2013/09/21 - 2013/09/23
116位(同エリア355件中)
naoさん
城下町勝山は、1580年の柴田勝安による勝山城築城と併せて整備され、九頭竜川沿いに大きな規模の町が造られました。
近代の勝山は、幕末から明治にかけて煙草産業を中心に発展しますが、煙草の専売制などによる衰退の後、製糸業が主要産業となり、現在も繊維の町として知られています。
現在、城下町として整備された九頭竜川沿いの本町通りを中心に、伝統的な町家が点在する町並みが残っています。
町並みには、造り酒屋、呉服屋、旅館、味噌・醤油屋、茶屋、米屋など、大規模で重厚な商家の建物がよく残っていて、中でもよく目につくのが呉服屋さんで、繊維の町としての特色が現れています。
ここの町家は、平入りで、2階の両妻に袖壁を備えているのが特徴で、中には出桁造りの町家や本格的な卯建をあげた町家も見ることができます。
本町通り以外では、九頭竜川寄りの後町通りや河原町通りにも古い町並みが見られ、特に、河原町通りは花街だった頃の風情をよく留めています。
かつての勝山の町には数多くの清水が湧いていたそうですが、後町通りと河原町通りの中間あたりに潤いのある水辺の風景があります。
うしろまちの大清水と呼ばれる、現存する貴重な清水で、生活用水や川魚のいけすとして後町界隈の人々のくらしを支えてきました。
勝山の町から九頭竜川を渡った西側にある、えちぜん鉄道:勝山駅は、1914年に建てられた、木造2階建ての和洋折衷の建物で、勝山永平寺線の終着駅です。
勝山は北陸地方で初めて電気鉄道が走った町だそうで、駅構内には、実際に動く電車としては日本最古の、1920年式電気機関車「テキ6」が貨車の「ト68」とともに鉄道モニュメントとして展示されています。
勝山の市街地から南東に車で10分程度走った所にある、平泉寺白山神社の前身の白山平泉寺は、白山を霊峰とする山岳信仰の寺院で、戦国時代には、48のお社、36のお堂、6000の僧坊を擁する、巨大な宗教都市だったと言われています。
現在、広大な敷地を有する旧境内のわずか1%に過ぎない、約2haのみが発掘調査されているそうですが、発掘された遺構によれば、お堂などがあった宗教域、僧坊があった居住域、市が開かれた商業域が整備され、僧・職人と商人・一般人が居住する宗教都市だったことが確認されています。
白山平泉寺は、日本では珍しい石造りの都市で、僧がひとつひとつ九頭竜川から運び上げたと言われる石を使った、中世の姿そのままの石畳道や多くの石垣が残され、当時の栄華をしのばせています。
江戸時代以前は、神仏習合(神と仏は同じもの)という考え方があったそうですが、明治のはじめに「神仏分離」が言われ、神と仏を分離する動きが起こったのを受け、平泉寺も仏教色を排除して、新たに神社として出発することになり、現在の平泉寺白山神社の姿になったそうです。
平泉寺白山神社の境内は、うっそうとした杉木立とベルベットを敷きつめたような青々とした苔が調和して幽玄の世界をつくり出しており、昼なお暗いその境内に一歩足を踏み入れると、訪れる者すべからく異次元の世界へ導いてくれます。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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越前大野の次に、勝山へやって来ました。
1580年の柴田勝安による勝山城築城と併せ、城下町として整備された勝山には、九頭竜川沿いの本町通りを中心に、伝統的な町家が点在する町並みが残っています。
勝山市役所の駐車場に車を停めさせてもらって、町歩きに出かけます。 -
本町通りの北側から町歩きを始めます。
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勝山の町家は、平入りで、2階の両妻に袖壁を備えているのが大きな特徴となっています。
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1階下屋と2階袖壁の納まり。
下屋の屋根止めには雲形の細工が施されています。 -
本町通りの町並み。
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この町家の妻側をみると、大屋根の形式をとっているように思われます。
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手前の町家は、平入りではなく道路から少し入った妻面に玄関があります。
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三国恐竜をモチーフにした枡蓋。
この蓋には流雪溝戸書かれているので、道路に積もった雪の投入口なんでしょうね。
雪国ならではの施設ですね。
なお、勝山市は、約1億2千年前の恐竜の化石が発見されたことで有名です。 -
現在、勝山は繊維の町として知られていますが、町並みの中に多くの呉服屋さんがあることで、繊維の町としての特色を見ることができます。
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ちょっと振り返って町並みを見ます。
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本町通りを外れたところに坂道が見えます。
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おたね坂と呼ばれるこの坂には、「お種」という子守りをしていた女性の悲話が残っています。
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本町通りをさらに歩いて行くと・・・
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また呉服屋さんがありました。
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醤油や味噌の醸造場をされている、間口の広い立派な町屋です。
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2階の窓に面白い格子がはめられています。
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本町通りの外灯には、勝山市の花であるサツキがあしらわれています。
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お茶屋さんと並んで・・・
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和菓子屋さんがあります。
こういうのを一石二鳥と・・・、言わないか! -
和菓子屋さんの陳列棚の下にたたずむ石仏。
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こちらは、洋品屋さんと旅館という・・・
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全く関連のない業種が隣り合っています。
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左手に、またまた呉服屋さんが見えてきました。
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こんなに呉服屋さんがある通りも珍しいですね。
まあ、うまく共存されておられるのが何よりですけど・・・。 -
この町屋には、とても背の高い卯建があがっています。
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それにしても、なんで右側をのけものにするんでしょうか。
どう見ても一軒のお宅なのに・・・。 -
こちらは造り酒屋さんです。
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こちらは建築設計事務所のようです。
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事務所の看板がモダンなのが気になりますが・・・。
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神明神社へ続く神明坂。
雰囲気の良い坂道です。 -
坂を昇ったところにある町屋。
ベンガラの紅い格子が目に飛び込んできます。 -
先ほどの造り酒屋さんです。
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本町通りの町並みには、この地方の伝統を伝える町家がたくさん残っていて、とても見応えがありました。
では、大清水のある後町通りと河原町通り界隈を訪ねます。 -
古い洋館の前の通りを抜けると・・・
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大清水の源泉があります。
この清水は、うしろまちの大清水と呼ばれ、生活用水や川魚のいけすとして後町界隈の人々の暮らしを支えてきました。 -
今も、こんこんと清水が湧き出ていて、
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潤いのある水辺空間を造り出しています。
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うしろまちの大清水のお社。
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水辺の風景になくてはならないのが、この柳の木です。
風にそよぐ柳の枝と水の流れは切っても切り離せません。
では、河原町通りの方へ行ってみます。 -
この辺りにも風情のある町屋が並んでいます。
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かつて、河原町通りは遊郭が並ぶ花街だったそうですが、河原町通りに通じるこの辺りもその一角だったんでしょうか・・・。
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河原町通りです。
この町屋は相当年数が経つのか、ところどころ補強されています。 -
先ほどの、うしろまちの大清水の北側にある大清水広場です。
うしろまちの大清水の湧水をここまで引き込み、水辺空間として整備されています。 -
うしろまちの大清水と大清水広場をつなぐ水路。
では、町歩きの次に電車を見に行きます。 -
勝山の町から九頭竜川を西に渡った所にある勝山駅にやって来ました。
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この駅は、えちぜん鉄道:勝山永平寺線の終着駅で、1914年に建てられた木造2階建ての駅舎があります。
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折しも、福井行きの電車が出発を待っています。
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そうこうしていると、福井からの電車が駅にすべりこんできました。
勝山永平寺線はほとんどが単線なので、勝山への電車の到着と入れ替えに発車することになります。 -
いよいよ福井行きの電車が発車します。
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のどかな田園風景の中を、福井目指して走り去っていきました。
「いってらっしゃ〜い」 -
勝山は北陸地方で初めて電気鉄道が走った町だそうで、実際に動く電車としては日本最古の、1920年式電気機関車「テキ6」が貨車の「ト68」とともに、鉄道モニュメントとして駅構内に展示されています。
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「テキ6」は、黒く塗装されているので見かけはいかついですが・・・
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ちょっと小ぶりで、かわいい顔をしています。
実際に動くそうなので、ぜひ走っている姿を見たいものです。
えちぜん鉄道さん、イベントを企画してくれないかな〜。
では、勝山市の南東の山間にひっそりとたたずむ平泉寺白山神社へ向かいます。 -
平泉寺白山神社に着きました。
平泉寺白山神社の前身の白山平泉寺は、白山を霊峰とする山岳信仰の寺院で、発掘調査された遺構によれば、お堂などがあった宗教域、僧坊があった居住域、市が開かれた商業域がそれぞれ整備され、僧・職人と商人・一般人が居住する巨大な宗教都市だったことが確認されています。
当時、48のお社、36のお堂、6000の僧坊を擁していたというから驚きです。 -
では、鳥居をくぐって参拝します。
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まず、精進坂という石段を上って行きます。
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石段の両側には樹齢数百年の杉並木がそびえているので、心地よいマイナスイオンを感じながら歩きます。
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向こうに、次の鳥居が見えているのであと少しのようです。
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鳥居を透かして拝殿が見えるところまできました。
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鳥居をくぐると、境内はまるでベルベットのような苔で覆われています。
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杉の根元からは、ヒコバエが芽吹いています。
自然界の生命力の強さを感じますね〜。 -
杉木立の中に、ひっそりと拝殿がたたずんでいます。
現在の拝殿は江戸時代の終わりに建てられたものだそうです。 -
以前の拝殿は、間口四十五間という我が国最大の建物で、その柱を支えていた礎石が残っています。
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拝殿前の春日燈籠も苔に覆われています。
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拝殿から参道を振り返ってみたところです。
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拝殿の額には「中宮平泉寺」と書かれています。
現在は神社になっていますが、神仏習合時代の名残で、前身が寺院だったことを示しています。 -
拝殿の後ろには、本社があります。
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本社も江戸時代に建てられたもので、総欅造りだそうです。
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本社の前にある、親子の狛犬。
私は初めて見ましたが、珍しいんじゃないでしょうか・・・。 -
「白山妙理大権現」は、神仏習合時代の白山信仰の対象として、全国の白山権現社で祀られていたそうです。
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拝殿の後の石垣には、「賽の河原(さいのかわら)」に倣った積み石があります。
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悲しい運命を背負った方が積まれたんでしょうか。
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平泉寺白山神社の最も奥にある、三宮へと続く石段。
三宮から、霊峰白山への参拝道が続いています。 -
本社の手前に見える石垣は、僧侶がひとつひとつ九頭竜川から運び上げて積んだものだといわれています。
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杉木立の中にたたずむ拝殿。
何とも言えない、いい雰囲気がありますよね〜。 -
では、このあたりで平泉寺白山神社をおいとますることにします。
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この鳥居、よく見ると変な格好をしています。
大きな額を掲げるため、屋根がついているんですね。 -
精進坂の石段を下りきると、一の鳥居です。
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平泉寺白山神社の参道で見かけた杉の木。
根元が大きく湾曲しているにもかかわらず、立派に成長しています。 -
福井のホテルへの帰り道、えちぜん鉄道:勝山永平寺線の永平寺口駅が見たくて立ち寄りました。
永平寺への最寄駅にあたるこの駅は、1914年開業のレトロな駅舎で、映画「男はつらいよ」第9作の柴又慕情で使われました。 -
この駅は、単線営業している勝山永平寺線のすれ違い駅になっているので・・・
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左側の島式ホームが日常的に使われています。
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福井行きの電車が先着して、待機しています。
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しばらくすると、反対方向から勝山行きの電車がやって来ました。
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この間、約3分程度で両方の電車がプラットホームを挟んでご対面です。
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やがて発車時間が来ると、電車は静かに動き出します。
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おのおのの行先目指して・・・
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田園風景の中に消えて行きました。
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福井への帰り道、フロントウィンドウの真正面に眩しいくらいに夕日が燃えさかっています。
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昨日に引き続き、今日もきれいな夕日と対面することができました。
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この旅行記へのコメント (3)
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- pedaruさん 2013/11/19 06:20:14
- 失礼しました
- naoさん
初めまして などと書いてしまいました。2度めの書き込みでした。失礼しました。
pedaruも誰もいない旅行記を何編か書いています。こういうのすきなんですよ。
「誰もいないシリーズ」 naoさんに上を行かれました。
pedaru
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- pedaruさん 2013/11/19 06:10:07
- 人影
- naoさん 初めまして
勝山という町、古い家並みが残っているのですね。こんなの見ると、出かけてみたくなります。
それにしても、人影が全くありませんね〜 はたして人類は生息しているのでしょうか? 人を避けて撮影したとも思えませんが・・・
あっ 発見しました。電車の運転席に人類の化石が・・・人より化石の多い町のようです。
pedaru
- naoさん からの返信 2013/11/19 23:00:42
- 「誰もいないシリーズ」とは、面白いですね〜!
- pedaruさん
私の拙い旅行記にご投票くださってありがとうございます。
勝山の町はほんとうに人通りが少なくて、実際、町歩きをしている時に出会った人は、二桁いかなかったと記憶しています。
Pedaruさんの「誰もいない観光地 卯之町」っていう旅行記、私も拝見しました。
私も「卯之町」や「内子町」に魅かれている一人で、参考にさせていただこうと思って拝見しました。
では、これからもよろしくお願いします。
nao
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