2012/07/11 - 2012/07/11
1108位(同エリア1979件中)
ロク69さん
「ワインガルテンゼー(Weingartensee)」という名前に惹かれて行って見たくなった。7月8日に早朝の降雨のため中止したハイキングを再度、挑戦する。テーシュアルプまではタクシーで行き、あとはテーシュヒュッテ経由で氷河湖ワインガルテンゼーを一回りするコースだ。情報が少ないのがちょっと不安だが、ツェルマットの案内冊子にも掲載されているので行ってみることにする。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- タクシー 徒歩
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前日(7/10)、タクシーの予約をテーシュのインフォメーションにお願いしようと電話したが、「自分で予約しなさい」とのことでタクシー会社の電話番号を教えてくれた。番号を掛けると丁寧な挨拶の後、「明日はホテルまで迎えに行きます」と言う。テーシュ駅前のつもりが、ここで押し問答しても仕方がないので「アパート名と8時にお願いします」と答えた。そして今朝、8時きっかりにタクシー(電気自動車)がやって来て、ツェルマットの駅の少しむこう側(北側)まで連れて行ってくれた。駅周辺の造成、建築工事中で資材、機材がいっぱい置いてある所で5〜6分待つと、今度はガソリン車(ワゴン)に乗ってテーシュ〜テーシュアルプ(オッタヴァン)に向かう。値段は2人で60フラン、とても高いが時間を稼ぐためと自分で納得する。
参考までに、テーシュ観光局前から一人10フランの定期乗合タクシーがあるが、出発時間が9:30なのでこういう次第になった。
8:40にテーシュアルプ(2205m)に着いて、周りをぐるりと見渡してから出発した。ワイスホルンには雲が架かって全貌を見せていない。左の小高いピークはシャリホルン(Schalihorn、3974m)だ。 -
テーシュヒュッテ(2701m)を目指して急坂を登る、スタートから勾配のある坂道なので息も荒くなる。やがてコースは分岐になって、我が家は時間が短い右コースを取った。岩の多い道だが、斜面をトラバースするので登りと平坦部が交互に現れる。左から、チナールロートホルン、シャリホルン、ワイスホルンと連なる。頂部はいずれも雲が架かっている。
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途中でエーデルワイスの群生地があり、進むのも一時中断し撮影タイムとする。
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山々を隠していた雲が徐々に取れ始め、ワイスホルンがほぼ完全に見え出してきた。チナールロートホルンももうすぐだ。
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ヒュッテが上方に見えてくる、コースはヒュッテの下部を一旦通り過ぎてから、折り返して最後の登りにかかる。ワイスホルンとの対比が美しい。
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9:50にテーシュヒュッテに到着、オッタバンの出発から1時間10分の所要時間だった。真新しい建物でとてもきれいなトイレを借りて、15分の休憩をとる。眺望も良くなってきてアルプスも一層、鮮明に見えてきた。ワインガルテンゼーへは、ヒュッテ手前の道を右へ進んで行く。
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ヒュッテのテラスから見るアルフフーベル、台形の形をした山だと思っていたが、右肩には三角のピークもあるのがわかる。こちら側の空は雲ひとつなく快晴だ。
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ギザギザのリンプフィッシュホルンとシュトラールホルンも近い。ミシャベルの山群に踏み込んでいるのを実感する。
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その右をじっと見つめていると、ヒュッテの人から「あれは、モンテローザだよ」と教えていただいた。また、「テーシュホルンはここからは見えないよ」とも教わった。
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ヒュッテの入り口、新しくて気持ちが良い。スイス国旗も新しいようだ。遠望するチナールロートホルンも眩しく見える。
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西側の眺め、右正面には大きなオーバーロートホルン(Oberrothorn、3414m)、その左はフルーエホルン(Fluehorn、3317m)だろう。そのコルを超えてフルーエヒュッテへ向かうルートもあるようだ。
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出発前にもう一度、ワイスホルン、チナールロートホルンをしっかりと見ておこう。10時5分にスタートする。
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すぐに案内の石盤がある、単に「see」と書いてあるだけだが意味は良くわかった。
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すぐに急峻な草付の岩場があって一汗流す、両手を使って岩をホールドしながら登っていく。
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イチオシ
この岩場はすぐに終わってほっとすると、遠方にオーバーガーベルホルンとヴェーレンクッペが現れてくる。角度的に2つの山がオーバーラップしているので、しっかりと見極めないといけない。ズームアップで狙ってみた。
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高度が大分上がって来たせいか、モンテローザも大きく見えるようになってくる。
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平らな石を置いた階段状のところもある、アルフフーベルに向かって登っていく。
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ガルテンゼーへは、このアルプフーベルから派生する尾根(3141m)を越えていく必要がある。コースは明瞭で迷うことはない。
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振り返るとマッターホルンとオーバーガーベルホルンが広い山並みの両端に位置しているのが見える。空は青空だが山には雲が纏わりついている。
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マッターホルンのズームアップ、雲が邪魔をしていて完全な形が望めなくて残念だ。東壁、北壁が均等に見えて恰好よい形である。
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正面左手には、テーシュホルンが大きく聳えてくる。これまで見てきた形と違うので、この山の新たな一面を見るようだった。
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アルプフーベルとテーシュホルンがそろって見えている。何度かだまされたが、次の尾根が乗っ越す稜線(Wissgrat)だろうか。
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やっとの思いで尾根のコルに到着(11:05)、テーシュホルンに手が届くように近く感じる。ヒュッテから1時間しか経っていないのに、ひどく長く歩いたような気がする。
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本日のルートの最高到達点(3141m)である稜線を通過する。一部は自然のものかもしれないが、細長い岩石が縦に置かれて林立している不思議な光景だ。あと地図上では90mほど下ればワインガルテンゼーに着くはずだ。
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右手にはどっしりとしたブライトホルンも見えている。
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90mの下りで到着と思っていたら、ここからの降りが大変な難路だった。まず大きな堆石がびっしりコースを埋めていて、隙間がとても大きくて危険だ。また踏み跡などないので、ルートが分かりにくい。ペンキやポールが少しあったが次の一歩が難しい。怖がるパートナーからクレームが付くしで進行はとても遅くなった。また大きな岩に乗っかった途端、これがゴロリと動いて腕から転倒してしまった。幸いカメラも身体も無事だったが、腕と手を擦りむいて出血した。カットバンとハンカチで応急処置をして歩き始めた。
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悪戦苦闘して11:55にワインガルテンゼーに着いた、尾根を下り始めてから50分も掛かった。合計1時間55分でヒュッテからここまでやってきた。湖自体は小さく美しいとは言えぬ水を湛えている。しかしその眺望はすばらしかった、雲はあるもののワイスホルンからマッターホルンまでの大展望が広がっている。
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山々をじっくり眺めるうちに、オーバーガーベルホルンとヴェーレンクッペの形がどうもおかしい。ヴェーレンクッペの後ろに何かがあるような気がする。
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ズームアップしてよく見ると、丸い頭の巨大な山があるようだ。地図を確認するとなんと、ダン・ブランシュではないか! おお、ここでダン・ブランシュに会えるとは何という感激か、これら3つの山の三つ巴にしばらくの間、時の経つのも忘れた。
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イチオシ
大展望のパノラマ、左からマッターホルン、ダン・デラン(Dent d’Herens、4171m)はいずれも雲の下、オーバーガーベルホルン、ダン・ブランシュ、ヴェーレンクッペ、チナールロートホルン、シャリホルン、ワイシホルンと高峰、秀峰がずらりと並ぶ壮観だ。空の感じも素敵だ。
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振り返ると、アルフフーベルが衝立のようにそびえている。
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その左側のテーシュホルンもその高度感がすばらしい。ワインガルテンゼーは、これら2つの4000m峰に慈しむように抱かれているようだ。
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眺望の左端、マッターホルンとダン・デランは「頭隠して」の状態で残念だ。
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眺めを総括しておこう。ワイスホルンとシャリホルン、特に前者の端正な三角形は美しい造形美だ。
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チナールロートホルンとダン・ブランシュらの三つ巴、ここでしか見ることができない山々の折り合いが興味深い。
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さらに左の名峰群、いまさら何もいう事はない。
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湖にいたのは長かったようでも20分、おにぎりのお弁当を食べて降り始めることにする。12:15にスタートした。湖を左回りに半周した形で下山するが、今度はザレた足場で歩きにくい。斜度があるので足を取られてズルッとすべることが多く、ルートもやや分かりづらい。
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コースは分かりづらいが、やせたモレーンの尾根を降りることが地図で分かっているので適当にルートを取って尾根に向かって降りていく。尾根は左右をそぎ落としたように痩せていて注意して歩く。
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尾根の降りが終わると、車も走れるような道路に出てさらに下る。テーシュアルプが見えてくると、今まで邪魔をしていた雲が晴れてきた。ワイスホルンも全貌が現れてきた。
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イチオシ
14時ジャストに、テーシュアルプに到着。湖から1時間45分だった。礼拝堂とワイスホルン、写真でよく見ていた光景に接して感激だ。左右のシャリホルン、ビスホルンも見えてきている。
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当初、歩いてテーシュまで降りる予定をしていたが、ここのオイローパウェグ・ヒュッテでワイン休憩をしているうちに疲れがでてきたので、タクシーを頼むことにした。2人ともタフでトリッキーなコースに結構疲れたようだ。タクシーは15分で到着、2人で40フランを払った。
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アパートに帰って、出血痕をみると自然に止まっていた。念のためカットバンを貼り替えておく。夕食は、パスタ(アンチョビ、玉ねぎ入り)、焼き飯、馬肉ステーキ、野菜サラダ、さば缶、味噌汁、ビール、白ワインで美味しくいただいた。
本日の全行動時間は5時間20分、うち休憩35分、実動4時間45分だった。標高差約940m、疲れの程度はやや大きいが、達成感の大きいハイキングだった。
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