の弟分でいたいと言う李逵。

なんともやるせない最後。

だけど、ぜひもう一度観てみたい芝居だ。

カーテンコール

観劇後、日中とは打って変わって、余裕で座れる地下鉄に乗車しホテルへ戻り、

今日観た2つの芝居の内容を思い出しながら眠りに就いた。