2013/09/21 - 2013/09/23
89位(同エリア189件中)
naoさん
2日目は、越前大野と勝山を訪れます。
越前と美濃を結ぶ交通の要衝にある大野は、戦国時代、越前守護として長らく君臨した朝倉氏が織田信長に滅ぼされたあと、1575年、信長はこの地の平定に功績のあった金森長近に統治を任じます。
大野領主となった長近は、「城」、「道」、「水」、「市」の4つを基盤整備の大きな柱として、大野の町を造りあげます。
内濠と外濠をめぐらせた中に石垣を積んで天守閣を構えた大野城、京の都に倣った碁盤の目状の規則正しい通りの城下町、湧き水を生活用水として引き込む水路、七間通りで今も開かれている朝市など、この時の町割りを礎に、以後400年以上にわたって発展を続ける大野は、その町並みが醸し出す歴史的な風情から「北陸の小京都」ともいわれ、今も奥越前の中心地としての地位を保っています。
大野の名物の「七間朝市」は、農家の方々が丹精込めて作った農産物などを、所狭しと路上に並べた青空市場で、毎年春分の日から大晦日までの、朝7時〜11時頃まで開かれ、新鮮な食材の調達と、くったくのない大野弁丸出しのおばちゃん達との会話を楽しみに、朝早くから多くの買い物客が訪れています。
大野は、名水百選に選ばれた「御清水(おしょうず)」をはじめとして、町中に清らかな湧き水が湧き出す日本有数の名水の町で、国土庁の「水の郷百選」にも選ばれるなど、豊かな水資源に恵まれています。
この湧き水は、日常の生活用水や造り酒屋の醸造用として使われているもので、町のいたるところにしつらえられた、「清水」と呼ばれる個性ある水場では、地元の人はもちろん、観光客の喉の渇きを潤しています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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この日は、まず越前大野を訪れます。
福井市内から美濃街道を東に向かって車を走らせていると、山の上に越前大野城が見えてきました。 -
織田信長から大野の統治を任じられた金森長近は、「城」、「道」、「水」、「市」の4つを基盤整備の大きな柱として大野の町を造りあげ、以来、400年以上にわたって奥越前の中心地としての地位を保っています。
では、越前おおの結ステーションにある観光駐車場に車を停めて町歩きを始めます。 -
まず、本町通りにある石灯籠会館清水を訪れました。
日本有数の名水の町として知られる大野には、このように、町のいたるところに「清水」と呼ばれる水場がしつらえられています。 -
本町通りの町並みです。
大野の町は、京の都に倣った碁盤の目状の規則正しい町割りになっています。
では、朝市が開かれている七間通りへ向かいます。 -
七間通りへの途中にある造り酒屋さん。
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七間通りへやって来ました。
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朝市は、もう少し東寄りの三番通りから五番通りにかけて開かれます。
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この郵便ポストがピタッとはまる町並みが待っていてくれそうです。
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七間通りには、世阿弥作の能、「羽衣」と「熊野(ゆや)」のシテのからくり人形があり、それぞれ所定の時間になると道行く人々に優雅な舞を披露しています。
こちらは「七間本陣」というお蕎麦屋さんにある「羽衣」で、10時、12時、13時の3回見ることができます。 -
「羽衣」は、昔話の羽衣伝説を題材にしたもので、人のいい漁師・白龍は、羽衣をなくして悲しむ天女の姿に心を打たれ、舞を見せてもらう代わりに羽衣を返すというお話です。
さて、扉が開いていよいよ天女の登場です。 -
三保の松原に住む漁師・白龍は、ある朝、仲間たちと釣りに出かけた際、松の枝に掛かった美しい衣を見つけ、宝にするため持ち帰ろうとします。
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しかし、それは天女の衣で、持ち帰ろうとした白龍に天女が、「それがないと天に帰れません」と嘆き悲しみ、返してもらうよう哀願します。
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はじめは返そうとしなかった白龍でしたが、あまりにも嘆く天女の姿を哀れんで、「舞を舞って見せてくれるなら羽衣を返そう」と持ちかけます。
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願いが通じたことを喜んだ天女は、羽衣を身にまとうと、月世界の神秘と美しさを称えた舞を舞いながら、富士の峰高く天上に昇っていったとさ・・・。
何ともロマンのある良いお話ですね。
能を楽しんだ後は、朝市を目指します。 -
少し歩くと、「ふくいの伝統的民家」の看板がかかった、とても立派な町屋がありました。
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2階からは鍾馗さまが通りを見下ろしています。
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七間通りの会所の蓋は、朝市がモチーフになっています。
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七間通りと三番通りの交差点にやって来ました。
この辺りから五番通りにかけて朝市が行われています。 -
交差点の角にあるやなぎや薬局さん。
看板にある解毒丸は代々受け継がれてきた家伝薬だそうです。 -
一般的な調剤薬局では滅多にお目にかかることができない道具が陳列されています。
これは薬研(やげん)という道具で、生薬を粉末にする時に用いられます。 -
大野名物の「七間朝市」が店開きしています。
この朝市は、農家の方々が丹精込めて作った農産物などを商う青空市場で、毎年春分の日から大晦日までの、朝7時〜11時頃まで開かれます。
大野弁丸出しのおばちゃん達とのやり取りを楽しみながらの新鮮な農産物の調達に、朝早くから多くの買い物客が訪れています。 -
こちらのお花屋さんでは、商談が成立したようです。
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青物を扱う八百屋さんがあれば・・・
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トマトを山積みにしたお店もあります。
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七間通りの中ほどにある造り酒屋さんの前には、七間清水があります。
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七間清水は、この造り酒屋さん秘蔵の水で、今も仕込み水として美味しい酒造りに欠かせないものとなっています。
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造り酒屋さんのお店の後ろに続く酒蔵の建物です。
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伝統的な町屋の連なりと対峙するように、こちらも400年以上の歴史を誇る朝市のお店が連なっています。
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一つ々々丁寧に編みこまれた鷹の爪。
この単純な網目模様の奥に潜む、愛情のこもった手仕事の温かさが伝わってきます。 -
こちらのお店では、お米などとともに、山椒のすりこぎやミニ盆栽が店先に並んでいます。
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こちらのお店では、商売そっちのけで世間話に花が咲いています。
皆さんとてもいい表情をされています。 -
そろそろ朝市が途切れそうです。
五番通りが近づいてきたのかな・・・。 -
朝市が途切れた、七間通りと五番通りの角には大野市観光協会があります。
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大野市観光協会を過ぎてしばらく歩くと・・・
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寺町通りがあります。
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大野城の東の守りを固めるために造られた寺町には、いろんな宗派の寺院が集められています。
余談ですが、七間通りを、本町通りから寺町通りまで歩くと、この町の道路が碁盤の目状に整然と整備されているのがよくわかります。 -
つぎは、五番通りを少し南に下がったところにある五番名水庵清水をさがしに行きます。
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五番通りにある立派な本屋さん。
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竹を切りそろえて、積み上げている町屋がありました。
竹の丸い切り口が創り出す造形が面白くてカメラを向けましたが、一体何に使うんでしょうか・・・。 -
五番商店街の総合案内所である五番名水庵です。
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この前には、汲みあげた地下水で水場を造っている、五番名水庵清水があります。
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本当にきれいな水がそそがれています。
そろそろ、「熊野(ゆや)」のからくり人形が動く時間なので、七間通りへ戻ります。 -
先程に比べ、七間通りの人出が多くなっているような気がします。
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「熊野(ゆや)」のからくり人形は、七間清水のあった造り酒屋さんのお隣あたりにあります。
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こちらは「山田衣料店」さんにある「熊野(ゆや)」で、9時、11時、14時の3回見ることができます。
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『平宗盛の愛人熊野御前は、故郷の病床の母を見舞いたいと宗盛に願い出ますが許されず、花見にでも行って心を慰めるようにと、花見車で連れ出されます。
一行が花見を楽しむ清水寺に、にわかに熊野御前の涙のような大粒の雨が降りだし、桜の花を散らしてしまいます。
これを見た熊野御前は、病床の母を散る花になぞらえて和歌を詠みますが、この歌に心をうたれた宗盛はその場で母を見舞うことを許し、熊野御前は喜び勇んで母の下へと帰っていきました。』という人情味あふれる「熊野(ゆや)」を楽しみたいと思っていたんですが、あいにく故障中ということで、見ることができませんでした。
朝市はこれくらいにして、町歩きを続けます。 -
織物業の製品検査場だった洋館を再生した平成大野屋:洋館です。
越前おおの結ステーションの向かいにあり、特産品の販売や総合観光案内所などに利用されています。 -
地場産業の発展を目指して、大野市と大野市民が出資して設立された第3セクターが運営しています。
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平成大野屋:二階蔵の前にある水舟清水。
木製の貯水槽で、かつては飲料水の供給や食材の洗い場などとして使われていました。 -
この水舟は、船大工さんが造られたそうです。
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平成大野屋に隣接して、武家屋敷の旧内山家の建物があります。
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正面に見えるのは旧内山家の母屋の建物です。
内山家の主は、窮状にあえぐ大野藩の財政を立て直すため、藩営の物産店「大野屋」を開設した人で、その功績により家老職に就いています。
なお、「大野屋」については三国湊の旅行記で紹介しています。 -
母屋の妻面。
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右側が母屋、左側が離れで、それぞれの建物を渡り廊下がつないでいます。
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離れと渡り廊下。
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開け放たれた離れの縁側から、中庭が望めます。
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塀越しに見た中庭。
中央の松の左に、大野城の天守閣が見えています。 -
離れの前のツゲの大刈込。
ツゲの木をここまで大きくするには、相当年数がかかります。 -
この流れも、旧内山家のもののようです。
先ほど、駐車場の方から母屋を撮影した時、百間堀を挟んだ向かいに面白い建物があったので、それを見に行きます。 -
大野高校と大野警察署が移転した後の、広大な敷地に建てられた学びの里「明倫」です。
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この建物には、大野市有終西小学校、生涯学習センター、大野公民館、視聴覚ライブラリーが入っていて・・・
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大野市の生涯学習の拠点となっています。
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百間堀沿いに植えられた萩が、ほぼ満開を迎えています。
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この建物で最も印象的なのは、圧倒されるような軒の出です。
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もちろんデザイン性もあると思いますが、機能的には、雨や雪の日の子供たちの遊び場を確保してあげようと考えたんでしょうね。
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城山を背景に延びるのは、教室棟だそうです。
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屋根越しに大野城の天守閣が望めます。
では、次に向かいます。 -
新堀清水です。
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高さの違う水鉢が水の流れを表しているんでしょうか・・・。
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水が揺らめく姿はいつ見ても面白いな〜、と思います。
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偶然が作り出す造形の妙を感じてしまうんですよね〜。
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水場から流れ出るせせらぎ。
次は、義景清水へ向かいます。 -
歩いている途中の町家の庭で見かけたアスターと・・・
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コスモス。
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義景清水へ向かう途中には、有名な御清水(おしょうず)があるんですが、後でじっくり見ることにして先を急ぎます。
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義景清水です。
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清流に生育することで知られる梅花藻が、可憐な梅形の花を咲かせています。
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この義景清水には、環境省の絶滅危惧種に指定されている「イトヨ」という魚が生息しているとのことです。
なお、大野が「イトヨ」生息地の南限なんだそうです。 -
義景清水と向き合うように、杉木立に囲まれた朝倉義景の墓所があります。
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朝倉義景は、長らく越前に君臨した朝倉氏最後の越前守護でしたが、1575年、織田信長によって滅ぼされてしまいます。
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苔むした杉の木。
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朝倉義景の墓所に隣接する義景公園にある義景水琴窟。
耳を澄ませば、きれいな反響音が聞こえてきます。 -
では、御清水(おしょうず)へ戻ります。
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御清水(おしょうず)は、水の町大野の中でも最もよく知られた清水で、名水百選に選ばれています。
すでに、たくさんの先客がおられます。 -
縁石や柱では、水面の反射光が揺らめいています。
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子供たちが水遊びに興じています。
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大きな水槽からは、こんこんときれいな水が湧き出ています。
地元の方が水を汲みに来られていましたが、こんなきれいな水を毎日飲めるなんて、羨ましい限りです。 -
名水百選を示す石標。
そろそろ昼食の時間が近づいてきたので、七間通りへ戻ります。 -
この日の昼食は、ここの盛蕎麦をいただきました。
食後も、大野の町歩きです。 -
JR越前大野駅へやって来ました。
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駅舎の横には、駅清水があります。
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水鉢の向こうに、御影石でできた越前竹人形のモニュメントがあります。
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駅前広場には、滝とともに御影石でできた越前竹人形のモニュメントがあります。
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越前竹人形という名前から、ついつい伝統人形だと思われがちですが、昭和27年頃、師田保隆さん、師田三四郎さんという竹細工師の方が、竹籠などを作った後の廃材でなにかできないかと思い立ち、遊び心で作り始めたのが越前竹人形だそうです。
では、次に本願清水へ向かいます。 -
平成の名水百選に選定された本願清水です。
ここ本願清水は、イトヨの生息地として国の天然記念物に指定されています。
スロープを下りてイトヨを探しに行きましょう。 -
この親子もイトヨを探しているようです。
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私も目を凝らして探しましたが・・・
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アメンボウを見つけるのが精一杯でした。
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池に面して建つ大屋根の建物は、大野市の学習施設「本願清水イトヨの里」です。
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イトヨの生態や水の文化を学ぶことができるので、多くの子どもたちや観光客が訪れています。
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では、本願清水を後に、越前大野最後の目的地、篠座神社の御霊水へ向かいます。
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篠座神社の御霊水へやって来ました。
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この御霊水は眼病にご利益があると言われていて、県外からも多くの参拝者が訪れています。
それにしても、注ぎ口の石は変わった形をしていますね〜。 -
どう見ても自然石にしか見えないんですが・・・。
これを見ると、自然の造形力の凄さを思い知らされます。 -
金森長近の時代に、「水」を基盤整備の一つの柱として整備された越前大野は、まさに「水の町」という印象が深く刻まれました。
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