2012/10/06 - 2012/10/07
7位(同エリア42件中)
ハンクさん
ルターシュタット・ヴィッテンベルクを発ってRB(ローカル列車)で約30分、デッサウ中央駅から徒歩約10分の世界遺産「バウハウス関連遺産群」を訪れた。実はこれに先立って、デッサウ近郊にあるもう一つの世界遺産「ヴェルリッツ庭園」を訪れるつもりだったが、バスの本数が非常に少なく、強い雨が降り出した事もありこちらはやむなく断念した。
ドイツの世界遺産巡りに願掛けをして17ヶ所目になるが、これまでに訪れたツォルフェライン炭鉱跡(こちらもバウハウスの影響を受けている)、翌日訪れたベルリン・モダニズム住宅、ここバウハウス関連遺産などはユネスコ世界遺産に登録されていない限り、なかなかその文化的価値を見出すことは難しい。逆に観光地として名高いノイシュヴァンシュタイン城、ハイデルベルク城やロマンテック街道などが世界遺産に登録されていないところに、ドイツの世界遺産関係者のこだわりを見る思いがする。
デッサウはエルベ川に近い人口約9万人の小都市。ルターシュタット・ヴィッテンベルク、ライプツィヒ、マクデブルクの三角形の中心に位置する。中世よりアンハルト公国の首都であり、ドイツ帝国期より敗戦までアンハルト州の州都であった。第二次世界大戦では、この都市に航空機の工場があったため、激しい空襲を受け、市の主要部は破壊されている。
さて「バウハウス」とは、1919年ドイツ・ヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校であり、その流れを汲む合理主義的・機能主義的な芸術活動である。初代校長にグロピウスが就任、同年にバウハウス創立宣言が出された。「全ては建築に収束する」をテーマに掲げている。
1925年にこの地デッサウに移転、「市立バウハウス・デッサウ」となった。デッサウの校舎はグロピウスの設計によるもので、モダニズム建築の傑作として各国に紹介された。グロピウスは1928年に校長を退きハンネス・マイヤーが、1930年からはファン・デル・ローエが校長に就任。1932年にデッサウからベルリンへ移転するが、1933年にはこの活動に否定的なナチスにより閉校にされ、ローエらはアメリカに亡命・移住し、バウハウスの運動を伝えた。その後「バウハウス財団」管理のデッサウ校舎において、1999年に理事長を務めるオマー・アクバーが、実験的教育機関「バウハウス・コリーグ」を設立、21世紀のバウハウスを見据えた実験的試みが行われている。
この日は時折強い雨が降る、写真撮影には最悪のコンディションだったが、まずはグロピウスの設計で、モダニズム建築の傑作と言われるバウハウスの本校舎を見た。実際にここを訪れると、建築、美術を学ぶ学生がアカデミックな雰囲気を醸し出している。現在も学校として使用されており、機能優先の合理的な建築だ。ヨーロッパの伝統である贅を凝らした宮殿や教会建築とは対極にある、装飾も遊びも少ない、時代のニーズに乗った様式だったのであろう。続いて本校舎から徒歩で約10分、カンディンスキーやパウル・クレーなど教員たちの住居だったマイスターハウスを訪れた。合理的な機能美と表現されるが、外装も内装も極めてシンプル、拍子抜けするぐらいだ。
雨の中、再びデッサウ中央駅に徒歩で戻った。この町の建築は少なからずバウハウスの影響を受けていることは明白である。同時にソヴィエト時代の東ドイツ建築様式との類似性も見逃せない。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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ヴィッテンベルクからデッサウに向かうレギオナル・バーン
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デッサウ中央駅
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バウハウスの本校舎へのアプローチ
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イチオシ
グロピウスの設計で、モダニズム建築の傑作と言われるバウハウスの本校舎
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バウハウスの本校舎の建物
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グロピウスの設計で、モダニズム建築の傑作と言われるバウハウスの本校舎
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「バウハウス財団」のデッサウ本校舎の建屋
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バウハウスの本校舎内のレストラン
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バウハウスの本校舎の変遷
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新たに建設中のマイスターハウス
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新たに建設中のマイスターハウス
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マイスターハウスへのアプローチ
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カンディンスキーとパウル・クレーの住居だったマイスターハウスの模型
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カンディンスキーとパウル・クレーの写真、解説にはこの2人はゲーテとシラーのような関係だった、とある
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カンディンスキーとパウル・クレーの住居だったマイスターハウスの内部
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カンディンスキーとパウル・クレーの住居だったマイスターハウスの内部
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マイスターハウスの外観
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バウハウス本校舎内の建築
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バウハウス本校舎内の建築
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デッサウ駅前のバウハウスの影響を受けた建築
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デッサウ中央駅前のトラム
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バウハウス様式なのか、旧東ドイツ(ソヴィエト)様式なのか
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