パリ祭　パレード

2014/07/10 - 2014/07/17

7月14日のパリ祭は日本でも有名で、ちなんだ催しが日本のデパートやフレンチレストラン等でも開かれるのを見聞きします。しかしパリ祭というお祭りのイメージは日本独特のもので、本場では1789年に市民がバスチーユ監獄を襲って絶対君主制から共和制への革命の端緒となった革命記念日という位置付けでしょう。当日は祝日ではありますが、愛国心を高揚させる国家的な一大イベントという性質のように思えます。
昼の部のメインはシャンゼリゼ通りの軍事パレードで、夜の部としてはエッフェル塔の花火が二大イベントです。
これらのイベントには、沢山の人が押し寄せます。現地で気楽に楽しめると思いきや、両イベント共に間近に観ようとするなら3時間は立ったまま待たなければならないそれなりに覚悟のいるものでした。
パレードには57もの軍学校や部隊が参加していました。その一部をご紹介します。

エリア パリ(フランス)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0

• 交通手段: 鉄道 徒歩

７月１４日朝・・・パレードを見ようと押し寄せる市民に対応すべく、シャンゼリゼ界隈の地下鉄の駅は7時頃から封鎖されてしまいます。封鎖される前にシェンゼリゼ通りにたどり着き、一定の区画毎に区切られたフェンスの前に並んで、手荷物検査を受けて場所を確保しなければなりません。
10時近くになるとパレード開始に向けた動きが本格化します。写真はシャンゼリゼ通りをフランス共和国騎馬親衛隊と共に式典会場に向かうオランド大統領。

フランス三色旗を空に描くジェット機によるデモンストレーション。この後には大型機を含めて50機余りもの飛行機が続きます。
この後10時45分にパレードが始まりました。

パレードのトップはエコール・ポリテクニーク
技術将校養成のための理工系大学(フランス独特の高等専門教育機関で日本の大学とは異なるようですが・・・)の美しくも頼もしいリケジョ達。誇らしげに着用しているナポレオン由来の二角帽子が、歴史と伝統を感じさせます。

国家警察の士官学校
1901年に創設された国家警察の士官養成学校の生徒達です。手にしている剣は刃のように「安全、純粋、強固」であれとの象徴とか・・・。

サン・シール陸軍士官学校
シャルル・ド・ゴールをはじめ多くの元帥や大統領を輩出しているエリート校。もともとはナポレオンの命により1803年に創設されたもので、ナポレオンの言った「彼らは勝つために学ぶ」がこの学校のモットーになったそうです。着ている制服も1845年の歩兵士官の正装とのこと。

空軍大学校
空軍らしいオーソドックスな制服制帽です。飛行機が戦争に登場するようになったのを受けて1933年に設立されたとのことです。訓練用の飛行場確保の観点から、現在はサロン=ド=プロヴァンスに所在しています。

陸軍NCOアカデミー
下士官養成の学校で、サン=メクソンに学校があり、毎年軍等から2000人を受け入れて訓練しているのだそうです。

フランス共和国歩兵親衛隊
議会等の主要な政府施設や大統領はじめ要人の警護などを任務とする部隊で、騎馬の部隊と歩兵の部隊とに分かれています。更に、歩兵の部隊は第一と第二に分かれ、第一の部隊は国家儀礼等でフランス共和国の威厳を保つべく身長175cm〜185cmの隊員で揃えているのだそうです。

第1歩兵連隊
この連隊の起源は古くなんと1479年にフランス東部のピカルディで生まれた部隊で、その戦績はヨーロッパの歴史を作ってきたようなものでしょう。当時の戦争は傭兵に依存し、傭兵はスイス出身が多かったのです。この部隊のエンブレムは赤字に白十字で、創設時はスイス傭兵により編成されたと言われています。

第1スパッヒ連隊
オスマントルコの騎兵スパッヒ由来の部隊で、フランスのアフリカ経営を支えてきた部隊でしょう。昔のイスラムの戦士を彷彿させるマントは伝統的な正装なのだそうです。

第132陸軍犬大隊
沿道の子供達から歓声が上がったのは、犬の行進。警察犬や軍用犬で有名なジャーマン・シェパードよりは小振りで違う犬種のように見えます。ベルジアン・シェパード・マリノアでしょうか。この大隊では年に約250頭を訓練し、麻薬や爆発物の探知等に活躍しているのだそうです。

第8海兵歩兵落下傘連隊
1951年に仏領インドシナで設立された部隊で、NATOや国連の平和維持活動を支える精強な方々です。チャド、レバノン、クウェート、ルワンダ等々世界中の紛争地域で活躍していますが、2008年8月18日アフガニスタンでは10名の隊員がタリバンの待ち伏せ攻撃で亡くなっています。

パリ消防隊(Paris Fire Brigade)
将軍や軍幹部がパレードしている時には、シーンとしている沿道の市民が、盛んに拍手を送っていたのがこの消防隊員の皆さんの行進。
命懸けで火災等から市民を救出して守っているのでしょう。身近で市民から尊敬され信頼されているのがよく分かりました。

第7機甲旅団
1955年に設けられた旅団で、隊員数は6000人、装甲車両は270台を有するとのことです。コソボ、アフガニスタン、コートジュボワールといった紛争地域に派遣させられています。

第61砲兵連隊
部隊は1910年に創設され、両大戦含めて現代の紛争や国連の活動に参加しているとのことです。写真は同連隊の無人航空機(ドローン)です。

第1偵察大隊
この大隊のモットーは"Coping"・・・「対処する」というところでしょうか。先遣隊・偵察は危険度も高く、第1次大戦のフランスの勇猛果敢な英雄ジロンド中尉にちなむ部隊名を持っています。

第92機械化歩兵連隊
1791年に編成された連隊で、歴史的な戦いでは重要な役割を担ってきました。写真の車両はフランスの誇る歩兵戦闘用装甲車両でVBCIと呼ばれるものです。操縦手・砲手2名と9名の兵員を搭乗できるそうです。

第1猟騎兵連隊
いよいよ機甲師団の中核となる戦車部隊の登場です。今年のパレードのテーマは「力強さと現代の軍」とのことで、このテーマなら、フランスの最新鋭戦車の登場は欠かせないでしょう。

フランスの最新鋭戦車ルクレールです。最高速度は時速72キロで疾走し、主砲(52口径120mmの滑腔砲)は各種センサーやレーザーで照準が合わされて驚異的な命中率を誇るといわれます。日本の自衛隊の新鋭戦車10式も負けていないと思いますが、兵器をめぐる技術革新のスピードは驚くばかりです。

フランス共和国騎馬親衛隊
パレードのしんがりはフランス共和国騎馬親衛隊による騎乗でのファンファーレが披露されます。
この時は11時45分頃、朝の6時過ぎから、立ちずくめの長い半日でありました。