2013/04/26 - 2013/05/06
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fumio0102さん
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巡礼5日目。
寝覚めの良い朝だ。外は快晴、霞のような雲が鐘楼の向こうに漂っている。予報では最高気温17度、巡礼日和である。今日の行程は大きな宿場町オーモンオーブラックまでの16キロ。スローペースで歩ける距離だ。出発前、教会に立ち寄り燈明を灯す。
ホテル前に一頭のロバが引かれてきた。昔ながらのロバを連れた巡礼のうわさは聞いていたが、それに出会うとは思わなかった。初日の吹雪のなか、遠くの巡礼者の横に馬のような影を見たが見間違いではなかった。これはレンタルドンキーで、2週間、ふたりの女の子を連れた家族のお供をしている。登り道や悪路では子供たちも乗る。先日の悪天候では家族を先に送り、父親一人でロバを引いていたようだ。子供たちにはこのおとなしいロバが可愛くてしかたない。午前中はこの家族と相前後しながら山路を登る。ロバは道草を食うわりには意外と足が早い。
昼食は山腹の村のレストランでクロックムッシュを食べる。昨晩の食卓で隣り合わせた若いカップルも同じものを食べていた。一日の行程で食事ができる村はいくつもないので、皆同じところで休憩が入る。
午後は谷あいの美しい牧草地が続く。見渡す限りの草原に吹き抜ける風が心地よい。巡礼路では顔見知りが増えていく。健脚の人を除き、ペースはほぼ同じで、同じ宿場町に泊まることも多いからだ。抜きつ抜かれつ、同じ人と何度も声を掛けあう。今日の初顔ではバチカンの二人連れが追い抜いていった。ザックに国旗を立てている。カソリックかと聞かれたので、違うと答えた。3時過ぎには目的地に着く。教会の横の建物では巡礼者にお茶が振舞われていた。インフォメーションで今夜の宿も決まる。教会でこれまでの無事を感謝する。
そろそろパリへの帰り方を考えなければならない。予定ではあと一日歩けるが、この先の巡礼路には小さな村ばかりで、鉄道駅があるこの町に引き返すことになりそうだ。結局、初回の巡礼はここで終了することにする。わずか5日間の巡礼、ようやくペースがつかめ、足の痛みも気にならなくなったのに残念だ。ひたすら西を目指し無心に歩くことの歓び、情報と準備不足を助けてくれた他の巡礼者への感謝、心に得ることの多い道中であった。
町外れの小さな駅に明日のパリ行きのチケットを買いにいく。窓口で隣りの椅子に女の子を遊ばせた女性が発券してくれた。念のためどちらのホームで待つのか聞くと、乗り換え駅までは長距離バスで、待つのは駅反対側の道路とのこと、危ないところであった。
最後の夕食は個々のテーブル席である。レストランが少ないのか、他の宿の客も多く、賑わっている。顔見知りのテーブルを回り、別れの挨拶を交わす。ほんのわずかの期間であったが、励まし合いながら同じ路を歩いた仲間だ。もう会うことはないだろう。来年、ここに戻り、みんなのあとを追うと伝える。それぞれの巡礼の目的は違えど、ゴールは同じ。遙か西方スペインガリシアの地サン・ジャックだ。このコンポステラ(星の野)にいる者はだれもがそこを目指す。ぼくらはその序についたばかりだ。残す距離は1400キロあまり。全ての巡礼者が無事に旅を終えることを祈りたい。
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サンタルバンの朝。
初めて快晴の朝を迎えた。 -
雲は教会の鐘より低い。
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ホテルの窓から。
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泊まった宿。
メーンストリートである。 -
重たい荷物に、二人の子を乗せても、平気なロバ。
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峠のクロス(十字架)。
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先を行くバチカンの二人。
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谷あいの道を行く。
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こんななだらかな道ばかりが続いてくれれば、楽なんだけど。
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天気が良いと足も軽い。
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いくつもの丘を越える。
頂上の度にひと休み。 -
小さな村を通り過ぎる。
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オーモンオーブラックの教会。
右隅にぼくが写ってる。 -
旅の無事を感謝し、
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蝋燭を灯す。
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パリにもどり、一日余ったので、
翌日、フォンテーヌブロー城を訪れる。 -
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こちらはバルビゾン村。
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素朴な教会。
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ミレーのアトリエ。
質素な暮らしだったのですね。 -
ガンヌの旅籠屋。
画家たちが宿屋代に引き換えに描いた絵が残ってる。 -
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この旅行記へのコメント (4)
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- mistralさん 2013/05/19 19:55:52
- 素敵な写真の数々!
- fumio01102さん
こんばんわ。
mistralと申します。ご訪問,そして投票をありがとうございます。
サン・ジャックへの道,拝見いたしました。
どのお写真もとても澄みきったイメージの写真ばかりで・・・
これはfumioさんご夫妻の心を写しだしているせい?と思っていました。
巡礼者同士がいたわり合いながら旅を続ける様子が感動的です。
私も「星の巡礼」を読んで,いつの日か自らの足で辿ってみたいと
思っていました。
一部づつでも目的の地に近づいているのは
とても素敵なことですね。
応援しております。
- fumio0102さん からの返信 2013/05/20 11:12:39
- RE: 素敵な写真の数々!
- こんにちは。
コメントありがとうございます。
今回の巡礼は、ほんのわずかの期間で、
あまり自慢できるものではないんですが、
まだまだ歩いてる方たちがいて、
今でもときどき、がんばれって心の中で応援してるんですよ。
それだけ、強い思い出になったんだと思います。
昨年のパリでは、アラン・ジュカスの店にしようか迷ったんですよ。
mistralさんの写真をみて、やっぱりここにすればよかったと…。
美味しそうだし、眺めも良いし、次はここに決めました。
余裕があったらですが…。
地方都市の綺麗な写真ばかりで、見ててたのしくなります。
これからも、楽しく拝見させていただきます。
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- パルファンさん 2013/05/18 23:59:48
- 何年かかっても・・
- fumio0102さん お久しぶりです!
サン・ジャックの道、ほんとに歩きはじめたのですね!
出発の旅行記の時は車でかと思ってました〜
4日目、5日目でお天気もよくなり、ペースも出来てきて・・
読んでいてもホッとさせられてきたのに・・今回はもう終わりなんですね!
何年かかっても是非続けられることを願っております〜
それにしても、道中、人々の交わりは素晴らしいですね!
何よりも得難いもの!感動ものです〜〜
ロマネスク教会に目覚めさせてくださったfumio0102さんの旅行記
これからも楽しみにしています。
パルファン
- fumio0102さん からの返信 2013/05/19 10:03:03
- RE: 何年かかっても・・
- おしさしぶりです。
昨年から、また休みがとれるようになりました。
でも、長期は無理なんです。リタイアできればいいんですが。
はやく行かないと思いながら、ようやく一歩目が踏み出せました。
だから今回は、巡礼体験みたいな感じです。
もう少し長ければ、もっと余裕のある旅になっていたのでしょうけど。
来年はもっと準備をしていきます。
パルファンさんのドライブ旅行、写真を見させていただきうっとりです。
やっぱり田舎のまちや村を巡るのはいいですよね〜。
パリから外にでるとホッとしますよね!
スケッチしながらなんて、普通の人にはまねできないし、羨ましいです。
また綺麗な写真と絵を期待してます。
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