2015/05/02 - 2015/05/09
45位(同エリア400件中)
国電さん
■はじめに
今回の鐡旅は、ドイツである。今年のゴールデンウィークは有給を挟むと9連休も可能であるため、特典航空券の予約開始日(復路の330日前)にフランクフルトまでの往復を押さえ、詳細な旅程は出発の2か月くらい前になってからあれこれ考えながら固めた。
最初は、「9日間もあれば、ドイツ以外も回れるだろう。ポーランド辺りも行ってみようか」と思っていたが、旅程を詰めていくうちに「逆に足りない」となってしまい、今回はドイツだけを周遊することにした。幸い、ドイツレイルパスがキャンペーン価格で発売中である。なお、レイルパスの特典で一部のドイツ国外にも行けるため、ザルツブルク(オーストリア)だけは行ってみることにした。
全部の路線など当然乗ることはできないため、ガイドブックでのおすすめ路線や、トーマスクック時刻表に掲載されている「景勝路線」の乗車を目指すことにした。出来上がった旅程は、いつもの悪い癖で、ほぼ毎日「6時台の列車で出発、19時台にホテルへ」という塩梅である。
乗りっぱなしではさすがに食傷気味になるため、観光都市では1〜2時間程度の途中下車をし、また1日に1か所程度は観光施設を訪問することにしている(ただし、ほとんどは「鉄道博物館」系統であるが…)。
【当初の旅程】
初日:成田からフランクフルトへ移動。(フランクフルト泊)
2日目:「古城街道」に沿う路線に乗車してから、ハイルブロン散策。シュツットガルトへ移動して「メルセデスベンツ博物館」を訪問。シュツットガルト市内観光後、景勝路線を経由してコンスタンツへ。(コンスタンツ泊)
3日目:シュバルツバルトの森を抜ける路線(各ガイドブック推奨)に乗車し、フライブルクを散策してから、ゼーブルークへの盲腸線に乗車。ドナウエッシンゲンやウルムで途中下車しながら、ミュンヘンへ向かう。(ミュンヘン泊)
4日目:午前中はザルツブルクへ往復・観光。午後は「ロマンチック街道」に沿ってネルトリンゲンへ移動し、「バイエルン鉄道博物館」へ。市内散策後にミュンヘンへ戻り、ハンブルク行の夜行列車(CNT)に乗車。(車中泊)
5日目:ハンブルク散策後バート・ドーベランまで移動し、モリー鉄道(石畳の上を走るSL)に往復乗車。その後、ベルリンへ移動。(ベルリン泊)
6日目:ドレスデンへ移動し、市内観光+「ドレスデン交通博物館」訪問。ケムニッツに移動して「ケムニッツ鉄道博物館」を訪問してから、景勝路線を経由しつつニュルンベルクへ移動。(ニュルンベルク泊)。
7日目:午前中は市内散策+「DB博物館(ニュルンベルク交通博物館)」訪問。11時の列車で一気にエッセンまで向かい、「ボーフム鉄道博物館」訪問。ライン川の景勝路線で移動し、ボンへ。(ボン泊)
8日目:コブレンツまで南下し、そこからモーゼル川沿いの路線(各ガイドブック推奨)に乗車してトリーアまで往復。続いてライン川沿い(これまた推奨路線)に移動してマインツまで行き、徒歩でライン川対岸に渡って私鉄路線で川の反対側沿いにコブレンツまで戻る。再度ライン川沿いに移動して今度はフランクフルト市内まで移動し、空港から空路成田へ。(機内泊)
最終日:昼過ぎ、成田着。
あと心配なのは、ドイツといえば有名な「スト」である。こればかりは運に任せるしかないが、ニュースを見ていたところ4月の後半にどうやらやってしまったようである。そうそう続けてやることはないであろうから、この点だけは一安心であった(と、出発前は思っていた)。
註・ドイツの列車区分(旅行記内の表示は以下に基づく。以下の括弧内は実質上のイメージ)
EC:Euro City(国際特急)
ICE:Inter City Express(都市間特急)
IC:Inter City(特急)
IRE:Inter Regio Express(都市間快速)
RE:Regional Express(快速)
RB:Regional Bahn(普通)
Sバーン:S-Bahn(近郊列車)
@ミュンヘン駅にて
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
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■2015.5.2
成田から飛び立ち、空路フランクフルトへ。入国審査を済ませてから、DB(ドイツ国鉄)の窓口に行ってレイルパスのヴァリデーションを済ませた。今日はこれから市内まで移動するだけであるが、先述の通りレイルパスがキャンペーン販売中であり10日間用(ファーストクラス)を買っていたため、本日から使用を開始する。
Sバーン乗り場へ行き、市内行きの列車に乗り込んだ。フランクフルト空港は市内から約10分程度という便利な場所にあるが(イメージで言えば福岡空港のようなところ)、周囲は緑も多く、都会という感じはしない。
@駅舎周辺も瀟洒 -
中央駅にほど近いビジネスホテルに荷を置いて、スーパーの食材(サラミ等)と商店で買ったビールを平らげてから、就寝。
■2015.5.3
5時半にはホテルを出て、中央駅へと向かった(時差の関係で3時過ぎから起きているため、あまり眠くはない)。どうやら雨が降ったようであり、足元は濡れている。
@荘厳な中央駅舎 -
さて、いよいよドイツでの鐡旅の開始であるが、最初に乗るべきは6時06分発のハイデルベルク行のRBである。編成はセカンドクラスのみの6両(客車)で、機関車は片方だけで反対側は運転席のみがあり、進む方向によっては機関車が押していく形を取るという、欧州にはありがちなものである。
せっかくファーストクラス用のレイルパスを買っているのだから、ICのファーストクラスなどを乗り回したいところであるが、今日の午前中はローカルな景勝路線を乗ることにしているため、オンボロのRBが旅の嚆矢を担うこととなった。
@機関車側(後ろ側) -
定刻を過ぎてもびくともせず、6時14分になってやっと動き出した。「オンボロ」などと書いたが、路盤自体は高速走行用に改良されているため、安定した走りで快速していった。雨がちらついてきたが、鐡旅は雨でもあまり大きな影響はない。
7時40分にハイデルベルクに着いたが、天候も影響して結構寒い。駅舎内で適当に時間を潰してから、次に乗るべきSバーンが入線してきたホームへと向かった。今度は新しい車両(電車)であり、これに乗ってモースバッハ・ネッカーエルツまで行くこととなる。
@新型車両 -
ファーストクラスはあるものの、車両の一部を区切って「1」という数字を表示しただけである。ドイツに限らないが(フランスでも経験した)、同じファーストクラスでも「いかにも」という立派な車両と「セカンドと大差ない」というのが混在している。
定刻の7時55分、何の音もなく(ベルはもちろん、車掌の笛も汽笛もなく)動き出した。Sバーンだけあって、動き出してはすぐに次の駅に停まる感じである。
路盤は川沿いにあり、高台には古城があったりして、なるほどクック時刻表で景勝路線に指定されているだけはある。ただし雨模様ということもあり、きれいな写真を収めることはできなかった。
@これが限界 -
8時47分、モースバッハ・ネッカーエルツに到着し、目の前に停まっていたハイルブロン行のSバーンに乗り換えた。
さて、DBのサイトで事前に時刻を調べた際に、ハイルブロンに行くためには同駅直前のネッカーズルムでRBに乗り換えるような検索結果が出ていたのだが、この列車自体がハイルブロン行である。「各駅停車が快速に抜かれる」というのは日本でもよくあることだが、ネッカーズルムはハイルブロンの直前であり、それほど時刻差があるとは思えない。よって、試しにこの列車に乗り続けてハイルブロンまで行ってみることにした(この答えは、後になってすぐにわかった)。
@今度のSバーンは色違い -
車両に乗り込もうとすると、かなりの段差があって驚いた(上記の写真でもわかるかもしれない)。欧州のホームは低いところが多いため、乗車するために2〜3段上がる必要がまれにあるが、今回は逆に車内の方が低かったのである(実はこれが答えの伏線であった)。
定刻に出発した列車は快走し続けたが、ネッカーズルムを過ぎてしばらくすると、工場の敷地内のようなところに迷い込むようにして入っていった。「なるほど、違う路線を経由するから時間がかかるのか」と思っていると、路盤は市街地に向かって行き、ついには路面電車となってしまった。
@路盤が分かれていく様子(この頃に異変に気付いた) -
要するに、RBは一般の路盤でハイルブロンへ直通するが、Sバーンは途中から路面電車となるのである(わかりやすい譬えで言えば、富山ライトレールのようなものである)。
路面電車の資料を持ってきていないため、訳の分からない終着駅まで連れていかれたのでは困るが、ふと外を見るとガイドブックに載っているホテルの名前が見えた。これで現在地が把握できたため、「おそらく駅方面に行くだろう」ということが推定できた。
元から市庁舎付近まで散策する予定であったため、その最寄駅で路面電車から下車した。その場の思い付きで旅程を変更したが、本来はここまで駅から歩く予定であったから、歩く距離が半分で済んだことになる。
@こうして見ると別物の鉄道 -
雨も上がっており、市内を散策してからハイルブロン駅へと向かった。駅前には路面電車(Sバーン)用の駅もあるが、まだ新しいため、整備されたのは最近のことなのかもしれない。
本来は10時26分発のRBに乗る予定であったが、市街地への散策が片道で済んだため、10時12分発のREに余裕で乗れる時間である。…と思っていたが、どうやら「5分遅れ」とのことであった(構内アナウンスはまったく理解できないが、電光表示には英語もある)。じきに「遅れは10分」となり、結局本来の予定とは大差なくなってしまった。
列車を待っているうちに、雨がまた降り始めた。「鐡旅と雨は関係ない」とは言うものの、散策時は雨に降られたくはないため、うまいタイミングではある。
@ハイルブロン駅(変なオブジェあり) -
約10分遅れで入線してきたシュツットガルト行のREは、今回初めて乗車する2階建て車両であった。最後の車両の2階にファーストクラスがあったので、そこに落ち着く(全体的に混んでいるが、ファーストの乗客は私だけ)。
30分強でシュツットガルトに到着したが、駅舎は大改装工事中であった。乗り換えにやたら歩かされたが、長い仮設通路には「世界の名列車」みたいな展示ブースがあり、日本の新幹線もあったので、それらを眺めながら歩いて行った。
@できれば富士山を背後にした写真なんかが良いのでは -
さて、シュツットガルトに来たからには、外せないのが「メルセデスベンツ博物館」である。Sバーンでシュツットガルト・ネッカーパークまで移動し、そこから歩いて10分くらいで当該博物館に到着した。
「鐡ネタは皆無だろう」と予想していたが、同社製のエンジンを積んだ鉄道の展示品もあった(あまり大きくないものではあったが)。
@やはり、個人的に見たかったのはこの辺りのもの -
ゆっくりと博物館を堪能してからSバーンでシュツットガルトへ戻り、再び徒歩圏内の観光である。日曜日だけあってほとんどの店は閉まっており、開いているのはケバブ屋ばかりである(これはフランスでも経験したが)。
これからコンスタンツへ移動するだけであるが、問題は「夜の食材をどこで手に入れるか」である。ほとんどの店舗(大手スーパーを含む)は閉まっているため、下手をすると食事にありつくことができない。こういう際にありがたいのは駅の売店であり、日曜日でも営業しているのである(これまたフランスでの経験が活きた)。シュツットガルト駅構内で、総菜パン、鳥の半身、ワインなどを仕入れた。
@この一角ですべてを揃える -
食材を揃えているうちに予定していた14時18分発のREが出発してしまったが、焦る必要はない。コンスタンツに早く着いても仕様がないし、それに次の列車はICであるから、やっとファーストクラスらしい車両の恩恵を被ることができる。
15時を過ぎてから、ホームへと向かった。入線していたのはスイスまで行くICであり、車両はスイス国鉄(SBB)のものである。客車形式であり、車内は横3列でなかなか立派な座席である。
@初ICはドイツではなくスイスの車両で -
シュツットガルトを15時54分に出発。市街地を抜けると、峠というほとではないが少しずつ高台へと上がり続けていく。雨は上がって曇り空であるが、時々現れる菜の花畑が美しい。
しばらくして車掌が検札に来たが、私のレイルパスを見るなり「ドモアリガトウ」と言ってきたりして、なかなか愛想が良い。
そういえばこの列車は客車であり、後ろが見渡せるようになっている。いそいそとデッキに出て、景色を堪能してみた。
@もちろん晴れの方が良いのでしょうが -
その後は自席に戻ってぼんやりと外を眺めていたが、17時過ぎにふと右手を見るといきなり大量のSLが現れ始めた。ほとんどが放置状態で崩れかかかっているが、ドイツに来てから初めて見るSLである。
@保存というよりは放置 -
シンゲンには17時51分に到着し、2分の乗り継ぎでコンスタンツ行に乗り換えた。湖を右手にしてしばらく走り、18時16分にコンスタンツ到着。駅構内の売店で冷えたビール1本を入手し、これで夜の食材はすべて揃ったことになる。
早速ホテルに投宿して一杯やりたいところであるが、予約したホテルは駅から歩いて20分程度のところであるし、それにこの町は湖畔にあって雰囲気も良いし、それになによりまだまだ明るい時間帯である。とりあえず市内をあれこれ歩いて、旧い街並みを堪能してからホテルへと向かった。
@雰囲気よし -
■2015.5.4
今日も夜中に雨が降ったようで、道路は濡れている。これから6時34分発の列車に乗る予定であるが、市内散策をするために6時前にはホテルを出発した。
昨日の夕方はボーデン湖対岸の山々をうっすらと見ることができたが、今日はそれすら見えない。しかし、早朝の湖岸は人も少なく、散策には最適であった。
@無念の空模様 -
REは定刻に出発し、20数分でシンゲンに到着。ここからは、シュバルツバルトを抜ける路線に入っていく。
そう思って心構えをしたものの、意外と普通の景色である。エンゲンを過ぎた辺りから少しは森林が多くなったが、やはり期待してほどの「森林」という感じではなかった。
@路線名は「シュバルツバルト」ですが -
その後しばらくするとやっと山らしくなり、登りきったところがトリベルクであった。峠の駅にはありがちだが、ここも駅前にSLが展示されている。
その後は少しずつ下っていき、右手から路盤が合流し、右手に古城が見えそれが過ぎると、このREの終着であるオッフェンブルクである。ほぼ定刻に到着したが、やっと雨雲が消え、ドイツに来て初めての晴天である。
@オッフェンブルク駅前(この後、雲も消えた) -
ここで予定通り30分ほど市内散策をして9時20分過ぎに駅に戻ってきたが、電光掲示板の9時33分発のICEの横に「60分の遅れ」という表示があるではないか。10時07分発のREに乗ればその後の旅程に影響はしないが、フライブルクで予定していたプチ観光は不可能となってしまう。
結果論からすると、9時07分発のREに乗ればフライブルクでのプチ観光は可能だったわけで、やはり下車後は次に乗るべき列車の情報を確認すべきである。
さらに時間が余ってしまったので、再度市街地へ出向いてあれこれと散策し続けた。
@変なオブジェあり -
10時07分のREに乗り、約50分でフライブルクに到着。乗り継ぎ時間は15分だけであり、駅前を少し歩いただけで、ゼーブルーク行のRBが停まっているホームへと向かった。
今回この列車に乗ることにしたのは、「どこでもいいから盲腸線の終着駅へ行ってみたい」と思っていたからであり、クック時刻表でも推奨されているこの路線に決めたのである。
出発してしばらくすると、右手は峡谷となり、短いトンネルをいくつも抜けて行った。午前中のシュバルツバルトが意外に山らしくなかったので、こちらのほうが印象が深い。
@どんどん上がる -
路盤の傾斜がどのくらい(何パーミル)かは不明であるが、体感でもわかるくらいの坂である。ぐいぐいと上り続け、11時49分には支線(盲腸線)が分岐するティティゼーに到着した。
同駅を出発するとぐるっと右手に回り、ティティ湖を右下に見下しながらさらに上り続けて行った。終着のゼーブルークはシュルフ湖の湖岸にあり、小ぢんまりした駅舎である。掲示によると、海抜は932メートル。長閑な雰囲気の中、駅の近くを歩き回り、旧い車両やSLを写真に収め続けた。
@静かな湖畔の… -
12時39分発の列車でティティゼーに戻る。これからドナウエッシンゲンに向かうのであるが、1本の列車では行くことができず、必ず途中で乗り換えなければならない(運行系統が違うようである)。
13時19分発のRBで1駅だけ移動し、ノイシュタットで下車。ここでREに乗り換えてドナウエッシンゲンに向かうが、ホームに停まっていたのはディーゼルカーであった。どうやらここから先は電化されていないため、運行系統が分かれているようである。
@ドイツで初ディーゼル -
2両だけであるが、先頭車両の前方に少しだけファーストクラスがある。そこに陣取り、長閑な景色を眺め続けた。予想外に良い景色であり、日本にあれば名所にでもなりそうなレンガ造りの古い橋をいくつも渡ったが、当然のことながら走行する車内からは撮影はできない。ドナウエッシンゲン着は14時09分。
さて、1時間強の自由時間があるため、市内散策である。ドナウの源流と言われる(諸説あり)井戸に行ってみたが、なんと改修工事中であった。
@これじゃなんだかわからん -
駅から徒歩圏内をあれこれ観光し、駅の北側にあったスーパー(激安系であった)で今晩のサラダやお菓子などを買い、駅へと戻った。
さて、次はIREに2時間以上も乗車してウルムへ向かう予定である。地域をまたがるREであるからどんな車両が来るのかと思って楽しみに待っていると、なんと先ほどと同じ旧めのディーゼルカーであった(よって、写真は省略)。
15時19分にドナウエッシンゲンを出発。辺りの景色はゴツゴツした岩が多く、その上には有名なのか無名なのかわからないが古城があったりして、いかにも欧州的な景色である。
@曇りでも良い -
途中のジークマリンゲン以降は平凡な農地が中心の景色となり、ウルムには定刻から15分遅れの17時57分に到着した。
ここからはICEでミュンヘンに行く予定であったが、17時56分発予定のザルツブルク行のICがまだホームにいるではないか。これに乗った方が早く着くと思い、ガラガラのコンパートメントに陣取って待っていたのだが、なかなか出発しない。すると、予定外の隣りのホームに私が乗ろうとしていた18時09分発予定のICE入線してきたではないか。時計を見ると、時刻はちょうど18時09分である。稀にあるパターンとして、トラブルのあった編成が定刻に運行している列車に追い抜かれる、というものがある。それで、慌てて隣りのホームまで走りそれに飛び乗った。
@どんなに慌てても写真は撮る(右側に見切れているのがザルツブルク行) -
しかし私がICEに飛び乗った瞬間、隣りのホームにいたザルツブルク行が出発してしまったではないか。判断を誤ったかと思ったが、なんとこちらも1分後には出発してしまった。同じ方面に移動する列車(しかも同種別なのでほぼ同時速)をほぼ同時刻に出発させるなど、なかなか度胸がいる列車運用である。
そうは言ってもさすがに前が詰まっているためか時々速度を落として、しかし専用軌道では225キロで快走して行った。
@シートも新型 -
ミュンヘンには19時30分に到着した。駅構内でビールやらツマミやらを仕入れて、駅近くの安ホテルに投宿。
■2015.5.5
早朝4時前に起き、人の顔が緑色になるようなホテルのボロテレビを流していると(ドイツ語はまったくわからないが、無音では寂しいため)、鉄道(貨物)の様子が流れているではないか。嫌な予感がしてPCを立ち上げてみると、まさかのストライキである(貨物と長距離列車中心で、後者は通常の1/3以下になるとのこと)。乗車予定の列車をDBのサイトで調べてみると、ウィーン行(ザルツブルク経由)はなんとかあったものの、それ以外は軒並み全滅である。
細かく書いても仕様がないので省略するが、必至になってあれこれ調べて、旅程4日目は以下のように変更した(5日目以降もかなり変更となった)。
4日目:午前中はザルツブルクへ往復・観光。午後はミュンヘン市内を少しだけ観光し、夕方にマンハイム経由でフランクフルトへ移動。同駅からハンブルク行の夜行列車(IC)に乗車。(車中泊)
@衝撃の映像(しかし、これで気づいて良かった) -
大枚はたいた寝台に乗れないのは無念であるが、それはそれ、急な旅程変更も旅の醍醐味の一つとして諦めるしかない。長距離ICのほとんどが運休の中でハンブルク行はなぜか残っており、これがなければ更なる変更(どこかで宿泊)をしなければならなかった。
6時過ぎにホテルを出て、駅へと向かった。これから乗るウィーン行の列車はRJであり、列車種別からもわかるようにオーストリア国鉄の列車である。よって、ストとは無縁である。
@最後尾 -
1両目はビジネス車両であり、飛行機のファーストクラスに該当するものである(さすがにこれに乗ることはできない)。その次からは列車としてのファーストクラスであるが、革張りの座席で横3列であり、なかなか高級感があって良い雰囲気である。ストということで運行される一部の列車に乗客が殺到するのかと思っていたが、意外にそうではなく、出発直前になっても乗客は疎らであった(後になって判明したのであるが、オーストリア行の列車は削減数が少なかったのが理由であり、この日の午後以降はストによる混雑に悩まされ続けるのであった)。
@こういう車内 -
定刻の6時24分に出発し、良い天気の中をオーストリアに向かって走り続けた。右手の遠くには、残雪のある山々が続いている。お菓子(チョコレート)のサービスもあり、それを頂いたりしているうちに、約1時間30分でザルツブルクに到着した。
@初オーストリア上陸(陸続きだが) -
初めてということもあり、「おのぼりさん」的な観光である。幸いなことに、ザルツブルクの有名な観光地は駅から徒歩圏内である。あれこれ綺麗な写真も撮れたが、今回はドイツ旅行記ということもあり、割愛させていただく…とするところであるが、天気も良かったので一枚だけ紹介しておきたい。
@城塞より -
おのぼり観光だけでなく、もちろん鐡ネタも押さえておいた。ザルツブルクの鐡ネタといえば、言うまでもなくこれである。
@城塞へ登るケーブルカー -
歩いて駅へ戻り、10時56分発のRJでミュンヘンへ。復路の車内で「ストが電撃的に解決していないだろうか」と淡い期待を抱いていたが、駅到着後に掲示板を見たところ朝のままであった。案内所には、問い合わせの行列ができている。
取り急ぎ私も、今夜のCNLのキャンセルをして(日本で購入しているため、切符の裏に証明印を押してもらいさらに証明書を出してもらう必要がある)、さらにハンブルクまでのICの指定席を押さえなければならない(基本的にファーストクラスは空いているので指定する必要はないが、ストでの混雑に備えるためである)。
あれこれ手続きをして(ストのためか、駅員は指定料金を求めてこなかった。「振替」というイメージであろうか)、これで一段落である。
@ドイツの駅員はもれなく英語ができるので安心 -
Sバーンに2駅だけ乗車して中心部へ移動し、市庁舎付近をおのぼり観光。本来の予定であればミュンヘン市内は観光できない予定であったので、これはこれで楽しんだ。中央駅に戻ったのが、15時半少し前である。
さて、代替のICの出発時刻は17時27分である。さらにどこか別の観光地に行くのは無理であるため、15時36分発のREに乗り、本来ならばネルトリンゲンからの帰りに寄る予定であったアウクスブルクへ行くことにした(代替ICも同駅に止まるのである)。
そう思ってホームに向かったのであるが、すごい人である。しばらくして入線してきたREは長大な編成(両数は数えていないが、ストに備えて通常の2編成を繋いだようである)であるが、それでも乗り切れるかどうか不安なくらいである。
@欧州では滅多にない光景 -
なんとか乗り切ることはできたが、通路までかなりの人間が立っている。ここで、私のファーストクラス用レイルパスが効力を発揮し、車両の端にある小さなファースト用スペース(12人程度しか座れない)に腰を落ち着けた。ここだけは、異世界のように空いている。
満員の車内であるが、車掌はきちんと検札していく。ファースト内には3人の乗客がいたが、そのうちの1人は通常の切符だったようで、車掌に追い出されていた。後ろを振り返ると超満員の乗客でなんだか申し訳ない気もするが、アウクスブルクまでの車窓を楽しんだ。
@窓越しの菜の花 -
車内では、小さな子どもたち(8歳くらい)が、授業で覚えたのであろうか英語で妙なやり取りをしている。それを見ていたファーストの乗客(恐らく英米人)があれこれ話し掛け始めて、子どもは必死になってそれに答えていた。しどろもどろではあったが、子どもでこのレベルであれば大人になればかなり話せるようになるであろう。日本語とは言語構造が違うので比較はできないが、ドイツと日本の英語教育のレベルの違いを感じたりした。じきにアウクスブルクに到着。
アウクスブルクでは1時間強の時間があったので、例の如く徒歩観光である。歩き疲れて駅に戻る。
@路面電車は見るだけ -
18時00分発のICEのファーストクラスからは、多くの乗客が降りてきた。窓側の席に陣取って景色を眺め続けたる。ウルムまでは昨日乗った区間であり、そこから先は初乗車となる区間である。
本来の旅程であれば二度と戻るはずはなかったシュツットガルトに到着し、そこから先は専用軌道を快走して、マンハイムには20時28分に到着した。4分での乗り換えなので「失敗しそうならこのまま乗り続けて、フランクフルト空港駅で降りてSバーンでフランクフルト中央駅に行こう」と思っていたが、定刻の走行であり、また向かいのホームに乗り換えるべき列車が待っていたので、難なく乗り換えることができた。
同駅を出発後、左手に沈む夕日を眺めつつ走り続け、陽も落ちた21時08分にフランクフルトに到着した。
@落ち行く夕日 -
駅の案内所は、やはりストの影響で大行列である。すでに切符を手配済みの私は駅構内のコンビニでビールを入手し、アウクスブルクで仕入れておいたチーズなどでベンチで一献を始めた。
23時を過ぎてから、ハンブルク行のICが入線しているホームへと向かった。座席は指定しておいたが、もしコンパートメントが空いていればそこを占領して横になって寝ようかと思って車内に入ったところ、思わず驚いてしまった。これまで乗ってきたドイツの鉄道とは思えないような年季の入った椅子であり、席自体は確かに大きいが、日本で言えば昭和の香りがするような車両である。私は思わず、急行「はまなす」のドリームカーを思い出した。
@驚き -
指定されていた席は進行方向と逆向きだったため、向かい合っている席で指定されていないのがあったのでそこに陣取った。アームチェアが上がらないため2席使用して横になることはできないが、リクライニングもするし、向かいの席に足を延ばせば充分に睡眠可能である。最高級の個室寝台に乗れなかったのは残念であるが、ストのおかげでこういう味のある車両に乗ることができた、とも言える。
@行先票
車掌の検札を終えてから、就寝。
(後編へ続く)
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