1996/08/01 - 1996/10/12
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JIC旅行センターさん
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■少年よ!大志を抱け
僕は今、マルガリータさんの車掌室で、中原君といっしょに、チャイ(お茶)を飲んでいる。マリーナジャムで飲むロシアンティーだ。車掌室は計器類で窮屈だったが、僕達は『ティールーム・ロシア号』と命名した。車内にはサモワールがあるので、いっでも熱々のチャイが飲める。
中原君は自分の号車に戻っていった。彼は同室のカップルがいいムードになってしまったので、その場をはずしていたのだ。
マルガリータ車掌がチェスを教えてくれた。彼女に駒の動きを紙に書いてもらった。
僕はさっそく対戦したくなり、隣のコンパートメントのジーマ少年を呼んだ。
彼は非常に聡明な少年だった。6年生だという。チェスの腕もさることながら、英語も少し話すことができる。また、ドルとルーブルのレートの計算も、瞬時に暗算でやってみせた。チェス初心者の僕に、丁寧に解説しながら対戦してくれた。彼は好奇心も旺盛で、日本から持ってきた折り紙で、簡単に鶴を折ってしまった。そして、弟の面倒もよくみた。
こういう少年がいれば、ロシアの将来は大丈夫なような気がしてきた。ジーマ少年には、今のまま大人になってもらいと思った。
こうしてチェスに興じる間も、ロシア号はひたすら西を目指している。線路脇のキロポストはまだ6000キロ台だ。激しい揺れも、馴れてしまえばシベリアのゆりかごだった。また、時差帯を越えるので、時計を気にしなくなってしまった。僕はロシァ号に閉じ込められ、時間の迷子になってしまったような孤独感に襲われた。
マルガリータ車掌が『恋のバカンス』をロシア語で歌いながらやってきた。
「次の停車駅は4時間後よ」
列車の旅はスケールが大きかった。
■イルクーツク,AM4:30
今日、初めて食堂車へ行った。出発前に、さんざん「食堂車の飯はまずい」と聞かされていたが、ビーフストロガノフがあり、予想以上においしかった。
朝食はアメリカ人団体と一緒だった。彼らは三食きちんと食堂車で食べている。おそらく食事代込みのツアーなのだろう。彼らは第一線をリタイアした老夫婦の団体だった。彼らと話題になったのは、やはりロシア号の激しい揺れだった。彼らはソフトクラスという一等に乗っているのに、揺れはひどいようだ。
そういえば、今日、ロシア号は3時間もぺトロフスキーザボートの手前で緊急停車した。アメリカ入団体が、鉄道員のストライキかもしれないと噂していた。
ロシア号がウラン・ウデに停車すると、車輪などの点検がされた。これだけの距離を走るのだから、停車時間内の作業は真剣勝負だ。また、各車両に対し駅に備えられたホースで、給水作業がおこなわれた。作業員は日本人にそっくりなブリヤート人だ。ロシアは多民族国家なのである。僕達の先祖は兄弟かもしれない。
ロシア号は、日没にウランウデを出発した。セレンゲ川の雄大な流れが、夕陽に輝いている。この川は、はるかモンゴルの大地が源である。また、車窓からの風景は信州を走る中央本線からのそれに似ていた。
セレンゲ川が闇に包まれると、ジーマ少年が、あと7時聞でイルクーツクに到着することを教えてくれた。僕は、それまでに下車する準備を整えて、寝ることにした。ジーマ少年が荷物の整理を手伝ってくれる。
僕はマルガリータ車掌に起こされた。眠い。あと30分でイルクーツクに到着だ。ジーマ少年が起きて見送ってくれた。列車が遅れたため、到着は午前3時を過ぎていた。
今、僕はこの日記をホテル『イルクーツク』で書いている。久し振りにシャワーを浴びたので爽快だ。到着が遅れたので、日本で手配したホテルまでのトランスファーはいなかったので、一緒に降りたアメリカ人団体のバスに乗せてもらい、ホテルにたどり着いた。僕は、ホテルのフロントで、トランスファー代を返してもらおうと交渉した。しかし、受付のきれいなお姉さんは、「ここに着けたからいいじゃない」とそっけなく答えた。そう言われればそうだけど。
ロシアでは、これくらいのことで腹を立てては身が持たない。『郷に入れば郷に従え』なのだ。
しかし、僕にはそんな受付のお姉さんの言葉なんてどうでもいい。手の中にある鉄道地図には素敵なメッセージがあったのだから。
???我々と日本国民との友好を願います。戦争ではなくて。 プラポドニツァ(車掌) マルガリータ・ワシリーエヴナ???
午前4時半。列車の旅を終え、揺れないベッドに違和感を感じながら、1泊分の料金を取り戻すかのように眠った。
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