2013/01/11 - 2013/01/11
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ソフィさん
2013年1月11日(金)
東海道新幹線上り「ひかり」は、紺碧の空を背景に純白に輝く富士を仰ぎながら、富士川を通過する。
在来線の富士川橋梁は、私の初めての現場だった。
新婚早々の昭和30年、熱海の来宮の上に立つ、弾丸列車丹那トンネル工事用のバラックから、現場近くの岩淵駅まで電車で通ったものだ。
日本最長支間200尺の三支間連続鈑桁、日本最初の縦取引出し工法等々、この工事には「日本最初」が多くて、工夫や緊張が楽しかった。
また一年間で、鋼橋工事について一通りの経験も出来た。
辺りを満たす芳しいミカンの花の香り、国道沿いの屋台店の泡盛そしてかつ丼。
生活面でも初体験が多かった。
正月には、私が責任者だった塗装工事の現場代人を、感謝をこめて自宅に招待した。
母親と新婚夫妻合計3人の家族に、六軒長屋で六畳一間のわが家の狭さにはびっくりしたようだったが、とにかく「監督さんの家によばれたのは生まれて初めて」とよろこんでくれた。
社会人になったばかりの私にとって、いままでに接したことのないこのような人の生き方や人生観を知ることには、非常な興味があった。
私の長子が生まれた熱海を過ぎれば、東海道新幹線工事で私の担当区間だった神奈川県に入る。
国府津を過ぎれば間もなく「葛川橋梁」。
一度作った橋が壊れかかり、新幹線開業ギリギリで造り直した。
練習運転区間であって、時速200キロで列車を走らせながら、毎日無事を祈る工事だった。
新横浜を過ぎて、「大倉山トンネル」。
落盤で10人を超える犠牲者を出し、約半数の生存者救出までの40時間余は、テレビ報道に曝され、身を裂かれる思いだった。
辛かった犠牲者家族との対面、引き続き三ヶ月に渡った東神奈川警察との対応。
設計協議が困難を極め、神奈川県に通いつめた、「鶴見川橋梁」。
東海道新幹線のオリンピックまでの開業を控え、東京・新大阪間でネックとなった川崎市の通過反対運動。
東海道沿線には、思い出がギッシリ詰まっている。
東海道新幹線は、普段ならば接する機会の少ないたくさんの貴重な経験を私の人生に与えてくれた、恩師のような存在である。
同時に、思い出の花園であり、密林である。
関連の写真を「ソフィーさんの旅行記」http://4travel.jp/traveler/katase/に掲載します。
ご覧ください。
(2013年1月28日 片瀬貴文 記)
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- 家族旅行
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- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 新幹線
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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