2013/08/04 - 2013/08/04
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世界攻略者さん
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海外に長期滞在して何が楽しいの? そう聞かれても言葉に詰まる私ですが、あえて言うなら、ただ住んでるだけて毎日何かしらの発見があるから。そして、気づいたら調べずにはいられない。そんな大人力全開の旅行記、ちょっとだけ共有しちゃいましょう。
**情報は、2013年8月のもの。1リンギット=32円で計算。
==クアラルンプール ウォーカーズ シリーズ一覧==
①チャイナタウンでまったり
http://4travel.jp/travelogue/10794525
②歴史ある建造物編
http://4travel.jp/travelogue/10794545
③多様な民族マーケット編
http://4travel.jp/travelogue/10939353
④大人の社会派観光 <==
http://4travel.jp/travelogue/10942110
⑤電車でGO - モノレール・ループ編
http://4travel.jp/travelogue/10802253
⑥電車でGO - 郊外住宅見学編
http://4travel.jp/travelogue/10806703
⑦クアラルンプール両替 虎の巻
http://4travel.jp/travelogue/10797388
⑧マレーシアの安ビール事情
http://4travel.jp/travelogue/10942190
⑨バルセロナ vs マレーシア選抜 生観戦
http://4travel.jp/travelogue/10801004
⑩-⑪ 執筆予定
== KL関係 ==
ペトロナス・ツインタワーの見え方研究 全4作
http://4travel.jp/travelogue/10804350
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[目次]
イントロ
チャイナタウン
- 与えたい人々
- スルタン通りを守れ
ムルデカ公園
- キノコ探してます
ブキッビンタン
- マッサージ激戦区
- 駅とマネキンとお人形さん
- ぶれない100円ショップ
- ハイソなラーメン屋
KLCC
- ユニクロの野望
- 質の高い生活
チャイナタウン
- マネキンは三度現る
地図
まとめ -
[イントロ]
点と点をつなげ。かのスティーブ・ジョブズは、卒業式の招待講演でそう語りかけた。簡単に言えば、直接関係ないような事柄がある日突然役に立つこともあるから、遠回りは決して無駄ではないという話です。
これは旅にも当てはまり、長く旅すればするほど無駄な知識が増える一方で、物事の気づき度も高くなっていきます。逆に言えば、気づき度の高い私は、とても無駄な人生を送っているのかもしれません。まあその件はいいとして、KLを舞台とした「気づきの旅」に出発です。 -
[チャイナタウン]
==与えたい人々==
クリーンなマレーシアでは、街中であまり落書きを見かけません。逆に堂々と落書きが残されている場合は、むしろ何かの主張やメッセージだったりします。例えば、ショップハウスの端に書かれた大きな「福」と「GIVE」の文字、気になりますね〜(写真)。
よくわからないのでネットで調べてみると、これは「与えられるより与える方が幸せだ」という聖書のお言葉。つまり、英語と中国語でカトリックの世界観を広めているのです。 -
私がなぜしばらく気付かなかったかというと、この建物のテナントがLOTO売り場だったから。客への煽りメッセージか何かと思い、よく読んでなかったのです。
それに加え、道路の反対側は、知る人ぞ知る置屋通り。この界隈では、与えるより与えられたい人の方が多そうです。 -
==スルタン通りを守れ==
では次の問題です。同じスルタン通りを駅方向に50メートルほど行くと、安ホテルの壁に「Save Jalan Sultan(スルタン通りを守れ)」という垂れ幕が掛かっています。はて、これは何でしょう。一見ゴミ拾いキャンペーンのような軽いタッチですが、中国語の「百年続いたコミュニティを死守しろ」の文言から、かなり政治色の強いものとわかります。
その正体は、右端のロゴ(MRT + バツ印)を見てピンときました。つまり、すぐ隣で工事している新しい地下鉄路線に地主達が反対しているのです。ちなみに、すぐ上にある例の「与えられるより..」のメッセージは無関係。反対しているのは「与えたくない」人達ですからね、たぶん。 -
そうかそうか。私はホテルの窓や駅のホームの上から、いつも工事の進捗具合を見守っていました。私が普段目にするのも、工事現場の壁に貼られた「完成したらこうなりますよ」的な宣伝パネルばかり。中華街の客が増えて大喜びかと思いきや、大反対の人もいるのです。毎日通っている道なのに、なぜこの垂れ幕に気づかなったのか..。やはり、文字は画像と違い頭を使うため、つい無視してしまうのです。
写真: ホテルから見た地下鉄駅の工事現場とパサルスニ駅(奥) -
ちなみにMRT(1号線)と呼ばれるこの新路線は、全長51キロのビッグプロジェクト。中心部は地下を通り、今まで移動が不便だったチャイナタウンとブキッビンタンが同じ路線でつながります。基本的に、KLの住民にとっても、旅行者にとっても地下鉄が増えるのはいいこと。MRTのかっこいいホームページや宣伝ビデオが、マレーシアという国の勢いを雄弁に物語っています。
広報ビデオ(英語): https://www.youtube.com/watch?v=Q2ogDAvnT0M
ホームページ: http://www.mymrt.com.my/ -
しかし変だ。あくまで地下鉄なので、現在工事が行われていない部分は、基本的に電車が地下を通るだけ。ならば、彼らは一体何がそんなに不満なのでしょう。
少しひっかかったので「Save Jalan Sultan」でネット検索してみると、いくつも反対運動の写真が出てきました。ネット記事を読み進めると、これはかなり根深い問題です。まず、政府やMRTは、工事の安全面や土地権利の問題から、トンネルの地上部分も強制的に買い取る方針。そうなると、スルタン通りに面した建物の多くはその対象になるわけで、この地で商売続けたい人にとっては死活問題です。
参考:
http://www.themalaysianinsider.com/malaysia/article/jalan-sultan-landowners-say-no-to-mrt-land-acquisition
http://poskod.my/features/the-mrt-projection-making-the-right-transformation/
http://transitmy.com/2011/08/12/mrt-update-chinatown-businesses-question-mrt-land-acquisition/ -
もちろん、彼らもただ反対している訳ではなく、道幅の広いTun Tan Cheng Lock通りとPudu通りを使え、と代替案を出しています。でも、政府は考えを変える気なし。お互いに対する不信感もあり、議論は平行線をたどっています。
地図:
水色 - スルタン通りを通る現行ルート。
赤色 - Save Jalan Sultan委員会が提案する代替ルート -
中華街の伝統は理解できる。政府の強引なやり方にも問題がある。でも、実際に影響するのは、東西わずか350メートル。歴史的価値がありそうなのは、垂れ幕のあった楽安ホテル(オーナーが運動のリーダー)、カーブにある演劇協会(写真)、それにその対面の建物くらい。もちろん、それ以外にもあるでしょうが、全体として歴史的価値のインフレが起こっている気がしてなりません。
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しかし、明日は我が身。一度買収されたら、今ある建物に戻れるかどうか、何の保証もありません。突然、周囲を圧迫するでかい商業施設ができるかもしれません。そんな不安感をもとに各地のNGOや若者が集まり、次々と抗議活動を仕掛けています。
例えば、写真はランタンフェスティバルとコラボした、「Light a Lantern, Save Jalan Sultan」イベントの様子。その他、万里の長城という人の輪で中華街を囲ったりもしました。
動画: ランタン・フェスティバル + 抗議活動
http://vimeo.com/36264243
https://www.youtube.com/watch?v=rM1_e4WLh1A -
この写真は、スルタン通りが直角に曲がる場所で行われたダンスショー。背後の壁には、「Love Jalan Sultan」メッセージとか中途半端な壁画が描かれてます。以前から気になってましたが、これもSave Jalan Sultanキャンペーンの一環だったわけです。
これで、駅、工事現場、Save Jalan Sultan、Love Jalan Sultan、演劇協会のすべての点が直線でつながりました。ネットとリアルを往復しながらの地道な解明。ここまで来るの長かった〜。気づきの旅は、時間差で効いてきます。
参考:
http://1mytomyam.blogspot.jp/2011/10/painting-jalan-sultan-mural-to-save.html -
でも、彼らが声高に叫ぶヘリテージ(歴史的遺産)って何だろう。ネット記事のコメント欄には、「夜市はネパーリとバングラだらけなのに、今さらヘリテージもくそもないだろ」とか「最後はお金か」とか心ないメッセージが書き込まれています。
試しに「jalan sultan 1950」とか「jalan petaling 1950」のように適当に画像検索してみると...出るは出るは、白黒の懐かしい写真が! 今より漢字だらけの街並みが! この時代に生きた人からすれば、すべての建物に愛着があるのは当然のこと。何の相談もなく町を破壊していく政府なんて信用できません。私も抗議の輪に加わっちゃおうかな〜。ボースサイドなう!
**多くの写真は、Kuala Lumpur Old Pictual Threadという掲示板に個人が投稿したものです。 -
[ムルデカ公園 - キノコ探してます]
先ほどのスルタン通り(黄色)は、なぜか中華街を囲むように北に向かってターンしています。そこを曲がらず真っ直ぐ歩いて行くと、すぐに建物はなくなり、高いフェンスで囲まれた味気ない場所が出てきます。
実はこの一帯は国立の体育館や競技場、ビクトリア中学などの緑地が固まる、日本で言えば代々木公園や神宮外苑のような場所。それが巨大な工事現場化しているのは、やはりこの辺りにもMRT駅ができるからでしょう。
地図: ピンクのエリア - ムルデカ公園跡。赤い点 - 左からパサルスニ駅、演劇協会。 -
実際、フェンスの壁にも何か変なポスター張ってあるし..。と近くで見てみるのですが、抗議ポスターには間違いないものの、MRTのM字も出てこない。じゃあ、一体何なんだ、このヒッピーテイストのポスターは!
ビラをひとつひとつ見ていくと、「STOP THE 118」というスローガン。アハ! これは恐らくKLに新しくできる118階建てのビルのことでしょう。ということは、ここはワリサン・ムルデカ・タワーの建設予定地。そして、どういうわけか、以前同じ場所にあった公園のキノコ型オブジェが反対運動のシンボルとして利用されているのです。
ポスター中央: ここはキノコのための場所だ。資産家の物ではない(マレー語)。
その他:
ヘリテージを守れ、俺達のキノコを返せ(英語)
タワーはエリートのもの、公園はみんなのもの(マレー語) -
Warisan Merkdeka Towerとは、2020年、ペトロナスタワー(88階)を抜くことになる、超高層ビル(118階、610m)。KLシティギャラリーで街のジオラマを見た時、初めて知りました。その知識がなければ、この遠回しな抗議ポスターの意味に気づかなかったかもしれません。点と点、つながりますね〜。
しかし、もう15年以上前になくなった公園を取り戻せとは、かなり無理筋です。彼らは本気で活動しているのでしょうか。もう一度ビラを見てみます。
写真: 右端がワリサン・ムルデカタワー。現在名 - KL118。 -
壁の張り紙の中で一番目立っているのが、この「子猫探してます」風の作品。
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行方不明
このキノコ見かけませんでしたか
出生: 1958年4月20日
身長: 11.8フィート
体重: 1957キロ
コンクリート製のキノコ(55才)が、1997年を最後に行方不明になっています。
情報をお持ちの方は、連絡下さい。
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かつて、ここにはムルデカ・パークという市民公園があり、丘の上に、例のキノコ型休憩所が設置されていました。写真は、当時の姿とツイッターのハッシュタグ。最新のSNSツールを使いながらも、白黒写真で情感に訴えます。
しかし、このポスターいいセンスしてますね。試しに「have you seen this mushroom」で検索しみると、この抗議活動の中心が、グラフィック・デザイナーなど少数の若者で構成されていることがわかりました。もちろん、彼らは地主でもなんでもありません。ただ、すごいスピードで変わりゆく町の姿に大きな危機感を抱いているのです。タワー建設により、なし崩し的に隣の学校や体育館が再開発されてしまわないか心配。実際、ブキッビンタンのパビリオンは学校1つ潰してますからね。
参考:
http://www.themalaymailonline.com/malaysia/article/the-case-of-the-missing-mushroom -
ノスタルジックな写真っていいものです。私にとって新鮮だったのは、クアラルンプールの女性たちが、当時の日本人女性と同じような服装をしていること。当時のファッションはアメリカ発世界同時流行だったのでしょうか。
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他には、タワー建設を仕切る資産管理会社PNBの名を使った大喜利コーナーとか。
Q. PNBとは、あなたにとってどういう意味ですか。
Playing Naughty Business (汚れたビジネス)
Projek Negara Bankrup (破産する国家プロジェクト)
People Neatly Brainwashed (人々は見事に洗脳されている)
PにPeople, Project, Park、BにBusinessをもってくる傾向があります。
さらには、幼稚園児に今はない公園の絵を描かせたりと、勝ち目のない敵に対して出来る限りのことをして抵抗します。 -
再び、自問自答。ヘリテージ(歴史的遺産)って一体何だろう。このムルデカ公園は、1997年にはすでに取り壊されています。さらに言えば、その公園ができる前にも何かがあったはずです。当時の新聞によると、元々あった丘を公園向けに造成する時に放棄された広東人墓地が見つかり、900を越える墓と遺体が別の場所に移動されたそうです。
でも、今更、広東人開拓者のヘリテージどうのこうの言いませんよね。もしかすると、50年後タワーが取り壊される時には、「KLのシンボルタワーを残せ」とか同じような反対運動が起こるかもしれません。結局は個人の愛着次第なのです。ところで、ワリサン・ムルデカ・タワーの名前ですが、ムルデカとは独立、そしてワリサンはヘリテージを意味します。ややこしや〜。
写真: 1940年の新聞記事 -
[ブキッビンタン]
==マッサージ激戦区==
続いて、マレーシアきっての繁華街 - ブキッビンタンに向かいます。果たして、メジャーな観光スポットならではの気づきはあるのでしょうか。ブキッビンタンは、大型デパートが立ち並ぶショッピング・エリア。夜の賑いも合わせると、日本で言うところの新宿的な存在です。
その中心となるブキッビンタン通りは横に長く、モノレール駅を挟んで東側(水色)に、パビリオン、ロット10などの大型デパート。西側(青色)に、やや庶民的な中級ホテルや観光客向けの店舗が並びます。アクセスは、チャイナタウンからなら無料のGoKLバス、また距離も近いのでPudu通り(緑色)を歩けば1-1.5キロほどです。近くには屋台街で知られるアロー通り(茶色)もあります。
写真: 黄色い点 - 左からマッサージ激戦区、ブキッビンタン駅、ロット10、パビリオン。 -
GoKLバスは渋滞がひどいので、私はよく歩いて移動しました。そうすると、最初に到着するのは、ビンタン通りの南西側、椰子の木が印象的な庶民派ゾーンです。このエリアの特徴ですが、4-7階建ての中級ホテルやレストラン、土産物屋、両替店、マッサージ店などが通り沿いに並びます。どちらかと言えば、国内観光客や、それほどお金持ちでもない周辺国からの旅行者をターゲットにしている感じです。
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その中で特に目立っているのが、でかい看板と広い間口のマッサージ専門店。なぜだか知りませんが、この通りにはマッサージ店が多いのです。
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中を覗いてみると、足マッサージ用チェアがずらり。恐らく二階には全身マッサージ用のベットもあるはずです。料金は、足つぼマッサージが30分25RM(800円)、全身マッサージが30分30RM(960円)、フィッシュスパが15分15RM(480円)。 買い物に疲れた観光客は、ここでリフレッシュするのかな。バンコクや中国でも普通に見かける光景ですが、マレーシア全体で見れば、マッサージ店はそれほど多くありません。だから、このマッサージ集中エリアにおっ、と驚くのです。
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大型店がやんわりと客引きする一方、その逆側の歩道はちょっと様子が違います。あれあれ、若い女性が歩道に待ち伏せて、手当たりしだいに通行人に声をかけてるぞ。その数、50人以上。あのケバいメイクと品のないファッション、もしかして、もしかしてだけど...。
と予防線を張るまでもなく、彼女らは中国から来た出稼ぎバイド軍団。なぜそんなに仕事熱心なのかというと、まずお店が2階など目立たない場所にあること。そして、歩合制という点です。基本、フリーに近い存在なので、大型店と違い、呼び込んだ女性本人が直接マッサージしてくれます。 -
所属する店舗に関わらず、どの女性も同じようなメニュー(写真)を持っています。料金は、協定でもあるのか、他のお店と全く同じ。そうなると、マッサージの腕を求めて大型店に行くか、それとも刺激を求めて好みの女性についていくか..選択が迫られます。
夜になるとさらに女性が増え、もうここだけ歌舞伎町のよう。9割方中国人ですが、中にはタイ人っぽい人もいます。さて、ここで気になるのが、これらの怪しい方のマッサージにホイホイついていって、何かいいことあるのかどうか。 -
この手の情報は、まとめサイトがあるわけでも、どこかに文書化されている訳でもありません。結局、知りたければ自分で聞くしかないのです。
適当に2,3人選んで探りを入れたところ、普通はないらしい(カーテンで仕切りをつけただけのベットなので、ものには限界がある)。ただ、限定されたサービスは、”人によっては”追加料金で可能なようです。いずれにせよ、自分で女性を選べる以上、「ね〜、いいじゃないの〜」「ダメよダメダメ」という健全店では絶対できないやりとりは楽しめます(もちろん同じ協定料金で!)。そもそも、盛り場の男と女の関係なんてそんなもの。それでいいのです。 -
それにしても、人多いですよね。私には供給過剰にしか見えません。果たして彼女らの商売は成り立っているのか、勝手に計算してみます。まず、マレーシアのバイト賃金ですが、ブキッビンタンのファーストフード店で、1時間6RM(192円)。マレーシアの人件費はだいたい日本の1/3と言われているので、まあこんなものです。
仮に店と彼女らの取り分が5対5だとすると、時給30RM(960円)、つまりマックの5倍です。8時間分のバイト給料を稼ぐには、わずか1.5時間強マッサージすればいいのです。だから、あんなに暇そうでも、全然余裕なんですかね。ただ、航空券や滞在費をカバーしようとすると、それでは全然足りない。やはり、ただのマッサージに海外遠征するのは、割に合わない気がします。
不思議なことに、これらの出稼ぎ軍団は、ある時期になるとピタッと居なくなります。観光ビザが切れたのか、それとも取り締まりが始まったのか。いずれにせよ、この「夜のチャイナタウン」はKLの新名物として定着してほしいものです。
写真: マックチキンのセットと従業員募集の垂れ幕。ちなみに、どちらも6RM(192円)。 -
==駅とマネキンとお人形さん==
マッサージ激戦区を抜けると、そこは工事現場だった。駅の手前150メートルほどは道路の横で地下鉄工事が行われおり、昼間っから騒がしいことになっています。いつまで地下鉄の話引っ張るんだって話ですが、実際に工事してるんだからしょうがない。もちろん、これもMRT線の工事です。
ところで、工事の作業員は蛍光シールが貼られたジャケットを着ていることが多いのですが、この中にはニセモノも混ざって言います。さて、それはどの矢印でしょう。
......
正解は、右上、右下、左下の彼でした! -
グラサンと腕の角度で気づけよ! すでに答えを知っている私は、何とでも言えます。これらはマネキンを活用した交通整理で、日本のもののように腕が動くわけではありません。効果あるのでしょうか。
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モノレール線の高架が近づくと、普段あまり見かけないタレントの宣伝看板がビシバシ目に入ってきます。これが台湾や香港あたりなら、キムタクやAKBとか出てきそうですが、マレーシアでは少し事情が違います。そもそもマレーシア人は日本の芸能界に詳しくない。だから、広告に使用されるのも韓流スターや中華系有名人ばかり。例えばこんな感じです。
カカオトーク - ビッグバン (韓国)
カシオ Baby-G - 少女時代 (韓国)
セイコー 腕時計 - 王力宏(台湾) -
う〜ん、事情はわかるが、ここであえてゴリ押ししてくる日本企業はいないのか! と駅にある巨大看板を見ると..さすが世界のシャープ! これはイチローじゃないですか。
でも、イチローってシャープのCM出てたっけ。それに、よく見るとサッカーボール蹴ってるし...。後でわかりましたが、彼はベトナム系フットボーラーのNam the man。う〜ん、それじゃない感が漂いますが、たかが企業広告にケチつけるのは野暮でしょう。動いていない有名人なんて、ただの人形ですからね。 -
==ぶれない100円ショップ==
モノレール線の高架をくぐると、ここからはガイドブックでもお馴染みの、オシャレなショッピング・エリアが始まります。例えば、一番手前のロット10では、ZARAやH&Mなどのブランドが入居しています。え、そんなのおらが町のイオンにもあるって?まあそうでしょう。オシャレに生きる人達にとっては、何を買うかも大事ですが、どこで買うかも重要です。 -
ビンタン初心者の人は、とりあえず一番奥にあるパビリオン(写真)に行っとけば間違いなし。ここは、新しい上に巨大。ビンタンのランドマーク的な存在です。
と、ここまで偉そうに話してきましたが、そもそも私はショッピングに興味が無い。そのため、無理に中を散策しても、現地の日本企業は頑張ってるのか..みたいなガイアの夜明け的目線になってしまいます。
(ここから蟹江敬三の声で).. 成長著しいマレーシア。そこに新たなビジネスチャンスを感じ、激戦区で勝負する日本企業があった..。 -
というわけで、パビリオンの視察に入ります。この巨大デパートの中には、日本をテーマにした東京ストリートという一角があり、ラーメン屋、しゃぶしゃぶ店、アートショップなど色々なタイプのお店が入居しています。
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その中で私が注目したのは、日本でもお馴染みの100円ショップ・ダイソー。いくらで売っているのか、何を売っているのか。気になりますね〜。入口に書かれている通り、ダイソーはマレーシアでは5RM(当時のレートで160円)で商売しています。さらに円安になった今では200円くらいでしょうか。これはまあ、しょうがない。日本からの輸送費や、店舗数の少なさ、将来のインフレ率を考えると、とても3RM(100円)なんかで勝負できません。
写真: 8月なのに鯉のぼりが...。 -
売っているものは、驚くくらい日本と同じです。説明書きも、日本同様、極めて簡単な英語だけ。使い方がわからなければ、知っている人に聞け、そんな世界です。パッケージはともかく、品揃えも日本と変わらず、つまり無駄に多品種です。マレーシア人にこだわりがあるとは思えない歯間プラシや耳かき、扇子なども、それそれに10種類以上売られています。
こんな顧客無視でいいのか。POSとか導入したら..。そんな心配をよそに、客は買い物カゴを一杯にしてあれこれ買っています。どうもマレーシアでは珍しものが多いようで、日本で言うところの、ソニープラザや東急ハンズ的な立ち位置なようです。だから、5RMなんて強気の価格設定なんですね。 -
得意のプラスチック製品や小物類はまだわかる。でも、これはやり過ぎだろ、と思えるのが、ジュースの品揃え。日本同様、ノンブランドのお茶や、サンガリアのみっくちゅじゅーちゅ(写真)が売られています。サンガリアといえば、100円自販機の常連。こんなB級ブランドを海外で200円で売るとは...。ダイソーもブレない男です。 サンガリアの予期せぬ世界進出に、あの杜甫も喜んでいることでしょう。
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==ハイソなラーメン屋==
その他、別のフロアには、無印良品とかユニクロとか。まあ、路線的には日本と同じです。問題は、日本食ブームに乗っかって、高級路線で行くラーメン屋。例えば、山頭火や一風堂のラーメンが、一杯25RM(800円)。日本とほぼ同じ値段ですが、為替レートやインフレ率次第で、あっという間に1000円を越える可能性もあります。だいたい、マレーシアでは10RM(320円)もあれば腹いっぱい食べられるのに..。ラーメン屋がパビリオンとか不釣合いなんだよ! その気持ちよくわかりますが、彼らにとっては、ダイソーのジュース同様、珍しいのです。 -
続いて、もう一つの人気ショッピングセンター、KLCCスリアに向かいます。ブキッビンタンからはGoKLバスもありますが、歩いてでも移動できます。パビリオンの裏あたりから屋根付きの歩道橋が出ており、それを道なりに歩いて行くと、すぐにKLCC公園の南側へ。さらに歩き続けると、公園北側のKLCCスリアに到着します。
写真は、その連絡通路で見かけた「スーパードライ - 極度乾燥(しなさい)」リュック。改めて考えると、確かに変なネーミングです。私なら、極度禁酒(しなさい)と訳すかな。そんなジャパニーズ・イングリッシュの商標ですが、今やマレーシアでも有名なビールブランド。下手すれば、最も有名な日本の食品かもしれません。変な名前のラーメン屋たちよ、まだ先は長いぞ。 -
[KLCC]
==ユニクロの野望==
KLCCは、オフィスビルのペトロナス・ツインタワーとショッピングモール、さらに水族館や公園などからなる一大商業施設。美しいタワーと広々とした敷地。ごちゃごちゃしたブキッビンタンにはない品格のようなものを感じます。
参考: ペトロナス・ツインタワーの見え方研究 全4作
http://4travel.jp/travelogue/10804350 -
タワーの真下にあるKLCCスリアは、パビリオン同様、円形の吹き抜けを中心とした巨大なショッピングモールになっています。写真は、イベントスペースで拡販する資生堂のブース。ちなみに写真の女性は中国人モデル(スイ・ハ)で、ここでも日本人は出てきません。
しかし、ここはパビリオンと違い、少しだけホームアドバンテージがあります。ツインタワーの片方を建設したのは日本企業だし、2大テナントの1つはあの伊勢丹です。 -
その期待に答えてか、イベントスペース横の超一等地にユニクロが出店しています。このKLCCスリアは、言ってみればマレーシアを代表するショッピングセンター。GAP(アメリカ)、ZARA(スペイン)、ベネトン(イタリア)、ジョルダーノ(香港)など、各国を代表するカジュアルウェアショップとガチで勝負しなくてはなりません。
ユニクロ自体は、ほとんどの大型モールに出店していますが、私が見た感じでは、入りやすさやレジの多さなど、ここが一番買い物しやすそうでした。 -
旅も長丁場になり、そろそろTシャツもへたってきた頃。この辺りで、丈夫なTシャツを2,3枚仕入れておきます。私は別にユニクロファンでもないので、一応ライバルのジョルダーノ(香港)の価格もチェック。すると意外なことに、ユニクロのTシャツ(19.9RM=640円)の方が、10RM(320円)も安いのでした。これまで散々お世話になったジョルダーノですが、そろそろお別れかな。
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かつてユニクロは、ジョルダーノ(写真)のビジネスモデルを丸ごと真似することで成り上がりました。それが今では、すっかり差がついちゃいましたね。すでにアジアでは敵なし。その店舗展開の速さと商品開発力をもってすれば、世界を制覇する日も近いかもしれません。あのおばちゃんCMも、今や黒歴史です。
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野心溢れるユニクロですが、ひとつだけ気に入らないことがあります。それは、ユニクロが「ステテコ」という日本語を普及させようとしてること(写真)。別に薄手の短いパンツなんて、日本独自のものでもないでしょ。モッタイナイ精神と同じくらい、「恥ずかしいからやめてくれ〜」って思っちゃいます。
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==質の高い生活==
どこにでもあるユニクロと違い、唯一無二の存在であるのが、4階にある紀伊國屋書店。他国の店舗同様、場所は一流デパートの中。しかもKLCC公園が見渡せる数少ない窓際のテナントです。バンコクのセントラル(伊勢丹+紀伊國屋)もそうですが、たまに訪れるだけで、自分がアッパークラスにでも属しているような不思議な錯覚を覚えます。
大型書店だけあり、日本語・英語ともに品揃えが豊富。日本人のみならず他の国の人からも重宝がられています。客は日本人よりも、近くのビジネスマンや意識高い系の学生が多いかな。質の高い生活を送る上で、こういうお店は欠かせません。 -
とてもハイソな雰囲気の店内ですが、日本語エリアだけは奥の方に遠慮がちに存在しています。気のせいか、日本人好みの小じんまりとした造り。日本の本屋とほとんど見分けがつきません。書物の値段は、日本の定価の1.5倍ほど。確かに高いけど、ダイソーだって同じことやってますからね。
多言語国家ということもあり、日本の漫画は、中国語版や英語版まで売られています。これ、語学の勉強にも使えそうですね。意識の高い人、どうぞご活用下さい。
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窓の外はKLCC公園。その奥に見えるビル群との対比で、なぜかNYのセントラルパークや日本の皇居を彷彿とさせます。都会の中の大きな公園は、逆に安らぎの象徴。パビリオンよりもこちらの方が格上に感じるのは、立地から醸しだされる正統派感のせいかもしれません。
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クアラルンプール市内で、ここよりロケーションが良く、整備されている公園を私は知りません。夕方になれば、サラリーマンや学生がコースをジョギング(写真)。空気は皇居外堀よりずっときれいです。
私はツインタワーの撮影に何度も訪れているので、公園にはそれなりに詳しくなっています。オススメは人の少ない午前中。のんびり散歩しながら、野鳥探しに精を出しました。 -
このようにハイソなKLCCは、周辺の大企業社員やコンドミニアムの住民にも愛される存在です。ただ、誰でも入場できるため、週末になると客層がガラッと変わります。一般の買い物客に加え、ただのお上りさんもやってくるのです。写真は、ラマダン休日中のKLCC公園。もう、ピクニック会場ですわ。
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お上りさんの半分は、KLに住む地方出身者や外国人労働者たち。コンクリートジャングルの都会に息苦しさを感じているのかもしれません。彼らにとっても、公園の緑は質の高い生活を取り戻す場。だから、花見でもないただのピクニックを楽しめちゃうのです。よ〜し、オジサンもマングローブ登っちゃうぞ〜。
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そして8時前には日が沈み、公園の池では噴水ショーが始まります。これは、パビリオンの色が変わるだけの噴水モドキと違い、本物の大掛かりな噴水ショーです。KLの夜は涼しいので、いつまででもいられちゃいます。10時前になると噴水は止まり、テナントのお店も閉店ガラガラ。最後は警備員に公園を追い出されます。ちなみにパビリオンの場合、バーなど一部の店舗が遅くまで営業を続けます。あちらは新宿ですからね。
さて、私も帰るとしましょう。KLCCからチャイナタウンは少し遠いため、LRTのクラナジャヤ線を使います。わずか4駅、KL唯一の地下鉄を通ってパサルスニ駅に戻りました(1.6rm=51円)。 -
[チャイナタウン - マネキンは三度現る]
夜、駅から宿まで歩いていると、ここにもマネキン警備員が働いていました。昼間は交通量が多いため気づきませんでしたが、こちらのマネキンはサングラスを掛けていません。 -
正面から見ると、かなり間抜けな顔です。ちゃんと目描いてあげなくちゃ! ところで、このマネキン、どこで手に入れたのでしょう。
普通、Tシャツなどのマネキンは首から上がありません。帽子などと組み合わせるマネキンは顔がありますが、ユニクロのやつはつるつるで目鼻がない。一方、ジョルダーノ(目次の写真)はオーソドックスな西洋人顔のマネキンを使っています。これか!と思いましたが、少しだけ眉の角度が違うんだよな〜。最後の最後まで謎解きに精を出す私でした。 -
[地図]
この旅行記で紹介したルートはこんな感じです。点と点とつないだ結果、線ではなく円になりました。
黄緑 - スルタン通り
茶色 - ムルデカ公園跡への道
青色 - チャイナタウンからブキッビンタンへ (Pudu通り)
ピンク - ブキッビンタン通り
水色 - ビンタンからKLCCへの連絡通路 (予想)
オレンジ - LRTクラナジャヤ線 KLCC駅 - パサルスニ駅
赤い点 - 左下から、パサルスニ駅、演劇協会、ムルデカ公園跡、マッサージ激戦区、パビリオン、KLCC公園、KLCCスリア -
[まとめ]
今回の旅のを振り返ってみると、地下鉄工事、活動家の戦略、中国人の出稼ぎ、マックの時給、日本企業奮闘記、クオリティ・ライフ、などと日経ビジネスみたいな内容になってしまいました。おかしいな〜、私は中華街、ビンタン、KLCCとメジャーな観光地を見て回っただけなんですけどね。かっこ良く言えば、これが大人力です。
翌朝、窓から顔を出してみると、駅や工事現場だけでなく、反対派の垂れ幕(写真)や、Love Jalan Sultanの落書き、マネキン警備員もすべて部屋から見えていました。なぜもっと早く答えを出せなかったのか..。私の大人力なんて、まだこの程度。落合某氏なら、ビール飲んでる間に全てを悟っていたに違いありません(笑)。私もモサドや政府要人と繋がっちゃおっかな〜。
[リンク集]
==マレーシア旅行記一覧==
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==国内旅行記一覧==
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==海外旅行記一覧==
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