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 横浜の主要歴史的建造物を知るには「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」(改訂第5版、平成23年2月発行)(600円)の冊子が参考になる。この冊子では「近代建築」43件(45棟)、「西洋館」24件(24棟)、「寺社建築」9寺社(32棟)、「和風建築」9箇所21件(35棟)、古民家18件(33棟)、「土木遺産」27件が記載されている。初版発行は平成14年(2002年)6月のようだ。ただし、平成12年(2000年)3月に「横浜の主要歴史的建造物(都市の記憶)」(企画:横浜市教育委員会文化財課、横浜市都市計画局都市デザイン室、監修:稲葉和也ほか).が横浜市歴史的資産調査から発行されているようだ。これが元の種本であろう。<br /> この冊子では「近代建築」と「西洋館」の区分けには疑問の点もある。「近代建築」と「西洋館」には「RC(鉄筋コンクリート)造」と「木造」があるが、そうした違いは区分けに反映すべき事項であろう。<br /> そのため、「近代建築」に分類されている木造2階(一部3階)の横浜共立学園本校舎や木骨煉瓦造の地蔵王廟、長浜ホールの木造1階の旧細菌検査棟、鉄骨造・一部RC造2階・地下1階の旧事務所、RC造2階の旧英国7番館、煉瓦造の旧横浜居留地48番館、木造2階の伊東医院と、「西洋館」に分類されているRC(造)2階・地下1階の横浜市イギリス館、RC造2階・地下1階のカトリック横浜司教館〔旧相馬永胤邸〕、木造・一部RC造2階の旧バーナード邸はいずれも見た目には「西洋館」のイメージであろうか。<br /> また、「近代建築」に分類されている「旧東伏見邦英伯爵別邸」は「鉄筋コンクリート造和風建築」のようにも見える。ただし、「内部は全くの洋風である」。木造3階建ての和風建築は横浜市以外には残っている。それを鉄筋コンクリート造にし(て、内部を洋風にし)た建物と理解すると分かり易いだろう。<br /> あるいは、「近代建築」に分類されている横浜指路教会、カトリック山手教会聖堂、横浜海岸教会、横浜山手聖公会はいずれも教会建築であり、近代建築ビルとは一線を画している。それでいて、「寺社建築」に分類するのも気が引けるところだ。「教会建築」の分類が必要であろう。<br /> さらに、「近代建築」には国指定重要文化財や国登録有形文化財、横浜市指定有形文化財の他に、横浜市認定歴史的建造物があるが、横浜市認定歴史的建造物には平成になって建てられた旧建築物やその意匠を活かした建物も含まれている。読者にはその区別が紛らわしい。「文化財」と将来的にも文化財にはなり難い再生物件とは区別されるべきである。前者を「近代建築」、後者を「再生・近代建築」として掲載すべきであろう。<br /> 「古民家」のメインは「主屋」である。「古民家」では「長屋門」と「蔵(土蔵造)」は分けるべきである。<br /> 「和風建築」に分類されている「三渓園」の各建物には、茶室などの「和風建築」の他、「古民家」と「寺社建築」が含まれていておかしい。 <br /> 同様に、「和風建築」に分類されている「旧柳下家住宅」、「山口家住宅主屋」、「田畑家住宅主屋」には和館と呼ばれる「和風建築」と洋館と呼ばれる「西洋館」がある。<br /> また、「寺社建築」に分類されている「總持寺・茶室奇(人偏が付く)松庵」は「和風建築」に分類されるべきである。<br /> 「三渓園」や「總持寺」毎に分ける必要性はあるが、それは本冊子の基本的な分類方法(問題が多いのではあるが)に関わる事項でもある。分類方法にはこうした問題点もある。<br /> 何よりも、記載内容に誤記も多いことに気が付く。改訂第5版ということであるから、版を重ねる度に誤記は訂正してきたはずだ。10年前に発行された初版第1刷ではどのくらいの誤記があったのかと思うとぞっとする。逆に10年経ってもこの程度にしか誤記訂正が完了していないことにも驚いてしまうのだが。一体、どんなレベルの人たちが校正作業に当たったのか?たとえば、「西洋館21」の「旧住友家俣野別邸」は改訂第5版が出る2年前に消失してしまい、国の重要文化財の指定を解かれている。あるいは、「西洋館21」の「山手89-8番館」が「木造2階」とあるが、どう見ても「平屋」である。「古民家12」の「旧小杉家長屋門」などは「表門」に改造されている。また、元号年と西暦年も対応が取れていない。「西洋館14」の「カトリック横浜司教館」には「昭和12(1927年)」と記載されている。また、横浜市都市整備局都市デザイン室の「横浜市記者発表資料(平成24年9月7日)」(http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201209/images/phpxbHFEV.pdf)には、「昭和4(1931)年」とあり、「 (本ページと記者発表資料について、文中の西暦表記が一部異なっていましたので、訂正しました。)」と注意書きがある。当然、添付のPDFファイルも訂正されている。しかし、上記Webでは訂正されていない。どうやら、都市デザイン室では昭和と西暦の変換がうまくできない程度の人たちが普通のようだ。<br /> 他にも、03ページに「歴史的建造物に関する制度」を一覧で載せておきながら、以降の表記に反映されてはいない。たとえば、「国登録文化財」としたら、「国登録有形文化財」と「国登録有形民俗文化財」の両方を含むと考えるべきである。省略表記する必要があるのならその方法も一覧で示すべきある。<br /> 時代表記がばらばらであり、統一すべきである。例、江戸時代中期と江戸中期、17世紀など。」の表記方法が編集会議で議論され、統一されていてしかるべきである。いくらお役所仕事でもこれはないだろう。 <br /> また、所在地の表記が「山手町」と町名までのものと「山手町214」と番地まで表記されているものとが混在しており、これも統一性を欠いている。横浜市都市デザイン室が意図したことはさっしが付くが、こうした冊子に掲載されたら、見に行きたくなるのが人情というものだ。番地表記は必要である。ただし、山手町内では番地が入り組んでおり、番地が順番に並んでいるようなことはない。山手町の番地自体に結構な秘匿性があるのが現実ではある。<br /> 記載内容は専門家と相談しているというが、他部門の博士から見ると明らかに素人仕事である。企画編集部門には専門レベルにある技官はいないのであろう。また、発行部門長も02ページに挨拶文を載せているが、河川の専門家であり、建築には疎いであろうと想像するところだ。発行部門が河川の専門家ばかりということはないであろうが、どうも府に落ちないところでもある。<br /> 色々な要素があってのことであろうが、「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」は素人仕事になってしまっているのであろう。税金を払っている横浜市民が納得できる内容になるように最低限、努力すべきである。尤も、600円で頒布(販売)している冊子であるから、一般の出版社が行っている程度の校正作業が出来ることは必須である。こうしたことを考慮・反映しての再改定版の発行が望まれる。<br />(表紙写真は「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」(改訂第5版、平成23年2月発行)(600円)の冊子)

「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」

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2012/11/27 - 2012/12/28

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ドクターキムル

ドクターキムルさん

 横浜の主要歴史的建造物を知るには「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」(改訂第5版、平成23年2月発行)(600円)の冊子が参考になる。この冊子では「近代建築」43件(45棟)、「西洋館」24件(24棟)、「寺社建築」9寺社(32棟)、「和風建築」9箇所21件(35棟)、古民家18件(33棟)、「土木遺産」27件が記載されている。初版発行は平成14年(2002年)6月のようだ。ただし、平成12年(2000年)3月に「横浜の主要歴史的建造物(都市の記憶)」(企画:横浜市教育委員会文化財課、横浜市都市計画局都市デザイン室、監修:稲葉和也ほか).が横浜市歴史的資産調査から発行されているようだ。これが元の種本であろう。
 この冊子では「近代建築」と「西洋館」の区分けには疑問の点もある。「近代建築」と「西洋館」には「RC(鉄筋コンクリート)造」と「木造」があるが、そうした違いは区分けに反映すべき事項であろう。
 そのため、「近代建築」に分類されている木造2階(一部3階)の横浜共立学園本校舎や木骨煉瓦造の地蔵王廟、長浜ホールの木造1階の旧細菌検査棟、鉄骨造・一部RC造2階・地下1階の旧事務所、RC造2階の旧英国7番館、煉瓦造の旧横浜居留地48番館、木造2階の伊東医院と、「西洋館」に分類されているRC(造)2階・地下1階の横浜市イギリス館、RC造2階・地下1階のカトリック横浜司教館〔旧相馬永胤邸〕、木造・一部RC造2階の旧バーナード邸はいずれも見た目には「西洋館」のイメージであろうか。
 また、「近代建築」に分類されている「旧東伏見邦英伯爵別邸」は「鉄筋コンクリート造和風建築」のようにも見える。ただし、「内部は全くの洋風である」。木造3階建ての和風建築は横浜市以外には残っている。それを鉄筋コンクリート造にし(て、内部を洋風にし)た建物と理解すると分かり易いだろう。
 あるいは、「近代建築」に分類されている横浜指路教会、カトリック山手教会聖堂、横浜海岸教会、横浜山手聖公会はいずれも教会建築であり、近代建築ビルとは一線を画している。それでいて、「寺社建築」に分類するのも気が引けるところだ。「教会建築」の分類が必要であろう。
 さらに、「近代建築」には国指定重要文化財や国登録有形文化財、横浜市指定有形文化財の他に、横浜市認定歴史的建造物があるが、横浜市認定歴史的建造物には平成になって建てられた旧建築物やその意匠を活かした建物も含まれている。読者にはその区別が紛らわしい。「文化財」と将来的にも文化財にはなり難い再生物件とは区別されるべきである。前者を「近代建築」、後者を「再生・近代建築」として掲載すべきであろう。
 「古民家」のメインは「主屋」である。「古民家」では「長屋門」と「蔵(土蔵造)」は分けるべきである。
 「和風建築」に分類されている「三渓園」の各建物には、茶室などの「和風建築」の他、「古民家」と「寺社建築」が含まれていておかしい。
 同様に、「和風建築」に分類されている「旧柳下家住宅」、「山口家住宅主屋」、「田畑家住宅主屋」には和館と呼ばれる「和風建築」と洋館と呼ばれる「西洋館」がある。
 また、「寺社建築」に分類されている「總持寺・茶室奇(人偏が付く)松庵」は「和風建築」に分類されるべきである。
 「三渓園」や「總持寺」毎に分ける必要性はあるが、それは本冊子の基本的な分類方法(問題が多いのではあるが)に関わる事項でもある。分類方法にはこうした問題点もある。
 何よりも、記載内容に誤記も多いことに気が付く。改訂第5版ということであるから、版を重ねる度に誤記は訂正してきたはずだ。10年前に発行された初版第1刷ではどのくらいの誤記があったのかと思うとぞっとする。逆に10年経ってもこの程度にしか誤記訂正が完了していないことにも驚いてしまうのだが。一体、どんなレベルの人たちが校正作業に当たったのか?たとえば、「西洋館21」の「旧住友家俣野別邸」は改訂第5版が出る2年前に消失してしまい、国の重要文化財の指定を解かれている。あるいは、「西洋館21」の「山手89-8番館」が「木造2階」とあるが、どう見ても「平屋」である。「古民家12」の「旧小杉家長屋門」などは「表門」に改造されている。また、元号年と西暦年も対応が取れていない。「西洋館14」の「カトリック横浜司教館」には「昭和12(1927年)」と記載されている。また、横浜市都市整備局都市デザイン室の「横浜市記者発表資料(平成24年9月7日)」(http://www.city.yokohama.jp/ne/news/press/201209/images/phpxbHFEV.pdf)には、「昭和4(1931)年」とあり、「 (本ページと記者発表資料について、文中の西暦表記が一部異なっていましたので、訂正しました。)」と注意書きがある。当然、添付のPDFファイルも訂正されている。しかし、上記Webでは訂正されていない。どうやら、都市デザイン室では昭和と西暦の変換がうまくできない程度の人たちが普通のようだ。
 他にも、03ページに「歴史的建造物に関する制度」を一覧で載せておきながら、以降の表記に反映されてはいない。たとえば、「国登録文化財」としたら、「国登録有形文化財」と「国登録有形民俗文化財」の両方を含むと考えるべきである。省略表記する必要があるのならその方法も一覧で示すべきある。
 時代表記がばらばらであり、統一すべきである。例、江戸時代中期と江戸中期、17世紀など。」の表記方法が編集会議で議論され、統一されていてしかるべきである。いくらお役所仕事でもこれはないだろう。
 また、所在地の表記が「山手町」と町名までのものと「山手町214」と番地まで表記されているものとが混在しており、これも統一性を欠いている。横浜市都市デザイン室が意図したことはさっしが付くが、こうした冊子に掲載されたら、見に行きたくなるのが人情というものだ。番地表記は必要である。ただし、山手町内では番地が入り組んでおり、番地が順番に並んでいるようなことはない。山手町の番地自体に結構な秘匿性があるのが現実ではある。
 記載内容は専門家と相談しているというが、他部門の博士から見ると明らかに素人仕事である。企画編集部門には専門レベルにある技官はいないのであろう。また、発行部門長も02ページに挨拶文を載せているが、河川の専門家であり、建築には疎いであろうと想像するところだ。発行部門が河川の専門家ばかりということはないであろうが、どうも府に落ちないところでもある。
 色々な要素があってのことであろうが、「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」は素人仕事になってしまっているのであろう。税金を払っている横浜市民が納得できる内容になるように最低限、努力すべきである。尤も、600円で頒布(販売)している冊子であるから、一般の出版社が行っている程度の校正作業が出来ることは必須である。こうしたことを考慮・反映しての再改定版の発行が望まれる。
(表紙写真は「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」(改訂第5版、平成23年2月発行)(600円)の冊子)

  • 「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」(改訂第5版、平成23年2月発行)(600円)の冊子。A4サイズである。あるいはポケット版として持ち運びし易いような装丁にするとか、PDF化してWebに掲載してほしいものだ。<br />300円くらいの電子図書であっても良い。

    「都市の記憶:横浜の主要歴史的建造物」(改訂第5版、平成23年2月発行)(600円)の冊子。A4サイズである。あるいはポケット版として持ち運びし易いような装丁にするとか、PDF化してWebに掲載してほしいものだ。
    300円くらいの電子図書であっても良い。

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