2014/04/28 - 2014/04/28
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滝山氏照さん
京王電鉄高尾山口行と京王八王子行とが分岐する北野駅北口から北進して3分、西側に走る八王子バイパスのトラック騒音を遮るほどの樹林に囲まれた静寂な地に北野天満社(きたのてんまんしや、東京都八王子市北野町)があります。
創建時期は不明ですが平安時代後期に武蔵国に発生した小規模武士集団の武蔵七党の筆頭である横山党の一族が自らの安寧と発展を祈願するため京都の北野天満宮から御分霊を勧請したものと伝えられています。
横山氏は多摩川の南側、西は小仏峠から東南に延びて関戸に至る多摩丘陵の中で横山と呼ばれる牧場地(現在の八王子市とその周辺)において平安時代末期で別当職であったと言われています。
その横山氏の出自は小野妹子(おのの・いもこ、6~7世紀)を先祖に持つ小野篁(おのの・たかむら、802~853)の8代孫孝康(たかやす、生没不詳)が武蔵守となって下向、上述の横山の地を開拓して土着、その子義孝(よしたか、生没不詳)が横山大夫と称したことに始まると伝えられています。
そして当然のことながら武士の棟梁源氏との結びつきは古く、前九年の役(1051~1062)源頼義(みなもと・よりよし、988~1075)に随身した横山経兼(よこやま・つねかね、生没不詳)は安倍貞任(あべの・さだとう、1019~1062)の首級を挙げ、頼義の命により「首懸けの儀」の名誉に浴しています。
子孫たちも保元・平治の乱に参戦、また平家追討の一ノ谷・屋島・壇ノ浦の合戦でも源氏の御家人として活躍をし、鎌倉幕府創設後も建久元年(1190)の頼朝上洛時には騎馬随兵300騎を超える中で横山党一族は30数騎を占めるほどの立場を誇ります。
しかしながら頼朝死後、外戚北条一族の勢力伸長の中で和田義盛(わだ・よしもり、1147~1213)は北条氏の計略に陥り乱を起こし、その際時兼(ときかね、1153~1213)を主家とする横山氏一族は和田氏との婚姻関係もあり和田氏に与します。
侍所別当としての和田氏勢力は優勢でしたが盟約していた本家筋の三浦氏が直前になって裏切り北条方に寝返ったため戦況逆転、和田義盛の討死を機に横山氏も一族郎党討死し滅亡、それまでの本領である横山荘は没収され幕府重鎮大江広元(おおえ・ひろもと、1148~1225)の知行地となります。
2023年9月22日追記
当該寺のホームページには次のごとく由緒が書かれています。
『 北野天満社御由緒
北野天満社は、北野村の鎮守。旧別当は元横山村の龍華山大義寺(元横山町2、真言宗)であった。
創建年代は不詳だが、武蔵七党の一・横山党の一族が京都の北野天満宮より御分霊を勧請したことに始まると伝えられる。これが「北野」の地名の由来となったという。
天正19年(1591)から万延元年(1860)まで、徳川将軍家より5石の朱印領を寄せられた。当時は毎年1月に徳川将軍へ武運長久の祈寿札を献上する慣例があった。
寛文4年(1664)別当・大義寺の信上法印により社殿が再建された。明治13年(1880)唐破風をもった現在の社殿を造営。昭和51年(1976)には菅公千七十五年忌記念事業として銅板葺きに改修された。
昭和38年(1963)区画整理に伴い、北野石器時代住居(八王子市指定史跡)の遺構が天満社境内に移された。
御神宝として、寛文9年(1669)の銘がある二品良尚親王書の扁額、ツナ式天神の立像(「新編武蔵風土記稿」)に御神体とある)などを所蔵する。
(補足)
天満社の創建について、「新編武蔵風土記稿」は、関東十八代官が置かれた頃、その人々によって勧請されたという伝承を記している。しかし、天正19年に5石の御朱印を受けたのであれば、この伝承は無理があるように思われる。
また、「武蔵演路」は当社を式内社・大麻止の豆の天神社に比定するが、当社自身は式内論社であることを主張していないようだ。』
- 旅行の満足度
- 3.5
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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北野天神社旧参道
右側に天神社と関係してると思われる祀堂等が並んでおり、かつてはこの小路は参道であったと思われます。 -
祀堂
相当な年代を経ていると思われます。 -
古びた墓石
手製と思われますが石碑に刻された文字がすり減って読めません。 -
イチオシ
北野天満社正面
京王線北野駅から北進すると国道16号バイパスに隣接する地に鎮座しています。 -
北野天満社石標
天満社正面左側に「北野天満社」石標が見えます。 -
鹽竈神社石標
境内には末社の鹽竈神社が祀られており安産の信仰を集めています。 -
北野天満社鳥居
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天満社社号標
社格は「村社」となっています。 -
北野天満社境内参道
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北野天満社神楽殿
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手水舎
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イチオシ
北野天満社拝殿
御祭神は菅原道真です。 -
社号板
「天満宮」の宮号が見えます。 -
境内風景
天満宮拝殿から鳥居方向を捉えます。 -
境内
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天満社本殿
いささか手入れが必要です。 -
鹽竈(しおがま)神社拝殿
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境内
鳥居の手前にはけやきの巨木が御神木として立っています。 -
記念碑
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記念碑(裏)
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