2013/08/02 - 2013/08/02
3082位(同エリア5603件中)
世界攻略者さん
- 世界攻略者さんTOP
- 旅行記213冊
- クチコミ2件
- Q&A回答0件
- 2,416,107アクセス
- フォロワー69人
街歩きファンのみなさん、こんにちは。クアラルンプールと聞いて、どんなイメージが浮かぶでしょうか。私の中では、KLは近代的なビルやデパートが中心の無機質でつまらない都会、そんなイメージでした。でも、実際にはその逆。古くて個性ある建物が並ぶ、実に散策しがいのある町なのです。まずは入門編「歴史ある建造物」巡りから、ご案内いたしましょう。
**情報は、2013年8月のもの。1リンギット=32円で計算。
==クアラルンプール ウォーカーズ シリーズ一覧==
①チャイナタウンでまったり
http://4travel.jp/travelogue/10794525
②歴史ある建造物編 <==
http://4travel.jp/travelogue/10794545
③多様な民族マーケット編
http://4travel.jp/travelogue/10939353
④大人の社会派観光
http://4travel.jp/travelogue/10942110
⑤電車でGO - モノレール・ループ編
http://4travel.jp/travelogue/10802253
⑥電車でGO - 郊外住宅見学編
http://4travel.jp/travelogue/10806703
⑦クアラルンプール両替 虎の巻
http://4travel.jp/travelogue/10797388
⑧マレーシアの安ビール事情
http://4travel.jp/travelogue/10942190
⑨バルセロナ vs マレーシア選抜 生観戦
http://4travel.jp/travelogue/10801004
⑩-⑪ 執筆予定
== KL関係 ==
ペトロナス・ツインタワーの見え方研究 全4作
http://4travel.jp/travelogue/10804350
PR
-
[目次]
ヘリテージ・ウォーク
ショップハウス巡り (中華街からリトル・インディアへ)
歴史ある場所 (金曜モスク、ムルディカ広場、植民地建造物)
KLシティ・ギャラリー
国の大型施設 (国立モスク、マレーシア国鉄、国立博物館)
KLセントラル (ブリックフィールド)
散策ルート
まとめ -
[ヘリテージ・ウォーク]
「歴史ある建物巡り」。私がこのテーマに関心を持ったのは、「クアラルンプール Walks and Tours Map」という地図を手にした時でした。どこでもらったか覚えてませんが、KL中心部をわかりやすく描いた、大変使い勝手のいい地図です。普通の地図と違うのは、建物紹介に重点を置いているところ。例えば、特徴的な建物には番号がふられ、別枠で写真付きで紹介されています。
こんな丁寧な地図があるのなら、利用しない手はないでしょう。観光地巡りに加え、めぼしい建物も散策ルートに追加していきます。その結果でき上がったのが、今回の大周遊コース。チャイナタウンを起点とし、反時計まわりに見所を巡ります。
写真: 使用した地図。黄色いルートは前半部分(チャイナタウン -> ムルデカ広場) -
[ショップハウス巡り (中華街からリトル・インディアへ)]
地図によると、歴史のある建物は、主にチャイナタウン北側に点在しています。もちろん、中華街にも年代物のショップハウスは沢山あります。ただ、どちらかといえば古びた感じでいまひとつ。そのため、チャイナタウン内の建物紹介は、寺院などが中心となっています。
というわけで、まずは北上し、リトル・インディアを目指します。スタート地点はどこでもいいのですが、プタリン通り北入口か関帝廟(写真)あたりがいいでしょう。 -
関帝廟からH.S.リー通りを北に進むと、交通量の多い大通りにぶつかります。早速、ここで最初の物件を紹介。右角にある黄色い建物には、「STYLO」というマレーシアで最も古い床屋が入居しています(since 1937)。つまり、この建物は戦前からあり、街の歴史もそれほど長くないことがわかります。だからって、いちいち看板で「マレーシアで最古のバーバー」とかアピールしなくてもね..。
中はインド人従業員の働く普通の床屋さん。なぜか椅子は日本製で、散髪代15RM(480円)は、高くもなく安くもなく。よく見ると、度重なる舗装で道路が高くなった分、店舗一階が地面に深く沈みこんでいるではありませんか!
紹介記事(英語): http://www.themalaymailonline.com/malaysia/article/a-trade-that-stood-the-test-of-time-in-the-heart-of-kl -
大通りを渡り、チャイナタウン北側へ。この一帯は古くからKL中心地であったため、植民地時代に建てられたショップハウスが今も多く残っています。特に凝った建築スタイルを採用したものが多く、地図でも多数紹介されています。写真はそのうちのひとつ。プタリン通りから大通りを越えた先にあるオランダ・パトリシャン様式の店舗群(1920)です。こんな教会風のデザインでも、中に入っているのは、靴屋や金物屋などの普通のお店。地元の人からすれば、ただの古い建物に過ぎないのでしょう。
ショップハウスなので、一階が店舗、二階が住居になっています。二階は人が住んでいるはずなのですが、生活感はあまり感じられません。洗濯物とかは、外側から見えない屋上や中庭に干すのでしょうか。 -
==セントラル・マーケット==
大通りを西に進むと、右側にセントラル・マーケットが出てきます。ここは、かつて肉や野菜の生鮮品マーケットだった場所。1986年以降、民芸品マーケットとして生まれ変わりました。
建物は1888年建造で、現在のアールデコ調になったのは1936年から。例の地図には、ゴシックとかアールデコとか建物ごとに記載されているのですが、正直違いがわからないのも少なくありません
URL: http://www.centralmarket.com.my/
グーグルマップ:
https://www.google.co.jp/maps/@3.144979,101.69536,3a,75y,357.16h,99.87t/data=!3m5!1e1!3m3!1s3U9YzW2lUbgAAAQIuBdvmg!2e0!3e11 -
中をチェックしてみます。ただの土産物センターと侮どるなかれ。内部はすごく広い上、お店もテーマごとに整理されています。二階には各国フードコート、すぐ裏には美術品通り。こんな観光客御用達のマーケットが、チャイナタウンから徒歩5分の場所にあるんだから、便利ですよね。
グーグルマップ:
https://www.google.co.jp/maps/@3.145315,101.695375,3a,90y,120.14h,92.16t/data=!3m5!1e1!3m3!1sCQKQqc7trf8AAAGusm7SqQ!2e0!3e11 -
このマーケットのすぐ横にも、ショップハウス風店舗が並んでいます。デザインはネオクラシカル(1930)。その中で私が注目したのは、テナントに入っているケンタッキー・フライドチキン。この写真を見て何か違和感ありませんか?
普通、ショップハウスの店舗は1階部分だけで、二階が使われることはありません。二階の装飾された外窓がお店に不向きなのでしょう。でも、このKFC、逆にその大きな窓を利用して、二階も客席として活用しているのです。珍しいぞ、よくやった! -
セントラルマーケットとショップハウスの間には、屋根付きの通路が設置されています。ここにも露店風の店が並んでおり、軽くひやかしながら、北に進んでいきます。
グーグルマップ: https://www.google.co.jp/maps/@3.144994,101.695755,3a,75y,342.08h,90.28t/data=!3m5!1e1!3m3!1s7951ltOgr-0AAAQIuBdvvw!2e0!3e11 -
==リトル・インディアへの道==
通りをまっすぐ歩いて行くと、古い時計台(1937)のある広場に出ます。ここが、オールド・マーケット広場と呼ばれる場所。かつては、麻薬やギャンブルの盛り場(by 中国人資産家)だったり、噴水のある娯楽センター(by 英国人資産家)だったりと、何度かキャラを変え、現在では銀行と送金屋が並ぶ金融街の一部となっています。
正面左に見えているのが、HSBC銀行のビル。広場の両側には3階建ての小奇麗なショップハウスが並びます。ここから西に進めばムルディカ広場があるのですが、別のショップハウスを求めて、さらに北上していきます。
グーグルマップ: https://www.google.co.jp/maps/@3.147062,101.695894,3a,75y,277.65h,102.58t/data=!3m5!1e1!3m3!1snozzL5_4VCIAAAQJMzzQeQ!2e0!3e11 -
HSBCビルの右にあるアンパン通りを北上。道なりに進むと、LRTの高架をくぐってインド人街に至ります。KLには、リトル・インディアと呼ばれる通りが幾つかありますが、ここもそのうちの一つ。インド人経営の貴金属店、レストラン、アパレル、音楽ショップ、売店などが並びます。
-
かつて、南インド出身者が金貸し業を始めたのが、このアンパン通り。それが、リトル・インディアの存在と、周辺銀行の多さにリンクしている気がします。セントラルマーケット以降、3階建ての豪華なショップハウスが多いのは、やはり財力のある人達がこの一帯を仕切っていたからでしょう。とはいえ、一階店舗部分に限って見れば、やはり普通のお店です。
-
この通りには、ショップハウスを改装したユニークなブティック・ホテルがあります。名前は、ストレートに「ホテル1915」。でも、老舗ホテルとかじゃないですよ。よく見ると、すぐ後ろに近代的な客室用ビルがあるんです。というわけで、歴史を味わえるのは外観とロビーだけでした。
URL: http://www.hotel1915kl.com.my/ -
ここまで、やや特殊なショップハウスばかり紹介してきましたが、シンプルなものもあります。例えば、リトル・インディア近くのLRT高架沿いに並ぶお店は比較的スタンダードな外観をしています。しっくいの白い壁 + 傾斜のある瓦屋根。窓の装飾も少なめです。ここにも、華人経営の味のある籠屋などがありました。
いろんなお店を見てきて思うのは、ショップハウスには国籍がないということ。言い換えれば、ただの店舗用のハコです。建築スタイルがどうであれ、お店にカラーを加えるのは、看板や商品、そこで働いている人達です。マレーシアの人々が建物の古さや装飾に無頓着なのも、結局はそういうことなのだと思います。 -
[歴史ある場所 (金曜モスク、ムルディカ広場、植民地建造物)]
もう、ショップハウスはお腹いっぱい。続いて、著名な歴史スポットを巡っていきます。
==マスジッド・ジャメ==
高架下の道を北西に進むと、マスジッド・ジャメ駅が出てきます。駅名が示す通り、この駅の隣には、マスジッド・ジャメ(金曜モスク)があります。素焼きレンガの壁と白い玉ねぎ状のドーム、KLを代表する美しいモスク(1909)です。設計者はなんとイギリス人で、建築家のA.B.ハボック。ムガール様式を意識したデザインになっています。 -
私が訪れた時は、リノベーションのため旅行者の立ち入りは制限されていました(こっそり、入りましたが)。でもご安心を。このモスクは、外から見るだけでも美しいんです。オススメは、HSBCビル隣から川を挟んで見る眺め(写真)。ヤシの木が南国風味を演出していますね。また、LRTアンパン線のホームからだと、モスクを上から見下ろせます。
ちなみに、クアラルンプール(泥の合流する場所)の名前の由来となっているクラン川とゴンバック川は、このモスクの南側で合流して川幅を広げ、さらに南へと流れていきます。言ってみれば、このモスクのある場所こそが、KLの原点です。
グーグルマップ:
https://www.google.co.jp/maps/@3.148885,101.695644,3a,75y,209.76h,78.14t/data=!3m5!1e1!3m3!1slOaE5rtLPwEAAAQJLFLoTQ!2e0!3e11 -
==ムルデカ広場==
モスクの後、さらに高架沿いに歩いて行くと、大通りが現れ、その斜め左にムルデカ広場が見えてきます。ムルデカとは、マレー語で独立の意。この広場自体はただのクリケット場でしたが、その名が示す通り、ここでマレーシアの独立宣言(1957)が行われました。
グーグルマップ:
https://www.google.co.jp/maps/@3.149469,101.693846,3a,75y,95.43h,94.75t/data=!3m5!1e1!3m3!1sV50ii3AmXMwAAAAAAABWEw!2e0!3e11 -
芝生の上を歩いて、記念碑のある方まで行ってみます。ここにある国旗ポールは、なんと高さ100メートル。ということは、あの旗は5メートルくらはあるのかな。その割には、いつ見てもはためいてますね。
-
1957年8月31日、マラヤ連邦の初代首相トゥンク・アブドゥル・ラーマンが、背筋をピンと伸ばしてマレーシアの独立を宣言しました。
-
国旗ポールのすぐ横には、歴代首相の肖像画が順番に並べられています。一番左は、先ほどのトゥンク・アブドゥル・ラーマン初代首相。4番目が、おなじみマハティール首相。一番右が、現職のナジブ・ラザク首相。彼の顔は、政府系のポスターなどでよく見るはずです。しかし、建国55年で6人って。歴史の授業、楽そうでいいですね。
-
==植民地建造物==
英国統治時代、ムルデカ広場周辺は植民地経営の中枢として機能していました。そのため、重厚なムガール様式の建物がいくつも残されています。例えば、旧連邦政府ビル(1894)、旧最高裁判所(1909)、市立劇場(1896)、ワワサン・レストラン(1919、写真)、王立セランゴール・クラブ(1884、チュダー様式)など。写真的には、広場よりもこちらの方が見所かな。これらの建物に関しては、観光案内所にある「Merdeka Square Guide」小冊子がわかりやすく解説しています。 -
この中で注目は、やはり巨大な旧最高裁判所ビル(スルタン・アブドゥル・サマド)。マレーシアで最初にムガール様式が取り入れられた建物で、全長137メートル、高さ41メートル(時計台)の姿は圧巻です。昼間も貫禄ありますが、週末のライトアップはさらにフォトジェニック(写真)。
-
[KLシティ・ギャラリー]
さらには、広場南側に「KLシティ・ギャラリー」という観光施設(1898、入場無料)があり、こちらも観光客で賑わっています。ムガール調の建物で、かつては政府の印刷機が中に置かれていました。しかしながら、随分おしゃれな印刷所ですね!
このギャラリーは、観光案内所も兼ねています。建物の前には「I LOVE KL」のオブジェ。みんなここで記念撮影するので、町のいい宣伝になってます。
URL: http://www.klcitygallery.com/index.html
**後ろの建物は図書館
グーグルマップ:
https://www.google.co.jp/maps/@3.147243,101.693283,3a,90y,303.23h,100.28t/data=!3m5!1e1!3m3!1snFRUm-IQFeUAAAGusm7Sqw!2e0!3e11 -
受付に入るとすぐ、壁に描かれたKL地図と建物解説が出てきます。どこかで見たことあるな〜、と思ったら、私が手に持っている地図と同じものでした。そう、私が活用している地図は、この施設を運営する団体が作成したものだったのです。どおりで、KL・シティギャラリーが地図上にデカデカと宣伝されていたわけだ。
**例の地図は、ここでも無料配布されています。 -
==ジオラマ展示==
館内では、ツーリスト向けの展示がいくつか行われています。例えば、町の歴史紹介や写真展など。それに加え、現在最大の売りにしているのが、12M x 15Mサイズでクアラルンプールを再現したジオラマ。大変手の込んだもので、KL中心部の建物が、かなり忠実に再現されています。 -
テーマは昔から未来へ。チャイナタウン(1800)、ムルデカ広場(1880)などの古いエリア。ペトロナスタワー(1997)、KLタワー(1990)などの現代の高層ビル。そして、将来完成予定のビル(透明)も加えたKLの姿を見学できます。
写真: 黄色い点は、左からタイムズ・スクエア(ブキッビンタン)、KLタワー、ペトロナス・ツインタワー。紫の点は、左から国立モスク、ムルデカ広場。 -
これは、ジオラマとは別に制作されたムルデカ広場の模型。
-
==手作りの土産物==
いやー、マレーシアにもTVチャンピオンみたいな職人がいるんですね。と思ったら、展示会場出口にガラス張りの工房がありました。部屋の中では、東急ハンズのような揃いのシャツを着たスタッフが模型のようなものを作成中。 -
そして、その後、流れるように土産物売り場へ。ここで、先ほどの職人さんたちが製作した木製工芸品が購入できます。ここは巨大な印刷機が置かれていた場所なので、天井も高く広々。ゆったりとした気分で、お土産選びができます。
-
多くの作品は、ベニア板程度の薄さで立体化された木の絵画。モチーフは、モスクや伝統建築、ペトロナスタワー、動植物など。お値段は、写真のペトロナスタワーが58RM(1850円)。より大きなもので390RMほど(12480円)。
-
その他、安いものだとiPhoneの木製スキンが48RM(1500円)で売られています。って、おいおいオレはシティギャラリーのセールスマンじゃないぞ! 結局、この施設は何かというと、ARCH(アーチ)という木細工の工房が運営する政府公認のギャラリーなのです。
案内所だと思ったら騙された! とか言わないでね。街のジオラマは明らかに金がかかっているし、彼らの作る手の込んだ工芸品は、その他大勢の安っぽいお土産とは一線を画しています。ちょっと高いけど、建物同様に品があるではありませんか。 -
[国の大型施設 (国立モスク、マレーシア国鉄、国立博物館)]
関帝廟を出発してから約2キロ。ここまで密度の高い観光ができました。この先は、ムルデカ広場横の大通りを南下していきます。前半と違い、クラン川の西側部分は人が住んでいないので、いわゆる街歩きは期待出来ません。その代わり、国の大きな建物がドンドン出てきます。もし疲れちゃった人は、ここでチャイナタウンに戻るのもありです(約500メートル)。
旧最高裁判所ビルのすぐ後、マレーシア各民族の衣装や生地、製作工程を展示した国立テクスタイル博物館(1905、写真左)が出てきます。入場は無料なので、覗いてみてもいいでしょう。その奥の白いイスラム風のビルは、ダヤブミ・コンプレックス(1984)。KLの中では最も古く建てられた高層ビルのひとつで、チャイナタウンからもよく見えます。 -
==国立モスク==
その後、郵便局を過ぎた辺りで、右側に青い屋根の建物が出てきます。これが、マレーシアの国立モスク(1965)。マスジッド・ジャメのような色気はありませんが、近代的で大きなモスクです。旅行者の観覧時間は9-12AM(金曜以外)、3-4PM、5;30-6;30PMと時間を区切って受け付けられています。 -
モスク入口では、肌を露出している人に紫のガウンが渡されます(無料)。ただ、この制限は比較的緩く、Tシャツと長ズボンの私は、「お前はOKだ」とそのままスルーされてしまいました。うーっ、私もコスプレしたかったのに! 混雑時にはガウンの数が足りず、他の観光客が帰ってくるまで待つこともあります(写真)。
-
しかし、何かスタートレックにでも出てきそうな衣装ですね。どこかの惑星の住民みたい。又は、悪の軍団の手下。ヒューヒュー。
-
館内は自由に散策できますが、絨毯敷きの礼拝堂には入れません。ここが、ちょうど青い屋根の下に当たるはずです。
-
==イスラム美術館==
このモスク周辺には、図書館、博物館などイスラム関連の施設が集まっています。その中で、旅行者も入れるのがモスクの西側にあるイスラム美術館(12RM=380円)。あまり期待してませんでしたが、中に入ると驚きの連続でした。まず、受付の女性からして、超美人。展示は、イスラム文化圏の衣装や装飾品、武器、工芸品、コーランなど。内観も展示も、すべてが洗練されています。一番興味深かったのは、各国のモスクのデザインを模型とパネルで解説したもの(写真)。
URL: http://www.iamm.org.my/i_ex/ -
その中には、インドのタージマハール(写真)も含まれています。ひょっとして、これもアーチの人達が作ったのかな。木製ではありませんけど。
もし、国立モスクに観覧時間外に来てしまったら、こちらを先に覗いてみましょう。イスラムの根底にある美しさを体感できるはずです。 -
==国鉄クアラルンプール駅==
モスクの後、さらに大通り沿いに歩くと、すぐにクアラルンプール駅の白い駅舎(1904)が見えてきます。これは、マスジッド・ジャメと同じくイギリス人建築家A.B.ハボックによるデザイン。彼は、インド経由でマレーシアに渡った後、次々と政府系の建物をデザインしています。植民地時代を代表する建築家で、地図上で「アーキテクト(建築家)」として載っているのは、彼と旧連邦事務局ビルの設計者A.C.ノーマンくらいです。 -
駅に行くには、鉄道本部ビル前にある地下道を通って、大通りを渡ります。
この駅は、KLセントラル駅ができる前までは、マレーシア鉄道の中心でした。今では、ただの途中駅に成り下がっていますが、開放的な内部と長いプラットフォームはかつてのままです。入口から見て、1番線と4番線は、切符がなくても入れます。真ん中の2,3番線はKTMコミューター用のホームなので、切符が必要です。
グーグルマップ: https://www.google.co.jp/maps/@3.139667,101.693665,3a,75y,6.58h,80.88t/data=!3m5!1e1!3m3!1sGetto4AEVloAAAQINSe7HQ!2e0!3e11 -
==国立博物館==
道路の逆側に戻り、さらに歩きます。このクラン川西側部分は見所多いですからね。駅から600メートルほど歩くと、今度は国立博物館(1963)が出てきます。この博物館は戦前からありましたが、近くの列車修理工場を狙った日本軍の誤爆により壊滅。今あるものは、その後、新たに建て替えられたものになります。入場料は5RM(160円)。
URL: http://www.muziumnegara.gov.my/main/ -
本館手前には、伝統家屋や原住民工芸館などがあり、無料で入れます。原住民といっても、マレー人のことではなく、正真正銘の原住民。アフリカ人のように色黒の人達で、地域によっては今も原始的な暮らしをしています。
-
こちらは本館。主にマレーシアの歴史に関する展示が行われています。博物館を訪問するのなら、ボランティアガイドのいる曜日に行くのがベストでしょう。私もそうしました。英語が月-木土の朝10時、日本語が火木+第三土曜の朝10時。私は英語の方に参加しましたが、ガイドはなんとオーストラリア人の女性。日本語のほうも落ち着いた感じの日本人女性がやっていました。つまり、ネイティブによる解説です。しかも無料。
私のガイドは、次から次へと急ぎ足で情熱的に展示物を紹介。あっと言う間の一時間でした。とてもじっくり見る余裕はなかったので、その後、ゆっくり自分のペースで見学しました。 -
館内は大きく4ヶ所に分かれており、先史時代、王国時代、植民地時代、現代の4つ。古代の出土品から王国時代の品々、スパイス貿易の歴史、近代産業など、解説パネルは英語とマレー語のみですが、かなり見ごたえがあります。
写真は、マラッカ征服後、宝物をどっさり積んで出国したポルトガル船「フロール・デ・ラマール」の模型。スマトラ島沖で沈没し、財宝は未だ海の底です。 -
戦時中のセクションでは、日本軍も出てきます。日本軍がマレー半島に上陸したのは、パールハーバー作戦と同じ日。上陸後、日本軍の兵士は持参した自転車に乗って移動。それがとてもマレーシア人の印象に残ったらしく、その自転車が展示されています。
戦後、マレーシアはどのような歴史を歩んだのか。残念ながら、「現代」のセクションは改装中で公開されていませんでした。 -
さて、ここまで歩き続けて、かなり疲れたかもしれません。特にムルデカ広場から博物館まで(2.3km)は、かなり日差しに晒されますからね。そこで、休憩タイムです。
都合のいいことに、この博物館の外には、1RM自販機があるのです。ペプシもマウンテンデューも豆乳ジュースも、すべて1リンギット(32円)。日本でも100円自販機をたまに見かけますが、ここKLでも1RM自販機をたまに見かけます。今回のルート上だと、マスジッド・ジャメ駅、国立博物館、KLセントラル駅など。喉が乾いたら、どんどん飲んじゃいましょう。ちなみに、セブン-イレブンでコーラを買うと、倍額の1.9RM(61円)です。 -
[KLセントラル(ブリックフィールド)]
博物館の後は、すぐそばにあるKLセントラル駅に向かいます。本館前の敷地をそのまま歩いて行くと、道路を越える歩道橋が見えてきます。写真は、その橋の上からの眺め。正面にメルディアン(左)とヒルトン(右)の2つのホテル。駅の建物は、ちょうどその裏側にあります。 -
左側からホテルを回りこんで、駅に到着。ここまで来れば、あとはバスなり電車なり、自由に移動できます。
グーグルマップ:
https://www.google.co.jp/maps/@3.134259,101.686319,3a,90y,159.25h,95.66t/data=!3m5!1e1!3m3!1sG8mfh8rIzsYAAAQWnkLG2w!2e0!3e11 -
でも、まだあるんですよね。駅周辺にもみどころが! KLセントラルは、KL交通のハブとして、急激に発展・拡張を進めるエリア。突然林立するビル群は、どことなく品川を彷彿とさせます。
そんな新しい建物ばかりのKLセントラルですが、その周辺にはどこか下町情緒漂うエリアが残されています。写真は、駅の南側、YMCAの近くにある中華寺院、三教堂。 -
この一帯はかつてレンガ工場が多かったため、ブリックフィールドという名前がついています。その当時から南インド出身の住民が多く、その名残はいくつも残されています。
例えば、駅から600メートルほど東にあるスリカンダスワミ寺院(1902)。デザインは、スリランカのタミル・スタイル。すぐ隣に高層マンションが建てられた今でも、気品ある姿を保っています。
その他、ブリックフィールド南端には、新たに開発されたリトルインディアなどもあるので、時間があれば訪れてみて下さい。
グーグルマップ: https://www.google.co.jp/maps/@3.134105,101.693285,3a,75y,158.53h,111.03t/data=!3m5!1e1!3m3!1sMIkBvuq1f_kAAAQIt-BANw!2e0!3e11 -
これは、駅から大通りを600メートルほど北東に歩いた場所にあるフランス系のカトリック教会(1904)。中国人団体の寄付により設立されました。KLでは、教会はそれほど見かけませんが、ブリックフィールドには、他にも大きな教会が4つあります。さらにはメソジストの学校とYMCAも! なぜだ、なぜみんなここに集まる?
これらの建築物や新リトルインディアについては、KLシティギャラリーに置いてあるパンフレット「リトル・インディア@ブリックフィールド」が大変役に立ちます。ちなみに、このパンフも、アーチが制作に参加。彼らが活躍すればするほど、クアラルンプールの市内観光は、より洗練したものになっていく気がします。 -
[散策ルート]
今回の「歴史ある建造物」巡りは、ここで終点。歩いてチャイナタウンに戻ってもいいし(0.8-1.5km)、駅からバスや電車で移動するのもOKです(わずか一駅!)。全体としては、縦長のサークルになりましたね。
終わってみれば、我ながらよくできたルートだと思います。前半は、地図を片手にチャイナタウンとショップハウス見学。後半は、ムルデカ広場、国立モスク、博物館とツアー客御用達スポットを歩いてカバー。最後は、オプショナルでブリックフィールドの散策。一日で回れる内容で、のんびりマイペースで楽しめます。
唯一の欠点は、詰め込みすぎて長いこと。チャイナタウン(関帝廟)からKLセントラル駅まで約5キロ。さらに、ブリックフィールド全体でプラス3キロ。チャイナタウン散策で、さらに1キロ。もちろん、ホップオン・ホップオフ・バスを使えば、いくつかのポイント(チャイナタウン、セントラル・マーケット、ムルデカ広場、国立モスク、KLセントラル駅、新リトルイディア)へバスで移動できます。ただ、チケット代の元が取れるとは思えないし、観光用バスに頼るような人が迷わず街歩きできるとも思えない。やはり、「全部入り」を目指すなら、徒歩で頑張るのがベストです。
地図:
ピンクの線: 歩行ルート。
赤い点(チャイナタウン): 1. 関帝廟、2. スリマハマリアマン寺院、3. 陳氏書院、4.観音寺。
黄色い点(ショップハウス巡り): 1.リトルインディア、2. オールドマーケット広場、3. セントラルマーケット、4. 古い金物屋、5. 古い床屋。
水色(歴史ある建物): 1. マスジッド・ジャメ、2. ムルデカ広場、3. KLシティギャラリー。
青色(国立施設): 1. 国立モスク、2. イスラム美術館、3. クアラルンプール駅、4. 国立博物館。
緑色(ブリックフィールド): 1. カトリック教会、2. スリカンダスワミ寺院、3. KLセントラル駅、4. 三教堂、5. 新リトルインディア。 -
[まとめ]
見ての通り、KL中心部って実に街歩き向きなんですよね。コンパクトで内容も盛りだくさん。誰だよ、「KLはつまらない町」と流布してまわっている無知な奴は! もちろん、これで終わりではありません。クアラルンプール・ウォーカーズは、まだ創刊したばかり。この後も、ひとり編集長として、テーマの違う街歩きルートを探しては、どんどん発表していきます。
[リンク集]
==マレーシア旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=1&level2=499&level3=&sort=when
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=dm&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
53