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 葉山町上山口にある新善光寺は浄土宗のお寺で不捨山摂取院新善光寺という。木造の阿弥陀三尊像を善光寺式(善光寺如来)に作って本尊としている。三尊全体の背後を大きな1枚の舟形光背がおおっている。これにより「一光三尊」と阿弥陀如来の印相(両手の示す形)が「刀印」(下げた左手の人差し指中指を伸ばし、他の指を曲げる)という独特のもの(善光寺形式の一光三尊)である。本尊は厨子に納まり、その前立ちとして銅造鍍金の阿弥陀三尊立像(元禄9年(1696年)銘)を祀っている。本尊は絶対秘仏で誰も見ることができないが、前立三尊如来は7年に一度のご開帳がある。<br /> 歴史書「吾妻鏡」によると新善光寺本尊は時の住職が気に入らないと観音像が横を向くとある。現在は正面を向いているという。<br /> 鎌倉幕府を開いた源頼朝が旗上げする前年の治承3年(1179年)、長野の善光寺は礎石のみを残して全焼した。幕府が開かれ、鎌倉時代になった文治3年(1187年)に、幕府から善光寺再興の沙汰がだされ、建久8年(1197年)、頼朝は,善光寺再建慶賛(仏像、経巻、堂塔などの完成を喜びたたえる仏事)に参詣し、善光寺如来の分身を請来した。随行していた執権・北条時政が、鎌倉・名越の山荘(場所は不明)に祀った。1年半後、頼朝は落馬が原因で亡くなり、善光寺阿弥陀如来と結びつける声があったことから、名越朝時が善光寺堂を建立し、新善光寺と称した。<br /> 18世紀に、大鵬和尚が本堂を一新し、ほぼ現在の姿になった。本堂は禅宗様式で、内陣が室町時代、脇外陣が江戸時代のものである、内陣、厨子、四脚門が県指定重要文化財になっている。また、寺宝としては、桜井増雄氏の「富嶽櫻図照」(内陣大欄間画)、石田粧春氏の「富貴花」(書院大襖絵)、など多数の美術品がある。<br /> 鎌倉・名越というのは鎌倉・材木座の弁ヶ谷の奥で、長勝寺裏にあたる辺りにあったという新善光寺のことであろう。NPO葉山まちづくり協会のWeb(http://www.hayama-npo.or.jp/hcsm/bunkazai/06.htm)には「鎌倉名越の善光寺」とあるがこれは間違いであろう。<br /> 山門には「秋の七草 第六番 藤袴の寺 新善光寺」の看板が掛かっている。春の椿や白木蓮に始まり、現在はつつじ、その後は山百合や紫陽花が境内を飾り、年中花が咲いている花の寺でもある。<br /> 太宰府天満宮や東京スカイツリーのお膝元の牛嶋神社のように牛の銅像があったが、「牛に引かれて善光寺」という訳ではなく、葉山牛の生産者が建てた「牛魂碑」であった。<br />(表紙写真は新善光寺本堂)

新善光寺(神奈川県三浦郡葉山町上山口)

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2014/05/06 - 2014/05/06

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ドクターキムル

ドクターキムルさん

 葉山町上山口にある新善光寺は浄土宗のお寺で不捨山摂取院新善光寺という。木造の阿弥陀三尊像を善光寺式(善光寺如来)に作って本尊としている。三尊全体の背後を大きな1枚の舟形光背がおおっている。これにより「一光三尊」と阿弥陀如来の印相(両手の示す形)が「刀印」(下げた左手の人差し指中指を伸ばし、他の指を曲げる)という独特のもの(善光寺形式の一光三尊)である。本尊は厨子に納まり、その前立ちとして銅造鍍金の阿弥陀三尊立像(元禄9年(1696年)銘)を祀っている。本尊は絶対秘仏で誰も見ることができないが、前立三尊如来は7年に一度のご開帳がある。
 歴史書「吾妻鏡」によると新善光寺本尊は時の住職が気に入らないと観音像が横を向くとある。現在は正面を向いているという。
 鎌倉幕府を開いた源頼朝が旗上げする前年の治承3年(1179年)、長野の善光寺は礎石のみを残して全焼した。幕府が開かれ、鎌倉時代になった文治3年(1187年)に、幕府から善光寺再興の沙汰がだされ、建久8年(1197年)、頼朝は,善光寺再建慶賛(仏像、経巻、堂塔などの完成を喜びたたえる仏事)に参詣し、善光寺如来の分身を請来した。随行していた執権・北条時政が、鎌倉・名越の山荘(場所は不明)に祀った。1年半後、頼朝は落馬が原因で亡くなり、善光寺阿弥陀如来と結びつける声があったことから、名越朝時が善光寺堂を建立し、新善光寺と称した。
 18世紀に、大鵬和尚が本堂を一新し、ほぼ現在の姿になった。本堂は禅宗様式で、内陣が室町時代、脇外陣が江戸時代のものである、内陣、厨子、四脚門が県指定重要文化財になっている。また、寺宝としては、桜井増雄氏の「富嶽櫻図照」(内陣大欄間画)、石田粧春氏の「富貴花」(書院大襖絵)、など多数の美術品がある。
 鎌倉・名越というのは鎌倉・材木座の弁ヶ谷の奥で、長勝寺裏にあたる辺りにあったという新善光寺のことであろう。NPO葉山まちづくり協会のWeb(http://www.hayama-npo.or.jp/hcsm/bunkazai/06.htm)には「鎌倉名越の善光寺」とあるがこれは間違いであろう。
 山門には「秋の七草 第六番 藤袴の寺 新善光寺」の看板が掛かっている。春の椿や白木蓮に始まり、現在はつつじ、その後は山百合や紫陽花が境内を飾り、年中花が咲いている花の寺でもある。
 太宰府天満宮や東京スカイツリーのお膝元の牛嶋神社のように牛の銅像があったが、「牛に引かれて善光寺」という訳ではなく、葉山牛の生産者が建てた「牛魂碑」であった。
(表紙写真は新善光寺本堂)

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  • 滝の坂隋道。

    滝の坂隋道。

  • 滝の坂隋道脇のお地蔵さま。

    滝の坂隋道脇のお地蔵さま。

  • 滝の坂隋道。

    滝の坂隋道。

  • 滝の坂バス停。

    滝の坂バス停。

  • 地蔵堂。

    地蔵堂。

  • 地蔵堂の地蔵菩薩。

    地蔵堂の地蔵菩薩。

  • 「交通安全観世音菩薩勧請由来」。

    「交通安全観世音菩薩勧請由来」。

  • 交通安全観世音菩薩。

    交通安全観世音菩薩。

  • 交通安全観世音菩薩。

    交通安全観世音菩薩。

  • 交通安全観世音菩薩。

    交通安全観世音菩薩。

  • 子育地蔵尊。

    子育地蔵尊。

  • 石燈籠。

    石燈籠。

  • 石燈籠。

    石燈籠。

  • 子育地蔵尊とお地蔵さま。三界萬霊か。

    子育地蔵尊とお地蔵さま。三界萬霊か。

  • 子育地蔵尊。

    子育地蔵尊。

  • お地蔵さまと石仏。

    お地蔵さまと石仏。

  • 新善光寺参道石段。

    新善光寺参道石段。

  • 新善光寺参道石段脇のつつじ。

    新善光寺参道石段脇のつつじ。

  • 新善光寺参道のつつじ。

    新善光寺参道のつつじ。

  • 「浄土宗 新善光寺」の寺号標石。

    「浄土宗 新善光寺」の寺号標石。

  • 新善光寺参道のつつじ。

    新善光寺参道のつつじ。

  • 新善光寺参道のつつじ。

    新善光寺参道のつつじ。

  • 新善光寺参道石段脇にフクロウの像。

    新善光寺参道石段脇にフクロウの像。

  • 脇参道。

    脇参道。

  • 「南無阿弥陀佛」六字の名号を彫った古びた六字名号塔。

    「南無阿弥陀佛」六字の名号を彫った古びた六字名号塔。

  • 地蔵堂。

    地蔵堂。

  • 地蔵堂の「延命地蔵尊」。

    地蔵堂の「延命地蔵尊」。

  • 六地蔵堂。

    六地蔵堂。

  • 六地蔵堂。

    六地蔵堂。

  • 六地蔵。白地に黒のチェックのコートに赤地に黒のタータンチェックの前掛と頭陀(ずだ)袋に右3体には頭巾。<br /><br />檀家の人たちが四季折々に衣替えをしているのだという。夏はアロハ姿とも。

    六地蔵。白地に黒のチェックのコートに赤地に黒のタータンチェックの前掛と頭陀(ずだ)袋に右3体には頭巾。

    檀家の人たちが四季折々に衣替えをしているのだという。夏はアロハ姿とも。

  • 「南無阿弥陀佛」六字の名号を大彫りした新しい六字名号塔。

    「南無阿弥陀佛」六字の名号を大彫りした新しい六字名号塔。

  • ここにもフクロウの像。

    ここにもフクロウの像。

  • フクロウの像。

    フクロウの像。

  • 新善光寺山門。

    新善光寺山門。

  • 新善光寺山門。

    新善光寺山門。

  • 山門に掛かる「不捨山」扁額(伊東深水書)。

    山門に掛かる「不捨山」扁額(伊東深水書)。

  • 山門に掛かる「秋の七草 第六番 藤袴の寺 新善光寺」の看板。

    山門に掛かる「秋の七草 第六番 藤袴の寺 新善光寺」の看板。

  • 石燈籠。

    石燈籠。

  • ここにもフクロウの像3体。

    ここにもフクロウの像3体。

  • フクロウの像。

    フクロウの像。

  • フクロウの像。

    フクロウの像。

  • フクロウの像。

    フクロウの像。

  • 三重石燈籠。

    三重石燈籠。

  • 新善光寺山門。

    新善光寺山門。

  • 橋を渡るとお堂。

    橋を渡るとお堂。

  • お堂。

    お堂。

  • 「神奈川県指定重要文化財 新善光寺本堂 1棟、 (附厨子) 1基、新善光寺四脚門1棟」史跡看板。

    「神奈川県指定重要文化財 新善光寺本堂 1棟、 (附厨子) 1基、新善光寺四脚門1棟」史跡看板。

  • 歌碑と掃除の小僧像。

    歌碑と掃除の小僧像。

  • 新善光寺山門。

    新善光寺山門。

  • お地蔵さま。

    お地蔵さま。

  • 観音像。

    観音像。

  • 石に彫られた観音像。

    石に彫られた観音像。

  • 蹲(つくばい)。

    蹲(つくばい)。

  • 木魚で眠る小僧。

    木魚で眠る小僧。

  • 新善光寺本堂。

    新善光寺本堂。

  • 新善光寺本堂。

    新善光寺本堂。

  • 新善光寺本堂。

    新善光寺本堂。

  • 新善光寺本堂向拝。

    新善光寺本堂向拝。

  • 新善光寺本堂の木鼻。

    新善光寺本堂の木鼻。

  • 新善光寺本堂の木鼻。

    新善光寺本堂の木鼻。

  • 新善光寺本堂。

    新善光寺本堂。

  • 新善光寺鐘楼。

    新善光寺鐘楼。

  • 新善光寺鐘楼。

    新善光寺鐘楼。

  • 新善光寺鐘楼。

    新善光寺鐘楼。

  • 石仏。

    石仏。

  • 石燈籠。

    石燈籠。

  • 小庵。

    小庵。

  • 「報魂碑」。

    「報魂碑」。

  • 「庫裡慈孝院建立献志芳名」。

    「庫裡慈孝院建立献志芳名」。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 庫裡。

    庫裡。

  • 庫裡の銅燈籠。

    庫裡の銅燈籠。

  • 庫裡の兎と小僧像。

    庫裡の兎と小僧像。

  • 三重石塔は珍しい。

    三重石塔は珍しい。

  • 石桶。

    石桶。

  • 大仏。

    大仏。

  • 「絵馬奉納所」。

    「絵馬奉納所」。

  • 大仏。

    大仏。

  • 「月影の いたらぬ里は なけれども ながむる人の 心にぞすむ 法然上人」歌碑。

    「月影の いたらぬ里は なけれども ながむる人の 心にぞすむ 法然上人」歌碑。

  • 法然上人像。

    法然上人像。

  • 法然上人像。

    法然上人像。

  • 葉山牛の生産者が建てた「牛魂碑」。

    葉山牛の生産者が建てた「牛魂碑」。

  • 「牛頭観世音」と「馬頭観世音」。

    「牛頭観世音」と「馬頭観世音」。

  • 動物供養塔とお地蔵さま。

    動物供養塔とお地蔵さま。

  • 「動物の墓」。

    「動物の墓」。

  • 動物供養塔の子育地蔵。

    動物供養塔の子育地蔵。

  • 動物供養堂。

    動物供養堂。

  • 動物供養堂のお地蔵さま。

    動物供養堂のお地蔵さま。

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