2013 サン・ジャックへの道（巡礼4日目）

2013/04/26 - 2013/05/06

巡礼4日目。
昨夜は遠雷と雨音、そのうえ同部屋の暑がりドイツ人が窓を開け放すので、慣れない寝袋にくるまり寝苦しい夜だった。皆、朝食を終え、手際良く支度し出発していく。昨晩、なにかと気を使ってくれたリヨンから来た元気おやじが、良い旅をと挨拶にきた。足の遅いぼくたちとはこれきりということだろう。
ポンチョを被り、巡礼路に出る。小雨に霞む寒村をいくつか通り抜け、農村風景を楽しみながら、順調に距離を稼いでいく。他の巡礼者と追い越し追い越されながらの道中だ。二日前同宿だった若いフランス女性に追いつく。10週間かけてコンポステラを目指している。膝を痛めたのか、ペースが遅い。無事に巡礼を続けて欲しい。
山道に入り、長い登りに汗が噴き出す。景色を見る余裕はなくなり、足元だけ見つめ一歩ずつ登る。登りきると一気に視界が開ける。広大な牧場の向こうに建物が見える。ソバージュの村である。元は教会の救護施設であったジット(宿)とレストランがある。ほかに集落は見当たらない。料理と眺望が評判で、悪路を車で登ってくる客も多いそうだ。せっかくなので昼食をとる。お薦めは牛肉の赤ワイン煮、この地方の定番でやわらくて美味しい。美食の国だけあって、どんな田舎に行っても美味しいレストランがある。
外に出ると雨は上がり青空が出ている。ころころ変わる空模様なので、このまま晴れるのか疑わしい。ここまで既に9キロ。二人とも脚に問題はない。天気に誘われるように、先の宿場町を目指す。
空はようやく晴れわたり、気温もぐんぐん上がってくる。街道にでると立派な教会が現れた。ここからはミディピレネー地方である。教会の木陰で昨晩同宿の夫婦がズックを脱ぎ寝転がっている。こちらに気づき大きく手を振っている。彼らは宿を予約済みなので余裕がある。こちらは次の宿場町にインフォメーションが閉まる前に着きたい。急いだせいか目じるしを見落とし、そのまま街道を下ってしまう。とても引き返す気力はなく、現在地を地図で確認しながら数キロ先の合流地点でうまいこと巡礼路に戻る。
３時半にサン・タルバンの宿場町に到着する。残念ながらインフォメーションは閉まっている。旧市街に降りて行くと、外のカフェテーブルに知った顔が揃っている。リヨンのおやじもいる。ぼくたちの姿に歓声があがる！ここまで２２キロ、歩き通せると思われてなかったのだ。巡礼者として認められたような気がする。目の前のホテルに部屋も確保できた。順調な一日であった。
シャワーを浴び、ベットでうつらうつらしていると、ドアがノックされた。昨晩同宿した夫婦の旦那さんだ。夕食が始まるのにテーブルにつかないぼくたちを心配し呼びに来てくれたのだ。ぼくたちが同じ宿にいることを聞いたのだろう。挨拶しか交わしてないのに、ありがたいことだ。少しずつジットの会食スタイルにも馴染んできた。テーブルには自国から2500キロを完歩し次はこのフランスルートを歩いてるオランダ人、自転車で巡礼中の屈強なフランス人、２週間でコンクを目指すブルターニュ出身の新婚カップル等、今宵もバラエティに富んでいる。心地よい疲れとワインを飲みすぎたこともあり、ぐっすりと眠り込む。

エリア フランス

小さな村が点在する。

追い越して行く巡礼者たち。
女性のグループである。
みんなザックの上から雨具を被っている。
杖（ポール）は必需品。

ソバージュの村が見えてきた。まだ風が強い。

村といっても、一軒しか建物がない。
ようやく晴れ渡る。

昼食。

荒れ地を行く。

コンポステラまで1475キロ。
距離はあまりあてにならなそう。

見渡す限りの草原。

巡礼路は山に入る。

たくましい農耕馬。

いろいろなクロスがある。

石を積み上げられているものも多い。